黄泉返りの勇者。

亀様仏様

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織田 市花の場合。

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僕達6人がハイエルフじいさんの所に召喚された場所から遥か西。
同時刻に違う場所に召喚された6人がいた。

え・・・っとここは・・・一体・・・?確か5時限目の地理の授業を受けていてそれから・・・ダメだわ・・・これ以上は思い出せない。
私は混乱している頭を落ち着かせる為、目を閉じてゆっくりと深呼吸をし、気分を落ち着かせてみた。
少しの間深呼吸を続け気分が落ち着いて来た頃、閉じた目をゆっくりと開け現状を確認しながら辺りを見回してみた。
どうやら此処は私達がいた教室とは明らかに違う場所みたい。

何処かの教会?の中かしら?とても綺麗な絵画や彫刻のレリーフが飾られ、天井も高く一連の物語が描かれている。
一番奥には見慣れない人が立っており、背後には女神像が飾られステンドグラスの光の反射によってとても神秘的な感じする。

「綺麗・・・。」思わず口に出してしまった。

すると一番奥にいた人が私に近づいて来た。
最初は遠くにいて光の反射で良く見えなかったけれど、段々と私の方に近づくにつれ明らかにヒトではないのでは?という疑問を私は持ち始めていた。
だってそうでしょう?あんなにピンっと長い耳をしていたら誰だって疑問に思う筈だもの。
それにしても綺麗なヒト。海外のスーパーモデル並に背が高くて髪の色も金色でサラサラのストレート。スタイルも良くて顔も綺麗。スーパーモデル並って言うよりも寧ろそれ以上じゃないかしら?
それ位綺麗なオジサマ。
でも残念。私、オジサマ趣味はないのよね。
そんな素敵なオジサマが私に近づき話掛けてきた。

「漸くお目覚めになられましたか。勇者候補殿。目覚められたのは貴女様で最後でございます。貴女様より先に目覚められた5人の勇者候補殿は、【神託の儀】も終え浄化の旅へと出発されましたぞ。」

はい?今、何と仰いましたか?私の聞き間違いかしら?
1度に多くのハテナがありすぎて処理しきれないんですけど?

「あのぅ~此処は一体何処なんでしょうか?それに勇者候補って?
私の他にも此処に連れて来られた人がいるんでしょうか?」

「これは失礼しました。先ずは1つずつご説明致しましょう。今、貴女様がいるこの場所は貴女様がいた世界、地球と呼ばれる世界ではございません。この世界の名は【ユグドラ】。貴女様がいた世界とは別の世界、異世界と呼ばれる世界でございます。その世界【ユグドラ】の中でも西の大陸に位置する【マーテル公国】。その首都マーテルにあるマーテル大聖堂の中でございます。これが1つ目。

そして2つ目ですが、この世界は今、滅びの危機に瀕しています。滅びの危機と言うのは些か大袈裟に聞こえるかもしれませんが、それ位今、この世界は大変な事態に陥っているのです。世界は絶えず争いが起こり人々の疲弊・哀しみ・後悔・怒り・恨み・絶望が穢れとなって溢れ、世界は穢れによって覆いつくされようとしているのです。その穢れを浄化出来るのは勇者だけなのです。ただし、勇者はこの世界には存在せず、異世界から貴女様方を召喚した次第なのです。

最後に3つ目ですが、今回召喚した勇者候補の方々は30名で、皆様同じ場所から召喚致しました。貴女様が今、着ていらっしゃるお召し物と同じ物ですね。」

え!?どういう事!?私には話が大きすぎて理解の範疇を越えているんですけど?

「えーっと今の話を簡単に要約すると、先ず此処は異世界で、私はその穢れを浄化する為の勇者候補であると。そして学校のクラス全員をこの異世界に召喚しました。って事で良いんでしょうかね?」

「ええ。簡単に申し上げるとその通りです。」

あぁ・・・。急に目眩が・・・。って!なるわけ無いでしょ!何でよりにもよってウチのクラスなのよ?他にもクラスはあるでしょ?だってウチは4組よ!他に後、5クラスあるでしょう!そもそも帰る手段はあるの?それに私の他には後誰が召喚されたのかしら?確かここには私を含めて6人召喚したって言ってたわよね?後の5人は誰なのかしら?あれ?私以外の5人はもう旅立ったって言ってた様な・・・
って私、置いていかれた!?ちょっ、ヒドくない?普通見知らぬ場所にクラスメートが1人まだ目覚めなかったら普通は目覚めるまで待つでしょ?置いて行った奴等マジ許すまじ。

「あのぅ~それで私は一体これから何をすれば・・・?」

「おぉ!そうでした!そうでした!貴女様にはこれから【神託の儀】を受けて頂き、スキルを修得して頂きます。」

「【神託の儀】?スキル?」

「【神託の儀】はスキルの修得に必要な儀式にございます。スキルとはこの先、この世界で勇者候補として生き抜く為には必要な物でございます。」

「そうなんですね。何だか良く分からないけれど、必要な物なら受けて損は無いですよね!分かりました!ちゃっちゃっとその【神託の儀】とやらを終らせちゃいましょう!」

この時の私はまだ知らなかった。この後の【神託の儀】にてトンでもないスキルをこの身に宿す事になるなんて。
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