152 / 707
第十章 酒とナミダと男と女
4
しおりを挟む
シグウェルさんのお父様、ドラグウェル様に会った
数日後、私は陛下の離宮だというとても大きくて
立派な、王都郊外の建物にいた。
4階建てのその建物は各階のバルコニーがまるで
棚田のように階段状になっていて芝生や小さな果樹が
植えられている、空中庭園風だ。ちょっと面白い
造りのこの建物も奥の院のように陛下自らが設計
したのかもしれない。
「すごい、王都全体が見渡せるみたいですね!」
レジナスさんに縦抱っこされた腕の中から一望する、
晴れ渡った空の下の王都の景色は最高だ。
視界いっぱいに広がる景色はどこまでも街並みが
続いている。私の背が低いせいで地平線の果てまで
街が広がっているように見えるけど、もっと高い
所から見渡せば王都の切れ目まで見えるのかな?
「目に入るこの全ての場所に住む者全員をユーリは
あの夜癒しの力を使って治したんだぞ。」
レジナスさんがいまだに信じられないと言った
面持ちでそう言った。私も自分で信じられないし、
実感は湧かない。なんだか他人事のように
すごいなあと思うだけだ。いやいや、結構広いよ?
東京ドーム何個分だ。そもそも東京ドームで例えても
全然ピンと来ないけど。
「それは三日も眠っちゃうはずですよねぇ。」
景色を眺めながらそう言ったら、
「のんき過ぎっすよユーリ様!普通はそんな事
出来ないし、やろうとしたら魔導士が何十人
必要かって話っす‼︎」
私の後ろからユリウスさんの呆れたような声がした。
「あ、こんにちは!シグウェルさんも‼︎ってあれ?
何を持ってるんですか?」
ユリウスさんと一緒に現れたシグウェルさんは
その手に数個の紙袋を持っていた。
「なんだか知らないが君に渡せと貴族街にあるうちの
邸宅の連中から今朝手渡された。父上が君にと
作らせたものらしいが、中身は菓子のようだな。」
「お菓子‼︎」
なぜドラグウェル様がこのタイミングでそれを
渡して来たのかは謎だけど、立派な貴族の人が
作らせたものならきっとそれはすごくおいしいに
違いない。
「一つだけと聞いていたが、実際受け取りに
寄ってみたらこれだけ手渡されたんだが・・・。
これを全て食べろと言うことか?無理じゃないか?」
5、6個ある紙袋をエル君に手渡しながら
シグウェルさんは眉を顰めた。一体うちの連中は
何を企んでいるんだと苦言を呈している。
そんな中、一つ一つ丁寧に包みを開けて中身を
確かめていたエル君はどれもおいしそうですよと
教えてくれた。ただ、
「おかしな魔法が込められていないか一応毒味を
するので、ユーリ様はまだ食べないで下さい。」
持ってきたシグウェルさんを目の前にエル君は平然と
すごい事を言った。昔、魔導士に酷い目にあわされた
事でかなり用心深くなっている。
シグウェルさんはそれを聞いても何とも思って
いないようだ・・・というか、うちの連中なら
やりかねないとか言って納得している。むしろ
ユリウスさんの方が失礼な子っすね!とプンプンして
いるけど、エル君はそんなことは気にせずに
お菓子の検分を続けていた。
赤いベリーが乗ったタルトに生クリームがたくさん
盛ってあるプティング、焦げたキャラメルの香りが
香ばしいキャラメルケーキにアップルパイもある。
その全てをエル君が一口ずつ食べていく。
いいなあ、私も早く食べたい。レジナスさんに
抱っこされたまま羨ましく思い眺めていると、
フルーツがたくさん入っているパウンドケーキを
前にエル君の手がピタリと止まった。
「え?どうかしましたか?」
まだ毒見用に切り分けてもいないのにどうしたと
いうのだろう。
「・・・これ、香りはいいですけど相当お酒が
強くないですか?まだ切ってもいないのにかなり
お酒の匂いがします。ユーリ様が食べても
大丈夫なんでしょうか。」
そう言って小首を傾げたエル君は私を見上げた。
あっ。もしかしてそれこそが今回のメインじゃ
ないのかな?私がこの離宮にいる理由だ。
「そんなにお酒が強そうですか?」
レジナスさんに降ろしてもらってエル君の側へ行く。
エル君が切り分ける前の長方形のそれは外見からして
たくさんのフルーツが宝石のように鮮やかな色で
混ぜ込んである。おいしそうだなあと思いながら
クンと匂いを嗅げば、きついお酒の匂いに思わず
