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第十七章 その鐘を鳴らすのはわたし
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エル君の後ろに隠れたユリウスさんにシェラさんが
「それ以上騒ぐようでしたら窓から吊るしますよ」
と警告すれば、「それは首をってことっすか⁉︎」と
ユリウスさんは青くなって縮こまっている。
エル君はそんなユリウスさんに大人げない・・・と
私によくそうするように呆れてかぶりを振っていた。
そんな三人・・・というかシェラさんを見ていたら
さっき一瞬脳裏にフラッシュバックした光景を思い
出してしまった。
ベッドの上で大きい姿の私を後ろから抱えるように
抱き締めながら首筋や耳元に口付けられていたような
気がする。
あれが幻影で良かった。本当にあったことなら
恥ずかし過ぎる。
なんとなくまだ頬が熱を持っているような気がしつつ
見つめていた私の視線に気が付いたのか、ふと
シェラさんがこちらを見た。
パチリと視線がかち合う。
確か鐘を鳴らした時に、問題が片付いたからちゃんと
シェラさんの告白に答えなきゃと回らない頭で考えて
うとうとしながら返事をした。
だからてっきり、またあの色気を垂れ流したような
笑顔で嬉しそうに私に微笑みかけるかと思っていた
んだけど・・・。
目が合ったシェラさんは一瞬その動きを止めると頬を
僅かに染め、ふいと私から視線を逸らしてしまった。
その表情はシェラさんらしからぬ初々しい思春期の
健全な青少年のようにも見えて違和感がすごい。
・・・んん?どういうこと?
シェラさんのことだから私が求婚を受け入れたら
人目も憚からずにグイグイ迫ってくるのかと思って
いた。
そう身構えていただけに、なんだか拍子抜けした
気分だ。
「ー・・・それでですねユーリ様。あれ?ユーリ様
俺の話ちゃんと聞いてるっすか?」
もしもし?とユリウスさんに話しかけられてハッと
する。いつの間にか今回の件について話が始まって
いたらしい。
「あ、ごめんなさい!ちょっと別のことを考えて
いました!もう一度お願いします!」
「大丈夫っすか?まだ体調が悪いなら無理しなくて
いいっすよ?」
気遣われたけどまさかシェラさんのことを考えていて
上の空だったとは言えない。
お願いして話の続きを促した。ちょうどあのヨナスの
神殿がある集落の話をしていたところだったらしい。
「・・・それで、エル君に持たせてた緊急避難の信号
が上がるのとほぼ同時に集落を囲んでた元からの結界
が弱まって行くのを感じたんっすよ。これはマズイと
思って逃げようと思ったところにこう、霧がぶわっと」
あの時ユリウスさん達も霧に襲われていたらしい。
エル君が
「あの時、霧に体を乗っ取られたキリウ小隊の人が
飛び道具で正確に結界石を一度に三つも破壊しました
から。さすがにキリウ小隊に属するほどの実力者の
不意打ちは僕も防ぎ切れませんでした。」
申し訳ありませんでしたと頭を下げられた。
だけどエル君は悪くない。
あの場にエル君とシェラさんがいなければもっと
大変なことになっていたに違いないから。
「で、霧に巻かれた直後はユーリ様の加護が効いて
いて霧は弾かれてたんすけど退避途中でその力も
竜の鱗も効果が切れて意識を失ってたっす。次に
気付いたのはユーリ様の鳴らす鐘の音がしたから
っすね。昼間なのに頭上には大量に流れ星が流れて
いてそりゃあもう壮観だったっす!」
その時の事を思い出したのかユリウスさんはウンウン
と頷いている。
「ユリウスさんでも起きてられなかったんですか?」
「なんたってヨナス神の力の一部ですからね。俺如き
が敵うわけがないっすよ!むしろすぐに昏倒しないで
済んだのがおかしいくらいっす。」
「私の力がもっと強ければそんな事にもならなかった
んでしょうけど・・・。そういえば寝ている時って
どうでした?何か夢とか見たんですか?」
エル君は自分に都合のいい夢を見て起きたくないと
思わされていたみたいだし、みんなそうなのかなと
思って聞いたんだけどユリウスさんはあからさまに
動揺した。
「え?夢っすか⁉︎なな、なんでそんな事聞くんすか
何かあったっすか⁉︎」
「エル君はすごくいい夢を見て起きたくないって
気分にさせられていたみたいなのでユリウスさんも
そうなのかなって・・・」
そう話せば、「あー・・・」とユリウスさんは目を
泳がせた。怪しい。
「ユーリ様がお尋ねしているのです、早く答えないと
大鐘楼から吊るしますよ」
シェラさんがにこりと圧のある微笑みをユリウスさん
に向けた。さっき目が合った時と違っていつも通りな
振る舞いだ。
「ヒェッ⁉︎なんですぐにそう吊るしたがるんすか⁉︎
分かったっすよ、言うっす!ユーリ様に似ためっちゃ
美人な奥さんとリリみたいなかわいい娘がいたっす!
ついでに団長が今まで悪かったとか俺に謝ってくれて
マジメに仕事をしてたっす‼︎もう絶対に夢!自分でも
夢って分かってたけどでもホントだったらいいなー
って、あれ?こっちが現実なんじゃ?って思ったら
起きたくなかったっす‼︎」
一息に言ったユリウスさんはそれを黙って聞いて
いたシェラさんに「なんて不遜な・・・」と呟かれ
「でも別にユーリ様をお嫁さんにしたいとか思ってる
わけじゃないっすから!似た人‼︎あくまでもそっくり
な別人‼︎」
と慌てて言い訳をしている。
え、何その願望盛り沢山な夢。ユリウスさんちょっと
疲れ過ぎてないかな。
「ユリウスさん、私の力使いますか?」
まだ私の癒しの力が必要なんじゃないだろうか。
精神的な疲れにも効くかどうかは分からないけど。
「い、いらないっす!そのお気持ちだけありがたく
受け取っておくんでこの隊長を俺から離れたところに
立たせておいて欲しいっす‼︎」
どんなにシェラさんを離したところであの鞭の魔道具
を一振りしたらあっという間に捕まると思うけど。
正直に答えただけなのに怖ぁ!と叫ぶユリウスさん
がさすがに可哀想になったので気になっていた事を
聞く。
「ヨナスの神殿の中の魔石はどうなってましたか?
霧が晴れてみんなが起きたってことはもうすっかり
力を失ってたんですよね?」
「あ、それは大丈夫っす!目が覚めてからすぐに
確かめに行きました!粉々・・・ってほどではない
けどそれなりにこまかく砕けてしまってたっすよ。
魔力らしい物も一切感じなかったんで、あれはもう
ただの石っすね。」
良かった。だけど気になることがある。
「その魔石、砕けた物は全部回収して組み立てる
ことはできますか?」
「はい?」
何でまた、とユリウスさんは不思議そうだ。
どういう意味かとシェラさん達も物言いたげに私を
見ている。
「ちょっと気になることがあって・・・」
私が初日に集落に行ってあの神殿の中の様子を見た
時、神殿にある魔石は一部がはっきりと欠けていた。
だけど後からトマス様に聞いた時、あの神殿にある
魔石に欠けなどないと話していたのだ。
だから全部砕けてしまったと言うならもう一度それを
組み立てて、元々の形が見てみたい。
欠けた魔石がどこに行ってしまったのかがすごく
気になっていた。
「それ以上騒ぐようでしたら窓から吊るしますよ」
と警告すれば、「それは首をってことっすか⁉︎」と
ユリウスさんは青くなって縮こまっている。
エル君はそんなユリウスさんに大人げない・・・と
私によくそうするように呆れてかぶりを振っていた。
そんな三人・・・というかシェラさんを見ていたら
さっき一瞬脳裏にフラッシュバックした光景を思い
出してしまった。
ベッドの上で大きい姿の私を後ろから抱えるように
抱き締めながら首筋や耳元に口付けられていたような
気がする。
あれが幻影で良かった。本当にあったことなら
恥ずかし過ぎる。
なんとなくまだ頬が熱を持っているような気がしつつ
見つめていた私の視線に気が付いたのか、ふと
シェラさんがこちらを見た。
パチリと視線がかち合う。
確か鐘を鳴らした時に、問題が片付いたからちゃんと
シェラさんの告白に答えなきゃと回らない頭で考えて
うとうとしながら返事をした。
だからてっきり、またあの色気を垂れ流したような
笑顔で嬉しそうに私に微笑みかけるかと思っていた
んだけど・・・。
目が合ったシェラさんは一瞬その動きを止めると頬を
僅かに染め、ふいと私から視線を逸らしてしまった。
その表情はシェラさんらしからぬ初々しい思春期の
健全な青少年のようにも見えて違和感がすごい。
・・・んん?どういうこと?
シェラさんのことだから私が求婚を受け入れたら
人目も憚からずにグイグイ迫ってくるのかと思って
いた。
そう身構えていただけに、なんだか拍子抜けした
気分だ。
「ー・・・それでですねユーリ様。あれ?ユーリ様
俺の話ちゃんと聞いてるっすか?」
もしもし?とユリウスさんに話しかけられてハッと
する。いつの間にか今回の件について話が始まって
いたらしい。
「あ、ごめんなさい!ちょっと別のことを考えて
いました!もう一度お願いします!」
「大丈夫っすか?まだ体調が悪いなら無理しなくて
いいっすよ?」
気遣われたけどまさかシェラさんのことを考えていて
上の空だったとは言えない。
お願いして話の続きを促した。ちょうどあのヨナスの
神殿がある集落の話をしていたところだったらしい。
「・・・それで、エル君に持たせてた緊急避難の信号
が上がるのとほぼ同時に集落を囲んでた元からの結界
が弱まって行くのを感じたんっすよ。これはマズイと
思って逃げようと思ったところにこう、霧がぶわっと」
あの時ユリウスさん達も霧に襲われていたらしい。
エル君が
「あの時、霧に体を乗っ取られたキリウ小隊の人が
飛び道具で正確に結界石を一度に三つも破壊しました
から。さすがにキリウ小隊に属するほどの実力者の
不意打ちは僕も防ぎ切れませんでした。」
申し訳ありませんでしたと頭を下げられた。
だけどエル君は悪くない。
あの場にエル君とシェラさんがいなければもっと
大変なことになっていたに違いないから。
「で、霧に巻かれた直後はユーリ様の加護が効いて
いて霧は弾かれてたんすけど退避途中でその力も
竜の鱗も効果が切れて意識を失ってたっす。次に
気付いたのはユーリ様の鳴らす鐘の音がしたから
っすね。昼間なのに頭上には大量に流れ星が流れて
いてそりゃあもう壮観だったっす!」
その時の事を思い出したのかユリウスさんはウンウン
と頷いている。
「ユリウスさんでも起きてられなかったんですか?」
「なんたってヨナス神の力の一部ですからね。俺如き
が敵うわけがないっすよ!むしろすぐに昏倒しないで
済んだのがおかしいくらいっす。」
「私の力がもっと強ければそんな事にもならなかった
んでしょうけど・・・。そういえば寝ている時って
どうでした?何か夢とか見たんですか?」
エル君は自分に都合のいい夢を見て起きたくないと
思わされていたみたいだし、みんなそうなのかなと
思って聞いたんだけどユリウスさんはあからさまに
動揺した。
「え?夢っすか⁉︎なな、なんでそんな事聞くんすか
何かあったっすか⁉︎」
「エル君はすごくいい夢を見て起きたくないって
気分にさせられていたみたいなのでユリウスさんも
そうなのかなって・・・」
そう話せば、「あー・・・」とユリウスさんは目を
泳がせた。怪しい。
「ユーリ様がお尋ねしているのです、早く答えないと
大鐘楼から吊るしますよ」
シェラさんがにこりと圧のある微笑みをユリウスさん
に向けた。さっき目が合った時と違っていつも通りな
振る舞いだ。
「ヒェッ⁉︎なんですぐにそう吊るしたがるんすか⁉︎
分かったっすよ、言うっす!ユーリ様に似ためっちゃ
美人な奥さんとリリみたいなかわいい娘がいたっす!
ついでに団長が今まで悪かったとか俺に謝ってくれて
マジメに仕事をしてたっす‼︎もう絶対に夢!自分でも
夢って分かってたけどでもホントだったらいいなー
って、あれ?こっちが現実なんじゃ?って思ったら
起きたくなかったっす‼︎」
一息に言ったユリウスさんはそれを黙って聞いて
いたシェラさんに「なんて不遜な・・・」と呟かれ
「でも別にユーリ様をお嫁さんにしたいとか思ってる
わけじゃないっすから!似た人‼︎あくまでもそっくり
な別人‼︎」
と慌てて言い訳をしている。
え、何その願望盛り沢山な夢。ユリウスさんちょっと
疲れ過ぎてないかな。
「ユリウスさん、私の力使いますか?」
まだ私の癒しの力が必要なんじゃないだろうか。
精神的な疲れにも効くかどうかは分からないけど。
「い、いらないっす!そのお気持ちだけありがたく
受け取っておくんでこの隊長を俺から離れたところに
立たせておいて欲しいっす‼︎」
どんなにシェラさんを離したところであの鞭の魔道具
を一振りしたらあっという間に捕まると思うけど。
正直に答えただけなのに怖ぁ!と叫ぶユリウスさん
がさすがに可哀想になったので気になっていた事を
聞く。
「ヨナスの神殿の中の魔石はどうなってましたか?
霧が晴れてみんなが起きたってことはもうすっかり
力を失ってたんですよね?」
「あ、それは大丈夫っす!目が覚めてからすぐに
確かめに行きました!粉々・・・ってほどではない
けどそれなりにこまかく砕けてしまってたっすよ。
魔力らしい物も一切感じなかったんで、あれはもう
ただの石っすね。」
良かった。だけど気になることがある。
「その魔石、砕けた物は全部回収して組み立てる
ことはできますか?」
「はい?」
何でまた、とユリウスさんは不思議そうだ。
どういう意味かとシェラさん達も物言いたげに私を
見ている。
「ちょっと気になることがあって・・・」
私が初日に集落に行ってあの神殿の中の様子を見た
時、神殿にある魔石は一部がはっきりと欠けていた。
だけど後からトマス様に聞いた時、あの神殿にある
魔石に欠けなどないと話していたのだ。
だから全部砕けてしまったと言うならもう一度それを
組み立てて、元々の形が見てみたい。
欠けた魔石がどこに行ってしまったのかがすごく
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