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第十六章 君の瞳は一億ボルト
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私を口説いているんですよと言うシェラさんの言葉が
いまいちピンと来ない。
普段から大袈裟な位の褒め言葉を言われ過ぎている
せいで、本気なのかいつもの冗談なのか判別が
つかないのだ。
「えーと・・・」
困惑した私の態度にふむ、と頷いたシェラさんは
「困らせてしまいましたか?そんなつもりはなかった
のですが・・・。しかしオレがユーリ様に伝える
気持ちにはいつだって嘘偽りがないということだけは
覚えておいて下さいね。」
少しだけ困ったように眉を寄せるとそう言った。
そして微妙な雰囲気になってしまったのを断ち切る
ように、そのままぱっと顔を上げて周りを見ると、
「・・・ああ、着いたようですよ」
立ち止まって私を抱えたまま、私達を案内して来た
青年達と話し始めた。
いつの間にか温室の入り口に着いていたらしい。
そのシェラさんの腕の中で考える。
いや、ちょっと待って欲しい。仮にシェラさんの
今までの態度やら何やらが癒し子に対する過剰な
敬意の表れじゃないとしたら・・・
あの口ぐせみたいによく言っている、「お慕いして
いますよオレの女神」ってアレは・・・
まさか本当に口説き文句だった⁉︎
嘘だぁ、一体いつからそんな風に?思い返してみても
シェラさんの私に対するあの大袈裟な言葉や態度は
王都の夜に助けられた時から今まで一貫して変わって
いない。
ということはさっきの言葉が本当だったとして、
まさか最初からずっと好きだった⁉︎
お慕いしてますよの意味は尊敬とかじゃなくて
好きっていう意味の方⁉︎
もしかして私はずっと勘違いをしていた?そして
私のことを好きだと言ってる人と一緒の部屋で寝起き
をしていただけでなく着替えから何から世話を焼かれ
あまつさえ下着まで買わせていた⁉︎
そんな事リオン様にだってさせたことはない。
大変だ。知らなかったとはいえ、なんて恐ろしい
ことを今までしていたんだろう。
いや、でももう一度ちゃんとシェラさんに本当に
そういう意味での「お慕いしていますよ」なのか
どうか確かめないと。
何しろ本当に、敬愛なのか恋愛の意味なのか私には
全然分からない。
私にはシグウェルさんの気持ちを勘違いしていた
前科もあるから思い込みは禁物だ。
あとで折りを見てシェラさんとちゃんと話そう。
でもなんて?「シェラさんて私のことが好き
なんですか?」って?
自分からそんな事言うの、自意識過剰じゃない?
・・・考え過ぎて分からなくなってきた。
「大丈夫ですかユーリ様、難しい顔をされてます
が・・・。降ろしますのでちゃんとお立ち下さいね」
ふいに耳元でシェラさんの声がして驚く。
「ひゃあ⁉︎」
思わず変な声が出て恥ずかしくなる。おかげで
シェラさんだけでなく見目麗しい青年達まで目を
丸くして私を見てきた。
「驚かせたようで申し訳ありません。ですがその
驚いてうっすらと赤く染まった頬も愛らしいですよ
ユーリ様。」
いつも通りの美辞麗句を口にしてシェラさんは
にっこり微笑む。
いや、私が赤くなったのは驚いたからじゃなくて
シェラさんについてのあれこれを考えていたから
なんだけど。
とりあえず今はまだ何も言わないでおこう。
「あ、ありがとうございます!」
シェラさんの腕の中からとんと降り立てば、今度は
青年の一人に手を差し出される。
「どうぞユーリ様。甘いものがお好きと伺って
おりますので、おいしいお菓子も用意しております。
・・・それにしても美しい瞳ですね。ずっと見つめて
いたくなります。」
「本当だね。その瞳で見つめていただいて私達の姿が
その目の中に映っているのを見るのはとても光栄だ」
「温室の陽光に煌めくその髪の美しさも素敵です。
手に取って敬意の口付けをしてもよろしいですか?」
「それなら俺はその白く美しい手にご挨拶代わりの
口付けをしても?さきほどはゆっくりご挨拶も
出来ませんでしたし自己紹介も兼ねて・・・」
温室の中に案内されながら、口々に色んなことを
言われる。
「え?えーと、どうぞ?」
四方八方を囲まれてあれこれ言われたので何が
なんだかよく分からなくなって、とりあえずこういう
時はハイ、って言っとけばいいのかなと頷いた。
するとシェラさんにサッと持ち上げられた。
両脇に手を入れられて足がぷらんとするその
持ち上げられ方は猫の子を持ち上げるみたいで
かえって青年達の注目を集めてしまう。
「ちょっとシェラさん⁉︎」