むせた。慌てたレジナスさんが駆け寄ってくる。
「大丈夫か⁉︎」
その様子を見ていたシグウェルさんとユリウスさんも
驚いていた。エル君もハンカチを差し出してくれる。
「だ、大丈夫です。でも本当に、思ったより
お酒の匂いがきついですね。気付かずに思い切り
嗅いじゃいました・・・」
お酒に弱い体だと、お酒の匂いだけでもむせるんだ。
前の体の時にはそんな事はなかったからびっくりした。
「でもこれ位お酒が強い方が元の姿に戻れるのかも
知れません。強いお酒を飲むのとどっちが
いいんですかね・・・?」
そう。今日の私は陛下の命令で、どの程度の
酒量なら自分の意識を保ったまま大きくなれて
その力をコントロール出来るのかを調べるのだ。
この先またダーヴィゼルドのようにヨナスの
影響で困っている人達が出た時に、すぐに対処
できるようにしたいらしい。
だけど私が大きくなれるのはまだ大多数の人達には
秘密なので、ごく限られた親しい人達だけで
その検証をすることになった。そうしたら陛下が
わざわざこの離宮をまるごと人払いをして貸して
くれたのだ。
「本当に大丈夫なのかなあ・・・」
一度目はたった三口のワインですぐに気絶した。
しかもその短い間に何かをやらかしてリオン様と
レジナスさんに迷惑をかけていたらしい。
二度目の時は、度数は分からないけどかなり強い
お酒を一口だけ飲んだ。結果、意識はあったけど
馬鹿みたいに楽しくなって空に向かって話しかけた
挙句、山に雷を落として大穴をあけた。
今回はどうだろう・・・。少し大きくなってからは
ほんのり香るくらいのお酒が入っているケーキは
食べられるようになっている。それですら口にした
瞬間には喉が一瞬カッと熱くなるけど。だけど
その程度では元の姿には戻らない。おいしくケーキを
消費するだけだ。
目の前では、むせたために私に食べさせるのを
躊躇しているパウンドケーキにシグウェルさんが
フォークを突き刺して一口食べてみている。
「なるほど、かなり酒が入っているな。父上は
これを食べたユーリが元の姿に戻るのかも試させる
ために俺にこれを持たせたのか。」
当初俺に持たせようとした一つはこれだな、と
一人で頷いている。
「切り分けて少し時間を置きますか?そうすれば
空気に触れて少しはお酒が抜けるかも知れません。」
エル君が私に確かめる。
「じゃあ半分はそうしてもらえますか?少しでも
お酒が抜ければ後で普通に食べられるかも
知れません!残りの半分はそのまま切らずに
置いておいて下さい。今からやる検証にも
使ってみますから。」
そう言えばエル君はすぐにパウンドケーキを
半分にすると片方はそのままに、もう片方は
数切れに更に切り分けてくれた。後で食べるのが
楽しみだ。それを見ながらシグウェルさんが
私に説明する。
「今日はユーリにある程度酒を飲んでもらわなければ
ならないが、無理はするな。一応酒の度数は
ノイエ領で殿下が君に勧めたワインの度数や
ダーヴィゼルドで君が騎士から奪い取った酒の
強さを聞いてそこから計算した強さのものを
準備してある。」
奪い取った・・・いや、うん、間違いではないけど
山賊感がする。あとそれだと私がものすごい
酒好きで騎士さんからお酒を強奪したみたいに
聞こえる。つまりは人聞きが悪い。心なしか
無表情なはずの、エル君の私を見る目が冷たい気が
する。
「それで、もし大きな姿に戻ったら何をすれば
いいですか?」
「ここから王都を一望出来るだろう?ユーリには
元の姿に戻ったらこの見える範囲全てに対して
何か力を使って欲しい。今の姿の時に王都全域を
癒して眠り込んだのなら、元の姿で同じような
範囲に力を使った時にも疲労は感じるものかどうか、
その違いを知りたい。」
窓の外を見やったシグウェルさんの言葉に、
つられて私も外を見る。さっきバルコニーから
見た王都はかなり広かった。何か力を・・・って
言われても前みたいに癒しの力を使ったらまた
王都中が騒ぎになるかも知れないし、医療関係者を
再度の開店休業状態にしてしまう。
王都の人達に気付かれないように、さて何を
しよう?ふーん、と考えている私をよそに、
ユリウスさんだけがなんだか浮かれている。
記録用の紙やペン、私が飲むためのお酒や
小さなグラスなどを準備しながらそわそわと
「ようやく俺も元の姿のユーリ様を見れるんっすね!
