115 / 144
第七章 地球<アースター>編
謝罪と期待
しおりを挟む
朝のホームルームが始まるまでの時間。
廊下には多くの生徒が話したり、発狂したり、能力を隠れて使っていたりした。
そんな風景が見慣れた物だったが、これがなくなるかもしれないと思うと何とも言えない感じになる。
そんな事を考えながら新しい教室にたどり着いた。
新しい教室は前とはそこまで変わらず、三階から二階になっただけだ。
後は担任の性格が出ているところもある。
まぁあれだ。教室は変わらないのだ。
しかしながら、俺を見る目は変わっていた。
いつもは何も言われず席に着いているのだが、今回は違うようだ。
教室に入った瞬間、少し早めに来ていた生徒たちに囲まれた。
そのほとんどが大原か?大原ってあのガリガリの?三ヶ月入院して逆に何故そうなる?と困惑の言葉が多かった。
…そうか。俺は火の世界での特訓等で筋力が上がった結果、マッチョとはいえないが筋肉質にはなっていたのだろう。
元々のノッポから柱になったぐらいだろう。
結構じゃない?まぁいいか。
そんな一気に来た質問攻めは、ただ一人の咳払いによって本題へと向かっていった。
穂乃果だ。
威圧、責任、殺意、様々なものが混ざり合ったこの空気は俺にまで伝染するほどだ。
ま、まぁ俺は円をしてるからね。わかるんだけど。
その空気を感じ取ったのか少し離れて、こちらに来なかった者、座っていた人達も呼んで頭を下げられた。
ごめんなさいと、言われた。
このクラス全ての人が俺に関わりのある人ではないだろう。
いや、そんなものは建前で逃げなのだろう。
俺は、ここにいる全ての人が、俺に行った罪を知っている。
ある者は俺の能力を蔑み、ある者は俺の在り方を愚劣し、ある者は俺の存在を嘲笑した。
他にもいくらかあるだろうが、陰口など追ったところで終わる話ではないのだから。
とはいえ、俺がその当時苦しくなかったといえば嘘にはなる。
だから今はとても気分がいい。
ちょっとだけ意地悪をしようと思ってしまったのだ。
「それ、何に対して謝ってるの?」
考えても見てほしい。
急に謝られただけなのだ。もしかしたら、俺の後ろの黒板に謝ってるかもしれないだろう?
確認とその理由を教えて頂かないとボクわかんないねー。
そんなふざけた事をしていると、ある一人が懺悔し始めた。
自分に向けたいじめ、物を隠してそれを見て笑っていたと。
今なら別に取り出せるからね。どうでもいいかな?
連鎖するように懺悔の時間が訪れた。
ちょっと待て。いや、こうなったのは嬉しい。
きっとみんなと仲良くなれるのだろう。
けどおかしいぞこれは、クラス全体、いやもはや学校全体でこうなっているのだとしたら、あの二人は一体何をしてここまでの影響力を持ったんだ?
親は普通のはずだ。
ご本人たちでやったと考えるのが普通だが、これはこれで怖くはある。
そんな事を考えながらも、懺悔タイムは続く。
ホームルームが始まる5分前のチャイムと共に先生が入って来た。
先生は席につくように促し、俺は教壇へと向かった。
遅刻ギリギリで登校してくる人もいたが、全員が揃った。
先生は俺の復帰と俺のことに関してのいじめ、偏見についてを話してくれた。
お咎めは前に散々したので言わないようにすると言っていたけど、相当この人も影響ありそうだ。
「では大原君、何がありますか?」
そして唐突に俺に振られるのだ。
何もないんだよなあ。
まぁ久々なのは確かなのでとりあえず挨拶をば。
「えと、おはようございます。とりあえずはなんか、謝ってくれた人達はありがとうございました。まだなんか慣れづらいけど、少しずつ仲良くなれたらと思います。」
拍手をされる。転校するのかな、俺。
ほとんどの人が拍手をしてくれた。
けどあからさまに態度の悪い人はいるようだ。
拍手はしないでこちらを睨みつけてくる人がいた。
山中圭介。
彼が、いじめの実行犯だったものだ。
そんな彼は俺が明るくしているのをよくは思わないのだろう。
今は何も言わないが、きっとこの後はいじめをするために俺を呼び出すのだろう。
昔は嫌だった。あからさまな暴力、罵詈雑言は当たり前だ。
それでもこれまで上手くやって来た。
そして俺には自信がついた。
お前には負けないほどに。
その後俺は席に着くのだが、後ろから、前からも三番目の席、穂乃果の隣になっていたんですけどこれはまさか八百長ですかね?
「良かったね。私が隣でね。」
「そ、そうだね。」
なんか、怖い。
守るという圧が強すぎる。
なんか重圧が感じられる程なんだけど。
あれ?なんか重いぞ?嫌だなあ。
なんて思いつつも授業に向けての準備をしていくのだった。
一時間目の授業は数学。
what?のオンパレードだ。
それがその計算になる理由がわからないのだ。
専門用語というか暗記、多い、死ぬ、以上。
計算までいけるから、もういいよ。教えられないけど。
穂乃果からもサポートが入る。
その他にも後ろの渡辺颯斗という、優等生(罪はいじめの見て見ぬふり)にも教えてもらった。
とりあえずは今は理解した。
後はもう繰り返すだけだろう。
二時間目は理科。
理科室に行って授業を受ける。
自分の席の周りの人と班になって行う。
今日はあいにくの実験だったようで見学ということになった。
今回の実験は、能力者の血と特化能力者の血では何が違うのかというものだった。
めちゃくちゃ気になる。
実験の細かな準備として顕微鏡やらを準備することに。
その準備の際に多くの人が顕微鏡に群がり、時間がかかってしまうと言われた。
のでそのタイミングになったら、俺が取り出すと言って、みんなには他の準備に取り掛かってくれた。
準備の時間。
みんなが立ち上がり取りにいく中、俺は顕微鏡を取り出す。
うん。能力は問題なく使えるらしい。
そう思っていると、穂乃果から注意を受けた。
何でも、この学校では能力の使用を許可なくしてはいけないらしい。
それは知らなかった。
とりあえずは無知であったことで何も言われなかったが、注意は必要だと思った。
ちなみに結果としては、特化能力者の血液は通常の血液だが、能力者にはSAKIMAという成分が入っているらしい。
というかおそらくだが魔力のことだろう。
能力者と特化能力の差は能力に魔力が含まれているかどうかという事なのだろう。
そしてこの世界ではこれはサキマと呼んでいるということらしい。
これは多分だが、木嶋 優希の友「完璧者」が見つけたものだろう。
あの本を読んでいた際にそんな事を書いてあったのだ。
そのような実験結果にみんな驚いていたが、そのようなものだろう。
ん?しかしながら、能力者ってこの世界にはあまりいないのではなかろうか?
この世界のほとんどは特化能力者の集まりだ。
おそらく能力者はいるだろうが、二割、三割いたらいい方だとは思う。
特に日本では一割に満たないだろう。
貴重な物をどうしてこうも集められたのだろう?
次の授業は国語。
眠っている人続出。
しょうがない読んでるだけだもの。どうしようもない。
その次の授業は社会。公民だ。
近代はつまらん。何が起こってこうなったとかマジでつまらん。
三権分立とか簡単なのでいいじゃん。
何だよ、「新日本国憲法」って。
難しいて。やめろ!本当に!
そんなこんなで給食の時間となった。
以前はわざとこぼされたり、ゴミを入れられたりしたが今回は大丈夫のようだ。
「大原君はさ、次の体育は出るの?」
給食を食べてる間に次の授業について聞かれた。
「もちろん。体育が一番授業の中で面白いんだから。」
当たり前だと言わんばかりの言葉を発すると穂乃果が驚いた顔をしていた。
「嘘、今日は見学だと…。」
ま、まぁ流石に三ヶ月も寝たきり野郎が体育が大丈夫なわけないのだが、医師の許可は出てる。
「医者の許可は出てるから、安心しなよ。体育は楽しんでやれるからね。」
隠れて暴力を振るうことはあるけれど、思い切り出来るのは前とは変わらないだろう。
そんな事を考えていたのだが、穂乃果の後ろの席の山川純菜が俺を止めたのだ。
「辞めときなよ。今日は無理しない方がいいよ。穂乃果もそう思っているだろうし。」
「そ、そうだよ。無理はしないで一度様子を見てからでもいいじゃん。」
何故そんな止めるんだ?
よく分からないけど、軽めに身体能力の調整をしたかったんだけど…まぁでもまったりとやればってことで落ち着かせよう。
「見学はしないよ、どんな内容でもまったりとやるよ。それで次の授業の内容は?」
その言葉に一瞬間が空いて、ドッジボールという言葉が聞こえて来た。
「マジ?やったー!俺ドッジボール好きなんよ!これは出たいよ。流石に!」
テンション爆上げだ。
これならば最短で避ける練習にもなるし、ボールの調整等を行うこともできる。
しかし、大原のテンションとは周りのテンションが真逆になっていた。
その表情を見た穂乃果はこう言った。
「分かった。出てもいいよ。覚悟してね。手加減なんてしないから。」
と、給食を片付けてどこかへ行ってしまった。
昼休みに入った。
男子には先程の発言から俺の元へ輪ができていた。
「何も知らないからあんなことが言えるんだ!」
「けど大原の能力…特化能力は取り出すだから何とかなるか?」
「今更特化能力じゃ通じないよ。」
と意見というか文句が垂れ流されていた。
「いいか?ドッジボールはな?女子対男子で行うんだよ!」
「つまり、左で投げるハンデがあると?」
「そういうことじゃねーよ!」
「もっと酷いんだ。地獄だ。」
「俺たちはあいつらに全滅させられた。」
男子が女子に負けるなんてカッコ悪いw。
などと思っていると「おい!」と怒鳴りを挙げる声が聞こえて来た。
山中圭介だ。
「こいつに頼らないと俺たちは勝てないのか?攻略法は分かってるんだ!白川穂乃果を無効化すれば何とでもなるんだよ!」
「それはそうだけど!それが出来ないから僕たちは負けてるんじゃないか!」
「今日は負けねーよ。策があるんでな。」
不吉な笑いと共に圭介は去っていった。
そんな重い空気の中、「よ!大原元気してるか!」と久々に聞いた声が響いた。
「陸!久しぶり!」
陸は他のクラスになってしまったが、昼にはたまに話を聞いてもらっていたりしていた。
そしてこの意味わからん会議にも参加してくれた。
「穂乃果の能力か…確かに強い。というかドッジボールってあいつの独壇場じゃん。」
えっと確か穂乃果の能力は、重力に特化した能力だ。
多少の重力なら操れるほどの能力だったはずだ。
「それがそんなに強くなったんだ。」
当然の疑問を投げかけるとみんな恐ろしい顔をしていた。
「あれは殺しに来てる。隕石だ!」
「もう吐きたくない…。」
ええ…。ま、まぁ成長したんだなあということだろう。
話していると時間はあっという間だ。
次の授業までに体育着に着替えなければならない。
みんな急いで着替え、体育館へと向かう。
その途中で女子とも会ったが、みんなニヤニヤしてこちらを見やりながら体育館へと向かって行くのであった。
廊下には多くの生徒が話したり、発狂したり、能力を隠れて使っていたりした。
そんな風景が見慣れた物だったが、これがなくなるかもしれないと思うと何とも言えない感じになる。
そんな事を考えながら新しい教室にたどり着いた。
新しい教室は前とはそこまで変わらず、三階から二階になっただけだ。
後は担任の性格が出ているところもある。
まぁあれだ。教室は変わらないのだ。
しかしながら、俺を見る目は変わっていた。
いつもは何も言われず席に着いているのだが、今回は違うようだ。
教室に入った瞬間、少し早めに来ていた生徒たちに囲まれた。
そのほとんどが大原か?大原ってあのガリガリの?三ヶ月入院して逆に何故そうなる?と困惑の言葉が多かった。
…そうか。俺は火の世界での特訓等で筋力が上がった結果、マッチョとはいえないが筋肉質にはなっていたのだろう。
元々のノッポから柱になったぐらいだろう。
結構じゃない?まぁいいか。
そんな一気に来た質問攻めは、ただ一人の咳払いによって本題へと向かっていった。
穂乃果だ。
威圧、責任、殺意、様々なものが混ざり合ったこの空気は俺にまで伝染するほどだ。
ま、まぁ俺は円をしてるからね。わかるんだけど。
その空気を感じ取ったのか少し離れて、こちらに来なかった者、座っていた人達も呼んで頭を下げられた。
ごめんなさいと、言われた。
このクラス全ての人が俺に関わりのある人ではないだろう。
いや、そんなものは建前で逃げなのだろう。
俺は、ここにいる全ての人が、俺に行った罪を知っている。
ある者は俺の能力を蔑み、ある者は俺の在り方を愚劣し、ある者は俺の存在を嘲笑した。
他にもいくらかあるだろうが、陰口など追ったところで終わる話ではないのだから。
とはいえ、俺がその当時苦しくなかったといえば嘘にはなる。
だから今はとても気分がいい。
ちょっとだけ意地悪をしようと思ってしまったのだ。
「それ、何に対して謝ってるの?」
考えても見てほしい。
急に謝られただけなのだ。もしかしたら、俺の後ろの黒板に謝ってるかもしれないだろう?
確認とその理由を教えて頂かないとボクわかんないねー。
そんなふざけた事をしていると、ある一人が懺悔し始めた。
自分に向けたいじめ、物を隠してそれを見て笑っていたと。
今なら別に取り出せるからね。どうでもいいかな?
連鎖するように懺悔の時間が訪れた。
ちょっと待て。いや、こうなったのは嬉しい。
きっとみんなと仲良くなれるのだろう。
けどおかしいぞこれは、クラス全体、いやもはや学校全体でこうなっているのだとしたら、あの二人は一体何をしてここまでの影響力を持ったんだ?
親は普通のはずだ。
ご本人たちでやったと考えるのが普通だが、これはこれで怖くはある。
そんな事を考えながらも、懺悔タイムは続く。
ホームルームが始まる5分前のチャイムと共に先生が入って来た。
先生は席につくように促し、俺は教壇へと向かった。
遅刻ギリギリで登校してくる人もいたが、全員が揃った。
先生は俺の復帰と俺のことに関してのいじめ、偏見についてを話してくれた。
お咎めは前に散々したので言わないようにすると言っていたけど、相当この人も影響ありそうだ。
「では大原君、何がありますか?」
そして唐突に俺に振られるのだ。
何もないんだよなあ。
まぁ久々なのは確かなのでとりあえず挨拶をば。
「えと、おはようございます。とりあえずはなんか、謝ってくれた人達はありがとうございました。まだなんか慣れづらいけど、少しずつ仲良くなれたらと思います。」
拍手をされる。転校するのかな、俺。
ほとんどの人が拍手をしてくれた。
けどあからさまに態度の悪い人はいるようだ。
拍手はしないでこちらを睨みつけてくる人がいた。
山中圭介。
彼が、いじめの実行犯だったものだ。
そんな彼は俺が明るくしているのをよくは思わないのだろう。
今は何も言わないが、きっとこの後はいじめをするために俺を呼び出すのだろう。
昔は嫌だった。あからさまな暴力、罵詈雑言は当たり前だ。
それでもこれまで上手くやって来た。
そして俺には自信がついた。
お前には負けないほどに。
その後俺は席に着くのだが、後ろから、前からも三番目の席、穂乃果の隣になっていたんですけどこれはまさか八百長ですかね?
「良かったね。私が隣でね。」
「そ、そうだね。」
なんか、怖い。
守るという圧が強すぎる。
なんか重圧が感じられる程なんだけど。
あれ?なんか重いぞ?嫌だなあ。
なんて思いつつも授業に向けての準備をしていくのだった。
一時間目の授業は数学。
what?のオンパレードだ。
それがその計算になる理由がわからないのだ。
専門用語というか暗記、多い、死ぬ、以上。
計算までいけるから、もういいよ。教えられないけど。
穂乃果からもサポートが入る。
その他にも後ろの渡辺颯斗という、優等生(罪はいじめの見て見ぬふり)にも教えてもらった。
とりあえずは今は理解した。
後はもう繰り返すだけだろう。
二時間目は理科。
理科室に行って授業を受ける。
自分の席の周りの人と班になって行う。
今日はあいにくの実験だったようで見学ということになった。
今回の実験は、能力者の血と特化能力者の血では何が違うのかというものだった。
めちゃくちゃ気になる。
実験の細かな準備として顕微鏡やらを準備することに。
その準備の際に多くの人が顕微鏡に群がり、時間がかかってしまうと言われた。
のでそのタイミングになったら、俺が取り出すと言って、みんなには他の準備に取り掛かってくれた。
準備の時間。
みんなが立ち上がり取りにいく中、俺は顕微鏡を取り出す。
うん。能力は問題なく使えるらしい。
そう思っていると、穂乃果から注意を受けた。
何でも、この学校では能力の使用を許可なくしてはいけないらしい。
それは知らなかった。
とりあえずは無知であったことで何も言われなかったが、注意は必要だと思った。
ちなみに結果としては、特化能力者の血液は通常の血液だが、能力者にはSAKIMAという成分が入っているらしい。
というかおそらくだが魔力のことだろう。
能力者と特化能力の差は能力に魔力が含まれているかどうかという事なのだろう。
そしてこの世界ではこれはサキマと呼んでいるということらしい。
これは多分だが、木嶋 優希の友「完璧者」が見つけたものだろう。
あの本を読んでいた際にそんな事を書いてあったのだ。
そのような実験結果にみんな驚いていたが、そのようなものだろう。
ん?しかしながら、能力者ってこの世界にはあまりいないのではなかろうか?
この世界のほとんどは特化能力者の集まりだ。
おそらく能力者はいるだろうが、二割、三割いたらいい方だとは思う。
特に日本では一割に満たないだろう。
貴重な物をどうしてこうも集められたのだろう?
次の授業は国語。
眠っている人続出。
しょうがない読んでるだけだもの。どうしようもない。
その次の授業は社会。公民だ。
近代はつまらん。何が起こってこうなったとかマジでつまらん。
三権分立とか簡単なのでいいじゃん。
何だよ、「新日本国憲法」って。
難しいて。やめろ!本当に!
そんなこんなで給食の時間となった。
以前はわざとこぼされたり、ゴミを入れられたりしたが今回は大丈夫のようだ。
「大原君はさ、次の体育は出るの?」
給食を食べてる間に次の授業について聞かれた。
「もちろん。体育が一番授業の中で面白いんだから。」
当たり前だと言わんばかりの言葉を発すると穂乃果が驚いた顔をしていた。
「嘘、今日は見学だと…。」
ま、まぁ流石に三ヶ月も寝たきり野郎が体育が大丈夫なわけないのだが、医師の許可は出てる。
「医者の許可は出てるから、安心しなよ。体育は楽しんでやれるからね。」
隠れて暴力を振るうことはあるけれど、思い切り出来るのは前とは変わらないだろう。
そんな事を考えていたのだが、穂乃果の後ろの席の山川純菜が俺を止めたのだ。
「辞めときなよ。今日は無理しない方がいいよ。穂乃果もそう思っているだろうし。」
「そ、そうだよ。無理はしないで一度様子を見てからでもいいじゃん。」
何故そんな止めるんだ?
よく分からないけど、軽めに身体能力の調整をしたかったんだけど…まぁでもまったりとやればってことで落ち着かせよう。
「見学はしないよ、どんな内容でもまったりとやるよ。それで次の授業の内容は?」
その言葉に一瞬間が空いて、ドッジボールという言葉が聞こえて来た。
「マジ?やったー!俺ドッジボール好きなんよ!これは出たいよ。流石に!」
テンション爆上げだ。
これならば最短で避ける練習にもなるし、ボールの調整等を行うこともできる。
しかし、大原のテンションとは周りのテンションが真逆になっていた。
その表情を見た穂乃果はこう言った。
「分かった。出てもいいよ。覚悟してね。手加減なんてしないから。」
と、給食を片付けてどこかへ行ってしまった。
昼休みに入った。
男子には先程の発言から俺の元へ輪ができていた。
「何も知らないからあんなことが言えるんだ!」
「けど大原の能力…特化能力は取り出すだから何とかなるか?」
「今更特化能力じゃ通じないよ。」
と意見というか文句が垂れ流されていた。
「いいか?ドッジボールはな?女子対男子で行うんだよ!」
「つまり、左で投げるハンデがあると?」
「そういうことじゃねーよ!」
「もっと酷いんだ。地獄だ。」
「俺たちはあいつらに全滅させられた。」
男子が女子に負けるなんてカッコ悪いw。
などと思っていると「おい!」と怒鳴りを挙げる声が聞こえて来た。
山中圭介だ。
「こいつに頼らないと俺たちは勝てないのか?攻略法は分かってるんだ!白川穂乃果を無効化すれば何とでもなるんだよ!」
「それはそうだけど!それが出来ないから僕たちは負けてるんじゃないか!」
「今日は負けねーよ。策があるんでな。」
不吉な笑いと共に圭介は去っていった。
そんな重い空気の中、「よ!大原元気してるか!」と久々に聞いた声が響いた。
「陸!久しぶり!」
陸は他のクラスになってしまったが、昼にはたまに話を聞いてもらっていたりしていた。
そしてこの意味わからん会議にも参加してくれた。
「穂乃果の能力か…確かに強い。というかドッジボールってあいつの独壇場じゃん。」
えっと確か穂乃果の能力は、重力に特化した能力だ。
多少の重力なら操れるほどの能力だったはずだ。
「それがそんなに強くなったんだ。」
当然の疑問を投げかけるとみんな恐ろしい顔をしていた。
「あれは殺しに来てる。隕石だ!」
「もう吐きたくない…。」
ええ…。ま、まぁ成長したんだなあということだろう。
話していると時間はあっという間だ。
次の授業までに体育着に着替えなければならない。
みんな急いで着替え、体育館へと向かう。
その途中で女子とも会ったが、みんなニヤニヤしてこちらを見やりながら体育館へと向かって行くのであった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる