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しおりを挟む「お風呂の用意をするから先に入ってもらってもいいかな?」
その間に夕食の準備をしておくから、と言うとわかったといい持ってきた荷物を手に取る。
そうだ……
「ヨシュアはどの部屋を使う? 布団を敷いておくから」
ん? と首をかしげて
「トーカの部屋で一緒に」
「私の部屋の隣でいいの?」
どの部屋も掃除はしてあるからどこでもいいんだよ、と伝えると
「トーカの部屋がい」
「私の部屋の隣ね、わかった。とりあえず荷物を置いてきてね」
ヨシュアが何か言いたそうだけれど言わせない。
昨日はジョシュアに悪いことをしたけれど今回はどの部屋も掃除済みだからね。
私は今日こそ自分の部屋の自分のベッドで三毛猫さんと寝るのだ。
大人しく私の部屋の隣の部屋に入っていくヨシュアを確認してからお風呂にお湯を張る。
ヨシュアが着替えを持ってお風呂に向かい、私は夕食の準備を始める。
ご飯が出来上がる頃ヨシュアが水を飲みにキッチンへやってきた。
上半身裸……
「寒くないの……?」
コップに水を注ぎながら
「風呂上がりだからな」
と水を飲むヨシュアの髪からはやっぱり雫が垂れている。
もうこれも私の仕事だな……そう思おう。
ヨシュアをソファーに座らせてイシュマとジョシュアにしたようにタオルで髪を拭き始める。
「気持ちいい……」
フフッ……思わず笑ってしまう。
「ちゃんと乾かさないと風邪を引くし枕も濡れちゃうよ」
これも言っておかないとね。
「兄上と……イシュマにもやったのか……?」
「ん? うん、三人とも髪が濡れたままなんだもの」
クスクスと笑いながら言うとふーん……と別に面白くなさそうに返事をする。
それから夕食を食べて昨日と同じように片付けをしてからヨシュアにお茶をいれようとしたら、今夜は酒を飲むぞとニッと笑い
「高い酒を持ってきた」
と得意気に言う。
「風呂から戻ったら付き合えよな」
はいっ! と元気よく返事をしてお風呂に向かう。
高いお酒……フフフッ……お風呂上がりに最高っ……
しっかりと温まってご機嫌でお風呂を出る。
着替えを……着替え……あ、あれ? これ……?
急いでリビングへ向かい
「ヨシュアッ! これっ!」
ソファーでくつろいでいるヨシュアに声をかける。
「おー、着てくれたんだな。似合っているぞ」
嬉しそうにヘラリと笑う……先にお酒を飲んでいる……いや、それよりも
「着るよ、これしかなかったんだから着るよ。私のパジャマはどこ……!?」
えー? どこだったかなぁ? と……
私のパジャマがヨシュアのシャツにすり替えられていた……
これを着ないと部屋にも行けないから着たけれど……
「もぉ……いいよ、別のパジャマを着るから後でちゃんと返してね」
そう言って部屋へ行こうとすると後ろから抱き上げられてソファーにストン……と座らせられた……
「一杯飲んでからね」
とグラスを渡されヨシュアのグラスを当てられる……酔っているのかな……
シャツの裾を押さえてお酒を一口……フワリと花のような香りがして
「おいしい……」
隣でヨシュアがよかったと微笑みながら頷きもう一口、と言う。
もう一口お酒を飲むとヨシュアが……髪、濡れてるな、といいジョシュアがしてくれたようにタオルで拭いてくれる。
「ありがとう……」
と言うとヨシュアが飲んでいていいよ、と言うのですぐに酔わないようにゆっくりと飲む。
ほどよく身体の力が抜けて気持ちいい……思わずフフッと笑うと
「なんだ? 何がおかしいんだ?」
と聞かれてしまった。
「何でもないよ」
と笑うと
「他の二人も同じことをしたのか?」
「昨日、ジョシュアがしてくれたよ」
そう言うと……ふーん、とまた面白くなさそうにこちらを見てお酒を一杯飲み干す。何杯目なのだろう……
「……俺が初めてがいい……トーカの初めて……俺がしてあげられることはもうないのか……」
と……ちょっと泣きそう……えー……まさか絡み酒の泣き上戸じゃないよね…………
「あー……ほらっヨシュアのシャツ着てるし」
ジッとみてうん、可愛い……けど……
「イシュマのシャツも着ていた」
そうだった……後は……えーとえーと……思い付かないっ
私も酔っているのか……たくさんあるはずっ……と、とりあえず
「飲も?」
そう言うとコクリ、と頷く……よかった。
泣かれたらめんど…………アレだし。
今度は私がお酒を注いであげてグラスを渡す。
これを飲んだらベッドに行ってもらった方がいいかも。
私は運べないからね。
ヨシュアがお酒を飲み……そうだ、とこちらをみる。
「トーカを気持ちよくしてあげられる」
……なに? その危険なワード……
いや、あんな夢をみたからそんな風に聞こえるのかな……
手とか足のマッサージかもしれないし……
そんなことを考えているとまた持ち上げられてヨシュアの太ももの上に……向い合わせでまたがる感じに座らせられた…………危険な方のやつっ…………
「ちょっ……ヨシュア、悪ふざけが過ぎるよ」
ぐっと立ち上がろうと力を入れるけれど腰に回されたヨシュアの腕に押さえられる。
「大丈夫、最後まではしないから任せて……」
そもそも求めていない……そんなサービス……
「ヨシュア、お水、お水持ってくるからっ」
「えー……大丈夫」
トロンとした目でそういいながら片手で私が着ているシャツのボタンを開け始める。無駄に器用……
なんて思っている場合じゃない!
ボタンを二つ三つ開けてシャツをずらして両肩を出される。シャツは私の胸の膨らみでかろうじて止まっていて……
ヨシュアがジッと見て可愛い、とギュッと私を抱き締める……
「……柔らかくて……気持ちいい……」
抜け出そうと腕に力を入れてみるけれど……
「あぁ……ごめん、俺が気持ちよくしてあげるんだったね」
そう言って首筋をカプリと甘噛みされる……
ヒィッ……噛まれたっ
身体に力が入る私に大丈夫だから、と私の肩と首筋に唇と舌を這わせる……
ダメダメ……首も弱いからやめて……と抵抗しているつもりなのにびくともしない……そのうえ息も上がってくる……
「……ンッ…………ヨシュア……やめっ……ヤ……ァ……」
ヨシュアの唇と舌で私の身体がピクピクと反応する……
「トーカ……とても綺麗だよ」
そう言って今度は胸元に顔を埋める……
「ヨシュア……お願い……」
本当にもうやめて欲しい……
涙目になりながら非難の意味も込めて睨む。
するとヨシュアが優しく微笑み
「ごめん……我慢できない。ベッドへ行こう」
と、私を抱えあげる。
「え!? ちょっ……」
ジタバタする私に構わず進んだ先は……私の部屋。
あ! 三毛猫さんっ……三毛猫さんがベッドの上に!
「三毛猫さ……」
三毛猫さんがどうぞ、というようにベッドから降りて籠の中で丸くなる…………そんなぁ……
ベッドに寝かされた瞬間に逃げようと思っていたのにすぐに私の上に覆い被さり上着を脱いで上半身裸になるヨシュア……
そして私を抱き込んで…………寝た…………
我慢できないって…………眠かったんかいっ!
紛らわしい……
それにしても……私は新しい能力を身に付けたのだろうか……私にくっついた人を眠らせるという……
自分のベッドでは眠れるけれどこういう形ではなくて三毛猫さんと寝たかった……
三毛猫さんのしっぽがパタリと揺れたのが見えた。
大丈夫だってわかっていたのかなぁ……そうであって欲しい……
なんかドッと疲れた……ヨシュアの腕からは抜け出せないし仕方がないから目を閉じると……
さっきまでのことを考える間もなくあっという間に眠りについた……
翌朝、意外にもスッキリ目が覚めた。
隣を見るとヨシュアがまだ寝ている。
起こさないようにそっとベッドから出ようと試みる。
少し動くとゆっくりとヨシュアの目が開く……
ボーッと私を見つめて
「……トー……カ?」
寝ぼけているのかな。
焦点が徐々に合い……見開かれるヨシュアの目……
グルリと部屋を見回して
「トーカ……俺を部屋に連れ込んだのか……?」
と……そして私の格好をみて
「俺を誘惑しているのか……?」
……頭を抱える私……
「え? ……俺、何かした……?」
混乱しているヨシュアに着替えるから、と隣の部屋へ行ってもらいため息をつく。
鍵、つけてもらおう……
窓を開けて部屋を出るとヨシュアも着替えて出てきた。
「……俺の部屋にあった……トーカのだよな」
と昨日すり替えられたパジャマを持っていた。
「な……なぁ、俺……」
「ヨシュアは……」
というか
「ヨシュアも、お酒の飲み方には気を付けた方がいいよ」
そう言うと
「……ハイ」
と少し考えながら……それでも素直に返事をする。
本当にわかっているのかなぁ……
それからジョシュアとイシュマが来てから部屋に鍵をつけて欲しい、とお願いすると
「「「だめだ」」」
おぉ、ハモった…………じゃなくて、断られてしまった……なぜ……
「外からならつけてもいいけれど……」
誰かの言葉に他の二人もそうだな、と頷く。
……何か言った? 何か…………
「……お腹も空いたしご飯にしようか!」
聞かなかったことにしよう、ニコリと微笑み準備を始めるとみんなも手伝ってくれた。
…………外からって…………何……!?
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