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第十三章 好きこそものの上手なれ
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こんな、体の前後にいくつもキスマークを残したまま
シンシアさん達に着替えを手伝われるわけには
いかない。
だからレジナスさんやリオン様に付けられた跡は
全部消す。ええ、それはもう完全に。
全部、綺麗に元通りにするからね!
そう気持ちを込めて力を使えば私の肌はすっかり綺麗
になってしまったらしく二人の落胆した顔が見えた。
「跡があるとやましい気持ちになるっていうから
消したのに、今度はがっかりするとか何です⁉︎」
「男心は複雑なんだよ・・・」
まだがっかりした顔のリオン様はそう言った。
「すまない、ユーリがあまりにもかわいかったから
つい」
レジナスさんも赤い顔のまま一応謝ってくれながら
私のドレスの形を整えた。
「かわいいって言えば何でも許すと思わないで
下さいね⁉︎それに、その言い方だとまるで私のせい
みたいじゃないですか!」
「そういう意味で言ったわけでは・・・」
さっきまでの強気はどこへやら、レジナスさんは
悪かったと下手に出て私をなだめにかかった。
リオン様はまだ私の髪の毛を整えながら、
ああ、やっぱりどこにも残ってない・・・と
残念そうにしている。
まだキスマークの跡を探していたの⁉︎
「往生際が悪いですよリオン様!」
重ねて注意をすれば、
「もう一回、一つだけ付けていい?」
そんなことを言う。良いわけないでしょ!
レジナスさんも何か物言いたげな目をしていたので
まさかリオン様と同じような事を言い出すつもりかと
ダメですよ!と先手を打てば、若干しょんぼりして
いた。やっぱり。
その時、控えめに部屋の扉がノックされて
「失礼いたします。今、すごい光が室内から溢れて
きましたが、もしかしてユーリ様が戻られたので
しょうか?それでしたらお召替えを・・・」
シンシアさんの遠慮がちな声がした。助かった!
「シンシアさん、どうぞ入って来て下さい!いつもの
大きさに戻ったので着替えたいです‼︎」
声を上げながら長椅子の二人の間から立ち上がれば
あっ、とリオン様に名残惜しそうに言われる。
「反省したのなら、夕飯にはデザートを一品追加して
下さいね!」
入ってきたシンシアさんの手を取って寝室にむかい
振り返りながら二人には声をかけた。
ものすごく恥ずかしい思いをさせられたけど、今回は
それで許してあげよう。
・・・その日の夕食のデザートには2段になって
イチゴと生クリームがたっぷり乗ったホールケーキが
テーブルに並んでいた。どうやらよほど二人は反省
したらしい。
だけどエル君に切り分けてもらったケーキを頬張る
私を見つめながらリオン様は笑顔で
「たまにはああいうのも必要だよね。楽しかった
し。」
なんてことを言った。びっくりだ。
「反省したんじゃないんですか⁉︎」
「したよ。ちょっと自分の気持ちを優先して夢中に
なり過ぎたなあって。だから次はユーリが恥ずかしい
って感じないように、ユーリが気持ち良くなるように
頑張るね。」
反省点が間違っている。その後ろに立つレジナスさん
までなるほどと頷いているけどなるほどじゃないよ!
「ぜっ、全然違う・・・!間違ってますよ
リオン様!」
え?わざとかな?私が恥ずかしくなければいいとか
気持ち良ければいいとかそんな問題じゃないよね⁉︎
だけどこの話題をこれ以上続けるのは危険な気が
する。シェラさんじゃないけどリオン様に揚げ足を
取られて碌でもない事になりそうな気がした。
そう思ってむっつりと口を閉じたら、
「・・・そんなに警戒した顔をされるとかわいくて
意地悪したくなるからやめた方がいいよ?」
にこにこと恐ろしいことをリオン様は口にする。
Sっ気のあるリオン様がする意地悪とか考えるだけで
私が恥ずかしい目にあうことは確実だ。
いつぞや強引にイチゴを口に含ませられた事や
レジナスさんにそのとばっちりでブドウを食べさせ
られた事を思い出してまた顔が赤くなる。
「怖過ぎます!もうこの話は終わりにします‼︎」
たまらず声を上げればリオン様はくすくす笑う。
「赤くなってるユーリは本当にかわいいね。今日は
少しやり過ぎたからここまでにしておこうか。」
「少しどころじゃないですからね⁉︎」
「まあまあ。僕もレジナスもユーリに充分甘えさせて
もらったし、これで心置きなくシグウェルの件を
見守れそうだよ。またお見舞いに行くんでしょう?
