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第四章 何もしなければ何も起こらない、のだ。

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「・・・ごはん、とっても
おいしかったです!」

シンシアさんの淹れてくれた
温かい紅茶を飲み、ほっと息をついて
そう言った私にリオンさまが笑う。

「満足してもらえたなら、準備に
奔走したユリウスも報われるね。」

夕食会はひと段落ついたけど、
会場にはまだ招待された人達が
だいぶ残っていて
賑やかに親睦を深めている。

私やリオン様はそんな会場から
先に下がり、帰り支度をしながら
館へ帰る前にこの別室で
ひと休みしていた。

「ユーリ、さっきの会場には
あまり子供向けのお菓子を置いて
いなかったからとアントン様が
土産を持たせてくれたぞ。」

レジナスさんがリボンで綺麗に
ラッピングされた籠を手に
部屋に入ってきてそれを
シンシアさんに手渡した。

わあ、気を遣わせて申し訳ない。
この部屋にもお茶の他に
フルーツの盛り合わせとか
一口パイみたいな軽食があるから
なんならそれを食べるだけでも
充分なのに。

「そういえばユーリ、さっきは
イチゴを食べて甘くないって
がっかりしてたよね。どうして?」

綺麗に盛ってあるフルーツの中から
イチゴを手にしたリオン様が
不思議そうにそう聞いてきた。

そうなのだ。日本の大きくて
甘いイチゴを食べ慣れているので
こちらの世界にあるイチゴの甘さが
物足りないと思っていた。

あのリーモっていうのは甘くて
おいしかったけど、ブドウや
イチゴ、さくらんぼなどは
食べ慣れた日本の方がずっと甘い。

こちらの世界は魔物もいるし、
まだ果実の品種改良をするほど
生活に余裕がないからなあ。

だからイチゴなんかはハチミツや
砂糖、甘い生クリームをつけて
食べるのがこちらでは一般的だ。

でも、豊かなここノイエ領なら
もしかして甘くておいしい果物が
取れるんじゃないかと実は
密かに期待していた。

・・・だけど、他の地域と同じだった。
そのため思いがけずがっかりして
しまったのだ。

「ノイエ領で取れる果物は他の
所でとれるものよりもずっと
甘いかと思っていたので、
ちょっと驚いたんです。
でもいいんです、私がこれから
マールで甘くて美味しい果物を
作りますから‼︎」

そうだ。ないなら作ってしまえばいい。
目指せ、あまおう・スカイベリー。
シャインマスカットみたいな
種なしで皮ごと食べられる大粒の
ブドウも作って見せよう。

そうしたらみんなマールで
お金を使ってくれるに違いない。

「頼もしいね。僕もユーリの作る
甘い果物を食べるのが楽しみだ。」

リオン様がくすりと笑い、
イチゴを食べた。

その時だ。

「ユーリ様‼︎どうでしたか
今日の料理は!厳選した材料を
集めたのは俺です!選女の泉に
連れて行ってもらえず、採石場にも
同行させてもらえなかった俺が
頑張りましたぁっ‼︎」

バタンと扉を開けて騒々しく
入ってきたのはユリウスさんだ。

なんでお前はそう恩着せがましい
言い方をするんだ、と後ろから
シグウェルさんもついてきている。

「あ・・・ありがとうございます
ユリウスさん。どのお料理も
すごくおいしかったです。」

そういえば、このノイエ行きは
ユリウスさんが一番張り切って
いたのに視察には同行していない。
ちょっとかわいそう。

私の成長させたリンゴの木の
記録を取ったり、夕食会の準備を
整えたり、そもそもこのノイエ行きの
全体的な計画を練ったりと
もしかして誰よりも働いているのは
ユリウスさんじゃないだろうか。