殿下はまだ来ないんですか⁉︎」
と部屋の扉を見つめた。リオン様はここに来る前に
陛下に顔を見せてこの離宮を使わせてもらう
お礼を言ってくると話していた。まだ来ないと
いうことは親子で話が盛り上がってでもいるのかな?
そう思っていたら、ちょうどリオン様が後ろに
シンシアさんを従えて部屋にやって来た。
「待たせたね、父上のところでだいぶ時間を
食ってしまった。」
そう言って私を見るとにこりと微笑んだ。
「父上にはあまりユーリに無茶をさせるなと
ちゃんと話して来たからね。国のためとはいえ
女の子に強いお酒をたくさん飲ませる検証なんて
とんでもないことだよ。」
どうやら話が盛り上がっていたのではなく、普通に
リオン様が陛下にお説教をしていたから遅くなった
みたいだった。
数日後、私は陛下の離宮だというとても大きくて
立派な、王都郊外の建物にいた。
4階建てのその建物は各階のバルコニーがまるで
棚田のように階段状になっていて芝生や小さな果樹が
植えられている、空中庭園風だ。ちょっと面白い
造りのこの建物も奥の院のように陛下自らが設計
したのかもしれない。
「すごい、王都全体が見渡せるみたいですね!」
レジナスさんに縦抱っこされた腕の中から一望する、
晴れ渡った空の下の王都の景色は最高だ。
視界いっぱいに広がる景色はどこまでも街並みが
続いている。私の背が低いせいで地平線の果てまで
街が広がっているように見えるけど、もっと高い
所から見渡せば王都の切れ目まで見えるのかな?
「目に入るこの全ての場所に住む者全員をユーリは
あの夜癒しの力を使って治したんだぞ。」
レジナスさんがいまだに信じられないと言った
面持ちでそう言った。私も自分で信じられないし、
実感は湧かない。なんだか他人事のように
すごいなあと思うだけだ。いやいや、結構広いよ?
東京ドーム何個分だ。そもそも東京ドームで例えても
全然ピンと来ないけど。
「それは三日も眠っちゃうはずですよねぇ。」
景色を眺めながらそう言ったら、
「のんき過ぎっすよユーリ様!普通はそんな事
出来ないし、やろうとしたら魔導士が何十人
必要かって話っす‼︎」
私の後ろからユリウスさんの呆れたような声がした。
「あ、こんにちは!シグウェルさんも‼︎ってあれ?
何を持ってるんですか?」
ユリウスさんと一緒に現れたシグウェルさんは
その手に数個の紙袋を持っていた。
「なんだか知らないが君に渡せと貴族街にあるうちの
邸宅の連中から今朝手渡された。父上が君にと
作らせたものらしいが、中身は菓子のようだな。」
「お菓子‼︎」
なぜドラグウェル様がこのタイミングでそれを
渡して来たのかは謎だけど、立派な貴族の人が
作らせたものならきっとそれはすごくおいしいに
違いない。
「一つだけと聞いていたが、実際受け取りに
寄ってみたらこれだけ手渡されたんだが・・・。
これを全て食べろと言うことか?無理じゃないか?」
5、6個ある紙袋をエル君に手渡しながら
シグウェルさんは眉を顰めた。一体うちの連中は
何を企んでいるんだと苦言を呈している。
そんな中、一つ一つ丁寧に包みを開けて中身を
確かめていたエル君はどれもおいしそうですよと
教えてくれた。ただ、
「おかしな魔法が込められていないか一応毒味を
するので、ユーリ様はまだ食べないで下さい。」
持ってきたシグウェルさんを目の前にエル君は平然と
すごい事を言った。昔、魔導士に酷い目にあわされた
事でかなり用心深くなっている。
シグウェルさんはそれを聞いても何とも思って
いないようだ・・・というか、うちの連中なら
やりかねないとか言って納得している。むしろ
ユリウスさんの方が失礼な子っすね!とプンプンして
いるけど、エル君はそんなことは気にせずに
お菓子の検分を続けていた。
赤いベリーが乗ったタルトに生クリームがたくさん
盛ってあるプティング、焦げたキャラメルの香りが
香ばしいキャラメルケーキにアップルパイもある。
その全てをエル君が一口ずつ食べていく。
いいなあ、私も早く食べたい。レジナスさんに
抱っこされたまま羨ましく思い眺めていると、
フルーツがたくさん入っているパウンドケーキを
前にエル君の手がピタリと止まった。
「え?どうかしましたか?」
まだ毒見用に切り分けてもいないのにどうしたと
いうのだろう。
「・・・これ、香りはいいですけど相当お酒が
強くないですか?まだ切ってもいないのにかなり
お酒の匂いがします。ユーリ様が食べても
大丈夫なんでしょうか。」
そう言って小首を傾げたエル君は私を見上げた。
あっ。もしかしてそれこそが今回のメインじゃ
ないのかな?私がこの離宮にいる理由だ。
「そんなにお酒が強そうですか?」
レジナスさんに降ろしてもらってエル君の側へ行く。
エル君が切り分ける前の長方形のそれは外見からして
たくさんのフルーツが宝石のように鮮やかな色で
混ぜ込んである。おいしそうだなあと思いながら
クンと匂いを嗅げば、きついお酒の匂いに思わず
むせた。慌てたレジナスさんが駆け寄ってくる。
「大丈夫か⁉︎」
その様子を見ていたシグウェルさんとユリウスさんも
驚いていた。エル君もハンカチを差し出してくれる。
「だ、大丈夫です。でも本当に、思ったより
お酒の匂いがきついですね。気付かずに思い切り
嗅いじゃいました・・・」
お酒に弱い体だと、お酒の匂いだけでもむせるんだ。
前の体の時にはそんな事はなかったからびっくりした。
「でもこれ位お酒が強い方が元の姿に戻れるのかも
知れません。強いお酒を飲むのとどっちが
いいんですかね・・・?」
そう。今日の私は陛下の命令で、どの程度の
酒量なら自分の意識を保ったまま大きくなれて
その力をコントロール出来るのかを調べるのだ。
この先またダーヴィゼルドのようにヨナスの
影響で困っている人達が出た時に、すぐに対処
できるようにしたいらしい。
だけど私が大きくなれるのはまだ大多数の人達には
秘密なので、ごく限られた親しい人達だけで
その検証をすることになった。そうしたら陛下が
わざわざこの離宮をまるごと人払いをして貸して
くれたのだ。
「本当に大丈夫なのかなあ・・・」
一度目はたった三口のワインですぐに気絶した。
しかもその短い間に何かをやらかしてリオン様と
レジナスさんに迷惑をかけていたらしい。
二度目の時は、度数は分からないけどかなり強い
お酒を一口だけ飲んだ。結果、意識はあったけど
馬鹿みたいに楽しくなって空に向かって話しかけた
挙句、山に雷を落として大穴をあけた。
今回はどうだろう・・・。少し大きくなってからは
ほんのり香るくらいのお酒が入っているケーキは
食べられるようになっている。それですら口にした
瞬間には喉が一瞬カッと熱くなるけど。だけど
その程度では元の姿には戻らない。おいしくケーキを
消費するだけだ。
目の前では、むせたために私に食べさせるのを
躊躇しているパウンドケーキにシグウェルさんが
フォークを突き刺して一口食べてみている。
「なるほど、かなり酒が入っているな。父上は
これを食べたユーリが元の姿に戻るのかも試させる
ために俺にこれを持たせたのか。」
当初俺に持たせようとした一つはこれだな、と
一人で頷いている。
「切り分けて少し時間を置きますか?そうすれば
空気に触れて少しはお酒が抜けるかも知れません。」
エル君が私に確かめる。
「じゃあ半分はそうしてもらえますか?少しでも
お酒が抜ければ後で普通に食べられるかも
知れません!残りの半分はそのまま切らずに
置いておいて下さい。今からやる検証にも
使ってみますから。」
そう言えばエル君はすぐにパウンドケーキを
半分にすると片方はそのままに、もう片方は
数切れに更に切り分けてくれた。後で食べるのが
楽しみだ。それを見ながらシグウェルさんが
私に説明する。
「今日はユーリにある程度酒を飲んでもらわなければ
ならないが、無理はするな。一応酒の度数は
ノイエ領で殿下が君に勧めたワインの度数や
ダーヴィゼルドで君が騎士から奪い取った酒の
強さを聞いてそこから計算した強さのものを
準備してある。」
奪い取った・・・いや、うん、間違いではないけど
山賊感がする。あとそれだと私がものすごい
酒好きで騎士さんからお酒を強奪したみたいに
聞こえる。つまりは人聞きが悪い。心なしか
無表情なはずの、エル君の私を見る目が冷たい気が
する。
「それで、もし大きな姿に戻ったら何をすれば
いいですか?」
「ここから王都を一望出来るだろう?ユーリには
元の姿に戻ったらこの見える範囲全てに対して
何か力を使って欲しい。今の姿の時に王都全域を
癒して眠り込んだのなら、元の姿で同じような
範囲に力を使った時にも疲労は感じるものかどうか、
その違いを知りたい。」
窓の外を見やったシグウェルさんの言葉に、
つられて私も外を見る。さっきバルコニーから
見た王都はかなり広かった。何か力を・・・って
言われても前みたいに癒しの力を使ったらまた
王都中が騒ぎになるかも知れないし、医療関係者を
再度の開店休業状態にしてしまう。
王都の人達に気付かれないように、さて何を
しよう?ふーん、と考えている私をよそに、
ユリウスさんだけがなんだか浮かれている。
記録用の紙やペン、私が飲むためのお酒や
小さなグラスなどを準備しながらそわそわと
「ようやく俺も元の姿のユーリ様を見れるんっすね!
殿下はまだ来ないんですか⁉︎」
と部屋の扉を見つめた。リオン様はここに来る前に
陛下に顔を見せてこの離宮を使わせてもらう
お礼を言ってくると話していた。まだ来ないと
いうことは親子で話が盛り上がってでもいるのかな?
そう思っていたら、ちょうどリオン様が後ろに
シンシアさんを従えて部屋にやって来た。
「待たせたね、父上のところでだいぶ時間を
食ってしまった。」
そう言って私を見るとにこりと微笑んだ。
「父上にはあまりユーリに無茶をさせるなと
ちゃんと話して来たからね。国のためとはいえ
女の子に強いお酒をたくさん飲ませる検証なんて
とんでもないことだよ。」
どうやら話が盛り上がっていたのではなく、普通に
リオン様が陛下にお説教をしていたから遅くなった
みたいだった。
44
お気に入りに追加
1,910
あなたにおすすめの小説
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。
水無月あん
恋愛
本編完結済み。
6/5 他の登場人物視点での番外編を始めました。よろしくお願いします。
王太子の婚約者である、公爵令嬢のクリスティーヌ・アンガス。両親は私には厳しく、妹を溺愛している。王宮では厳しい王太子妃教育。そんな暮らしに耐えられたのは、愛する婚約者、ムルダー王太子様のため。なのに、異世界の聖女が来たら婚約解消だなんて…。
私のお話の中では、少しシリアスモードです。いつもながら、ゆるゆるっとした設定なので、お気軽に楽しんでいただければ幸いです。本編は3話で完結。よろしくお願いいたします。
※お気に入り登録、エール、感想もありがとうございます! 大変励みになります!
断罪するならご一緒に
宇水涼麻
恋愛
卒業パーティーの席で、バーバラは王子から婚約破棄を言い渡された。
その理由と、それに伴う罰をじっくりと聞いてみたら、どうやらその罰に見合うものが他にいるようだ。
王家の下した罰なのだから、その方々に受けてもらわねばならない。
バーバラは、責任感を持って説明を始めた。
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
英国紳士の熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです
坂合奏
恋愛
「I love much more than you think(君が思っているよりは、愛しているよ)」
祖母の策略によって、冷徹上司であるイギリス人のジャン・ブラウンと婚約することになってしまった、二十八歳の清水萌衣。
こんな男と結婚してしまったら、この先人生お先真っ暗だと思いきや、意外にもジャンは恋人に甘々の男で……。
あまりの熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです。
※物語の都合で軽い性描写が2~3ページほどあります。
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる