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第十三章 好きこそものの上手なれ
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気が遠くなって体が熱くなったのは一瞬だった。
瞼の裏に広がる眩しい光で意識を取り戻して目を
瞬けば、地面について体を支えている私の両腕は
細長く成長している。
ということはやっぱり大きくなったんだ。
にょきっと伸びた手足は着ていた服からはみ出して
いてちょっと寒い。
「ユーリ様・・・なんでおっきくなったんすか⁉︎」
私にも分からない。私はただ、自分の中に吸収された
あのニセモノの魔石の中にあるらしいグノーデルさん
の助けを借りられないかと思っただけだ。
とりあえず立って、浄化出来ないか試そう。
大丈夫ですか、と言って手を差し出してくれた
ユリウスさんにありがとうございますと言って
立とうとした時だった。
私の手が勝手にパシン!とユリウスさんの手を叩いて
差し出された手を拒み、
「なんと派手なケンカだ、面白い!」
口が勝手に思ってもみないことを話した。
そしてさっきみたいに勝手にははっ、と笑う。
というか、声が・・・私の声に、グノーデルさんの
声が被って聞こえた。二重音声かハモリみたいな
感じだ。
ユリウスさんもびっくりしている。立ち上がった私は
ぱんぱんほこりを叩くとちょっと小首を傾げた。
体が言うことを聞かずに、私の意思とまったく違った
動きをしている。
「・・・動きにくいな。」
また私の口が勝手に喋った。と思うとドレスの裾に
手を掛けてびりっと破りスリットを入れ、
「それに苦しい!」
胸元も破って胸の谷間が露出した。いやいや、
ちょっと待って⁉︎
大きくなったせいで膝丈かそれより少し上くらいに
なっていたドレスに更にスリットを入れられたら
太ももまで見えてしまう。
間近でそれを見ていたユリウスさんの顔が茹でダコ
みたいにみるみる赤くなって来たのが分かった。
違うんです、私じゃなくて体が勝手に・・・!と
言いたいけど声が出ない。
かわりに、
「おれも混ぜろ!」
そう言ってシグウェルさんを止めようと格闘していた
レジナスさんの方へ走り出した。
なんだか楽しい気分になってははっ、とまた笑いが
こぼれた。
グノーデルさんの力の助けを借りるというか、これは
完全にグノーデルさんに操られているのでは⁉︎
声や話している事はグノーデルさんっぽくて、
よくよく意識を私の体の中に向ければそれらしい
気配は感じるのにグノーデルさんとは全く意思疎通
が出来ない。
止まれ!と思っても体は自由にならず走った勢い
そのままにレジナスさん達の間に割り込むと、
シグウェルさんの体めがけて回し蹴りをした。
私の黒髪がなびいたのがくるんと回転した拍子に
目の端に見える。
回し蹴りなんて人生で初めてだ。
そして非力なはずの私の蹴りが、それを両腕で防いだ
シグウェルさんを温室の端まで吹き飛ばした。
吹き飛ばされたシグウェルさん以外の全員がその
光景に呆気に取られている。もちろん私もだ。
「おっと」
回し蹴りの回転の勢いが良過ぎたのか私が軽すぎる
のか、蹴りの後に両足で踏ん張って立てずに両手を
地面について着地すると、まるで獣のようにその場に
四つん這いになってそれから立ち上がった。
・・・シグウェルさんを蹴った私の後ろには
レジナスさんがいたんだけど、ユリウスさんから
借りた上着を羽織っていたから四つん這いになった
私の下着が見えていないことを祈りたい。
下着が見えたかも知れない恥ずかしさに泣きそうな
私の心とは真逆に、笑ってレジナスさんに振り向いた
私の体は
「ここが建物の中でなければもっと吹っ飛ばせたかも
知れなかったな!」
と言って膝と手に付いた土を払っている。
その様子にレジナスさんはいつもの私と違うと
分かり戸惑いつつも声を掛けた。
「ユーリ、なぜ大きく・・・?それに瞳の色が
いつもと違う、金色だ。大丈夫なのか?」
瞳が金色?それはダーヴィゼルドでグノーデルさんの
力を使った時と同じだ。
ということはやっぱり今の私にはグノーデルさんの
力が宿っているのだろう。全然コントロールが
出来ないけど。
レジナスさんの言葉に私の体はこてんと首を傾げた。
「ユーリ?この体の主か?おれは魔石の浄化のために
この体を借りただけの、お前達が神と呼び祀る者の
切り離された力の一部に過ぎない。非力な人間だけ
では浄化が出来ぬと泣きつき、図々しくも力を貸せと
言ったからな。用が済めばこの娘にすぐにでも体は
返してやる。」
その言葉にドラグウェル様がグノーデル神様、と
呟くとそれが聞こえたのか私の体はそちらを向いて
そうだとでも言うようににっこり微笑んでみせた。
「グノーデル神様の力の一部なら、なぜそんな
状態に?ユーリはグノーデル神様の加護も持つのに
ユーリの意志をまるで感じられない、操られたような
今の状態は失礼ながらおかしいのでは・・・。」
レジナスさんが疑問を口にする。
「おれは元の力のほんの一部で、浄化を手伝うよう
命じられた存在に過ぎない。その時その場にいる最も
魔力が強い者に魔石の事を伝え、その浄化に手を貸す
よう言われただけでこの体の持ち主が誰であろうと
元の力のその命令を遂行するだけだ。」
キリウさんにお願いされたグノーデルさんが、魔石の
浄化のために残した自分の力の一部はそれを実行する
ためだけの存在で大元のグノーデルさん本人と意識は
繋がっていなさそうな口振りだ。
というかこの状況は、確かに浄化を手伝ってくれてる
には違いないけどなんていうか思ったのと違う。
多分キリウさんもこういう浄化の手伝い方をして
くれるとは思っていなかったはずだ。
「お、また動き出したな。」
すいと私の顔がシグウェルさんが吹っ飛ばされた
壁際を見た。
立ち昇っていた土煙がおさまった向こうでは
シグウェルさんがゆっくりと立ったところだ。
「竜の魔石が集めた魔力は完全にあの者の中に
吸収されてしまっているな。雷を落として、あの
人間ごと消して浄化をしても良いか?」
私の口が不穏なことを提案した。レジナスさんが
それはさすがに、とその方法は取らないでくれと
お願いする。
良かった。今の私の意思や声は、このグノーデルさんの
力の一部だっていうものに全然届かないから困る。
「ダメなのか?仕方がない、引き剥がせるかやって
みるか。」
そう言った私の体はシグウェルさんの方へ駆け出す。
何をするかと思えば拳を握り、思い切りそれで
シグウェルさんを殴り付けようとした。
だけどシグウェルさんはそれを受け流して反撃して
くる。縦長に開いた竜の瞳孔のような瞳で私を見つめ
少し顔を歪めたその表情は、わずかに苛立っている
ようだった。
「・・・あははっ、これは面白い。魔石の集めた
魔力に体を明け渡しながらもそれに魔法を使わせない
よう体の持ち主が魔力を操作しておる、器用な者だ」
そう言いながら隙を見て私の体が応酬していた
シグウェルさんを、だんと地面に叩き伏せた。
シグウェルさんの体をうつ伏せにしてその背中を
片足で踏んづけて、両手も後ろ手に掴んでひと纏めに
して余裕で地面に縫い止めている馬鹿力は明らかに
いつもの私と全然違う。
そのままどれ、とまじまじとシグウェルさんを
観察していた私の体はふむ、と呟いた。
「完全に体全体に魔力が巡ってしまっているな。
だが逆に言えばこの体に封じ込められているとも
言えるか。全く、この人間は思い切ったことを
したものだ。どれ、このまま浄化してやろう。」
そう言ってシグウェルさんを蹴って易々と仰向けに
転がすとその上に馬乗りになってその両手首を
がっしり掴んで地面に縫い止めると私は座り込んだ。
ああっ、ちょっとまさか。
何となくそれだけで私の体が次に何をしようと
しているのか想像出来た。
「この体の持ち主が娘で良かった。もし男だったら
周りから見てあまり気持ちの良いものにならなかった
だろうな。」
そう言いながら爛々と輝く竜のような瞳で私を
見るシグウェルさんにぐっと顔を寄せた。
体が密着して、まるでシグウェルさんの上に倒れ込む
ように覆い被さるとそのまま私の体は有無を言わさず
シグウェルさんに噛み付くように口付ける。
やっぱり!やると思った。
衆人環視・・・しかもシグウェルさんのお父様や
レジナスさんも見ている中で露出魔みたいな格好を
して馬乗りになった挙げ句のその行為はいくら私の
意思じゃないと言っても恥ずかし過ぎる。
私は心の中で声にならない悲鳴を上げた。
瞼の裏に広がる眩しい光で意識を取り戻して目を
瞬けば、地面について体を支えている私の両腕は
細長く成長している。
ということはやっぱり大きくなったんだ。
にょきっと伸びた手足は着ていた服からはみ出して
いてちょっと寒い。
「ユーリ様・・・なんでおっきくなったんすか⁉︎」
私にも分からない。私はただ、自分の中に吸収された
あのニセモノの魔石の中にあるらしいグノーデルさん
の助けを借りられないかと思っただけだ。
とりあえず立って、浄化出来ないか試そう。
大丈夫ですか、と言って手を差し出してくれた
ユリウスさんにありがとうございますと言って
立とうとした時だった。
私の手が勝手にパシン!とユリウスさんの手を叩いて
差し出された手を拒み、
「なんと派手なケンカだ、面白い!」
口が勝手に思ってもみないことを話した。
そしてさっきみたいに勝手にははっ、と笑う。
というか、声が・・・私の声に、グノーデルさんの
声が被って聞こえた。二重音声かハモリみたいな
感じだ。
ユリウスさんもびっくりしている。立ち上がった私は
ぱんぱんほこりを叩くとちょっと小首を傾げた。
体が言うことを聞かずに、私の意思とまったく違った
動きをしている。
「・・・動きにくいな。」
また私の口が勝手に喋った。と思うとドレスの裾に
手を掛けてびりっと破りスリットを入れ、
「それに苦しい!」
胸元も破って胸の谷間が露出した。いやいや、
ちょっと待って⁉︎
大きくなったせいで膝丈かそれより少し上くらいに
なっていたドレスに更にスリットを入れられたら
太ももまで見えてしまう。
間近でそれを見ていたユリウスさんの顔が茹でダコ
みたいにみるみる赤くなって来たのが分かった。
違うんです、私じゃなくて体が勝手に・・・!と
言いたいけど声が出ない。
かわりに、
「おれも混ぜろ!」
そう言ってシグウェルさんを止めようと格闘していた
レジナスさんの方へ走り出した。
なんだか楽しい気分になってははっ、とまた笑いが
こぼれた。
グノーデルさんの力の助けを借りるというか、これは
完全にグノーデルさんに操られているのでは⁉︎
声や話している事はグノーデルさんっぽくて、
よくよく意識を私の体の中に向ければそれらしい
気配は感じるのにグノーデルさんとは全く意思疎通
が出来ない。
止まれ!と思っても体は自由にならず走った勢い
そのままにレジナスさん達の間に割り込むと、
シグウェルさんの体めがけて回し蹴りをした。
私の黒髪がなびいたのがくるんと回転した拍子に
目の端に見える。
回し蹴りなんて人生で初めてだ。
そして非力なはずの私の蹴りが、それを両腕で防いだ
シグウェルさんを温室の端まで吹き飛ばした。
吹き飛ばされたシグウェルさん以外の全員がその
光景に呆気に取られている。もちろん私もだ。
「おっと」
回し蹴りの回転の勢いが良過ぎたのか私が軽すぎる
のか、蹴りの後に両足で踏ん張って立てずに両手を
地面について着地すると、まるで獣のようにその場に
四つん這いになってそれから立ち上がった。
・・・シグウェルさんを蹴った私の後ろには
レジナスさんがいたんだけど、ユリウスさんから
借りた上着を羽織っていたから四つん這いになった
私の下着が見えていないことを祈りたい。
下着が見えたかも知れない恥ずかしさに泣きそうな
私の心とは真逆に、笑ってレジナスさんに振り向いた
私の体は
「ここが建物の中でなければもっと吹っ飛ばせたかも
知れなかったな!」
と言って膝と手に付いた土を払っている。
その様子にレジナスさんはいつもの私と違うと
分かり戸惑いつつも声を掛けた。
「ユーリ、なぜ大きく・・・?それに瞳の色が
いつもと違う、金色だ。大丈夫なのか?」
瞳が金色?それはダーヴィゼルドでグノーデルさんの
力を使った時と同じだ。
ということはやっぱり今の私にはグノーデルさんの
力が宿っているのだろう。全然コントロールが
出来ないけど。
レジナスさんの言葉に私の体はこてんと首を傾げた。
「ユーリ?この体の主か?おれは魔石の浄化のために
この体を借りただけの、お前達が神と呼び祀る者の
切り離された力の一部に過ぎない。非力な人間だけ
では浄化が出来ぬと泣きつき、図々しくも力を貸せと
言ったからな。用が済めばこの娘にすぐにでも体は
返してやる。」
その言葉にドラグウェル様がグノーデル神様、と
呟くとそれが聞こえたのか私の体はそちらを向いて
そうだとでも言うようににっこり微笑んでみせた。
「グノーデル神様の力の一部なら、なぜそんな
状態に?ユーリはグノーデル神様の加護も持つのに
ユーリの意志をまるで感じられない、操られたような
今の状態は失礼ながらおかしいのでは・・・。」
レジナスさんが疑問を口にする。
「おれは元の力のほんの一部で、浄化を手伝うよう
命じられた存在に過ぎない。その時その場にいる最も
魔力が強い者に魔石の事を伝え、その浄化に手を貸す
よう言われただけでこの体の持ち主が誰であろうと
元の力のその命令を遂行するだけだ。」
キリウさんにお願いされたグノーデルさんが、魔石の
浄化のために残した自分の力の一部はそれを実行する
ためだけの存在で大元のグノーデルさん本人と意識は
繋がっていなさそうな口振りだ。
というかこの状況は、確かに浄化を手伝ってくれてる
には違いないけどなんていうか思ったのと違う。
多分キリウさんもこういう浄化の手伝い方をして
くれるとは思っていなかったはずだ。
「お、また動き出したな。」
すいと私の顔がシグウェルさんが吹っ飛ばされた
壁際を見た。
立ち昇っていた土煙がおさまった向こうでは
シグウェルさんがゆっくりと立ったところだ。
「竜の魔石が集めた魔力は完全にあの者の中に
吸収されてしまっているな。雷を落として、あの
人間ごと消して浄化をしても良いか?」
私の口が不穏なことを提案した。レジナスさんが
それはさすがに、とその方法は取らないでくれと
お願いする。
良かった。今の私の意思や声は、このグノーデルさんの
力の一部だっていうものに全然届かないから困る。
「ダメなのか?仕方がない、引き剥がせるかやって
みるか。」
そう言った私の体はシグウェルさんの方へ駆け出す。
何をするかと思えば拳を握り、思い切りそれで
シグウェルさんを殴り付けようとした。
だけどシグウェルさんはそれを受け流して反撃して
くる。縦長に開いた竜の瞳孔のような瞳で私を見つめ
少し顔を歪めたその表情は、わずかに苛立っている
ようだった。
「・・・あははっ、これは面白い。魔石の集めた
魔力に体を明け渡しながらもそれに魔法を使わせない
よう体の持ち主が魔力を操作しておる、器用な者だ」
そう言いながら隙を見て私の体が応酬していた
シグウェルさんを、だんと地面に叩き伏せた。
シグウェルさんの体をうつ伏せにしてその背中を
片足で踏んづけて、両手も後ろ手に掴んでひと纏めに
して余裕で地面に縫い止めている馬鹿力は明らかに
いつもの私と全然違う。
そのままどれ、とまじまじとシグウェルさんを
観察していた私の体はふむ、と呟いた。
「完全に体全体に魔力が巡ってしまっているな。
だが逆に言えばこの体に封じ込められているとも
言えるか。全く、この人間は思い切ったことを
したものだ。どれ、このまま浄化してやろう。」
そう言ってシグウェルさんを蹴って易々と仰向けに
転がすとその上に馬乗りになってその両手首を
がっしり掴んで地面に縫い止めると私は座り込んだ。
ああっ、ちょっとまさか。
何となくそれだけで私の体が次に何をしようと
しているのか想像出来た。
「この体の持ち主が娘で良かった。もし男だったら
周りから見てあまり気持ちの良いものにならなかった
だろうな。」
そう言いながら爛々と輝く竜のような瞳で私を
見るシグウェルさんにぐっと顔を寄せた。
体が密着して、まるでシグウェルさんの上に倒れ込む
ように覆い被さるとそのまま私の体は有無を言わさず
シグウェルさんに噛み付くように口付ける。
やっぱり!やると思った。
衆人環視・・・しかもシグウェルさんのお父様や
レジナスさんも見ている中で露出魔みたいな格好を
して馬乗りになった挙げ句のその行為はいくら私の
意思じゃないと言っても恥ずかし過ぎる。
私は心の中で声にならない悲鳴を上げた。
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