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終章
93話 VS巨神
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「よし。フェンリィを助けに行こう」
「「うん!!」」
魔王とかつての仲間であるアーノルドたちにより、俺たちは場所も分からない遠くの彼方に追放された。
俺は自分の存在そのものを憎み、みんなを巻き込んでしまったことに対して責任を感じて絶望に打ちひしがれていた。
でももう大丈夫だ。
俺は俺だと気づかせてもらえた。
だからもう迷わない。
フェンリィは絶対に取り戻す。
「作戦はあるの?」
ルーナが聞いてきた。
この先何が待っているか分からない。
無策でいくのは危険だろう。
こんな時はフェンリィがいつも考えてくれていた。
「いや、ない。不安か?」
「ううん、私もそう考えてたとこ」
「メメもそれがいいと思うよ」
正面突破。小細工なんて必要ない。
邪魔な奴らは全員ねじ伏せて最短距離でフェンリィの元まで駆けつける。
「じゃあメメ、頼むな。多分これが最後だ」
ここがどこかは分からないが関係ない。
瞬間移動で舞い戻ることができるはず。
「うん! でも魔王たちは何がしたかったんだろうね」
「確かに。私たちも別々の場所に飛ばせばいいのに」
「多分だけど追放すること自体が目的ではないんだと思う。俺の精神を削って遊んでるだけだ。すぐに戻ってこれることも想定済みのはず」
アーノルドも追放する時にまずはと言っていた。
まだ俺に絶望を与えて愉しむつもりなのだろう。
「あいつらともケジメをつけなきゃな」
俺に全く非が無いとは言いきれないかもしれない。
最初に追放してきたのも勝手に逆恨みしたのも向こうだが、あいつらが道を外してしまった原因が俺にあるのは事実。
「ふー」
一度大きく深呼吸。
今までの思い出を想起して心をリセットする。
「よし。今度こそ行こう。ルーナ、メメ、二人ともついてきてくれてありがとう。二人に会えてよかったよ」
俺がこんなことを言うのは意外だったのか二人は目を丸くした。そして薄っすらと笑みを浮かべる。
「私もそう思ってる。たくさん辛い事あったはずなのにもう忘れちゃってるの。楽しい思い出しかない」
「メメも、生きててよかったって本気で思えてるよ。これからも変わらない。ずっとずっと笑いながら生きていたい」
口に出して共有することでより一層自信を持てた。俺がしてきたことは間違いなんかじゃない。みんながそれを証明してくれる。俺の存在した意味がここにある。
「ほんとに、ありがとう」
俺が感じてる気持ちは本物だ。
偽物なんかじゃないと断言できる。
俺は魔王ではなく一人の人間だ。
「じゃあ二人とも捕まってね」
手を繋いで円になるとメメは魔力を集中させた。
「≪瞬間移動≫!」
***
帰還。
夢であってほしいと願ったが変わらず世界は崩壊している。
いや、むしろ悪化していた。激化する戦いは、数えることが不可能なくらい人が入り乱れている。
そして変化はもう一つあった。ルーナとメメは頭がひっくり返りそうなくらい上を向く。
「なんなのこれ……」
「わ、おっきぃ……」
無かったはずのものがあった。
忌々しい雰囲気を纏った、天高くそびえる塔。
地面の底からぶち破ってきたように巨大な塔が君臨していた。
まだ距離はあるのに全体像が見えてこない。
「分かりやすくていいな」
「そうね。早く行こ」
「うん!」
それぞれ戦う姿勢になって真正面から突っ込む。
人間たちに加え、他の種族も混在した大乱闘の真っ最中。
俺たちはその間を一気に駆け抜けた。
急いでいるが、目の前で殺し合いを見せつけられるのは耐え難い。
「メメ。ここで一発頼む」
「任せて!」
ゆっくり構ってあげる余裕はない。
荒療治だが強制的に争いを辞めさせる。
「多分すっごく痛いけど我慢してね!」
脳に負荷をかけて意識を刈り取る魔法。
直後は酷い吐き気や目眩に襲われるがやむを得ない。
痛みと引き換えに命を救済するなら安い代価だろう。
「≪民の救い手≫!」
光を浴びた生物たちは頭を抱えてうずくまった。
戦いは中断されて呻き声が響く。
「急ごう。メメ、まだ余裕あるか?」
「まだ平気。でも思ったより容量使っちゃった」
ここは妖精の森と違って魔素が薄い。
だから魔力消費の燃費が若干悪いのだ。
メメの魔力量は有限のため高火力の魔法は回数に制限がある。
戦闘は出来るだけ俺とルーナで行い、メメにはバックアップに回ってもらおう。
「よし、ついたな。乗り込むぞ」
塔の下までやってきた。
あとは駆け上がるだけ……
「メメ! ルーナ!」
俺は気配を察知した瞬間に二人の手を引いて大きく後方に退いた。
直後、真っ暗な闇に覆われる。
上空から山のような巨漢が降ってきたのだ。
大地がめくれ上がるほどの地響きを起こして俺たちの前に立ち塞がった。
────────────
名称:スルト
体力:SSS
物攻:SSS
物防:SSS
魔攻:SSS
魔防:SSS
魔力:SSS
俊敏:SSS
────────────
その体は炎に包まれており、見え隠れする体表は煤で出来たように真っ黒だった。
俗に言う巨人。その中でも最強の一角と謳われる番人にして王。
「ほう、今のを避けるか。サタナ様の分身なだけはあるのう」
全長は5メートルぐらいだろうか。
でも目の前にするとそれ以上に大きく見える。
圧倒的な存在感だ。
「じゃがここから先は通さんぞぃ? 先に行きたくば四天王随一の腕力とタフさを誇るこのワシを倒してから行────」
「邪魔だ。どけよ」
「グホォォオオオ……ッ!?」
俺は武器を抜かず、グーに握った拳を力の限り巨人の土手っ腹にねじ込んだ。
すると俺より何倍も大きい巨体は簡単に吹き飛び、塔に背中を打ち付けて顔面から倒れた。
「え……すご。そんなに強かったっけ!?」
「ああそっか。ルーナたちは一緒にいなかったもんな」
もう小細工は必要ない。
四天王ごときに俺が後れを取ることはないのだ。
「……ガハッ。く、このワシが膝をつくじゃと!?」
四天王随一のタフさは伊達じゃないらしい。
殺す気で殴ったがまだ立ち上がるか。
「カハハ! 血が騒ぐのう! たぎるのう!!!」
荒ぶる巨人。
体からさらに炎が噴出された。
すると一本の大きな炎剣が具現化する。
溢れ出る汗すらも蒸発させるような熱気だ。
「≪世界を焼き尽くす地獄の剣≫」
猛り爆ぜる炎。
全てを込めた必死の一振り。
「ルーナ。ついてこれるか?」
「もちろん! あんまり侮らないで」
こちらも真っ向から迎え撃つ。
俺が【森羅万象】を引き抜くと同時にルーナも【紅月】を構えた。
さらにルーナは懐からパックに入った液体を取り出す。
それを宙に投げてジャキンと鎌で切り裂いた。
真っ赤な血が付着し、【紅月】を染める。
「痛いのはやだからね。これならリクトより強いかもよ」
「頼もしいな。じゃあ……」
「ええ! ぶった切ってやるわ!」
一直線に巨人と交差。
敵が降り終えるより速く。
そして命の灯を消すほど強く。
降りかかる火の粉を振り払う。
風のように激しく。雪のように静かに。
柔と剛。二本の刃が敵を穿つ。
合技──
≪風花雪月≫
「よし。これで一体目だな」
巨人の討伐に成功。
時間ロスもほぼなく、無傷で突破できたのは大きい。
「ルーナも前より速くなったな」
「そう? 一回感覚掴んだからかな。集中すると体が軽いの」
ゾーンに入った状態みたいな感じか。
ルーナもメメも今では四天王に引けを取らない強さを手にしている。
「どんどん進もう。でも油断は禁物だ」
「おっけー!」
「りょうかい!」
焦る気持ちを抑えて塔に足を踏み入れる。
待ってろ、フェンリィ。
「「うん!!」」
魔王とかつての仲間であるアーノルドたちにより、俺たちは場所も分からない遠くの彼方に追放された。
俺は自分の存在そのものを憎み、みんなを巻き込んでしまったことに対して責任を感じて絶望に打ちひしがれていた。
でももう大丈夫だ。
俺は俺だと気づかせてもらえた。
だからもう迷わない。
フェンリィは絶対に取り戻す。
「作戦はあるの?」
ルーナが聞いてきた。
この先何が待っているか分からない。
無策でいくのは危険だろう。
こんな時はフェンリィがいつも考えてくれていた。
「いや、ない。不安か?」
「ううん、私もそう考えてたとこ」
「メメもそれがいいと思うよ」
正面突破。小細工なんて必要ない。
邪魔な奴らは全員ねじ伏せて最短距離でフェンリィの元まで駆けつける。
「じゃあメメ、頼むな。多分これが最後だ」
ここがどこかは分からないが関係ない。
瞬間移動で舞い戻ることができるはず。
「うん! でも魔王たちは何がしたかったんだろうね」
「確かに。私たちも別々の場所に飛ばせばいいのに」
「多分だけど追放すること自体が目的ではないんだと思う。俺の精神を削って遊んでるだけだ。すぐに戻ってこれることも想定済みのはず」
アーノルドも追放する時にまずはと言っていた。
まだ俺に絶望を与えて愉しむつもりなのだろう。
「あいつらともケジメをつけなきゃな」
俺に全く非が無いとは言いきれないかもしれない。
最初に追放してきたのも勝手に逆恨みしたのも向こうだが、あいつらが道を外してしまった原因が俺にあるのは事実。
「ふー」
一度大きく深呼吸。
今までの思い出を想起して心をリセットする。
「よし。今度こそ行こう。ルーナ、メメ、二人ともついてきてくれてありがとう。二人に会えてよかったよ」
俺がこんなことを言うのは意外だったのか二人は目を丸くした。そして薄っすらと笑みを浮かべる。
「私もそう思ってる。たくさん辛い事あったはずなのにもう忘れちゃってるの。楽しい思い出しかない」
「メメも、生きててよかったって本気で思えてるよ。これからも変わらない。ずっとずっと笑いながら生きていたい」
口に出して共有することでより一層自信を持てた。俺がしてきたことは間違いなんかじゃない。みんながそれを証明してくれる。俺の存在した意味がここにある。
「ほんとに、ありがとう」
俺が感じてる気持ちは本物だ。
偽物なんかじゃないと断言できる。
俺は魔王ではなく一人の人間だ。
「じゃあ二人とも捕まってね」
手を繋いで円になるとメメは魔力を集中させた。
「≪瞬間移動≫!」
***
帰還。
夢であってほしいと願ったが変わらず世界は崩壊している。
いや、むしろ悪化していた。激化する戦いは、数えることが不可能なくらい人が入り乱れている。
そして変化はもう一つあった。ルーナとメメは頭がひっくり返りそうなくらい上を向く。
「なんなのこれ……」
「わ、おっきぃ……」
無かったはずのものがあった。
忌々しい雰囲気を纏った、天高くそびえる塔。
地面の底からぶち破ってきたように巨大な塔が君臨していた。
まだ距離はあるのに全体像が見えてこない。
「分かりやすくていいな」
「そうね。早く行こ」
「うん!」
それぞれ戦う姿勢になって真正面から突っ込む。
人間たちに加え、他の種族も混在した大乱闘の真っ最中。
俺たちはその間を一気に駆け抜けた。
急いでいるが、目の前で殺し合いを見せつけられるのは耐え難い。
「メメ。ここで一発頼む」
「任せて!」
ゆっくり構ってあげる余裕はない。
荒療治だが強制的に争いを辞めさせる。
「多分すっごく痛いけど我慢してね!」
脳に負荷をかけて意識を刈り取る魔法。
直後は酷い吐き気や目眩に襲われるがやむを得ない。
痛みと引き換えに命を救済するなら安い代価だろう。
「≪民の救い手≫!」
光を浴びた生物たちは頭を抱えてうずくまった。
戦いは中断されて呻き声が響く。
「急ごう。メメ、まだ余裕あるか?」
「まだ平気。でも思ったより容量使っちゃった」
ここは妖精の森と違って魔素が薄い。
だから魔力消費の燃費が若干悪いのだ。
メメの魔力量は有限のため高火力の魔法は回数に制限がある。
戦闘は出来るだけ俺とルーナで行い、メメにはバックアップに回ってもらおう。
「よし、ついたな。乗り込むぞ」
塔の下までやってきた。
あとは駆け上がるだけ……
「メメ! ルーナ!」
俺は気配を察知した瞬間に二人の手を引いて大きく後方に退いた。
直後、真っ暗な闇に覆われる。
上空から山のような巨漢が降ってきたのだ。
大地がめくれ上がるほどの地響きを起こして俺たちの前に立ち塞がった。
────────────
名称:スルト
体力:SSS
物攻:SSS
物防:SSS
魔攻:SSS
魔防:SSS
魔力:SSS
俊敏:SSS
────────────
その体は炎に包まれており、見え隠れする体表は煤で出来たように真っ黒だった。
俗に言う巨人。その中でも最強の一角と謳われる番人にして王。
「ほう、今のを避けるか。サタナ様の分身なだけはあるのう」
全長は5メートルぐらいだろうか。
でも目の前にするとそれ以上に大きく見える。
圧倒的な存在感だ。
「じゃがここから先は通さんぞぃ? 先に行きたくば四天王随一の腕力とタフさを誇るこのワシを倒してから行────」
「邪魔だ。どけよ」
「グホォォオオオ……ッ!?」
俺は武器を抜かず、グーに握った拳を力の限り巨人の土手っ腹にねじ込んだ。
すると俺より何倍も大きい巨体は簡単に吹き飛び、塔に背中を打ち付けて顔面から倒れた。
「え……すご。そんなに強かったっけ!?」
「ああそっか。ルーナたちは一緒にいなかったもんな」
もう小細工は必要ない。
四天王ごときに俺が後れを取ることはないのだ。
「……ガハッ。く、このワシが膝をつくじゃと!?」
四天王随一のタフさは伊達じゃないらしい。
殺す気で殴ったがまだ立ち上がるか。
「カハハ! 血が騒ぐのう! たぎるのう!!!」
荒ぶる巨人。
体からさらに炎が噴出された。
すると一本の大きな炎剣が具現化する。
溢れ出る汗すらも蒸発させるような熱気だ。
「≪世界を焼き尽くす地獄の剣≫」
猛り爆ぜる炎。
全てを込めた必死の一振り。
「ルーナ。ついてこれるか?」
「もちろん! あんまり侮らないで」
こちらも真っ向から迎え撃つ。
俺が【森羅万象】を引き抜くと同時にルーナも【紅月】を構えた。
さらにルーナは懐からパックに入った液体を取り出す。
それを宙に投げてジャキンと鎌で切り裂いた。
真っ赤な血が付着し、【紅月】を染める。
「痛いのはやだからね。これならリクトより強いかもよ」
「頼もしいな。じゃあ……」
「ええ! ぶった切ってやるわ!」
一直線に巨人と交差。
敵が降り終えるより速く。
そして命の灯を消すほど強く。
降りかかる火の粉を振り払う。
風のように激しく。雪のように静かに。
柔と剛。二本の刃が敵を穿つ。
合技──
≪風花雪月≫
「よし。これで一体目だな」
巨人の討伐に成功。
時間ロスもほぼなく、無傷で突破できたのは大きい。
「ルーナも前より速くなったな」
「そう? 一回感覚掴んだからかな。集中すると体が軽いの」
ゾーンに入った状態みたいな感じか。
ルーナもメメも今では四天王に引けを取らない強さを手にしている。
「どんどん進もう。でも油断は禁物だ」
「おっけー!」
「りょうかい!」
焦る気持ちを抑えて塔に足を踏み入れる。
待ってろ、フェンリィ。
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