684 / 699
番外編
蜜を召しませ 1
しおりを挟む
※時系列的に、聖女エリス騒動で眠りについたユーリが目覚めて一ヶ月も経たない頃のお話です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ユーリ、声が出ないって本当?」
私のベッドに腰掛けたリオン様が心配そうに眉をひそめて聞いて来た。私の様子がおかしいと聞いて、忙しい中をわざわざ王宮から仕事を抜け出して来てくれたのだ。
申し訳ないと思いながらもそれにこくこくと頷いて身振り手振りで説明する。
「ふぁ・・・ふぁい・・・喉、いだい・・・でず・・・」
喋ろうとすると喉がビリビリと痛い。あれだ、前の世界にいた時に疲れたりストレスで免疫力が落ちたりすると、たまに扁桃炎になって声が出なくなったりしていたんだけどそれに近い。なんだか熱っぽいし。
もし扁桃炎なら喉の奧が膿で真っ白になってるかも。だけどこの世界にも扁桃炎ってあるのかな?
でもおかしいな?そもそもイリューディアさんの癒しの力の恩恵でこの世界に召喚されてからは一度も病気知らずだったのに何で今更。
「か・・・鏡・・・」
かすれた声で喉の奥を確かめようとリオン様に鏡をねだったけど
「ダメだよ、寝てて!」
と背もたれにして起き上がっていた枕を整えられてさっと寝かされてしまった。
「今シンシアに温かい蜂蜜酒を作らせているからね。喉にもいいし、体ももっと温めて汗をかいた方がいい。」
そう言いながらリオン様はテキパキと冷たく絞った布を私の額に乗せてくれた。
一国の王子様がなんでこんなに人様の看病に手慣れているのかと不思議に思えば、物言いたげな私の視線に気付いたリオン様に遠慮がちに微笑まれた。
「ほら、ユーリが倒れて眠り込んだ当初は僕にも何か出来ることはないかとあれこれ試してみたりつきっきりで看病したからね。まさかそれがここでも役立つとは思わなかったけど。」
あーそれは・・・その節はとんだご迷惑とご心配をおかけしました・・・。
申し訳なく思って、心配そうに私の頬に触れているリオン様の手を取って撫でる。
声が出にくいから態度で示すしかないんだけど、普段そんな事をしない私がした事にちょっと嬉しそうなリオン様を見るとなんだか更に申し訳なくなった。
たかが手を撫でたくらいでこんなに喜ばれるとか、もしかして私スキンシップが足りてない?仮にもこれから結婚式を挙げる相手なのに・・・。
情緒が死んでるとよく言われるのには抗議したいところだけど、これではそれを否定できない。
苦しい呼吸のもとで反省していると、そんな私にリオン様は甲斐甲斐しく
「とりあえず飴や蜂蜜そのものは舐めてみた?甘くて粘度が高いから喉の乾燥にもいいはずだけど。ああ、それともお湯に溶かした方が飲みやすいかな?ルルー、お湯を・・・」
と、ルルーさんに声を掛けている。
そんなリオン様の袖をくいと引いて首を振る。
「え?いらない?」
はい、いらないです。無言でウンウン頷いた。
飴を舐めても水を飲んでも、何かを飲み下すという行為そのものがそりゃあもう喉が痛くて痛くてたまらないのだ。
だからシンシアさんが作ってくれてるという蜂蜜酒もちゃんと飲める自信はないんだけど・・・。何かしら体に入れて栄養を取らなきゃいけないなら、せめてそれだけは頑張って飲んでみようかな。
「ユーリは普通の人と違うから、医師の診察の他にシグウェルにも診てもらった方がいいと思って今呼びに行かせているからね。」
「リオン様、は・・・仕事に・・・」
お医者さんにシグウェルさんまで来てくれるならリオン様にはもう政務に戻ってもらわないと。
行ってください、と両手でぐいと押せば
「そんな状態のユーリを置いていけるわけないでしょう?ある程度の仕事はレジナスが引き受けてくれたから大丈夫。彼にもユーリの側についていて欲しいって言われてきてるからね。」
押しやろうとした両手を逆に取られて握られた。
「今までこんな事はなかったのに、やっぱりエリス様騒ぎの余波でまだ本調子じゃないってことだよね?ユーリが目覚めたばかりの頃のシグウェルの見立てでも、まだ魔力は回復していなくて大分少ないままだって話だったし・・・」
そう言いながらリオン様は握りしめている私の指先に口付けながら「その辛さを僕が代わってあげられたらいいのに」と呟いている。
確かに、試しに自分に癒しの力を使って治そうとしても体は淡く光るばかりで何の効果もなかった。
ちなみに神官さんや宮廷魔導士の人達も治癒魔法をかけてくれようとしたけどやっぱり何の効果もなかった。
これからシグウェルさんに診てもらって魔法ですぐに治る見込みがなければ、もしかしてものすごく久しぶりにごく普通の人が風邪を治すみたいに安静にして回復を待つことになるのかも知れない。
そんな事を考えていたら、そこでふといつも大袈裟に私のことを心配してあれこれ世話を焼く人の姿が見えないことに気付いた。
私がこういう状況だと、いつもなら今頃私の側に張り付いていて絶対に離れないはずのあの人だ。
「しぇ・・・」
ぜぇぜぇとやっとの思いで言葉を振り絞ったらさすがリオン様、たったそれだけで私の言いたいことが分かったらしい。
「シェラ?彼ならユーリの体調を聞いてすぐにマールの町へ早駆けの馬を駆って出掛けて行ったよ。ユーリが加護をつけたあの金のリンゴの、新鮮な物を分けてもらってくるんだって言ってね。」
あの調子なら午後の早いうちにも戻ってくるだろう。そう教えてくれたけど。
ええ?わざわざアレを貰いに行ったの?騎士団の仕事とか、キリウ小隊の任務とかはないの?大丈夫?
「シェラさん・・・仕事は・・・?」
「ユーリ・・・君、ちょっと仕事のことばかり考え過ぎだよ?こんな状態だって言うのになんでそこまで仕事のことを気にするのさ?」
リオン様が心配半分、呆れ半分といった風で私の頬を撫でる。
ああ、ついクセで・・・。何しろ前の世界ではよほどの事がなければ仕事は休めなかった。ていうか、むしろなんなら体調不良の突発で休むとその分が給料から引かれていた。
前の世界での社畜根性もだいぶ薄れたと思っていたんだけど、意外なところでそのクセが残っていたんだなあ。
「とにかくまだ本調子じゃないんだから、ゆっくり休んでいて。今日はもうずっと僕が側にいるからね。すぐにシグウェルが来るし、シェラもマールの町から戻って来る。レジナスだっていつも以上に仕事を早く片付けて王宮から戻ってくるよ。」
「ゔぅ・・・ごべんなざい・・・」
つい最近まで一年近く眠り倒していて、ただでさえみんなに心配をかけていたのに。
まさかまたこんな事になるとは。
申し訳なさに顔の半分まで布団に埋めれば
「シグウェルが来るかシンシアが蜂蜜酒を持って来るかしたら起こしてあげるから。さあそれまでは目を閉じて休んでいて。」
私のことを心配しながらも、あの青い瞳を優しげに細めて微笑んだリオン様が私の手を握り直す。
ずっと手を繋いでいてあげるからね。
そう言われ、なぜか安心してふっと体の力が抜ける。
・・・ああ、そういえば大学に入って社会人になってからもずっと一人暮らしだったっけ。
病気になってこんな風に誰かに側にいてもらったり、付きっきりで看病をしてもらったりするのは一体いつぶりなんだろう?
静かに目を閉じれば、リオン様に握られた手は熱の熱さとはまた違ってほんのりと温かかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ユーリ、声が出ないって本当?」
私のベッドに腰掛けたリオン様が心配そうに眉をひそめて聞いて来た。私の様子がおかしいと聞いて、忙しい中をわざわざ王宮から仕事を抜け出して来てくれたのだ。
申し訳ないと思いながらもそれにこくこくと頷いて身振り手振りで説明する。
「ふぁ・・・ふぁい・・・喉、いだい・・・でず・・・」
喋ろうとすると喉がビリビリと痛い。あれだ、前の世界にいた時に疲れたりストレスで免疫力が落ちたりすると、たまに扁桃炎になって声が出なくなったりしていたんだけどそれに近い。なんだか熱っぽいし。
もし扁桃炎なら喉の奧が膿で真っ白になってるかも。だけどこの世界にも扁桃炎ってあるのかな?
