上 下
48 / 100
2章

48話 狂気消滅

しおりを挟む
 目の前には狂気に満ちたジーク。
 それに立ち向かうアタシ、兄さま、リクト、フェンリィ。
 一人では無理でも四人なら戦える。
 三つの脚でアタシを支えてくれる。
 それはどんな凸凹な道でも安定する。

「死ねええええええ!」

 手加減の一切ない殺意ある攻撃。
 今までよりもスピードが増している。
 でもそれがアタシに届くことはない。

「≪反転インヴァース≫」

 リクトが呟くとジークは自分の顔面を殴った。
 首がねじ曲がるがすぐに再生する。
 でもその隙は大きい。畳みかける。

月華乱舞げっからんぶ

 一撃で仕留められないなら回復するスピードを上回ればいい。
 何度も何度も斬り付ける。
 返り血が付着した鎌は紅い満月を描く。

「そんな攻撃通用せんわ!」

 腕を振り回して薙ぎ払う動作。
 アタシは見向きもせずに攻撃を続ける。

「ルーナには触らせないって言ってるだろ」

 兄さまが両手に持った剣をクロスさせて守ってくれた。
 四人の中で一番火力が高いアタシをみんながカバーするというのが作戦。
 だから恐れず立ち向かえる。

「くそ、こざかしい真似を! なら全員同時に潰すまでだ! ≪超新星スーパーノヴァ≫」

 一瞬にして圧縮されたエネルギーが爆散した。
 これは兄さまを瀕死に追い込んだ技。
 自分ごと周囲を吹き飛ばすこの技はジークの≪超回復ハイレンヒール≫と相性がいい。

「ぐ、ぐおおおおおおお!!!」

 呻き声を上げたのはジークだけ。
 でもそれは別にこちら側が全員音もなく滅んだわけではない。

「はぁ……、な、なぜ生きて、おる……」

 再生能力はあれど痛覚はしっかりしているのかだいぶ疲労しているみたい。
 右腕は消し飛び、左腕は辛うじて繋がっている。
 無論、アタシが生きているのはリクトとフェンリィのおかげ。
 予備動作のほとんどない攻撃をフェンリィが見切り、リクトがそれを感じ取るとアタシとフェンリィの前に出て攻撃を跳ね返してくれたのだ。それは正に神業だった。
 兄さまは爆発のタイミングで瞬間移動を行い回避。
 二倍の威力に膨れ上がった≪超新星スーパーノヴァ≫ならもしかしてと思ったけどまだジークは生きてる。
 でも修復が間に合っていない。今なられる!

「だああああああ!」

 ジークに迫る四人の影。
 アタシは鎌を走らせ、リクトと兄さまは斬りかかり、フェンリィは発砲する。
 全員が本気で仕留めに行く渾身の一撃。
 こんな好機はもう作れないだろう。

 あと数ミリ。
 刃が届きそうというところでジークと目が合った。

「くっくっく……」

 なぜか楽しそうに笑っている。
 次の瞬間──


「ガアアアアアアアアア!!!!!」


 気が狂ったように咆哮した。
 こんなに耳を塞ぎたくなる音を聞いたのは初めて。
 その咆哮を受け、ジークを中心にアタシたち四人は壁際に吹き飛ばされた。
 全員すぐさま立ち上がって攻撃に転じる。

「な、なにこれ……」

 そう思ったけど足がすくんだ。
 煙が立ち上り、シルエットだけが浮かび上がる。

「ウオオオオオオオン!!!」

 雄たけびと共に霧が晴れる。
 そこにいたのはこの世のものとは思えないおぞましい魔物。
 もう人間の面影は全くない。
 角に牙にたてがみに尻尾。
 四本の脚で体を支えたその魔物は百獣の王を連想させる。
 それはまるで欲望が顕在化したような姿。

「「ルーナ!!!」」

 ガチンッッッ!!!

「え……?」

 金属音が鳴り響いた。
 思わず声が漏れる。

「間に合ってよかった」
「ボーっとしてんな。死ぬぞ」

 いつの間にか目の前で兄さまとリクトがいた。
 そこで事態を把握。
 ジークの大きな鋭い爪による攻撃を剣で防いでいる。
 そうか、死ぬとこだったんだ。

「≪反転リフレクション≫」

 リクトが攻撃を跳ね返すとジークは壁に突っ込んだ。

「ありがとう」
「そんなの後だ。しっかりしてくれよ」
「うん」

「みんな、なぜか俺のあべこべにする能力が効かなくなった。注意してくれ」
「自我が無いからだと思いますよ。意志と関係なしに暴れている状態です」
「ただの殺戮しか脳のない獣ってことか」
「スピードはギリギリついていけるね。でもやっぱり僕たちの攻撃は通じないっぽい」

 三人ともこんな状況なのに普通に話せている。
 無理だと思っている人間は誰もいない。
 そんな人たちがアタシを呼ぶ。

「「「ルーナ」」」

 守られてばかりのアタシを同じように見てくれる。
 だからアタシは何度でも立ち上がれる。
 下を向いている暇はない。

アタシに任せなさい」

 もう一度武器を握りなおす。
 アタシも証明しよう。
 もう誰かの後ろについていくだけじゃないってことを。

「ガァァァァァァァァ!」

 ジークが暴走し、部屋を破壊。
 瓦礫を掴んで投げてきた。
 けどそんな攻撃、誰にも当たらない。

「ルーナ、自分のタイミングを信じてください。私が合わせます」
「ほんと今だけは頼もしいわね、フェンリィ」

 フェンリィが銃弾を連射。
 逃げ場のない攻撃のはずなのに防がれたり躱されたりした。
 何とか防御を掻い潜ってあたった弾は一瞬で癒える。

「ブラインド弾を混ぜたりしてるのですがやはり私ではだめですね。二人ともお願いします」

 アタシと兄さまが前衛でジークと殴り合い、
 リクトとフェンリィが後衛で支援する。

「リクトくん、頼む!」
「了解です」

 兄さまが姿を消して死角から斬りかかる。
 しかしジークは容易く反応。
 人間の域を超えた超感覚によってどんな攻撃にもついてくる。
 でも、ついてこれるだけ。

「≪反転グラビティ≫」

 リクトが重力を反転させてジークを浮かす。
 その先には兄さまがすでに待ち構えていた。

「これでどうだ!」

 剣をジークの眼球に突き刺す。
 ジークは苦しそうに呻き声を上げて頭から地面に落ちた。

「これなら再生とか関係ないよね、ルーナ!」
「はい!」

 思いっきり鎌を振り下ろす。
 でもやっぱり一撃では倒せない。
 それでもこの隙に何度も攻撃する。
 血しぶきが雨のように舞う。

「ギャオオオオオオオ!」

 ジークは剣を引き抜き、再び暴れ出す。
 するとフェンリィが銃を構え、何かを飛ばした。
 網だ。大きな網に絡まり、ジークは身動きが取れなくなる。
 アタシはまた何度も攻撃を続ける。
 兄さまとリクトも斬撃を加えて少しでも回復を遅延させた。
 でもやっぱり死なない。

「ごめんみんな。もうちょっと待って」

 拘束を解いたジークの攻撃を避けながら言う。

「気にすんなルーナ。俺たちはお前を信じてる」
「ルーナは何も心配しなくてもいいよ。僕たちが守る」
「ルーナはもっと甘えてください」

 この声がアタシの活力になる。
 戦えば戦うほど、倒れれば倒れるほど強くなる。

「そろそろアンタの顔も見飽きたわ。小さい時からあんまり見たことないけどね」

 ジークの攻撃を完全に躱し、二本の前脚を切り落とした。

「フェンリィ! 今!!!」

 アタシは叫び、ジャンプして上を取る。
 ジークはアタシに反応して上を見た。
 既に再生した両手で無防備で華奢な体を引き裂きにくる。
 私は構わず体を大きく反り、力を溜める。
 それと同時に目を瞑った。

 その瞬間、ピカーンと白い光が部屋を包む。
 目を開けていれば焼けきれてしまいそうな強い光。
 光源はフェンリィの銃口。
 ジークだけがその光を直に浴びる。


閃光穴フラッシュホール


 目を開けると目を塞いで動けなくなっているジークがいた。
 それは仕方がないこと。いくら強くなっても生物の本能には逆らえない。

「意味もなくアタシが武器を振り回してたと思った?」

 一撃で倒せないのに何度も何度も攻撃を続けた。
 それには理由がある。

「これをやるには条件と時間が必要だったから。みんなに感謝ね」

 みんな。それは兄さま、リクト、フェンリィ。
 それとアタシの手により死んでいったモンスターたち。

「神器解放」

 神器、【紅月こうげつ】の持つ唯一の機能。
 それは──吸った血の分だけ大きくなり、威力を増す。
 何体もの敵を葬ってきた。その積み上げてきた血と汗がアタシの力となる。

【紅月:≪満月フルムーンモード≫】

 この技は隙が大きい。けど当たれば一撃必殺の最終奥義。
 みんなで作り出したこの状況で全ては整った。
 あとは振り下ろすだけ。

「だああああああああああ!」

 蓄積した力を一気に解き放つ。
 のけぞった体の反動を利用し、【紅月】を走らせる。

 これでやっと終わる。
 長かった、本当に。
 永遠に続くように思えたこの悪夢もようやく覚める。
 やっと、やっとだ……。
 あれ、なんだろう。
 まだ終わってないよね?
 なのに何でこんなこと考えてるんだろう。

「あ……」

 手から鎌が離れた。
 汗で滑ったのか力が抜けたのかわからない。
 思えば今日の朝からたくさん動いたな。
 死にそうな目にあって助けられて幹部を倒して兄さまに斬られて助けられて兄さまを助けて……。
 十分頑張ったよ。
 みんな許してくれるかな。
 最後の最後でやっぱり上手くいかなかった。
 みんな、ごめん……。


「ルーナ、僕がついてる」


 諦めかけた心に再び火が灯った。
 本当にあったかい、大好きな声。

「兄さま?」

 兄さまは体を密着させ、手を添えて一緒に握ってくれた。

「一人で背負わせてごめん。一緒に終わらせよう」

 アタシの体にもう一度力がみなぎった。
 しっかりと【紅月】を握りしめる。

「はい!」

 それは全てを無に帰す終焉の鎌。
 あるいは狂気を炙り出す満月の月光。
 正義の名のもとにあくを断つ。


狂気ルナティック消滅・デマイズ


 振り下ろした鎌は轟音と共に触れたもの全てを破壊した。
 ジークはもう、再起しない。
 魔王軍もアストレシア家も、狂気は全て消滅した。



◇◆◇◆◇◆



「終わったの……?」

 そんな気の抜けた声が喉から出た。
 全身の力が抜けてその場にぐでっと倒れてしまう。

「終わったよ。よく頑張ったね」

 アタシを受け止めた兄さまがにっこり笑う。
 ああ、本当にやり切ったんだ。
 これで全部──

『爆破まであと60秒。59、58、……』

「「「「!?」」」」

 突如鳴り響いた緊急アラートと爆破カウント。

『55、54、……』

「みんな逃げよう!」
「で、でも逃げても爆発するんですよね? そしたら町が……」

 どうしてこうなるの。
 全部終わったのに。
 でも心配はいらない。

「そ、そうか。じゃあどうしよう」
「えーっと、えーっと……」

 兄さまとそれにフェンリィまでもが慌てて冷静さを失う。
 こんな時に頼れるのは、

「大丈夫、一回落ち着こう。俺が何とかする」

 私の世界を変えてくれた人が何とかしてくれる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...