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しおりを挟む指輪が出来てから歩夢は積極的に街へ行くようになった。
なんでも向こうの世界にはない景色や人の様子を見てインスピレーションを受けたらしく今では俺たちの商売について来ては横でデッサンをしている。
それを聞いたリサさんが俺たちにある提案をしてくれた。
「歩夢ちゃんの指輪ができたことだし遅いかもしれないけれど二人の歓迎会の意味も込めてみんなでお祭りに行かない?この町の象徴になっているノウゼンカズラの花で街が彩られてとても綺麗なのよ!どうかしら?」
「それはいいな。なんだかんだバタバタしていてそういうこともできていなかったし、二人ともどうだろうか?」
お祭りか、どんな感じなんだろう。
実を言うと俺たちはお祭りなんてあっちの世界でも行ったことない。
どんなものかは知っているが家庭が荒れていたのもあってそんな行く機会もなかったのだ。
正直俺は祭りがどんなものなのか気になるし、なにより家族としてはじめてのイベントごとだからみんなで楽しみたいと言う気持ちがある。
そこで俺の気持ちを代弁するかのように歩夢が話し出す。
「ぼ、僕お祭り行ったことないから行ってみたいです、家族みんなで。」
「俺も歩夢と同じです。みんなでお祭り楽しみたいです。」
歩夢の気持ちを後押しするように俺も行きたい旨を伝えると二人は喜んで聞き入れてくれた。
「さぁ!そうと決まればお祭りに向けて準備しなくちゃ!」
そう言ってリサさんは張り切りベンさんはその様子をみながら微笑んでいた。
俺と歩夢も二人の様子を見ながらほのぼのしていると突然ベンさんが俺に声をかけてくる。
「そういえば太一くん、一つ頼み事があるんだが良いだろうか?」
「え、俺にできることなら全然大丈夫ですけどどうしたんですか?」
そうしてベンさんは俺にあるものを作ってほしいと頼んできたのだ。
それなら俺にも出来るけどいきなりどうしたのだろう。
少し気になったものの俺と歩夢は祭りのことで頭がいっぱいでその日からどこかソワソワしながら当日になるのを待った。
side 錬金術師
わしはしがない店の錬金術師だ。
コンコン
「はーい、いらっしゃい…ってベンの旦那に奥さんじゃないですか!爺ちゃん!ベンの旦那と奥さんが来たよー!」
わしは作業場を後にしその人物が待つ店先へと向かった。
「待たせて悪いねベンの旦那に奥さん。今日は何ようですかい?」
「お爺さんお久しぶりです。急に押しかけてしまって申し訳ない。実はちょっと頼み事があるんですが…。」
突然の訪問に聞き返すとある依頼をされる。
「…………とこんな感じでお願いしたいんですが大丈夫ですか?」
「なるほど、それですと一時間はお時間いただきますがよろしいですかな?」
「えぇ、大丈夫ですわ。むしろ一時間で大丈夫かしら?」
「わしを舐めてもらっちゃ困りますよ奥さん、これでも現役の錬金術師です。早速作業に取り掛かりますゆえお掛けになってお待ちください。」
わしはそう言い残すと二人に頼まれた依頼の内容に取り掛かる。
そして一時間後完成したものを二人に見せると二人は満足したように言った。
「さすがですね、転移魔法を組み込める錬金術師なんてお爺さんぐらいです。」
「とてもすごいわ。これであの子たちとのお祭りも楽しめるわね!」
そういえば二人に義息子ができたと風の噂で聞いたことがある。
こんなに楽しそうにしている二人はなかなかお目にかかれない、それほど楽しみにしているのじゃろうな。
あ、そういえば注意点を言うのを忘れとった。
「そういえば一点だけ注意点があっての。私が作った器なら話は別じゃがこれは誰かが作った器に私が効果を付与しているに過ぎない。それゆえ一度…いや二度だろうか、転移魔法を使うと器が耐えきれず壊れてしまうじゃろう。」
「わかりました。本当にありがとうございます。お題はこれで足りますかね?」
「いや、こりゃちと多すぎますぞ旦那…。」
そう言って返そうとするもいつも世話になってるお礼だと言われそのまま店を出て行ってしまわれた。
それにしてもあの耳飾りとても綺麗じゃったな。
あんな繊細なものそうそう作れる者はいない、誰が作ったのだろうか。