「ユリウスさん・・・今回は
私の初めての視察にたくさん力を
貸してくれてありがとうございます。」

ありがたいと思うのは
本心なので一応お礼を言った。
でも私の猫耳姿を絵に残そうと
するのはやめて欲しい。

「ユーリ様にそう言われると苦労が
報われるおもいっす‼︎
でもまだ俺には果たしていない
目的が・・・っ‼︎」

そこまで言って、ユリウスさんは
リオン様が自分を見ているのに
気付いて口を閉じた。

そういえばこの人、元々は
リオン様みたいに私に手ずから
お菓子を食べさせたいって動機で
ノイエ行きを決めたんだった。

でもさすがにそれをリオン様の前で
言うわけにはいかないよね。

「・・・っ!そ、そういやユーリ様、
団長から聞いたんすけど
選女の泉で元の姿になれたとか⁉︎
俺も見てみたくて団長に頼んだのに
再現してくれないんですよ、
何とか言ってやって下さい‼︎」

慌てて話を逸らそうとして
私の本来の姿の話になった。

「え?シグウェルさんなら幻影魔法で
簡単に再現できるんじゃないですか?
私に気を使ってるなら、 
ユリウスさんには見せても全然
平気ですよ?」

選女の泉にユリウスさんを
連れて行かなかったのは、
何が起こるか分からなかったので
不測の事態の時に動いてくれる人を
領事館に残しておきたかったからだ。

勿論、私の本当の姿を知る人は
混乱を避けるためにも
まだ少ない方がいいけど、
ユリウスさんはすでに私が18だと
知っているし別に構わない。

それなんだが、とシグウェルさんが
私を見つめた。

「君の本来の姿を再現してやらなかった
訳ではない。幻影魔法を使ってみたら
再現出来なかったというのが
正確なところだ。」

「えぇ?団長がそんな簡単な
魔法を扱えなかったなんて
聞いたことないっすよ?」

驚くユリウスさんに事実だ、と
シグウェルさんは説明を続けた。

「再現しようと幻影魔法を使うと
いつもと違って精霊の働きが
鈍くなった。まるで魔法を
拒否しようとするような感じでな。
もしかするとユーリの許可が
必要なのかも知れない。」

イリューディア神の加護が付いた
癒し子の本来の姿だ、
本人の許可なくそんな事を
するのは恐れ多いと精霊達が
思っていて魔法に力を貸して
くれないのではないかと
シグウェルさんは推察していた。

特にここノイエ領は精霊の力が
強く働く特殊な土地柄だから、
精霊達の意志が魔法に反映されても
おかしくないと考えているみたい。

「だから今改めて君に聞くが、
幻影魔法を使って君本来の姿を
この場で再現してもいいか?」

まるでこの場所に漂う、目に見えない
精霊達にも聞こえるかのように
シグウェルさんは私にそう聞いて来た。

だから私も、はっきりと言った。

「はい、私は構いません。
この場で幻影魔法を使って
私の姿を再現しても大丈夫です!」

その言葉にシグウェルさんが
にやりとした。

「良かったなユリウス。お前の
希望通り、ユーリ本来の姿を
見られるかも知れないぞ」

そう言って何度か指を小さく弾き
魔法の効き具合を確かめると、
最後に大きくパチンと指を弾いた。
すると金色のキラキラする光が
私を包み込む。

上から降り注ぐような金色の光は
やがて静かに消えて、
どうなることかと成り行きを
見守っていたリオン様やレジナスさん、
シンシアさんまでが驚いたように
私を見ていた。

「ユーリ様・・・あの大きい姿に
なってますよ・・・とてもお綺麗です」

シンシアさんが頬を少し紅潮させて
そう教えてくれた。

そうなの?と思って私は
自分の手を見てみたけど、
いつもと変わりない、
あの小さな手だ。
視線の高さも変わらない。

「私にはいつもと同じ自分が
見えてますよ?みんなからは
大きい私に見えてるんですか?」

首を傾げたらシグウェルさんが
教えてくれた。

「幻影魔法は対象物そのものに
変化は起きない。それを見ている
周りが幻を見せられるんだ。
だが、自分が周りにどう見えているか
知る方法もある。ユーリ、
そこにある鏡を見てみろ。」