頑張ってね。」
そう言われて言葉に詰まる。リオン様のその言い方は
私がシグウェルさんを伴侶にすると決めたことを
改めて自覚させられた。
レジナスさんとリオン様の二人に揉みくちゃにされて
構われ倒した数日後。
私は馬車に揺られてユールヴァルト家のタウンハウス
に向かっていた。
お供はエル君一人だけだ。今度こそ一緒に行きますよ
と言うシェラさんも、心配だからまた同行すると
言ったレジナスさんも断った。
シンシアさんやマリーさんも連れて来なかった。
例の伴侶の件について話すためだ。大事な事だから
あまり他の人は同席させたくなかった。
とはいえ心細い。
「なんだかすごく緊張してきた・・・」
独り言を言えばエル君が、
「今からそんなことでどうするんですか?
あのタウンハウスに着いたらもっとプレッシャーが
かかるはずです。」
そんな事を言ってくる。
「え?それは例の、シグウェルさんの言葉責めとか
至近距離で近付かれる事とかですか?」
「違います。それは基本ですからそうじゃなくて。」
・・・エル君の中だと、あれはもうデフォルトで
やられることになってるんだ。
じゃあそれ以外に私にどんなプレッシャーがかかる
っていうんだろう。
「ドラグウェル様は早く家宝を持ち帰るためにもう
自領に帰ったって聞いていますよ?今日はセディさん
とユリウスさんだけが私をお迎えしてくれるはずです
けど・・・」
多少大袈裟に私をいつも歓迎してくれるセディさん
だけど、チラチラと私をユールヴァルト家にお迎え
したいアピールをしてくる程度だしドラグウェル様も
いないから大丈夫じゃないかな?
そう思って首を傾げれば、
「魔導士団長は黒い霧の魔力に体を開け渡す前に
皆の前でユーリ様へ愛の告白めいたことをされました
よね?」
「えっ、ああ、ハイ・・・」
あれはやっぱりエル君が聞いててもそうだったんだ。
衆人環視の中での告白だったことを改めて思い出すと
また顔が火を吹くように赤くなる。
「誰が聞いてもそう思える事を言ってユールヴァルト
の者達もそれを聞いていたのにその後の昼食会では
一切その事に触れられませんでした。」
そういえばそうだった。私の体がグノーデルさんに
操られていたことや魔石については話をしたけど。
「あれだけユーリ様を何とかしてユールヴァルト家へ
迎え入れたいと思っている人達が、あの時何も
言わなかったのを自分ではおかしいと思わなかった
んですか?」
「え、ハイ、すみません、何にも考えていません
でした・・・」
なぜか私がエル君にお説教されているみたいな流れに
なっている。
「あの時あそこでその話題を出すことによって、
ドラグウェル様本人から圧力を受けることを嫌われた
ユーリ様の足がユールヴァルト家から遠のくのを
警戒されたんですよ。だからあの時はあえて何も
言わなかったんです。むしろドラグウェル様のいない
今回こそ気を付けないと。」
「え?今回の訪問ってそんなにプレッシャーが
かかるんですか⁉︎」
「あのセディという人が何を準備してユーリ様を
歓待するつもりか知りませんけどユーリ様、押しに
弱いところがありますから。」
空気に流されたりしないですよね?そう言われて
ウッと言葉に詰まって何も言えなくなる。
でも、私だって今回はきちんと自分の気持ちを
決めて来たのだ。
「えーと・・・この間のレジナスさんやリオン様との
やり取りをエル君なら聞いていたと思うんですけど」
「はい、聞いてました。」
エル君がこくりと頷く。やっぱり。
あの二人に挟まれて恥ずかしい目に遭っていた時、
エル君は扉の前で護衛をしていたけど剣の訓練を
受けた忍者みたいな人なら扉一枚隔てた程度の会話
なんて聞こえてると思ってた。
だからあんな目に遭わされてた時は余計に恥ずかし
かったのに!
「その時もちょっと話したんですけど、伴侶に
シグウェルさんを選びますって返事を今日はしようと
思ってるんです。」
「はい。」
エル君は私の話に静かに耳を傾けている。
「だから、セディさんから少しくらいプレッシャーが
かかってもきっと平気ですよ!返事はもう決めて
きてるんですから!」
自分を励ますように拳を握ってそう言う。
まだシグウェルさんのことをすごく好きとか思う
ところまではきてないけど。
あの顔には弱い。近付かれるとドキドキするし
落ち着かない気分になって、投げかけられる言葉にも
フワフワした気持ちになる。
それってシグウェルさんを好きになってきているって
ことなのかな?まだよく分からない。
でも告白されて嫌ではなかった。むしろ心のどこかで
嬉しいと思ったから。
それに流れ込んで来たシグウェルさんのあの感情。
あんな風に私を想ってくれているならきっと大丈夫。
だから思い切って受け入れて、その気持ちに応えたい
と思ったのだ。
エル君はそんな私をじっと見つめると、
「ユーリ様が決めたのなら、それでいいと思います。
頑張ってください。」
そう言った。
「ありがとうございます!頑張りますね‼︎」
笑ってそう返した時に馬車がガタンと音を立てて
止まった。どうやら着いたらしい。
よーし、行くぞ。心を決めて馬車から降りる。
すると目に飛び込んで来たのは馬車止めからポーチ、
玄関へと続く赤い絨毯にその両脇へ飾られた鮮やかな
花々、ずらりと並んだタウンハウスの人達。
そして私にかけられる、
「「お帰りなさいませ若奥様!」」
の大合唱。・・・ナニコレ。
「・・・頑張ってくださいね。」
私の後ろからエル君が念を押すようにそう言った。
シンシアさん達に着替えを手伝われるわけには
いかない。
だからレジナスさんやリオン様に付けられた跡は
全部消す。ええ、それはもう完全に。
全部、綺麗に元通りにするからね!
そう気持ちを込めて力を使えば私の肌はすっかり綺麗
になってしまったらしく二人の落胆した顔が見えた。
「跡があるとやましい気持ちになるっていうから
消したのに、今度はがっかりするとか何です⁉︎」
「男心は複雑なんだよ・・・」
まだがっかりした顔のリオン様はそう言った。
「すまない、ユーリがあまりにもかわいかったから
つい」
レジナスさんも赤い顔のまま一応謝ってくれながら
私のドレスの形を整えた。
「かわいいって言えば何でも許すと思わないで
下さいね⁉︎それに、その言い方だとまるで私のせい
みたいじゃないですか!」
「そういう意味で言ったわけでは・・・」
さっきまでの強気はどこへやら、レジナスさんは
悪かったと下手に出て私をなだめにかかった。
リオン様はまだ私の髪の毛を整えながら、
ああ、やっぱりどこにも残ってない・・・と
残念そうにしている。
まだキスマークの跡を探していたの⁉︎
「往生際が悪いですよリオン様!」
重ねて注意をすれば、
「もう一回、一つだけ付けていい?」
そんなことを言う。良いわけないでしょ!
レジナスさんも何か物言いたげな目をしていたので
まさかリオン様と同じような事を言い出すつもりかと
ダメですよ!と先手を打てば、若干しょんぼりして
いた。やっぱり。
その時、控えめに部屋の扉がノックされて
「失礼いたします。今、すごい光が室内から溢れて
きましたが、もしかしてユーリ様が戻られたので
しょうか?それでしたらお召替えを・・・」
シンシアさんの遠慮がちな声がした。助かった!
「シンシアさん、どうぞ入って来て下さい!いつもの
大きさに戻ったので着替えたいです‼︎」
声を上げながら長椅子の二人の間から立ち上がれば
あっ、とリオン様に名残惜しそうに言われる。
「反省したのなら、夕飯にはデザートを一品追加して
下さいね!」
入ってきたシンシアさんの手を取って寝室にむかい
振り返りながら二人には声をかけた。
ものすごく恥ずかしい思いをさせられたけど、今回は
それで許してあげよう。
・・・その日の夕食のデザートには2段になって
イチゴと生クリームがたっぷり乗ったホールケーキが
テーブルに並んでいた。どうやらよほど二人は反省
したらしい。
だけどエル君に切り分けてもらったケーキを頬張る
私を見つめながらリオン様は笑顔で
「たまにはああいうのも必要だよね。楽しかった
し。」
なんてことを言った。びっくりだ。
「反省したんじゃないんですか⁉︎」
「したよ。ちょっと自分の気持ちを優先して夢中に
なり過ぎたなあって。だから次はユーリが恥ずかしい
って感じないように、ユーリが気持ち良くなるように
頑張るね。」
反省点が間違っている。その後ろに立つレジナスさん
までなるほどと頷いているけどなるほどじゃないよ!
「ぜっ、全然違う・・・!間違ってますよ
リオン様!」
え?わざとかな?私が恥ずかしくなければいいとか
気持ち良ければいいとかそんな問題じゃないよね⁉︎
だけどこの話題をこれ以上続けるのは危険な気が
する。シェラさんじゃないけどリオン様に揚げ足を
取られて碌でもない事になりそうな気がした。
そう思ってむっつりと口を閉じたら、
「・・・そんなに警戒した顔をされるとかわいくて
意地悪したくなるからやめた方がいいよ?」
にこにこと恐ろしいことをリオン様は口にする。
Sっ気のあるリオン様がする意地悪とか考えるだけで
私が恥ずかしい目にあうことは確実だ。
いつぞや強引にイチゴを口に含ませられた事や
レジナスさんにそのとばっちりでブドウを食べさせ
られた事を思い出してまた顔が赤くなる。
「怖過ぎます!もうこの話は終わりにします‼︎」
たまらず声を上げればリオン様はくすくす笑う。
「赤くなってるユーリは本当にかわいいね。今日は
少しやり過ぎたからここまでにしておこうか。」
「少しどころじゃないですからね⁉︎」
「まあまあ。僕もレジナスもユーリに充分甘えさせて
もらったし、これで心置きなくシグウェルの件を
見守れそうだよ。またお見舞いに行くんでしょう?
頑張ってね。」
そう言われて言葉に詰まる。リオン様のその言い方は
私がシグウェルさんを伴侶にすると決めたことを
改めて自覚させられた。
レジナスさんとリオン様の二人に揉みくちゃにされて
構われ倒した数日後。
私は馬車に揺られてユールヴァルト家のタウンハウス
に向かっていた。
お供はエル君一人だけだ。今度こそ一緒に行きますよ
と言うシェラさんも、心配だからまた同行すると
言ったレジナスさんも断った。
シンシアさんやマリーさんも連れて来なかった。
例の伴侶の件について話すためだ。大事な事だから
あまり他の人は同席させたくなかった。
とはいえ心細い。
「なんだかすごく緊張してきた・・・」
独り言を言えばエル君が、
「今からそんなことでどうするんですか?
あのタウンハウスに着いたらもっとプレッシャーが
かかるはずです。」
そんな事を言ってくる。
「え?それは例の、シグウェルさんの言葉責めとか
至近距離で近付かれる事とかですか?」
「違います。それは基本ですからそうじゃなくて。」
・・・エル君の中だと、あれはもうデフォルトで
やられることになってるんだ。
じゃあそれ以外に私にどんなプレッシャーがかかる
っていうんだろう。
「ドラグウェル様は早く家宝を持ち帰るためにもう
自領に帰ったって聞いていますよ?今日はセディさん
とユリウスさんだけが私をお迎えしてくれるはずです
けど・・・」
多少大袈裟に私をいつも歓迎してくれるセディさん
だけど、チラチラと私をユールヴァルト家にお迎え
したいアピールをしてくる程度だしドラグウェル様も
いないから大丈夫じゃないかな?
そう思って首を傾げれば、
「魔導士団長は黒い霧の魔力に体を開け渡す前に
皆の前でユーリ様へ愛の告白めいたことをされました
よね?」
「えっ、ああ、ハイ・・・」
あれはやっぱりエル君が聞いててもそうだったんだ。
衆人環視の中での告白だったことを改めて思い出すと
また顔が火を吹くように赤くなる。
「誰が聞いてもそう思える事を言ってユールヴァルト
の者達もそれを聞いていたのにその後の昼食会では
一切その事に触れられませんでした。」
そういえばそうだった。私の体がグノーデルさんに
操られていたことや魔石については話をしたけど。
「あれだけユーリ様を何とかしてユールヴァルト家へ
迎え入れたいと思っている人達が、あの時何も
言わなかったのを自分ではおかしいと思わなかった
んですか?」
「え、ハイ、すみません、何にも考えていません
でした・・・」
なぜか私がエル君にお説教されているみたいな流れに
なっている。
「あの時あそこでその話題を出すことによって、
ドラグウェル様本人から圧力を受けることを嫌われた
ユーリ様の足がユールヴァルト家から遠のくのを
警戒されたんですよ。だからあの時はあえて何も
言わなかったんです。むしろドラグウェル様のいない
今回こそ気を付けないと。」
「え?今回の訪問ってそんなにプレッシャーが
かかるんですか⁉︎」
「あのセディという人が何を準備してユーリ様を
歓待するつもりか知りませんけどユーリ様、押しに
弱いところがありますから。」
空気に流されたりしないですよね?そう言われて
ウッと言葉に詰まって何も言えなくなる。
でも、私だって今回はきちんと自分の気持ちを
決めて来たのだ。
「えーと・・・この間のレジナスさんやリオン様との
やり取りをエル君なら聞いていたと思うんですけど」
「はい、聞いてました。」
エル君がこくりと頷く。やっぱり。
あの二人に挟まれて恥ずかしい目に遭っていた時、
エル君は扉の前で護衛をしていたけど剣の訓練を
受けた忍者みたいな人なら扉一枚隔てた程度の会話
なんて聞こえてると思ってた。
だからあんな目に遭わされてた時は余計に恥ずかし
かったのに!
「その時もちょっと話したんですけど、伴侶に
シグウェルさんを選びますって返事を今日はしようと
思ってるんです。」
「はい。」
エル君は私の話に静かに耳を傾けている。
「だから、セディさんから少しくらいプレッシャーが
かかってもきっと平気ですよ!返事はもう決めて
きてるんですから!」
自分を励ますように拳を握ってそう言う。
まだシグウェルさんのことをすごく好きとか思う
ところまではきてないけど。
あの顔には弱い。近付かれるとドキドキするし
落ち着かない気分になって、投げかけられる言葉にも
フワフワした気持ちになる。
それってシグウェルさんを好きになってきているって
ことなのかな?まだよく分からない。
でも告白されて嫌ではなかった。むしろ心のどこかで
嬉しいと思ったから。
それに流れ込んで来たシグウェルさんのあの感情。
あんな風に私を想ってくれているならきっと大丈夫。
だから思い切って受け入れて、その気持ちに応えたい
と思ったのだ。
エル君はそんな私をじっと見つめると、
「ユーリ様が決めたのなら、それでいいと思います。
頑張ってください。」
そう言った。
「ありがとうございます!頑張りますね‼︎」
笑ってそう返した時に馬車がガタンと音を立てて
止まった。どうやら着いたらしい。
よーし、行くぞ。心を決めて馬車から降りる。
すると目に飛び込んで来たのは馬車止めからポーチ、
玄関へと続く赤い絨毯にその両脇へ飾られた鮮やかな
花々、ずらりと並んだタウンハウスの人達。
そして私にかけられる、
「「お帰りなさいませ若奥様!」」
の大合唱。・・・ナニコレ。
「・・・頑張ってくださいね。」
私の後ろからエル君が念を押すようにそう言った。
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