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第七章 ユーリと氷の女王
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深刻そうな話の腰を折るように
つい異世界結婚事情に夢中に
なってしまったけど、
一通りそのことについての説明をした
リオン様は、すぐに北方守護伯の
ヒルダ様と連絡を取ると言って
王宮へと向かった。
魔導士さんが魔法と鏡を使って
遠く離れた所と連絡が取れる、
テレビ電話みたいな仕組みのもので
話し合いをするらしい。
レジナスさんも伴って出掛け、
すぐに戻ると言ったけど
それまでの間はシェラさんと
2人で留守番だ。
「おそらくこのままですと
ユーリ様はダーヴィゼルド公爵の所へ
行くことになりますね。」
お茶を飲みながらシェラさんは
静かにそう言った。
「ダーヴィゼルドの女公爵ヒルダ様は
大層な魔力持ちで大概のことなら
自ら解決するお方です。
過去には騎士団を率いて竜退治まで
なされたほどの方で、その功績により
伯爵から公爵へ昇爵されたのです。
その方が、わざわざ黒封筒で王家と
癒し子様に助けを求めるなど
相当なことがあったのでしょう。」
私は全然構わない。むしろ私の力が
役立てるのならいくらでも使って欲しい。
リオン様にも、必要と判断したら
すぐにでも私を北方へ行かせて
欲しいとさっき伝えた。
「ここからそこまではどれくらいの
時間がかかりますか?」
「通常、馬車で向かえば休憩も含めて
2日近くかかりますね。
先日デレクがオレ達の北方演習に
途中から合流しましたが、その時
デレクが使った山道を単騎駆けで
必要最小限の休息にすれば1日近く
短縮はできますが・・・」
まさかそちらの方法をお考えで?
シェラさんの瞳がそう問いかけてきた。
そのまさかである。幸いにも少しだけ
成長した今の姿なら、少なくとも
10歳児の姿よりも多少の無理は
きくんじゃないだろうか。
「シェラさんもその道は分かりますか?
分からなければ、デレクさんと」
「オレ以外にその役目は譲りませんよ」
被せ気味にきっぱりはっきりと
言い切られた。
うん、そう言うんじゃないかって
気はしたよ・・・。
「本気ですかユーリ様!」
シンシアさんに心配された。
「今の時期、北の方はそろそろ雪も
ちらつく季節です。王都よりも
遥かに寒いですし、道程も馬車ではなく
馬だなんて・・・」
それでも、私が本気だと分かっている
からなのか何を持っていくべきなのかを
シンシアさんはあれこれ書き出し始めた。
それを見ながらシェラさんは話す。
「現在イリヤ殿下はルーシャ国の
南部地方を視察しながら魔物討伐に
行っておいでです。
となれば、リオン殿下とその護衛騎士
レジナス、騎士団長は王都を
空けるわけにはまいりません。
手が空いているのは長期演習明けの
キリウ小隊か騎士団副団長ですが、
そうなりますと先のリオン殿下との
約束通りオレがユーリ様の
臨時の護衛騎士として同行して
当然ですからね。ふつつか者ですが、
よろしくお願いいたします。
誠心誠意、忠信を持って
仕えさせていただきます。」
お嫁にでも来るのかな?と言うセリフを
吐いてシェラさんは私に嫣然と微笑む。
同行できるのが嬉しくてたまらないと
言った風で、緊急事態で出掛けるという
緊張感が全くない。
「ユーリ様が先のノイエ領視察に
使った馬があるでしょう?あれは
速いだけでなく体力もありますので、
普通の馬を使うよりも休息を挟む時間を
最小にできます。オレがユーリ様と
2人乗りをして、同行はとりあえず
デレクのみでダーヴィゼルド公爵領へ
向かえば相当時間を短縮出来ますが。
・・・かなりの強行軍になりますよ、
その覚悟はおありですか?」
微笑む顔は優しげだけど、
その金色の瞳は私を試すように
見つめている。
「やります、頑張ります。」
しっかりと見つめ返して頷いた。
必要な時に使わない力なら、
最初からないのと同じだ。
迷いなく答えた私を眩しいものを
見るように目を瞬くと、シェラさんは
すっと私の前に跪いた。
そのまま流れるような所作で
私の手を取り口付けたシェラさんは、
私の手の甲を自分の額に
押しいただく。
うわ、また一体何をそんなに
仰々しいことを⁉︎
ひんやりとして滑らかな白いおでこに
触れた私の手を、シェラさんの
サラサラした紫色で手触りの良い
髪の毛が隠す。
思わず目をまん丸にして
固まってしまった私に構わず
シェラさんは続けた。
「さすがはオレの女神。
我が身を惜しまず助力するその姿は
この醜い世界に輝きを放ち人々を導く、
一筋の美しい星の光です。
オレにあなたの万分の一でもいいので
その清らかさを分けて欲しいものです」
大袈裟過ぎる!癒し子原理主義者って
なんて厄介なんだ・・・!と思ったものの
どうすればいいのか分からないので
下手に動けないでいるところに、
ちょうどリオン様とレジナスさんが
戻ってきた。
「・・・少し目を離している間に
また一体シェラは何をしているの?」
リオン様が呆れている。
「オレの女神に祈りと感謝を
捧げておりました。」
「やめて下さいよ‼︎」
当然と言った風のシェラさんに
さすがにたまらなくなって声を上げた。
この人はまさかダーヴィゼルド領に
行っても他の人達の前でこんな事
したりしないよね⁉︎
・・・いや、やりかねない。
私は恥ずかしくて赤面してしまった。
「わ、私は神様とかじゃないですから!
あんまり大袈裟過ぎると恥ずかしいので
こういうのは本当にやめて下さいね⁉︎」
「薔薇色に染まった頬が
大変美しいですね、ユーリ様。」
「シェラさん、人の話聞いてます⁉︎」
「はい、聞いております。
ユーリ様の口からオレの名が
呼ばれるなんて夢のようです。
もっと呼んで下さい。」
「リ、リオン様!」
ダメだ、何を言ってもシェラさんには
自分にいいように聞こえているらしい。
たまらずリオン様にヘルプを
求めてしまった。
私がそんな風にリオン様に助けを
求めるのは珍しいので、
待ってましたとばかりに
すかさず抱き上げられる。
「シェラ、ユーリは大袈裟に
崇められるのは本当に嫌なんだよ。
このままだと君、ユーリに嫌われて口を
聞いてもらえなくなるけどいいの?
そうしたらダーヴィゼルド領には
君以外の騎士をユーリに付けるよ?」
リオン様の言葉にハッとする。
「リオン様、それじゃやっぱり・・・」
「そう。ユーリには申し訳ないけど
なるべく早くダーヴィゼルド領へ
向かってもらわないといけなそうだ。
カイゼル殿の状態が思ったより
深刻らしい。本当は僕やレジナスも
同行したいんだけど、兄上が不在の
王都を空けるわけにはいかないんだ。
・・・大丈夫?」
シェラさんの言った通りになった。
私を抱き上げているリオン様の腕に
少し力がこもったような気がする。
心配そうに覗き込まれたけど、
こちらは元より行くつもりだったのだ。
こくりと頷く。
「勿論です。すぐにでも
出発できるよう準備しますよ!」
シェラさんと馬に2人乗りをして
山道を行けば相当早く着くという、
さっきの話をリオン様にもする。
「山道か・・・。確かにそちらは
馬で抜けられる分早く着くけど、
乗馬し慣れていないとかなり
大変だと思うよ。それでも行くの?」
心配して渋るリオン様にシェラさんが
礼を取って説明をしてくれる。
「つきましては、ノイエ領視察に
使われたあの馬をお貸しいただけますか?
あれなら速い分、ユーリ様の負担に
ならないように途中で数度の休憩を
挟みましても普通の馬で行くより
遥かに早く着くはずです。
また、同行はデレクのみとし荷物も
最小限、ユーリ様の侍女と
ダーヴィゼルド滞在に必要な物は
追って馬車を走らせていただけますか?」
そのままちらりとシェラさんが
シンシアさんに視線を向ければ、
シンシアさんも心得たとばかりに
頷き返した。
有能な侍女のシンシアさんはすでに
荷物のリストアップは終えたらしく、
さっきまで書き出していたメモは
他の侍女さんに手渡し済みだ。
馬で行きたいという私の希望に
シェラさんの説明、シンシアさんの
準備の段取りの良さという
連携の取れた動きにリオン様も
諦めてため息をついた。
「まったく、ほんの少しの間席を
外していただけなのに、いつの間に
話を詰めていたの?
そこまで決められていたら
僕が口出しは出来ないね。
何より癒し子の希望が第一優先だ。
兄上が戻られれば僕もそちらに
合流できるんだけど、それは南部の
魔物討伐の状況次第になるし・・・。
カイゼル殿の状態によりユーリが
どのくらいダーヴィゼルドに
滞在することになるのか、
その日数も今はまだ分からない。
・・・本当に気を付けてね、ユーリ。」
なんだか少しリオン様が寂しそうだ。
そう言えば、なんだかんだで
この奥の院に越してきてからは
三日と開けず、毎日のように
リオン様と顔を合わせている。
ノイエ領への視察も一緒だったし。
「あれ?もしかして寂しいんですか?」
私よりもずっと大きい大人なのに
まるで小さな子供みたいに寂しげな
表情だ。
ちょっと意外だ。そう思って言ったら
「寂しい。ユーリと離れるなんて
考えたこともなかった。
早く会えるように頑張ってきてね。」
即答である。
恥ずかしげもなく言うあたりが
王子様というか、育ちが良いというか。
思いのほか真顔でそう言われ、
ぎゅっと抱きしめられてしまった。
後ろのレジナスさんも同意するように
頷いている。
あ、あれ?そんな真面目に言われるとは
思わなかった。
面食らった私は驚いてただこくこくと
無言で頷くことしか出来なかった。
つい異世界結婚事情に夢中に
なってしまったけど、
一通りそのことについての説明をした
リオン様は、すぐに北方守護伯の
ヒルダ様と連絡を取ると言って
王宮へと向かった。
魔導士さんが魔法と鏡を使って
遠く離れた所と連絡が取れる、
テレビ電話みたいな仕組みのもので
話し合いをするらしい。
レジナスさんも伴って出掛け、
すぐに戻ると言ったけど
それまでの間はシェラさんと
2人で留守番だ。
「おそらくこのままですと
ユーリ様はダーヴィゼルド公爵の所へ
行くことになりますね。」
お茶を飲みながらシェラさんは
静かにそう言った。
「ダーヴィゼルドの女公爵ヒルダ様は
大層な魔力持ちで大概のことなら
自ら解決するお方です。
過去には騎士団を率いて竜退治まで
なされたほどの方で、その功績により
伯爵から公爵へ昇爵されたのです。
その方が、わざわざ黒封筒で王家と
癒し子様に助けを求めるなど
相当なことがあったのでしょう。」
私は全然構わない。むしろ私の力が
役立てるのならいくらでも使って欲しい。
リオン様にも、必要と判断したら
すぐにでも私を北方へ行かせて
欲しいとさっき伝えた。
「ここからそこまではどれくらいの
時間がかかりますか?」
「通常、馬車で向かえば休憩も含めて
2日近くかかりますね。
先日デレクがオレ達の北方演習に
途中から合流しましたが、その時
デレクが使った山道を単騎駆けで
必要最小限の休息にすれば1日近く
短縮はできますが・・・」
まさかそちらの方法をお考えで?
シェラさんの瞳がそう問いかけてきた。
そのまさかである。幸いにも少しだけ
成長した今の姿なら、少なくとも
10歳児の姿よりも多少の無理は
きくんじゃないだろうか。
「シェラさんもその道は分かりますか?
分からなければ、デレクさんと」
「オレ以外にその役目は譲りませんよ」
被せ気味にきっぱりはっきりと
言い切られた。
うん、そう言うんじゃないかって
気はしたよ・・・。
「本気ですかユーリ様!」
シンシアさんに心配された。
「今の時期、北の方はそろそろ雪も
ちらつく季節です。王都よりも
遥かに寒いですし、道程も馬車ではなく
馬だなんて・・・」
それでも、私が本気だと分かっている
からなのか何を持っていくべきなのかを
シンシアさんはあれこれ書き出し始めた。
それを見ながらシェラさんは話す。
「現在イリヤ殿下はルーシャ国の
南部地方を視察しながら魔物討伐に
行っておいでです。
となれば、リオン殿下とその護衛騎士
レジナス、騎士団長は王都を
空けるわけにはまいりません。
手が空いているのは長期演習明けの
キリウ小隊か騎士団副団長ですが、
そうなりますと先のリオン殿下との
約束通りオレがユーリ様の
臨時の護衛騎士として同行して
当然ですからね。ふつつか者ですが、
よろしくお願いいたします。
誠心誠意、忠信を持って
仕えさせていただきます。」
お嫁にでも来るのかな?と言うセリフを
吐いてシェラさんは私に嫣然と微笑む。
同行できるのが嬉しくてたまらないと
言った風で、緊急事態で出掛けるという
緊張感が全くない。
「ユーリ様が先のノイエ領視察に
使った馬があるでしょう?あれは
速いだけでなく体力もありますので、
普通の馬を使うよりも休息を挟む時間を
最小にできます。オレがユーリ様と
2人乗りをして、同行はとりあえず
デレクのみでダーヴィゼルド公爵領へ
向かえば相当時間を短縮出来ますが。
・・・かなりの強行軍になりますよ、
その覚悟はおありですか?」
微笑む顔は優しげだけど、
その金色の瞳は私を試すように
見つめている。
「やります、頑張ります。」
しっかりと見つめ返して頷いた。
必要な時に使わない力なら、
最初からないのと同じだ。
迷いなく答えた私を眩しいものを
見るように目を瞬くと、シェラさんは
すっと私の前に跪いた。
そのまま流れるような所作で
私の手を取り口付けたシェラさんは、
私の手の甲を自分の額に
押しいただく。
うわ、また一体何をそんなに
仰々しいことを⁉︎
ひんやりとして滑らかな白いおでこに
触れた私の手を、シェラさんの
サラサラした紫色で手触りの良い
髪の毛が隠す。
思わず目をまん丸にして
固まってしまった私に構わず
シェラさんは続けた。
「さすがはオレの女神。
我が身を惜しまず助力するその姿は
この醜い世界に輝きを放ち人々を導く、
一筋の美しい星の光です。
オレにあなたの万分の一でもいいので
その清らかさを分けて欲しいものです」
大袈裟過ぎる!癒し子原理主義者って
なんて厄介なんだ・・・!と思ったものの
どうすればいいのか分からないので
下手に動けないでいるところに、
ちょうどリオン様とレジナスさんが
戻ってきた。
「・・・少し目を離している間に
また一体シェラは何をしているの?」
リオン様が呆れている。
「オレの女神に祈りと感謝を
捧げておりました。」
「やめて下さいよ‼︎」
当然と言った風のシェラさんに
さすがにたまらなくなって声を上げた。
この人はまさかダーヴィゼルド領に
行っても他の人達の前でこんな事
したりしないよね⁉︎
・・・いや、やりかねない。
私は恥ずかしくて赤面してしまった。
「わ、私は神様とかじゃないですから!
あんまり大袈裟過ぎると恥ずかしいので
こういうのは本当にやめて下さいね⁉︎」
「薔薇色に染まった頬が
大変美しいですね、ユーリ様。」
「シェラさん、人の話聞いてます⁉︎」
「はい、聞いております。
ユーリ様の口からオレの名が
呼ばれるなんて夢のようです。
もっと呼んで下さい。」
「リ、リオン様!」
ダメだ、何を言ってもシェラさんには
自分にいいように聞こえているらしい。
たまらずリオン様にヘルプを
求めてしまった。
私がそんな風にリオン様に助けを
求めるのは珍しいので、
待ってましたとばかりに
すかさず抱き上げられる。
「シェラ、ユーリは大袈裟に
崇められるのは本当に嫌なんだよ。
このままだと君、ユーリに嫌われて口を
聞いてもらえなくなるけどいいの?
そうしたらダーヴィゼルド領には
君以外の騎士をユーリに付けるよ?」
リオン様の言葉にハッとする。
「リオン様、それじゃやっぱり・・・」
「そう。ユーリには申し訳ないけど
なるべく早くダーヴィゼルド領へ
向かってもらわないといけなそうだ。
カイゼル殿の状態が思ったより
深刻らしい。本当は僕やレジナスも
同行したいんだけど、兄上が不在の
王都を空けるわけにはいかないんだ。
・・・大丈夫?」
シェラさんの言った通りになった。
私を抱き上げているリオン様の腕に
少し力がこもったような気がする。
心配そうに覗き込まれたけど、
こちらは元より行くつもりだったのだ。
こくりと頷く。
「勿論です。すぐにでも
出発できるよう準備しますよ!」
シェラさんと馬に2人乗りをして
山道を行けば相当早く着くという、
さっきの話をリオン様にもする。
「山道か・・・。確かにそちらは
馬で抜けられる分早く着くけど、
乗馬し慣れていないとかなり
大変だと思うよ。それでも行くの?」
心配して渋るリオン様にシェラさんが
礼を取って説明をしてくれる。
「つきましては、ノイエ領視察に
使われたあの馬をお貸しいただけますか?
あれなら速い分、ユーリ様の負担に
ならないように途中で数度の休憩を
挟みましても普通の馬で行くより
遥かに早く着くはずです。
また、同行はデレクのみとし荷物も
最小限、ユーリ様の侍女と
ダーヴィゼルド滞在に必要な物は
追って馬車を走らせていただけますか?」
そのままちらりとシェラさんが
シンシアさんに視線を向ければ、
シンシアさんも心得たとばかりに
頷き返した。
有能な侍女のシンシアさんはすでに
荷物のリストアップは終えたらしく、
さっきまで書き出していたメモは
他の侍女さんに手渡し済みだ。
馬で行きたいという私の希望に
シェラさんの説明、シンシアさんの
準備の段取りの良さという
連携の取れた動きにリオン様も
諦めてため息をついた。
「まったく、ほんの少しの間席を
外していただけなのに、いつの間に
話を詰めていたの?
そこまで決められていたら
僕が口出しは出来ないね。
何より癒し子の希望が第一優先だ。
兄上が戻られれば僕もそちらに
合流できるんだけど、それは南部の
魔物討伐の状況次第になるし・・・。
カイゼル殿の状態によりユーリが
どのくらいダーヴィゼルドに
滞在することになるのか、
その日数も今はまだ分からない。
・・・本当に気を付けてね、ユーリ。」
なんだか少しリオン様が寂しそうだ。
そう言えば、なんだかんだで
この奥の院に越してきてからは
三日と開けず、毎日のように
リオン様と顔を合わせている。
ノイエ領への視察も一緒だったし。
「あれ?もしかして寂しいんですか?」
私よりもずっと大きい大人なのに
まるで小さな子供みたいに寂しげな
表情だ。
ちょっと意外だ。そう思って言ったら
「寂しい。ユーリと離れるなんて
考えたこともなかった。
早く会えるように頑張ってきてね。」
即答である。
恥ずかしげもなく言うあたりが
王子様というか、育ちが良いというか。
思いのほか真顔でそう言われ、
ぎゅっと抱きしめられてしまった。
後ろのレジナスさんも同意するように
頷いている。
あ、あれ?そんな真面目に言われるとは
思わなかった。
面食らった私は驚いてただこくこくと
無言で頷くことしか出来なかった。
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