言われて近くにあった全身が
映るほど大きな鏡を覗き込んだ。

そこにはあのイリューディアさん作の
美少女が映っていた。

服装は今私が着ている
ドレスそのままだ。
それが、背が高くなり手足が伸び、
開いているドレスの胸元も
全然寂しくない。
あのご立派な胸もちゃんとある。

おお、胸の谷間まであって
扇子の一つでもその間に挟めそうだ。
まあ、実際にはつるぺたなので
扇子を差し込んだら多分そのまま
ストンと下に落ちちゃうんだろうけど。

「幻影魔法ってすごいですね!」

興奮してみんなの方を振り向いたけど
誰も私みたいに盛り上がっていない。
あれ?

シグウェルさんは面白そうに
目を細めて私を見てるけど、
リオン様もレジナスさんも
なんだかぼうっと私を眺めている。

「酔ってなくてもやっぱり色っぽいとか
どういうことなんだろうね?」

泉の時はそう思わなかったのに、
服装の違いかな。
ぽつりとリオン様が言い、

「胸元が開き過ぎじゃないですか」

レジナスさんは思春期の娘を持つ
お父さんみたいなことを呟いていた。

いや、同じドレス着ててもさっきまで
そんなこと一言も言わなかったじゃん。

10歳児のつるぺたと違って歳相応に
見えていると思えばいいのかなあ。
なんとなく納得できないぞ。

でもリオン様の言う色っぽいは
私の中では褒め言葉だ。
元の世界では色気ゼロだったし。
なのでちょっと嬉しい。

「ありがとうございます!
リオン様にそう言ってもらえると
嬉しいです‼︎あとレジナスさんは
心配し過ぎですよ、こんなの
露出してるうちに入りませんから!」

バンと胸元を叩いて主張した。
こういう仕草が我ながら
色気ゼロだとは思う。

そうしたら
いや別に褒めた訳じゃ。と
リオン様は慌てて、レジナスさんは
そんな風に叩いたら赤くなるだろう、と
私の胸元に目をやるとすぐに
その視線を逸らした。

二人とも顔がうっすら赤いけど
私ほどテンションは高くない。
むしろ私から目を逸らしていて、
やっぱり私一人だけ盛り上がってる。

じゃあ一番この姿を見たがっていた
ユリウスさんはどうだと
そちらを見ると、あの人好きのする
顔いっぱいに驚きの表情を
浮かべていた。驚き過ぎて言葉が
出てこないみたいだ。

そんなお化けでも見たような
顔をしなくてもいいのに。

「どうしたんですかユリウスさん。
ユリウスさんが見たがっていた
本来の私の姿ですよ?」

近付いてふふん、とユリウスさんを
下から覗き込んでみた。

「いや、その・・・っ‼︎
めちゃくちゃ綺麗です、ユーリ様!
ていうか肌白っ・・‼︎え、あんまり
その角度で近付かれると
目のやり場に困るんすけど・・っ⁉︎」

イリューディアさん渾身の作の
美少女だからね。かわいいのです。

褒められるとイリューディアさんの
いい仕事っぷりを讃えられているようで
私も嬉しい。

うんうん、と1人満足していたら
シグウェルさんに声を掛けられた。

「ユーリ、俺は明日マールに
苗木を運ぶ件で少し席を外すが
いいか?叔父上に伝え忘れた事が
あったからそれを伝えたら
すぐ戻る。それまでその魔法は
そのままになるが構わないか。」

「私は全然構いません、
よろしくお願いします!
お仕事増やしてごめんなさい。」

そうか、と頷いたシグウェルさんは
部屋を出る前にちらっと
リオン様達の方を見ると、何か
少し考えたようだった。

次の瞬間、ニヤリと何かを
企むような笑顔を浮かべて
私につかつか歩み寄ると片膝をつき、
すいと私の右手を取り軽く口付けた。

「では姫の仰せのままに、しばしの
暇をいただこう」

そう言うと手の甲から僅かに顔を上げ、
私を見上げた。
さらりとあの綺麗な銀髪が顔の横に
流れて、紫の瞳は私がどう反応するのか
面白そうに見つめている。

お姫様にかしずく騎士のような
仕草とシグウェルさんの美貌に
一瞬ドキッとしたけど、
よく考えたらあれだ。

私に魔法をかけたシグウェルさんには
私の姿はいつもの女児に見えてる
はずだから、これは私じゃなくて
これを見ているリオン様達を
からかっているんだな。

「趣味が悪いですよ、シグウェルさん!
リオン様達をからかうなんて。
怒られても知りませんからね!」

そう言ったら、バレたか。と
瞳を笑ませて立ち上がった。

「たまには殿下の慌てる顔も
見てみたいと思ってな。
ではすぐ戻るので待っていてくれ。」

ふっとシグウェルさんにしては
珍しく柔らかく微笑むと
私の頭をぽんとひと撫でして
部屋から消えた。

いやいや、からかわれて
怒ってるかも知れない人達の中に
私を置いてくとかダメでしょ!

「なんなんすか団長は!今の何⁉︎
ユーリ様の手にく、口付けるとか
どうかしてるっすよ‼︎」

不敬もいいとこっす!とユリウスさんが
顔を赤くして興奮している。

「・・・あれはもう一度王宮を
出入り禁止にされてもいいって
ことなのかな・・・?」

「は、その・・・。俺には何とも」

いつもの柔らかい笑顔と違って
若干冷え冷えとした笑顔で
リオン様がレジナスさんに
そう尋ねてるけど、目が笑ってない。

聞かれたレジナスさんも困っている。

「も~、団長はどうしてこう、
何でもかんでもやりっ放しで
放置して行っちゃうんすかぁ、
ちょっとは後始末する俺のことも
考えて欲しいっすよ・・・」

馬のこととかさぁ、とユリウスさんが
ぶつぶつ言っている。馬?
なんのことだろう。

それにしても、確かに今回の
ユリウスさんは自分が言い出した
ノイエ領行きとは言え少し
かわいそうかも知れない。

さっきも思ったけど、
あれこれ色んな事の調整に
走り回ってくれたのに
楽しみにしていた採石場や泉への
同行も、温泉へ私を案内するのも
出来てない。

なぜなら私が急な思い付きで
リンゴの木を生やしちゃったから。

ここにいる間の大半の時間、
ユリウスさんはリンゴの木の管理と
記録をまかせられている。

そしてその合間に私に食べさせる
ための色んな食材の調達。

あれ?ユリウスさんて魔導士だよね?
果樹の管理に料理番みたいなことまで
手広くなんでも出来過ぎだ。
器用貧乏ってやつかな?

なまじ仕事が出来るから、
何でも任せられて仕事が増えて
いくんだな。

私の会社にもいたなあ、そういう人。

仕事ができる分、人に任せるより
自分でやる方が早いからって
結局たくさんの案件を抱えて
病んだ挙句に辞めてしまったっけ・・・

そう思ったら、報われない
ユリウスさんを労ってあげたくなった。

でも今の私に出来るユリウスさんの
喜びそうなことって・・・。

肩揉みは子どもだから非力で
駄目っぽい。

手作りクッキーとか手料理は
こっちの台所事情に疎いから
作れない。

ハンカチに刺繍してプレゼント・・・
そもそも刺繍をしたことがない。

魔道具に加護の力を込めて
渡すのも、ユリウスさん自身が
優秀な魔導士だからいらなそう。

うーん、意外と難しいぞ?

その時だった。テーブルの上の
軽食が目に入った。

あっ!あったじゃないの。
今すぐ出来て、絶対確実に
ユリウスさんが喜ぶこと。

それは、私がユリウスさんに
手ずから何か食べさせてもらうこと。

自分からそんな事をねだるのは
とてつもなく恥ずかしいけど。
そんなのリオン様にだって
お願いしたことない。

でも一回だけ、サッと頼んで
パッと食べたら終わりだ。

ただし、そんなのをリオン様が
見たらショックを受けるかも
しれないので見つからないように
こっそりやらないと。

手ずから食べる事を断った時の
リオン様のあの捨てられた
子犬みたいな目を思い出して
バレてはいけない、と気を引き締める。

ちらりとリオン様の様子を伺うと、
シンシアさんやレジナスさんと
何やら話している。
今だ。

「ユリウスさんユリウスさん、」

ちょいちょいとユリウスさんの
団服の裾を引く。

「ん?何すかユーリ様。
その仕草もかわいいっすね。」

「はぁ、ありがとうございます・・・
って、それはどうでも良くて!
ユリウスさんには今回たくさん
お世話になったので、お礼に
一回だけユリウスさんのお願い
叶えますよ。」

そう言ったら、いまいちピンと
こなかったみたいなユリウスさんが
首を傾げた。

「俺のお願いっすか?え、何だろう」

「ノイエ領に来るきっかけになった
ユリウスさんのそもそもの願望ですよ、
ほら、私が手からお菓子を」

そこまで言ったらどうやら
分かったようだ。あっ!と小さく
声を上げて目を見開いた。

そのまま私の顔とテーブルの上の
軽食の間で視線を行ったり来たり
させている内にユリウスさんの顔が
みるみる赤くなってきた。

「えっ、えっ?マジっすか⁉︎
なんでそんな突然⁉︎あんなに
嫌がってたじゃないですか!」

「なんか、見てたらユリウスさんが
かわいそうになってきて・・・」

「まさかの同情⁉︎
いや、この際なんでもいいっす‼︎
やった!これで俺の苦労のすべてが
報われる・・・‼︎」

小さくガッツポーズまでしている。

「でも恥ずかしいので、
リオン様達には内緒ですよ。
ちょうど今ここに軽食があるし
どれか一つ、サッと私に
食べさせちゃって下さい。」

コソコソ話して、テーブルの上に
目をやる。
一口サイズのパイやカナッペ、
サンドイッチ。イチゴにリーモ、
カットされたオレンジ。

どれを選んでもすぐ口に出来て
リオン様達にみつかりにくいはず。

ーうわ、どれにしようかなあ。

いざ私に何か食べさせられると
分かったら、ユリウスさんが
迷い出した。

早く決めないとリオン様達が
気付いちゃうし、シグウェルさんも
戻ってきちゃうよ。

そう思いながらじっと待っていると
これにするっす‼︎とユリウスさんが
声を上げた。

お、やっと決まった。どれどれ?

「はい!ユーリ様。お願いします‼︎」

ユリウスさんが指でつまんで
私に差し出したのは生クリームが
ついたイチゴだ。

これはまた、食べにくそうなのを
選んだねユリウスさん。

一口でいけるかな?いや、二口?
ユリウスさんの指を噛まないように
うまく食べられるかなあ。

ちょっと躊躇していたら
ユリウスさんの体温でクリームが
とろりと溶けてきた。
おっと早く食べないと。

食べ方に悩んでいたらユリウスさんが
ひそひそ話す。

「?どうかしたっすか。早くしないと
殿下が気付くかも」
「ユーリ、どうかした?」

同時にリオン様の声がかかって
びくっ!と震えたユリウスさんが
差し出していたイチゴに慌てて
齧り付いた。

ぱくりと一口で食べると、口の端から
溶けたクリームが垂れたので
それもペロリと舌で舐めとる。

あっ、なんか今ユリウスさんの
指も一緒にかじっちゃったかも。
ごめん。

「ふあっ⁉︎」

ユリウスさんが驚いた声を上げ、
その様子をリオン様がしっかりと
その青い瞳に捉えていた。

結局、現行犯で私が手ずから
ユリウスさんのイチゴを
食べているところを
リオン様に目撃されて
ちょっとした騒ぎが起きた。

・・・悪事は必ず露呈する。
まったく持って世の中はうまく
出来ているものだと我が身に染みて、
実感した。





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