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舞踏会本番1
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王妃様の言葉に、会場はざわめきに包まれながら、1人の少女に視線が集中した。
この会場で唯一王妃様と同じ色のドレスを身に纏うアリシアに
言われたアリシア本人も驚きの表情を浮かべながら、すぐ様隣にいるエマに視線を向けた。
瓶底メガネで表情は傍目には表情は分からなくても、アリシアにはすぐにエマが驚いていることを理解した。
全て、王妃様の独断だと!
(あーこの手で来ましたか、さすが王妃様……この状況でのドレスの色の理由づけとしては確かに納得もしやすい、元々そういった類いのサプライズをする方と聞いていますし、ならば筋も通る……としてもさすがに事を大きくしてませんか?絶対絶対、面白さも付け加えましたね!!!!!!!)
そんな事を思いながら、王妃様に視線を向けると楽しげに微笑みながらこちらを見ていた。
そして、イリス王子はそのままゆっくりとした足取りでアリシアの元に向かい跪いて手を差し出した。
「どうかダンスのお相手を、アリシア嬢」
「は、はい……」
緊張からか、少し震えながらアリシアが手を添えた瞬間
王妃様がすぐ様、楽団員達に合図をし、2人の為に音楽をかなで始めた。
ゆっくりとした足取りで、アリシアを中央までエスコートすると、そのままダンスが始まった。
アリシアside
音楽に合わせながらダンスを踊る中で……
(……緊張で身体が固くなるって本当なのね……でも、ダンスがとても上手……でも周りの視線が痛い……)
若干現実逃避しているアリシアの様子に苦笑するような表情を浮かべながら、イリスが話しかけてきた。
「大丈夫ですか?……伯母上は悪い方ではないのですが……」
「あっ、いえ……驚きましたが、この様な経験はそうそう出来ませんので、うれしく思います」
「……ありがとう、そう言って貰えて良かった、伯母上の悪ふざけは昔からなんですよ、でも憎めない方なんですよ」
「ふふ、そうなんですね……」
(優しい方だわ、でも結構苦労しているのね、王子様も……)
ダンスをしながらの会話は楽しく、二人は始終楽し気な表情を浮かべていた。周りもそんな二人の様子を微笑ましく眺めていた、一部を除いて。
???side
ギシィっと持っていた扇子が小さく悲鳴を上げた。
とっさに周りを見回すが、皆二人のダンスに視線が
向いていて、気づかれることはなかった。
…………面白くない、今自分の中の感情を言うならばその言葉になる、高貴な身分の自分がそんな感情を持つのも不快だった。
最初から、自分より格下の令嬢達が居ることすら可笑しいのだ。
多くの令嬢は自分の挌を分っているから、きちんと私に挨拶にも来た、なのにあの女は一向に挨拶にも来ない。
それどころか王室の騎士でも評価の高いと噂される方にエスコートされるなんて、可笑しな話……
きっとまともな教育を受けていないのね、そうなのね、可哀そうな方、ならば教えて差し上げないと、この国での貴族の令嬢としての生き方をね……
(だからこそ、使えそうな侍女に命じてドレスのカラーを変えさせたのに、何故恥をかかないの?逆にイリス様とのダンスを踊るなんておこがましい、何故なの本来なら自分の不敬でこの場から追い出されるはずなのに……)
そんな、令嬢の思惑とは裏腹に二人のダンスに皆が目を奪われていた。アリシアのドレスも装飾品も彼女の魅力をきちんと引き出し、イリス王子の横に並んでも見劣りしなかった。
もちろん、事前に王妃様がエマにドレスのデザインや合わせる装飾品を確認したうえで、イリスの服や装飾品を合わせていた、並んでも見劣りしないように。
表情に出さないようにしていても、まだまだ経験も浅い令嬢の心のうちなど、王妃には手に取る様にわかっていた。
(あの者か……悪ふざけが過ぎたのは、まだ社交界デビュー前とはいえ、少しいたずらが過ぎるな……まずは女官長に言って侍女を変えねばならぬな、監視もかねて)
そんな事を考えているうちにダンスも終わり、そのまま参加者でのダンスがは始まった。
王子とのファーストダンスを踊った後。アリシアはエマと一緒に壁際に避難していた、まあまあ目立つ場所なので、変に絡まれるのも避けられる。
例の異世界からの客人も、付き添いの騎士にエスコートされながら、踊っていた。
「お帰りなさいませ、アリシア様、如何でした王子様とのダンスは?」
「……物凄く緊張したわ、でも楽しかった、とても気さくな方なのね、イリス王子って」
エマから渡された飲み物を受け取りながら、先ほどの会話を思い出しながら微笑んだ。
「そうでしたか、良かったですね。……そうそう、お探しの花が見つかりましたので、ご報告まで」
「そう、ありがとう、それは良かったわ」
エマはアリシアのダンスを眺めながら、令嬢たちの表情を見ていた。そしてほんの一瞬表情を歪めた令嬢の姿を捉えていた。
その令嬢の名前は、グレイシア・サザンフィード侯爵令嬢、王太子の花嫁候補と噂される一人だった。
この会場で唯一王妃様と同じ色のドレスを身に纏うアリシアに
言われたアリシア本人も驚きの表情を浮かべながら、すぐ様隣にいるエマに視線を向けた。
瓶底メガネで表情は傍目には表情は分からなくても、アリシアにはすぐにエマが驚いていることを理解した。
全て、王妃様の独断だと!
(あーこの手で来ましたか、さすが王妃様……この状況でのドレスの色の理由づけとしては確かに納得もしやすい、元々そういった類いのサプライズをする方と聞いていますし、ならば筋も通る……としてもさすがに事を大きくしてませんか?絶対絶対、面白さも付け加えましたね!!!!!!!)
そんな事を思いながら、王妃様に視線を向けると楽しげに微笑みながらこちらを見ていた。
そして、イリス王子はそのままゆっくりとした足取りでアリシアの元に向かい跪いて手を差し出した。
「どうかダンスのお相手を、アリシア嬢」
「は、はい……」
緊張からか、少し震えながらアリシアが手を添えた瞬間
王妃様がすぐ様、楽団員達に合図をし、2人の為に音楽をかなで始めた。
ゆっくりとした足取りで、アリシアを中央までエスコートすると、そのままダンスが始まった。
アリシアside
音楽に合わせながらダンスを踊る中で……
(……緊張で身体が固くなるって本当なのね……でも、ダンスがとても上手……でも周りの視線が痛い……)
若干現実逃避しているアリシアの様子に苦笑するような表情を浮かべながら、イリスが話しかけてきた。
「大丈夫ですか?……伯母上は悪い方ではないのですが……」
「あっ、いえ……驚きましたが、この様な経験はそうそう出来ませんので、うれしく思います」
「……ありがとう、そう言って貰えて良かった、伯母上の悪ふざけは昔からなんですよ、でも憎めない方なんですよ」
「ふふ、そうなんですね……」
(優しい方だわ、でも結構苦労しているのね、王子様も……)
ダンスをしながらの会話は楽しく、二人は始終楽し気な表情を浮かべていた。周りもそんな二人の様子を微笑ましく眺めていた、一部を除いて。
???side
ギシィっと持っていた扇子が小さく悲鳴を上げた。
とっさに周りを見回すが、皆二人のダンスに視線が
向いていて、気づかれることはなかった。
…………面白くない、今自分の中の感情を言うならばその言葉になる、高貴な身分の自分がそんな感情を持つのも不快だった。
最初から、自分より格下の令嬢達が居ることすら可笑しいのだ。
多くの令嬢は自分の挌を分っているから、きちんと私に挨拶にも来た、なのにあの女は一向に挨拶にも来ない。
それどころか王室の騎士でも評価の高いと噂される方にエスコートされるなんて、可笑しな話……
きっとまともな教育を受けていないのね、そうなのね、可哀そうな方、ならば教えて差し上げないと、この国での貴族の令嬢としての生き方をね……
(だからこそ、使えそうな侍女に命じてドレスのカラーを変えさせたのに、何故恥をかかないの?逆にイリス様とのダンスを踊るなんておこがましい、何故なの本来なら自分の不敬でこの場から追い出されるはずなのに……)
そんな、令嬢の思惑とは裏腹に二人のダンスに皆が目を奪われていた。アリシアのドレスも装飾品も彼女の魅力をきちんと引き出し、イリス王子の横に並んでも見劣りしなかった。
もちろん、事前に王妃様がエマにドレスのデザインや合わせる装飾品を確認したうえで、イリスの服や装飾品を合わせていた、並んでも見劣りしないように。
表情に出さないようにしていても、まだまだ経験も浅い令嬢の心のうちなど、王妃には手に取る様にわかっていた。
(あの者か……悪ふざけが過ぎたのは、まだ社交界デビュー前とはいえ、少しいたずらが過ぎるな……まずは女官長に言って侍女を変えねばならぬな、監視もかねて)
そんな事を考えているうちにダンスも終わり、そのまま参加者でのダンスがは始まった。
王子とのファーストダンスを踊った後。アリシアはエマと一緒に壁際に避難していた、まあまあ目立つ場所なので、変に絡まれるのも避けられる。
例の異世界からの客人も、付き添いの騎士にエスコートされながら、踊っていた。
「お帰りなさいませ、アリシア様、如何でした王子様とのダンスは?」
「……物凄く緊張したわ、でも楽しかった、とても気さくな方なのね、イリス王子って」
エマから渡された飲み物を受け取りながら、先ほどの会話を思い出しながら微笑んだ。
「そうでしたか、良かったですね。……そうそう、お探しの花が見つかりましたので、ご報告まで」
「そう、ありがとう、それは良かったわ」
エマはアリシアのダンスを眺めながら、令嬢たちの表情を見ていた。そしてほんの一瞬表情を歪めた令嬢の姿を捉えていた。
その令嬢の名前は、グレイシア・サザンフィード侯爵令嬢、王太子の花嫁候補と噂される一人だった。
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