そんなことを考えながらわしはまた作業場へと戻った。
なんでも向こうの世界にはない景色や人の様子を見てインスピレーションを受けたらしく今では俺たちの商売について来ては横でデッサンをしている。
それを聞いたリサさんが俺たちにある提案をしてくれた。
「歩夢ちゃんの指輪ができたことだし遅いかもしれないけれど二人の歓迎会の意味も込めてみんなでお祭りに行かない?この町の象徴になっているノウゼンカズラの花で街が彩られてとても綺麗なのよ!どうかしら?」
「それはいいな。なんだかんだバタバタしていてそういうこともできていなかったし、二人ともどうだろうか?」
お祭りか、どんな感じなんだろう。
実を言うと俺たちはお祭りなんてあっちの世界でも行ったことない。
どんなものかは知っているが家庭が荒れていたのもあってそんな行く機会もなかったのだ。
正直俺は祭りがどんなものなのか気になるし、なにより家族としてはじめてのイベントごとだからみんなで楽しみたいと言う気持ちがある。
そこで俺の気持ちを代弁するかのように歩夢が話し出す。
「ぼ、僕お祭り行ったことないから行ってみたいです、家族みんなで。」
「俺も歩夢と同じです。みんなでお祭り楽しみたいです。」
歩夢の気持ちを後押しするように俺も行きたい旨を伝えると二人は喜んで聞き入れてくれた。
「さぁ!そうと決まればお祭りに向けて準備しなくちゃ!」
そう言ってリサさんは張り切りベンさんはその様子をみながら微笑んでいた。
俺と歩夢も二人の様子を見ながらほのぼのしていると突然ベンさんが俺に声をかけてくる。
「そういえば太一くん、一つ頼み事があるんだが良いだろうか?」
「え、俺にできることなら全然大丈夫ですけどどうしたんですか?」
そうしてベンさんは俺にあるものを作ってほしいと頼んできたのだ。
それなら俺にも出来るけどいきなりどうしたのだろう。
少し気になったものの俺と歩夢は祭りのことで頭がいっぱいでその日からどこかソワソワしながら当日になるのを待った。
side 錬金術師
わしはしがない店の錬金術師だ。
コンコン
「はーい、いらっしゃい…ってベンの旦那に奥さんじゃないですか!爺ちゃん!ベンの旦那と奥さんが来たよー!」
わしは作業場を後にしその人物が待つ店先へと向かった。
「待たせて悪いねベンの旦那に奥さん。今日は何ようですかい?」
「お爺さんお久しぶりです。急に押しかけてしまって申し訳ない。実はちょっと頼み事があるんですが…。」
突然の訪問に聞き返すとある依頼をされる。
「…………とこんな感じでお願いしたいんですが大丈夫ですか?」
「なるほど、それですと一時間はお時間いただきますがよろしいですかな?」
「えぇ、大丈夫ですわ。むしろ一時間で大丈夫かしら?」
「わしを舐めてもらっちゃ困りますよ奥さん、これでも現役の錬金術師です。早速作業に取り掛かりますゆえお掛けになってお待ちください。」
わしはそう言い残すと二人に頼まれた依頼の内容に取り掛かる。
そして一時間後完成したものを二人に見せると二人は満足したように言った。
「さすがですね、転移魔法を組み込める錬金術師なんてお爺さんぐらいです。」
「とてもすごいわ。これであの子たちとのお祭りも楽しめるわね!」
そういえば二人に義息子ができたと風の噂で聞いたことがある。
こんなに楽しそうにしている二人はなかなかお目にかかれない、それほど楽しみにしているのじゃろうな。
あ、そういえば注意点を言うのを忘れとった。
「そういえば一点だけ注意点があっての。私が作った器なら話は別じゃがこれは誰かが作った器に私が効果を付与しているに過ぎない。それゆえ一度…いや二度だろうか、転移魔法を使うと器が耐えきれず壊れてしまうじゃろう。」
「わかりました。本当にありがとうございます。お題はこれで足りますかね?」
「いや、こりゃちと多すぎますぞ旦那…。」
そう言って返そうとするもいつも世話になってるお礼だと言われそのまま店を出て行ってしまわれた。
それにしてもあの耳飾りとても綺麗じゃったな。
あんな繊細なものそうそう作れる者はいない、誰が作ったのだろうか。
そんなことを考えながらわしはまた作業場へと戻った。
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