でもおかしいな?そもそもイリューディアさんの癒しの力の恩恵でこの世界に召喚されてからは一度も病気知らずだったのに何で今更。
「か・・・鏡・・・」
かすれた声で喉の奥を確かめようとリオン様に鏡をねだったけど
「ダメだよ、寝てて!」
と背もたれにして起き上がっていた枕を整えられてさっと寝かされてしまった。
「今シンシアに温かい蜂蜜酒を作らせているからね。喉にもいいし、体ももっと温めて汗をかいた方がいい。」
そう言いながらリオン様はテキパキと冷たく絞った布を私の額に乗せてくれた。
一国の王子様がなんでこんなに人様の看病に手慣れているのかと不思議に思えば、物言いたげな私の視線に気付いたリオン様に遠慮がちに微笑まれた。
「ほら、ユーリが倒れて眠り込んだ当初は僕にも何か出来ることはないかとあれこれ試してみたりつきっきりで看病したからね。まさかそれがここでも役立つとは思わなかったけど。」
あーそれは・・・その節はとんだご迷惑とご心配をおかけしました・・・。
申し訳なく思って、心配そうに私の頬に触れているリオン様の手を取って撫でる。
声が出にくいから態度で示すしかないんだけど、普段そんな事をしない私がした事にちょっと嬉しそうなリオン様を見るとなんだか更に申し訳なくなった。
たかが手を撫でたくらいでこんなに喜ばれるとか、もしかして私スキンシップが足りてない?仮にもこれから結婚式を挙げる相手なのに・・・。
情緒が死んでるとよく言われるのには抗議したいところだけど、これではそれを否定できない。
苦しい呼吸のもとで反省していると、そんな私にリオン様は甲斐甲斐しく
「とりあえず飴や蜂蜜そのものは舐めてみた?甘くて粘度が高いから喉の乾燥にもいいはずだけど。ああ、それともお湯に溶かした方が飲みやすいかな?ルルー、お湯を・・・」
と、ルルーさんに声を掛けている。
そんなリオン様の袖をくいと引いて首を振る。
「え?いらない?」
はい、いらないです。無言でウンウン頷いた。
飴を舐めても水を飲んでも、何かを飲み下すという行為そのものがそりゃあもう喉が痛くて痛くてたまらないのだ。
だからシンシアさんが作ってくれてるという蜂蜜酒もちゃんと飲める自信はないんだけど・・・。何かしら体に入れて栄養を取らなきゃいけないなら、せめてそれだけは頑張って飲んでみようかな。
「ユーリは普通の人と違うから、医師の診察の他にシグウェルにも診てもらった方がいいと思って今呼びに行かせているからね。」
「リオン様、は・・・仕事に・・・」
お医者さんにシグウェルさんまで来てくれるならリオン様にはもう政務に戻ってもらわないと。
行ってください、と両手でぐいと押せば
「そんな状態のユーリを置いていけるわけないでしょう?ある程度の仕事はレジナスが引き受けてくれたから大丈夫。彼にもユーリの側についていて欲しいって言われてきてるからね。」
押しやろうとした両手を逆に取られて握られた。
「今までこんな事はなかったのに、やっぱりエリス様騒ぎの余波でまだ本調子じゃないってことだよね?ユーリが目覚めたばかりの頃のシグウェルの見立てでも、まだ魔力は回復していなくて大分少ないままだって話だったし・・・」
そう言いながらリオン様は握りしめている私の指先に口付けながら「その辛さを僕が代わってあげられたらいいのに」と呟いている。
確かに、試しに自分に癒しの力を使って治そうとしても体は淡く光るばかりで何の効果もなかった。
ちなみに神官さんや宮廷魔導士の人達も治癒魔法をかけてくれようとしたけどやっぱり何の効果もなかった。
これからシグウェルさんに診てもらって魔法ですぐに治る見込みがなければ、もしかしてものすごく久しぶりにごく普通の人が風邪を治すみたいに安静にして回復を待つことになるのかも知れない。
そんな事を考えていたら、そこでふといつも大袈裟に私のことを心配してあれこれ世話を焼く人の姿が見えないことに気付いた。
私がこういう状況だと、いつもなら今頃私の側に張り付いていて絶対に離れないはずのあの人だ。
「しぇ・・・」
ぜぇぜぇとやっとの思いで言葉を振り絞ったらさすがリオン様、たったそれだけで私の言いたいことが分かったらしい。
「シェラ?彼ならユーリの体調を聞いてすぐにマールの町へ早駆けの馬を駆って出掛けて行ったよ。ユーリが加護をつけたあの金のリンゴの、新鮮な物を分けてもらってくるんだって言ってね。」
あの調子なら午後の早いうちにも戻ってくるだろう。そう教えてくれたけど。
ええ?わざわざアレを貰いに行ったの?騎士団の仕事とか、キリウ小隊の任務とかはないの?大丈夫?
「シェラさん・・・仕事は・・・?」
「ユーリ・・・君、ちょっと仕事のことばかり考え過ぎだよ?こんな状態だって言うのになんでそこまで仕事のことを気にするのさ?」
リオン様が心配半分、呆れ半分といった風で私の頬を撫でる。
ああ、ついクセで・・・。何しろ前の世界ではよほどの事がなければ仕事は休めなかった。ていうか、むしろなんなら体調不良の突発で休むとその分が給料から引かれていた。
前の世界での社畜根性もだいぶ薄れたと思っていたんだけど、意外なところでそのクセが残っていたんだなあ。
「とにかくまだ本調子じゃないんだから、ゆっくり休んでいて。今日はもうずっと僕が側にいるからね。すぐにシグウェルが来るし、シェラもマールの町から戻って来る。レジナスだっていつも以上に仕事を早く片付けて王宮から戻ってくるよ。」
「ゔぅ・・・ごべんなざい・・・」
つい最近まで一年近く眠り倒していて、ただでさえみんなに心配をかけていたのに。
まさかまたこんな事になるとは。
申し訳なさに顔の半分まで布団に埋めれば
「シグウェルが来るかシンシアが蜂蜜酒を持って来るかしたら起こしてあげるから。さあそれまでは目を閉じて休んでいて。」
私のことを心配しながらも、あの青い瞳を優しげに細めて微笑んだリオン様が私の手を握り直す。
ずっと手を繋いでいてあげるからね。
そう言われ、なぜか安心してふっと体の力が抜ける。
・・・ああ、そういえば大学に入って社会人になってからもずっと一人暮らしだったっけ。
病気になってこんな風に誰かに側にいてもらったり、付きっきりで看病をしてもらったりするのは一体いつぶりなんだろう?
静かに目を閉じれば、リオン様に握られた手は熱の熱さとはまた違ってほんのりと温かかった。
133
お気に入りに追加
1,889
あなたにおすすめの小説
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた
愛丸 リナ
恋愛
少女は綺麗過ぎた。
整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。
最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?
でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。
クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……
たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた
それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない
______________________________
ATTENTION
自己満小説満載
一話ずつ、出来上がり次第投稿
急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする
文章が変な時があります
恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定
以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
王妃から夜伽を命じられたメイドのささやかな復讐
当麻月菜
恋愛
没落した貴族令嬢という過去を隠して、ロッタは王宮でメイドとして日々業務に勤しむ毎日。
でもある日、子宝に恵まれない王妃のマルガリータから国王との夜伽を命じられてしまう。
その理由は、ロッタとマルガリータの髪と目の色が同じという至極単純なもの。
ただし、夜伽を務めてもらうが側室として召し上げることは無い。所謂、使い捨ての世継ぎ製造機になれと言われたのだ。
馬鹿馬鹿しい話であるが、これは王命─── 断れば即、極刑。逃げても、極刑。
途方に暮れたロッタだけれど、そこに友人のアサギが現れて、この危機を切り抜けるとんでもない策を教えてくれるのだが……。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる