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第十一章 働かざる者食うべからず
12
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せっかく私の後を追いかけてまでチップを渡しに
来てくれたニックさんとの会話を遮ったり、私の姿を
隠してしまったりとどうしてそんなことをするのか。
「何なんですか、みんなして。まだニックさんが
話してたのに失礼じゃないですか⁉︎」
できればまた次回タラコスパゲティを食べる算段を
付けようとしたのに。
ぷりぷり怒った私にもシェラさんはどこ吹く風だ。
「その無邪気さもリリ様の愛らしさを彩る魅力の
一つですが、あのようにむやみやたらと男に微笑み
かけてはいけませんよ。何かあったらどうします?」
「ええ?労働の対価をもらって嬉しくなっただけ
なのに笑っちゃいけないんですか⁉︎」
「そんなに必死に働かなくても、金銭が必要であれば
いくらでもオレが貢ぎますから。」
え、やだ。シェラさんが言うと癒し子原理主義者の
献金にしか思えない。一気にお金の出どころが
怪しげになる。
「貢がなくていいです!働いて得たお金だから
価値があるんですよ?あっ、そうだこのお金で
リオン様に何か買って帰ります!きっと喜んで
くれるはず‼︎」
そうだ、それならリオン様も私が働いたことを
怒らないんじゃないかな?
さて何を買おう。思案しているとレジナスさんに
話しかけられた。
「リリ、このまま俺のなじみの鍛冶屋に寄っても
いいか?さっきマルクの店で話していたブローチを
作ってくれそうなところだ。」
そうだ、それも注文しなきゃいけなかった。
「はい、お願いします!」
そこに行きながら道々リオン様に渡す賄賂・・・
じゃなくてプレゼントを考えよう、とレジナスさんと
また腕を組めばそれをシェラさんに見咎められた。
「リリ様、なぜレジナスだけにそんな事を?
オレにもそうしてくれないのですか?」
なぜと言われても・・・。デートっぽいお出かけ
だからとは何となく恥ずかしくて言えない。
すいとシェラさんも自分の腕を出してきた。
自分とも腕を組んで欲しいと言うことらしい。
え?両側の二人にそれぞれ腕を取られながら
歩くって結構難易度高いよ?
シェラさんに抗議されて、レジナスさんもなんだか
気まずそうにしてしまった。
仕方ない。
「じゃあ手を繋ぎます!それならいいですか?」
その言葉にシェラさんはすごく嬉しそうな顔をした。
「リリ様と手を繋げるのは光栄です。その白く
美しいお手を取り、ぬくもりを感じられるのは
癒し以外の何物でもありません。」
そう言われて手を取られる。それに合わせて、
レジナスさんとも組んでいた腕を手繋ぎに変えた。
そうして歩けば、あれ・・・?
背の高い二人に両側を挟まれて手を繋ぐその姿は
連行される宇宙人か、脱走しようとする子供を
逃がさないように確保しているみたいだ。
さっきまでデートっぽかった街歩きが一気に
その雰囲気を失ってしまった・・・。
「ところでシェラさんは私に付き合って鍛冶屋さんへ
行って大丈夫なんですか?ほかに用事やお仕事は」
「リリ様に付き添うこと以上に大事なことなど
ありません。ましてやせっかく繋いだ手をオレ自ら
離すなどあり得ませんよ。」
まだ話している途中なのにキッパリと言い切られて
しまった。さらに私を見て笑みを深める。
「リリ様の愛らしいお口に食事を運んで食べて
いただけた上に、あのかわいらしい侍女服のような
お召し物で駆けまわる姿も間近で拝見できるなど
戻って早々、今日はなんて良い日なんでしょう。」
その言葉にレジナスさんの歩みが止まった。
私と繋いだその手にぐっと力が入った気もする。
「・・・お前、自分から食堂に行くと言い出したのは
それが目的だったな⁉︎」
「まさか。市民街では知られた存在のあなたが
あそこへ一人で行って、あの可愛らしいお姿の
ユーリ様へ話しかけてご覧なさい。注目を集めて
しょうがないですよ。ただでさえ今日のあなたは
割と目立ってしまっているのには気付いている
んでしょう?」
え?そうなの?どうしてまた。
レジナスさんを見上げればシェラさんのその言葉に
うぐ、と声を詰まらせていた。
「そ・・・それは分かっている。だが好奇の目で
はあったが悪意はないようだったし、それは俺に
向けられていた視線であってユーリ・・・リリは
そこまで目立ってはいなかったし・・・」
珍しくしどろもどろになっている。
「私達、そんなに目立ってました?」
「魔力なしで庶民上がりの騎士が王子の護衛にまで
なっているのは大変珍しいので、元よりレジナスは
市民街でも有名なのですよ。今日はその強面の男が
可愛らしい女性を連れて街へ降りてきているのです、
目立たないわけがありません。」
シェラさんの説明に驚く。レジナスさんってそんなに
有名な人だったんだ。
あれ?それじゃいくら私が姿を変えていても、腕まで
組んで街を歩いていたらもしかして悪目立ちして
いた・・・?
ちょっと申し訳なく思ったら、そんな私の顔色に
気付いたレジナスさんが慌てた。
「気にしなくていい!街の奴らは移り気だ、たとえ今
何か言っていたとしても、そんなのはすぐに忘れて
しまうだろう。それよりもリリが街歩きを楽しむ
ことの方が大事だからな!」
「私と一緒に歩いていてレジナスさんの評判を
落としてしまったら申し訳ないです。」
そんな私の言葉にシェラさんがくすりと笑った。
「そんな訳がないでしょう。もし評判が落ちると
言うならリリ様のせいではありません。この強面が
美しい少女を連れ歩いているのです、レジナスの
方が女性をたぶらかしたと思われますよ。」
「お前・・・」
「おや、ちょうど着きましたよ。オレも自分の
魔道具を預けたかったので中までご一緒します。」
呆れたようなレジナスさんにジロリと睨まれた
シェラさんが、飄々として狭い通りに並ぶ扉の
一つを躊躇なく開けた。
看板は出ていなくて、一見するとお店というよりも
普通の住宅みたいな店構えだ。鍛冶屋なのに
なんだか隠れ家っぽいお店なんだね?
何も知らなければ勝手に他人の家の扉をノックも
なしに開けたような感じでビックリする。
「失礼、店主はいますか?」
扉はギィと軋んだ音を立てて開いたので、それが
そのままお客さんの来訪を告げる鈴代わりみたい
だなと思った。
中に入って見回すと、鍛冶屋なはずなのに色んな
武器がずらりと並んでいる。
あれ?鍛冶屋じゃなくて武器屋?不思議に思って
いたら、明るい大声が耳に飛び込んで来た。
「はいよ、今日はオレだけだ・・・ってシェラさん!
おや、レジナスの旦那まで‼︎二人がご一緒とは
珍しいこともあるもんだ‼︎」
「たまたまですよ。オレも辺境でしばらく働いたので
魔道具を調整してもらいに来ました。それから
短剣やその他の武器もいくつか。」
シェラさんがカウンターの上に鞭の魔道具や数本の
短剣、見た事もない不思議な形の刃物らしいものなど
色々出してきた。
ジャラジャラ、ガチャンと賑やかな音がしてたけど
あんなに色々な武器をたくさん、一体どこに隠して
いたんだろう。
「いやぁシェラさん、相変わらず武器の使い込み方が
えげつないですなあ。これなんかもう、刃こぼれ
どころか芯が曲がっちまってる。」
うん、シェラさんて躊躇なく人の首スパンとか
するから武器の消耗が早そう。
一体どんな感じなのかな?と興味をひかれて
カウンターの上のそれらを見てみたかったけど、
ここのカウンターはマルクさんのお店よりも高さが
あって私が背伸びをしても全然見えない。
見上げてみても、シェラさんと話しているカウンター
の向こう側に立つ店主さんの顔すら見えないのだ。
そしたら、そんな私に気付いたレジナスさんが
「なんだリリ、シェラの武器が見たいのか?
見てもそんなに面白くもないものだぞ。」
そう言いながらひょいと縦抱っこでカウンターの
上が見えるように抱き上げてくれた。
「えっ、リリ?・・・ってリリちゃんか⁉︎」
レジナスさんの言葉に驚いた店主さんが縦抱っこ
された私に顔を向けた。
「イーゴリさん‼︎」
シェラさんの短剣を手に呆気に取られたように
こちらを見ていたのはさっきの食堂の常連さんの
イーゴリさんだった。
そういえばあの店の近所で鍛冶屋兼武器屋を
やっているって言ってたっけ。
「おや、リリ様とお知り合いで?」
不思議そうに首を傾げたシェラさんに、
「いや、最近よく通ってる食堂があってそこで今日
初めて会ったんですよ。よく働く子だなぁと感心して
見てたらオレの作った髪飾りを付けてたもんで、
気になって声をかけたんですが・・・」
そう話しながらもイーゴリさんの視線は私と
レジナスさんの顔を交互に見てはたまに縦抱っこ
しているレジナスさんのその手や掴まっている私の
様子も観察しているみたいだった。
ていうか、今なんて言った⁉︎オレの作った髪飾り?
この髪飾りはレジナスさんがくれたものだけど、
作りからして特注品の一点物っぽいとは思っていた。
それを作ったのがイーゴリさん?
じゃあ食堂で会った時にイーゴリさんはとっくに
私のこの髪飾りがレジナスさんから贈られたもの
だって分かってたはず。
それなのに、気に入ってるのかとか、これを私に
くれた人は恋人なのか、とか聞いてきたんだ。
しかも私はそれに対してそうです、って答えた。
ダメだ。恥ずかしすぎて死にそう。
まさかレジナスさんの知り合いだったなんて。
顔が熱を持ってどんどん赤くなってきたのが
自分でも分かった。
「リリ?」
そんな私にレジナスさんは意味が分からず
どうした、と声を掛けてきたけど言えるわけがない。
恋人からもらったこの髪飾りを気に入ってると
笑顔で話した相手がまさかレジナスさんの知り合い
だったなんて。
「ゆ、誘導尋問・・・っ‼︎」
くうっ、と悔しげにそう言えば、イーゴリさんは
私のその言葉に満面の笑みを見せた。
その笑みの中に面白そうな、からかうような表情が
覗いていたので、お願いだからレジナスさんには
余計なことは言わないで欲しいと私は必死になって
アイコンタクトをしたのだった。
来てくれたニックさんとの会話を遮ったり、私の姿を
隠してしまったりとどうしてそんなことをするのか。
「何なんですか、みんなして。まだニックさんが
話してたのに失礼じゃないですか⁉︎」
できればまた次回タラコスパゲティを食べる算段を
付けようとしたのに。
ぷりぷり怒った私にもシェラさんはどこ吹く風だ。
「その無邪気さもリリ様の愛らしさを彩る魅力の
一つですが、あのようにむやみやたらと男に微笑み
かけてはいけませんよ。何かあったらどうします?」
「ええ?労働の対価をもらって嬉しくなっただけ
なのに笑っちゃいけないんですか⁉︎」
「そんなに必死に働かなくても、金銭が必要であれば
いくらでもオレが貢ぎますから。」
え、やだ。シェラさんが言うと癒し子原理主義者の
献金にしか思えない。一気にお金の出どころが
怪しげになる。
「貢がなくていいです!働いて得たお金だから
価値があるんですよ?あっ、そうだこのお金で
リオン様に何か買って帰ります!きっと喜んで
くれるはず‼︎」
そうだ、それならリオン様も私が働いたことを
怒らないんじゃないかな?
さて何を買おう。思案しているとレジナスさんに
話しかけられた。
「リリ、このまま俺のなじみの鍛冶屋に寄っても
いいか?さっきマルクの店で話していたブローチを
作ってくれそうなところだ。」
そうだ、それも注文しなきゃいけなかった。
「はい、お願いします!」
そこに行きながら道々リオン様に渡す賄賂・・・
じゃなくてプレゼントを考えよう、とレジナスさんと
また腕を組めばそれをシェラさんに見咎められた。
「リリ様、なぜレジナスだけにそんな事を?
オレにもそうしてくれないのですか?」
なぜと言われても・・・。デートっぽいお出かけ
だからとは何となく恥ずかしくて言えない。
すいとシェラさんも自分の腕を出してきた。
自分とも腕を組んで欲しいと言うことらしい。
え?両側の二人にそれぞれ腕を取られながら
歩くって結構難易度高いよ?
シェラさんに抗議されて、レジナスさんもなんだか
気まずそうにしてしまった。
仕方ない。
「じゃあ手を繋ぎます!それならいいですか?」
その言葉にシェラさんはすごく嬉しそうな顔をした。
「リリ様と手を繋げるのは光栄です。その白く
美しいお手を取り、ぬくもりを感じられるのは
癒し以外の何物でもありません。」
そう言われて手を取られる。それに合わせて、
レジナスさんとも組んでいた腕を手繋ぎに変えた。
そうして歩けば、あれ・・・?
背の高い二人に両側を挟まれて手を繋ぐその姿は
連行される宇宙人か、脱走しようとする子供を
逃がさないように確保しているみたいだ。
さっきまでデートっぽかった街歩きが一気に
その雰囲気を失ってしまった・・・。
「ところでシェラさんは私に付き合って鍛冶屋さんへ
行って大丈夫なんですか?ほかに用事やお仕事は」
「リリ様に付き添うこと以上に大事なことなど
ありません。ましてやせっかく繋いだ手をオレ自ら
離すなどあり得ませんよ。」
まだ話している途中なのにキッパリと言い切られて
しまった。さらに私を見て笑みを深める。
「リリ様の愛らしいお口に食事を運んで食べて
いただけた上に、あのかわいらしい侍女服のような
お召し物で駆けまわる姿も間近で拝見できるなど
戻って早々、今日はなんて良い日なんでしょう。」
その言葉にレジナスさんの歩みが止まった。
私と繋いだその手にぐっと力が入った気もする。
「・・・お前、自分から食堂に行くと言い出したのは
それが目的だったな⁉︎」
「まさか。市民街では知られた存在のあなたが
あそこへ一人で行って、あの可愛らしいお姿の
ユーリ様へ話しかけてご覧なさい。注目を集めて
しょうがないですよ。ただでさえ今日のあなたは
割と目立ってしまっているのには気付いている
んでしょう?」
え?そうなの?どうしてまた。
レジナスさんを見上げればシェラさんのその言葉に
うぐ、と声を詰まらせていた。
「そ・・・それは分かっている。だが好奇の目で
はあったが悪意はないようだったし、それは俺に
向けられていた視線であってユーリ・・・リリは
そこまで目立ってはいなかったし・・・」
珍しくしどろもどろになっている。
「私達、そんなに目立ってました?」
「魔力なしで庶民上がりの騎士が王子の護衛にまで
なっているのは大変珍しいので、元よりレジナスは
市民街でも有名なのですよ。今日はその強面の男が
可愛らしい女性を連れて街へ降りてきているのです、
目立たないわけがありません。」
シェラさんの説明に驚く。レジナスさんってそんなに
有名な人だったんだ。
あれ?それじゃいくら私が姿を変えていても、腕まで
組んで街を歩いていたらもしかして悪目立ちして
いた・・・?
ちょっと申し訳なく思ったら、そんな私の顔色に
気付いたレジナスさんが慌てた。
「気にしなくていい!街の奴らは移り気だ、たとえ今
何か言っていたとしても、そんなのはすぐに忘れて
しまうだろう。それよりもリリが街歩きを楽しむ
ことの方が大事だからな!」
「私と一緒に歩いていてレジナスさんの評判を
落としてしまったら申し訳ないです。」
そんな私の言葉にシェラさんがくすりと笑った。
「そんな訳がないでしょう。もし評判が落ちると
言うならリリ様のせいではありません。この強面が
美しい少女を連れ歩いているのです、レジナスの
方が女性をたぶらかしたと思われますよ。」
「お前・・・」
「おや、ちょうど着きましたよ。オレも自分の
魔道具を預けたかったので中までご一緒します。」
呆れたようなレジナスさんにジロリと睨まれた
シェラさんが、飄々として狭い通りに並ぶ扉の
一つを躊躇なく開けた。
看板は出ていなくて、一見するとお店というよりも
普通の住宅みたいな店構えだ。鍛冶屋なのに
なんだか隠れ家っぽいお店なんだね?
