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第七章 地球<アースター>編

来週からテスト週間だって

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 次の授業は全員ダウン状態だった。

 女子の皆は気絶から強制的に回復させたからだろうか、ボーっとしている時間が多かった。

 たまに隣からの圧が凄かったりするのは気のせいではないだろう。

 授業が終わり、ホームルームの時間がやってきた。

 他愛ない話だと思いきや、かの言葉を聞いた瞬間絶望の扉が開いた。

 「来週はテスト期間だから頑張って勉強するように。」

 周りからは絶望の声と、部活が休みだとウキウキな者もいたが、大原将希はそのさらに上をいく絶望に叩きつけられた。

 勉強は遅れていて、理解もできていないのにもうテストですか、死にましたお疲れ様です。

 念仏のようにネガティブ発言を連呼する。

 さよならとホームルームが終わった。

 終わった瞬間全員が俺の周りに集まってきた。

 「大原君さぁ、説明してくれるかな?なんで穂乃果の能力に耐えれたのか、なんであんな速いボールを取れたのか。」

 詰め寄ってくる。

 それはまあ、あんなおかしい事が起こったのだ。

 知りたいと思う事は当然だろう。

 なので予想に容易かった。

 大原は普通にただで教えようと思ったが、ある条件を付けることにした。

 「俺のことを教えるから、みんなも俺に勉強教えてください。」

 うつ伏せになって頼み込んだ。

 そこからは、とりあえず話せや、話はそれからだと厳しい声が上がった。

 まぁそういう訳なので、教卓に立ち説明の体制に入る。

 みんなは座っていたり立ったりしてこちらに耳を傾けている。

 「大原!帰ろうぜ!って何これ?どういうこと?」

 そこに小島陸が帰りに誘ってきた。

 だが、これから説明があるからと俺の席に座った。

 「こほん。えーとりあえずは何故能力に耐える事が出来たのかという話になりますが、まずはこの三ヶ月間を簡単に話していきたいと思います。」

 「三ヶ月間て、病室で寝ていたんでしょ?まさか本当は起きていたんじゃ…。」

 穂乃果は当然の事を聞いてくる。

 俺はそれに答えるように話を続ける。

 「そう、こっちの俺は三ヶ月間眠っていた。けど、魂だけは違うところにいたんだ。これから話す事は、俺が経験した本当の事だ。俺は、異世界に行っていたんだ。」

 そこでザワザワとする。

 信じられないが、ここまでおかしいとそれぐらいの設定がないとおかしいと思う者。

 厨二病?頭やられたのではという人で別れた。

 「異世界は地球、この世界を含めてという事なのだけど、今は細かくは言わないようにする。けど、一応黒板には板書はしておくね。」

 丸を六つ書き、それぞれ地、風、雷、火、光、闇を丸の中に書く。

 「俺はこの風の世界に行って、魔王軍と戦い退いたっていうのが、大雑把に行った事です。そして、その魔王軍がこの世界にやって来るという事で、俺はこの世界に帰ってきたって事です。」

 まぁ、帰って来たのは三ヶ月間という約束なのだが、こう言った方が楽なのでいいだろう。

 「何か質問はありますか?」

 「「大アリだわ‼︎」」

 合唱コンクール優勝出来るほどの声量だね。

 今年も頑張ろうね(困惑)。

 「お前、妄想も甚だしいぞ!?どうやって信じろって言うんだ⁉︎」

 「それに魔王軍が攻めてくるって政府はなんも言ってないよ?架空の存在を出したとしてなんのメリットがあるんだ?」

 これ以外にも多くの質問が寄せられた。

 しかしながら、俺一人でこの状況を静める証拠があるわけではない。

 ので呼ぶことにしましょう。

 「賢者様」

 「はいはい。ギリギリ今日までこの世界にいた私ですよ。」

 突然現れた者に驚きを隠せない生徒たち。

 「これ大きな荷物だよ!」

 「確かに大きな…大きな…」

 男子の皆さんはでっかい胸に興味津々だ。

 まぁロリ巨乳は予想だにしてないよなぁとは思いつつも賢者様には頑張って貰おう。

 「落ち着けって方が無理かもしれないけど、私は大原君の…師匠みたいな立場の人です。能力は「転移」よろしくね。」

 「穂乃果知ってる?」

 「あんなおっぱい忘れる訳ないでしょ⁉︎」

 「とりあえずは大原君が嘘ついてるでしょという状況だと思うけど、残念ながら他の世界の証拠となる物をここに出せと言われたら、難しいというのが本音ね。」

 あれ?そうなの?結構期待していたんだけどなあ。

 「けど大原君。まだ話していないこともあるんじゃない?」

 まぁそれについても話そうと思っていたけど、今話すと余計に拗れそうだったから、後でにしようと思ったけど…賢者様がいるならなんとかなるだろう。

 少年は先の事を考えるのを辞めたようだ。

 手のひらから炎を灯す。

 あの世界で当然のように行って来た事。

 それを見た生徒たちは驚きを隠せなかった。

 それは彼らにとっては珍しい者、ありえない者だ。

 「俺が穂乃果の能力に耐えれたのは魔力のおかげ。今こうして炎を灯して分かりやすくしているけど、これの他に、水、風、土、雷とあります。」

 光と闇は今はやめておこう。処理落ちしてしまうだろうから。

 「そ、それがあったから能力に耐えれたの?」

 「そうだよ。多分だけどみんなも出来るようになっているはずだよ。」

 その発言を聞いてみんな自分の身体を見る。

 しかしそれといった変化はない。

 けど能力者なら魔力は多少あってもおかしくないだろう。

 そもそもとしてどの時点で能力者にみんななったのだろう。

 それは後で聞くことにしよう。

 今は説明中だしね。

 「能力と共に魔力を用いて、異世界で生き残って来たのです。そして、そんな力を持つ闇の世界、魔王軍がこの世界にやってくる。こんな感じでまとめてみたけどどうかな?」

 みんなはなんとも言えない表情をしながらも、なんとか受け止めることには成功したようだ。

 「けど魔王軍が攻めて来るのは信用ならないな。こればかりは俺たちには許容範囲外のことじゃないか?」

 山中圭介は魔王軍が攻めて来る事を信用しない事を公言しつつも、自分達に戦う事は無理だと言っているのだろう。

 「とりあえずは自分の事を話しただけだよ。そこから信用するか信用しないかは、任せます。」

 大原は彼らに判断を任せるようだ。

 「話は終わったようね。では私はそろそろ元の世界に帰ります。大原君、しばらくはこちらには来れないけど、次に来た時には行ける準備をしておいてね。」

 「分かりました。」

 賢者様は転移していった。

 そこから大原も帰る準備をしようとする。

 しかし俺の机の前に邪魔するように囲んでいた生徒たちがいた。

 「私は信じるよ。というか、信じないなんて選択肢は無いけどね。」

 「俺も。友達なら当然だろ?それに話を聞くと大変そうだけど、面白そうだしな。」

 白川穂乃果、小島陸を筆頭に女子十名男子十名が信じてくれたらしい。

 大原は少し感動しつつも感謝の言葉を伝える。

 「信じてくれてありがとう。今のところこれからどうするかはまだ考えてはないけど、魔力の使い方については教えていきたいとは考えています。そんな感じで今日は一旦帰りましょう。勉強は明日から本気出す。」

 「本気出さないやつだ…。」

 そんな感じでとりあえずは学校復帰の日が終わり帰ることとなった。

 しかしながら、大原の話を信じられない人もいる。

 彼らは彼らでどう考えていくのか、そこは大原にはどうしようも出来ない事だった…。

 陸と帰ると思っていたのだが、穂乃果がバイクを持ってきたのでそれで帰ることになった。

 お熱いねー。と何やら分からない()ことを言っていたがスルーしたい。

 「ねぇ、将希は強くなったってことでいいの?」

 穂乃果はバイクを運転しながら、俺に話しかけてきた。

 「そうだね。強くなった。これだけは絶対に言える。けど、俺一人じゃあ強くはなれなかった。いろんな人の力を貸してもらって、俺は強くなった…強くしてもらったの方が正しいかな。」

 穂乃果は大原の成長を確かにみた。

 あの無理をして学校に行っていた日々。

 何もなかったかのように振る舞っていたあの大原将希という人物は、強い自信に溢れていた。

 (私じゃあ出来なかったのになぁ)

 異世界の友達には感謝こそするけれど、少しだけライバル心を燃やしてしまう。

 けれど、今の将希なら大丈夫だろうと微笑ましく思った。

 「そのおかげで、私の能力も無効化されるんだから本当強くなったよね。」

 「含みがある言い方するなあ。でもまぁ、無重力空間あれはすごかった。あれは多分、強い部類に入るとは思うよ。」

 「お世辞も上手くなったの?」

 「お世辞じゃないよ。多くの能力者を見ての話だから、当たってると思うよ。」

 「ありがと。そっちの方を軸にしていこうかな。」

 そんな他愛ない話を、この三ヶ月間…いやもう三年間もしていなかった。

 こんなに話せるなんて思っていなかった。

 もう話せないかと思ってた。

 バイクは大原の家の前に止まる。

 大原が掴んでいた場所から手が離れる。

 「じゃあまた学校で。今度は一人でも行けるから大丈夫だよ。」

 「うん…またね。」

 そう言って彼は家の中に入っていく。

 私は…彼を失ってから知ったようなものだ。

 彼が受けてきたものを、彼が耐えていたものを、彼の底知れぬ悔しさを。

 それを異世界の人たちは、まるで無かったかのようにしてしまった。

 私は私が出来なかったことをした人達に会ってみたい。

 話を聞いてみたいと思った。

 そして、私なりにこれからの事を考えなきゃ。

 白川穂乃果はその決意を胸に、家の中へと入っていった。

 「ただいま!」

 ワンワン!と大きな声で鳴かれる。

 颯太の鳴き声だ。

 愛らしいシーズーの颯太は、俺に少し警戒していた。

 三ヶ月間もいなかったのだ。

 無理もないだろう。

 荷物等を自分の部屋に置き少しばかりベッドに横になった。

 日常だ。

 平和な世界だ。

 学校行って勉強して、能力バトル?して帰る。

 …日常だ。(感覚麻痺)症例 異世界病

 こんなにゆったり出来るのも久しぶりの感覚だ。

 いつも雑用してたからなぁ。主にギルドで。

 お金…こっちで換金できないかな?

 腕のリストバンドを見る。

 これには連絡手段がある。

 もしかしたら使えるかなぁと操作して見る。

 軌道はしている。今も魔力は抑えられている。

 だが、連絡は取れるだろうか。

 試しにアリサにかけてみた。

 コール音が響く。

 4、5回ぐらいコールした後に止まった。

 「よお大原どうした?寂しくなったのかなぁ?」

 「繋がった⁉︎」

 えー異世界の証拠あったよ。

 繋がると思わんやん。

 異世界の壁薄いのん?

 「繋がるさ。ミーナが作るものは大体異世界に行っても機能してただろ?地球だって例外じゃないよ。」

 「確かに…。」

 「それで?要件は?」

 「あーえーと本当は試しに電話しようかなって思っていたんだけど、頼み事が出来たよ。今。」

 「んお、試しに聞いてみたら異世界でもあたしのことなら未来は見えるらしいね。」

 試したのかこの野郎。

 「任せな。少しばかり驚かせてやらあ。」

 「ありがとう。三日後ぐらいに…」

 「そこまで見えてないわけないだろ?お前はまだそっちに集中しとけ。こっちはこっちでなんとかするから。お前、次会った時にたるんでたら、殺すぜ?」

 そう言って通話を切った。

 次の一言が分かっていたからだ。

 「殺せるように頑張ってって言おうと思ったのに…。」

 兎にも角にも、繋がる事は分かったのだ。

 これはいい事だ。

 説明が楽になる。

 そんな事を考えていると、下から颯太の散歩に出かけろとクソ…クソババアが叫んできた。

 はあい!と答えて下に行く。

 颯太を檻から出し、服とリードをつけて、うんこセットを持って、いざ!散歩タイムだ。

 因みに服を着させるのに五分は軽くかかった。

 知らんやつに服を着させるなんて…と怒っているのだろうか…。

 分からん。イッヌは難しいからなぁ。

 ただ散歩の時はウッキウキで歩いているのでさほど気にしていないのだろう。

 僕たち散歩隊が回るコースはこれだ!

 まずは近くの公園だ!

 とりあえずここに行っときゃなんとかなる!

 颯太も走り回るぞ!

 ヘトヘトじゃねぇか。

 以上だ!総員帰るぞ!

 散歩は楽でいいね。

 うんこは大変ですけどね。

 家に戻り、颯太を檻に戻し、ベッドにダウン。

 次に目を覚ました時にはもう夕飯の時間だ。

 「今日の学校はどうだった?」

 母さんからありきたりな事を聞かれる。

 「面白かったよ。久々に行くと新鮮ではあったね。」

 その言葉を聞いた瞬間に、母さんの目からは涙が出ていた。

 良かったわね、良かった、本当に元気になって…と何度も言っていた。

 ずっと心配かけてきた。

 俺がいじめられていた事を知っていたからだ。

 学校に直談判した事もあるぐらいだ。

 そりゃあそんな反応になるのも、しょうがないし申し訳ないと思った。

 「えー学校には行きたくないでしょ。」

 我が妹は根暗というか面倒というか、怪獣だ。

 自分の意見を通すまで駄々をこねる。

 小5なのに?まぁそんな年代か。

 ゆえにこんな事をずっと言っている。

 ヘッヘッへとおじさんは笑う。

 そんな事を言うタイミングじゃないのによく言うよと。

 「まぁ来週からテスト期間らしいし、勉強遅れてるから、面倒くさいし…。」

 俺は愚痴った。

 その間に涙が止まったのか、勉強しなさいと注意された。

 したくないなあ。

 その後は普通に会話して、クソババアの邪魔が入って、風呂入って、寝ようとした。

 寝れん!

 昼寝の影響で睡魔が襲って来ない。

 ので少しばかりスマホでといったーを見る。

 すると結構知らない情報が多く出ていた。

 トレンドは、ポ○モン新作の名前だろうか…ポケ○ンORASが入っている。

 他には、能力者多数とか、政治とかスポーツ系が乗っていた。

 俺はその中で東京ドーム完成の項目に注目した。

 このドームでは主に野球とかライブを行うらしい。

 なるほど、俺はニュースに疎いから知らなかったが、賢者様は知っていたのだろう。

 何せ、セレスティアルドームの例えにこれを出してきたのだから。

 まぁきっと、ドームなんて出来たのだから注目を浴びるのも無理もないだろう。

 その他のトレンドとか呟きを見ていると、眠気が襲ってきて、すぐに眠ってしまった。

 こうして大原将希の1日が終わりを告げたのであった。






 

 
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