「失礼、ユーリ様。とりあえず彼らの中から
救い出しませんと大変なことになりそうでしたので」
「猫の子じゃないんですけど⁉︎恥ずかしいので
降ろしてもらえます?」
この持ち上げ方は団長さんやレジナスさんにも
された事はあるけど、知らない人達の前でこんな風に
されたことはないので非常に恥ずかしい。
まだ足をぷらぷらして抱き上げられたまま頑張って
後ろを振り向いてそう言えば、
「こんなにも愛らしい子猫がいたらオレは仕事に
行かずにずっとお世話をしていますよ」
真面目な顔で言われてしまった。シェラさんのその
言葉に青年達が、
「子猫・・・」
「本当だ、やんちゃな子猫があばれてるみたいで
可愛らしいね」
「黒い子猫だ」
「そういえばユーリ様は猫耳の髪型を流行らせた
お方だったような」
ヒソヒソ話し始めてしまった。
「皆様も子猫のように愛らしいユーリ様はもっと
優しく丁寧に扱っていただけますか?そのように
あちこちから突然距離を詰めて迫られますと、
かわいい子猫は怯えて逃げてしまいますし警戒されて
部屋の中に逃げ込み出て来なくなりますよ?」
私を掲げたまま青年達に向かって話しながら、
シェラさんは私を左右にゆっくりと揺らす。
そうすれば私の髪はまるで猫の尻尾のように
ゆらゆらと揺れて、それを追うように見つめて
左右に動く青年達の目はまるで獲物の動向を見る
猫みたいだ。
「適切な距離を保ち、優しく話しかけ、みだりに
触れようとしなければユーリ様は子猫以上に愛らしい
微笑みを見せて下さいますよ。よろしいですか?
降ろしますので、ユーリ様と少し距離をとって
下さいね?」
ゆらゆら揺れる私を見ながら青年達がはい・・・
と頷く。
あれ?催眠術かな?
一体シェラさんは何をしてるんだ、こうやって
癒し子原理主義者を増やしてるのかと疑いたく
なるような怪しい光景だ。
だけどその怪しい催眠術みたいな動きのおかげか
もう一度地面に降ろされた私に青年達はずいと
迫ってくることはなく手も取られずに、こちらへ
どうぞと促された。その様子に、
「成功ですね」
やっぱり催眠術なんだろうか。満足げに頷いた
シェラさんは、青年達の代わりに私の手を取って
エスコートする。
エスコートするその役目は青年達でなく自分が
したかったらしい。
なんだかなあと思いながら私の手を取って嬉しそうな
シェラさんと一緒に温室の中へと入ったのだった。
いまいちピンと来ない。
普段から大袈裟な位の褒め言葉を言われ過ぎている
せいで、本気なのかいつもの冗談なのか判別が
つかないのだ。
「えーと・・・」
困惑した私の態度にふむ、と頷いたシェラさんは
「困らせてしまいましたか?そんなつもりはなかった
のですが・・・。しかしオレがユーリ様に伝える
気持ちにはいつだって嘘偽りがないということだけは
覚えておいて下さいね。」
少しだけ困ったように眉を寄せるとそう言った。
そして微妙な雰囲気になってしまったのを断ち切る
ように、そのままぱっと顔を上げて周りを見ると、
「・・・ああ、着いたようですよ」
立ち止まって私を抱えたまま、私達を案内して来た
青年達と話し始めた。
いつの間にか温室の入り口に着いていたらしい。
そのシェラさんの腕の中で考える。
いや、ちょっと待って欲しい。仮にシェラさんの
今までの態度やら何やらが癒し子に対する過剰な
敬意の表れじゃないとしたら・・・
あの口ぐせみたいによく言っている、「お慕いして
いますよオレの女神」ってアレは・・・
まさか本当に口説き文句だった⁉︎
嘘だぁ、一体いつからそんな風に?思い返してみても
シェラさんの私に対するあの大袈裟な言葉や態度は
王都の夜に助けられた時から今まで一貫して変わって
いない。
ということはさっきの言葉が本当だったとして、
まさか最初からずっと好きだった⁉︎
お慕いしてますよの意味は尊敬とかじゃなくて
好きっていう意味の方⁉︎
もしかして私はずっと勘違いをしていた?そして
私のことを好きだと言ってる人と一緒の部屋で寝起き
をしていただけでなく着替えから何から世話を焼かれ
あまつさえ下着まで買わせていた⁉︎
そんな事リオン様にだってさせたことはない。
大変だ。知らなかったとはいえ、なんて恐ろしい
ことを今までしていたんだろう。
いや、でももう一度ちゃんとシェラさんに本当に
そういう意味での「お慕いしていますよ」なのか
どうか確かめないと。
何しろ本当に、敬愛なのか恋愛の意味なのか私には
全然分からない。
私にはシグウェルさんの気持ちを勘違いしていた
前科もあるから思い込みは禁物だ。
あとで折りを見てシェラさんとちゃんと話そう。
でもなんて?「シェラさんて私のことが好き
なんですか?」って?
自分からそんな事言うの、自意識過剰じゃない?
・・・考え過ぎて分からなくなってきた。
「大丈夫ですかユーリ様、難しい顔をされてます
が・・・。降ろしますのでちゃんとお立ち下さいね」
ふいに耳元でシェラさんの声がして驚く。
「ひゃあ⁉︎」
思わず変な声が出て恥ずかしくなる。おかげで
シェラさんだけでなく見目麗しい青年達まで目を
丸くして私を見てきた。
「驚かせたようで申し訳ありません。ですがその
驚いてうっすらと赤く染まった頬も愛らしいですよ
ユーリ様。」
いつも通りの美辞麗句を口にしてシェラさんは
にっこり微笑む。
いや、私が赤くなったのは驚いたからじゃなくて
シェラさんについてのあれこれを考えていたから
なんだけど。
とりあえず今はまだ何も言わないでおこう。
「あ、ありがとうございます!」
シェラさんの腕の中からとんと降り立てば、今度は
青年の一人に手を差し出される。
「どうぞユーリ様。甘いものがお好きと伺って
おりますので、おいしいお菓子も用意しております。
・・・それにしても美しい瞳ですね。ずっと見つめて
いたくなります。」
「本当だね。その瞳で見つめていただいて私達の姿が
その目の中に映っているのを見るのはとても光栄だ」
「温室の陽光に煌めくその髪の美しさも素敵です。
手に取って敬意の口付けをしてもよろしいですか?」
「それなら俺はその白く美しい手にご挨拶代わりの
口付けをしても?さきほどはゆっくりご挨拶も
出来ませんでしたし自己紹介も兼ねて・・・」
温室の中に案内されながら、口々に色んなことを
言われる。
「え?えーと、どうぞ?」
四方八方を囲まれてあれこれ言われたので何が
なんだかよく分からなくなって、とりあえずこういう
時はハイ、って言っとけばいいのかなと頷いた。
するとシェラさんにサッと持ち上げられた。
両脇に手を入れられて足がぷらんとするその
持ち上げられ方は猫の子を持ち上げるみたいで
かえって青年達の注目を集めてしまう。
「ちょっとシェラさん⁉︎」
「失礼、ユーリ様。とりあえず彼らの中から
救い出しませんと大変なことになりそうでしたので」
「猫の子じゃないんですけど⁉︎恥ずかしいので
降ろしてもらえます?」
この持ち上げ方は団長さんやレジナスさんにも
された事はあるけど、知らない人達の前でこんな風に
されたことはないので非常に恥ずかしい。
まだ足をぷらぷらして抱き上げられたまま頑張って
後ろを振り向いてそう言えば、
「こんなにも愛らしい子猫がいたらオレは仕事に
行かずにずっとお世話をしていますよ」
真面目な顔で言われてしまった。シェラさんのその
言葉に青年達が、
「子猫・・・」
「本当だ、やんちゃな子猫があばれてるみたいで
可愛らしいね」
「黒い子猫だ」
「そういえばユーリ様は猫耳の髪型を流行らせた
お方だったような」
ヒソヒソ話し始めてしまった。
「皆様も子猫のように愛らしいユーリ様はもっと
優しく丁寧に扱っていただけますか?そのように
あちこちから突然距離を詰めて迫られますと、
かわいい子猫は怯えて逃げてしまいますし警戒されて
部屋の中に逃げ込み出て来なくなりますよ?」
私を掲げたまま青年達に向かって話しながら、
シェラさんは私を左右にゆっくりと揺らす。
そうすれば私の髪はまるで猫の尻尾のように
ゆらゆらと揺れて、それを追うように見つめて
左右に動く青年達の目はまるで獲物の動向を見る
猫みたいだ。
「適切な距離を保ち、優しく話しかけ、みだりに
触れようとしなければユーリ様は子猫以上に愛らしい
微笑みを見せて下さいますよ。よろしいですか?
降ろしますので、ユーリ様と少し距離をとって
下さいね?」
ゆらゆら揺れる私を見ながら青年達がはい・・・
と頷く。
あれ?催眠術かな?
一体シェラさんは何をしてるんだ、こうやって
癒し子原理主義者を増やしてるのかと疑いたく
なるような怪しい光景だ。
だけどその怪しい催眠術みたいな動きのおかげか
もう一度地面に降ろされた私に青年達はずいと
迫ってくることはなく手も取られずに、こちらへ
どうぞと促された。その様子に、
「成功ですね」
やっぱり催眠術なんだろうか。満足げに頷いた
シェラさんは、青年達の代わりに私の手を取って
エスコートする。
エスコートするその役目は青年達でなく自分が
したかったらしい。
なんだかなあと思いながら私の手を取って嬉しそうな
シェラさんと一緒に温室の中へと入ったのだった。
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