何も知らなければ勝手に他人の家の扉をノックも
なしに開けたような感じでビックリする。
「失礼、店主はいますか?」
扉はギィと軋んだ音を立てて開いたので、それが
そのままお客さんの来訪を告げる鈴代わりみたい
だなと思った。
中に入って見回すと、鍛冶屋なはずなのに色んな
武器がずらりと並んでいる。
あれ?鍛冶屋じゃなくて武器屋?不思議に思って
いたら、明るい大声が耳に飛び込んで来た。
「はいよ、今日はオレだけだ・・・ってシェラさん!
おや、レジナスの旦那まで‼︎二人がご一緒とは
珍しいこともあるもんだ‼︎」
「たまたまですよ。オレも辺境でしばらく働いたので
魔道具を調整してもらいに来ました。それから
短剣やその他の武器もいくつか。」
シェラさんがカウンターの上に鞭の魔道具や数本の
短剣、見た事もない不思議な形の刃物らしいものなど
色々出してきた。
ジャラジャラ、ガチャンと賑やかな音がしてたけど
あんなに色々な武器をたくさん、一体どこに隠して
いたんだろう。
「いやぁシェラさん、相変わらず武器の使い込み方が
えげつないですなあ。これなんかもう、刃こぼれ
どころか芯が曲がっちまってる。」
うん、シェラさんて躊躇なく人の首スパンとか
するから武器の消耗が早そう。
一体どんな感じなのかな?と興味をひかれて
カウンターの上のそれらを見てみたかったけど、
ここのカウンターはマルクさんのお店よりも高さが
あって私が背伸びをしても全然見えない。
見上げてみても、シェラさんと話しているカウンター
の向こう側に立つ店主さんの顔すら見えないのだ。
そしたら、そんな私に気付いたレジナスさんが
「なんだリリ、シェラの武器が見たいのか?
見てもそんなに面白くもないものだぞ。」
そう言いながらひょいと縦抱っこでカウンターの
上が見えるように抱き上げてくれた。
「えっ、リリ?・・・ってリリちゃんか⁉︎」
レジナスさんの言葉に驚いた店主さんが縦抱っこ
された私に顔を向けた。
「イーゴリさん‼︎」
シェラさんの短剣を手に呆気に取られたように
こちらを見ていたのはさっきの食堂の常連さんの
イーゴリさんだった。
そういえばあの店の近所で鍛冶屋兼武器屋を
やっているって言ってたっけ。
「おや、リリ様とお知り合いで?」
不思議そうに首を傾げたシェラさんに、
「いや、最近よく通ってる食堂があってそこで今日
初めて会ったんですよ。よく働く子だなぁと感心して
見てたらオレの作った髪飾りを付けてたもんで、
気になって声をかけたんですが・・・」
そう話しながらもイーゴリさんの視線は私と
レジナスさんの顔を交互に見てはたまに縦抱っこ
しているレジナスさんのその手や掴まっている私の
様子も観察しているみたいだった。
ていうか、今なんて言った⁉︎オレの作った髪飾り?
この髪飾りはレジナスさんがくれたものだけど、
作りからして特注品の一点物っぽいとは思っていた。
それを作ったのがイーゴリさん?
じゃあ食堂で会った時にイーゴリさんはとっくに
私のこの髪飾りがレジナスさんから贈られたもの
だって分かってたはず。
それなのに、気に入ってるのかとか、これを私に
くれた人は恋人なのか、とか聞いてきたんだ。
しかも私はそれに対してそうです、って答えた。
ダメだ。恥ずかしすぎて死にそう。
まさかレジナスさんの知り合いだったなんて。
顔が熱を持ってどんどん赤くなってきたのが
自分でも分かった。
「リリ?」
そんな私にレジナスさんは意味が分からず
どうした、と声を掛けてきたけど言えるわけがない。
恋人からもらったこの髪飾りを気に入ってると
笑顔で話した相手がまさかレジナスさんの知り合い
だったなんて。
「ゆ、誘導尋問・・・っ‼︎」
くうっ、と悔しげにそう言えば、イーゴリさんは
私のその言葉に満面の笑みを見せた。
その笑みの中に面白そうな、からかうような表情が
覗いていたので、お願いだからレジナスさんには
余計なことは言わないで欲しいと私は必死になって
アイコンタクトをしたのだった。
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