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第五章 剣豪大会編

67. 2日目、後日談。

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 大会2日目を終えた。

 選手が全員会場を出ると拍手が送られた。

 「ガラム良かったぞー!」
 「アリサちゃん勝ってー!」
 「大原!思い切りぶちかましてやれー!」
 「グリムの剣舞をもっと見たいぞー!」
 「アリサ…可愛い、可愛くない?」

 と言った声が多く寄せられた。

 その人混みの中からもぞもぞとみんなが集まる。

 「ついに明日ですね。」

 「うん。俺はアリサと。」

 「俺は…イノスとか…」

 それぞれの相手に目線を向ける面々。

 「僕は引き運が悪いのかいいのか分からないよ。八百長している気分だからね。」

 やれやれ顔でグリムは語る。

 「決勝で誰が来るかは分からないけど、楽しみにしてるよ。では、また。」

 スタスタと歩いて行くところに、人混みから無理矢理出てきたエリックとルミナさんがついて行く。

 「では我々もここを去るとするかのう、イノスよ。」

 「はい師よ。」

 イノスの横にはマスターブレイブがいた。

 この人混みの中、誰にも知られる事なくこの中心に入ってきた。

 「いつの間に…」

 「あたしら戦いだったら死んでるぜこれ。」

 「とんでもねぇ…」

 「ほっほ、皆わしのような老人には興味が無いのじゃよ。」

 「そんなことは…!」

 客はそれを自虐と捉えたが、それを聞いたものは違う。

 それは、帰ろうとしたグリムの足が止まってしまうほど。

 マスターブレイブは俺たちの意識が次の相手に向いていた。
 観客は俺たちに意識が向いていた。

 そこに損なわないように、イノスの下までたどり着いた。

 技術の差が圧倒的にあった…。

 「では、これにて。皆の衆また明日。」

 と去っていった二人。

 「化け物め…」

 グリムはつぶやいた末に再び帰路にたった。

 「上には上がいるものよ。」

 転移してきた賢者。

 その言葉には含みがあるようだった。

 「大丈夫よ。貴方達には貴方達の強さがある。それは、他の人には真似できない強さだから、自信を持って。」

 手を差し伸べる賢者。

 それに俺たちは捕まり、帰路にたった。

 


 「今回はギルドか…」

 転移した場所はギルド前。

 終わったのが12時程度。

 丁度お昼時だ。

 時間の間隔?何今更でしょ?

 「お、きたな。とりあえずは飯食ったら色々と聞くからな、大原。」

 エノス団長は俺たちを招き入れ、食堂で昼食を摂る。

 昼食を終えたら、会議室に呼ばれた。

 「さて、あと一ヶ月に迫った。色々と情報はあるが、ここいらで俺たちでまとめておこうと思う。」

 魔王軍の侵攻。

 これについては一週間の修行の際に、全員の所に報告が行っている。

 本当に俺を殺す事が目的なのか。

 そして、賢者は一体…。

 「大原君。君から報告があったのは知っているが、改めてここで報告を。」

 俺はそう言われて、ストリングから貰った本を取り出す。

 「実物は見せていないと思うので。」

 エノスに渡そうとするが断られる。

 「それはアリサが持つべきだろう。少しでも知識を植えつけた方がいいと思うしな。」

 アリサに渡す。

 「アリサは、どうする。別室に行くか?」

 「いや、ここで構わない。もし何か抜けてたらユナさんに頼むよ。」

 「よし。ではこの後に、」

 「その前に一ついいかしら。」

 話を止めたのは賢者だ。

 全員が見える位置に立つ。

 「結論からいうと、私は魔王軍の首謀者と手を組んでたわ。」

 「⁉︎」

 「な、。」

 ここで、カミングアウトをするのか?

 全員の視線が賢者に集まる。

 「やっぱりか!てめぇ!大原を利用して!」

 「待て!アリサ!賢者の言葉を思い出せ!」

 暴走するアリサを抑えたのは龍也だった。

 「手を組んでたってことはだ、今は。」

 「そう。今はもうこちら側ってことよ。」

 「信頼出来るか!大原!お前も何か!」

 「大原君。あの子から貰ったのは、本当にこれだけなの?これだけなら、エノスでも良さそうだけど。」

 見破られていたのか。いや、確かにこれだけのために俺だけを呼ぶのはおかしいとは思うか。

 「…はい、これが渡されました。」

 書かれていた紙を渡す。

 「手書き、これは事実よ。私は、大原将希を殺す事で世界が変わると言われて、協力していた。」

 「…」

 「けど、来るべき日まで大原君を観察しているうちに、この計画に疑問を持った。本当に変わるのかと。そこで、ミーナに協力してもらって、この世界に来させて強くしようとした。」

 「!賢者、今までどうやって…」

 ミーナが頭を押さえ出す。

 「情報を遮断していたもの。それが一気に流れ出たのね。」

 「くそ、うまくまとまらない。」

 「今は辞めておきなさい。私は…長いから。」

 「はあ、はあ、そうしよう。」

 ミーナはぐったりと座り目を瞑る。

 「話を戻すわ。予想通りに大原君は強くなった。今なら、私に一矢報いる事が出来るくらいに。」

 「それだけじゃあ、信用ならねぇな。もっと納得出来るようなことを、」

 「私は、この世界の賢者よ。この世界が壊されるのは嫌よ。こんな、温かな世界を、人を壊したくない。正直言って、これは大原君よりも優先度は上よ。それぐらい、この世界が大事よ。」

 「裏切る気まんまんじゃねぇか、このクソババア!」

 「アリサ、お前ちょっとだけ黙ってろ。」

 「けど大原!」

 「黙ってろ。俺が話す。」

 アリサはしゅんとした。

 「今の言葉は本当ですか?」

 大原は手を前に差し出しながら、話す。


 「ええ、私の…いえ、私たちの思い出の場所だから。ただ、それだけよ。」

 「…うん、なら問題無さそうだ。」

 手を下ろし、みんなに伝える。

 「賢者は嘘を言っていません。」

 「そんな確証がないから!」

 「賢者の心情を取り出しました。」

 「は?」「え?」

 みんな訳分からん顔をしてきた。

 それは、そうだ。

 俺にしか分からないのだから、しょうがない。

 「物体とか証明出来るものがないから不十分だけど、俺を信じてくれると、嬉しいです。」

 はあ~とぐったりとするアリサ。

 「なんでもありか?その能力は。」

 「言葉と心の声が同じだったからってだけだけどね。」

 「いいよ、それで、もう。」

 みんなうんうんと頷いてくれる。

 おそらく、呆れて物を言えない頷きだったのだろうが、大原と賢者は肯定と捉えた。

 「ありがとうございます皆さん。」

 賢者は深々と頭を下げた。

 「俺としてはショッキングな事が目白押しだったんだが、まぁいい。話し合いをしようじゃないか。」

 全員、それぞれの席に座り、今後のことを話し始めた。

 二時間程度の話し合いによって決まったことは、大まかに三つほど。

 一つは、全体のチームワークやら、個人的な戦力増強。

 もう一つは、情報を各世界への伝達。
 協力者を集める。

 最後は、魔王軍の到達する日の正確性だ。

 3ヶ月後に来ると言われていたが、それがどのタイミングからなのかがいまだに不明だ。

 だが、アリサによると、この世界に来るのに、一旦雷の世界に燃料補給があるだろうと。

 戦争を起こすレベルの人員がのこのこと、一人ずつ来るわけがない。
 戦艦レベルの物を用意してると考えるべきだ。

 と言っていた。

 そもそも、戦艦レベルの物があるのかと驚いていたら、地球にも密かに存在するらしい。

 ヤマトかよと驚いてしまった。

 細かいところ等はあるが、明日もあることなので、解散となった。

 「大原君。」

 ギルドの仮眠室に行こうとするとユナさんに呼ばれた。

 「なんでしょう?」

 「少しだけ話しませんか?」
 
 まぁ久々に会って二人で話す機会もなかったからそうなるよねー。

 いや、ならんだろ。

 女の子から話に誘われるって中々ないよ?

 これを断る男子いる?いるかあ…。

 「大丈夫ですよ。」

 「あ、仮眠室で大丈夫ですよ。すぐに終わるので。」

 「なら、行きましょう。ちょっとくたくたになってしまったので…」

 仮眠室に向かう俺たちを他所に、ミーナはその様子を見ていた。

 「行かなくていいのか?」

 アリサは察したように伝える。

 「大丈夫。私は、私なりにやるだけ。それに、きっとそういうことにはならないと思うから。」

 「…なるほどね。まぁあたしは応援することしか出来ないけど、頑張りな。」

 「うん、アリサも明日頑張って。」

 「ああ、ボコボコにしたるぜ。」

 「ミーナさん俺はー?」

 「いい勝負を期待してる。」

 「任せてください!もうあんなサラブレッド!けちょんけちょんにしたりますよ!」

 「ほーらちょっと調整に付き合えよー」

 「お、いいね。俺もそうしたいと思ってた。けどさぁ。」

 アリサは龍也の腕を胸元に当てながら引っ張る。

 「感触が…もっとふわふわとした…ぐえ!」

 「お子様体型で悪かったなぁあ?」

 「ミーナさ~ん!」

 「あはは…頑張って…」

 引きずられて行くアリサを見届けてから、賢者の元へと向かう。

 店番はしっかりとしないと。

 

 仮眠室に着いてベッドの上に座る二人。

 周りには誰もいない。

 変な緊張感がある。

 「明日は、アリサさんと戦うんですね。」

 ユナさんはこの沈黙を破るように話し始めた。

 「そうですね。」

 「勝てそう…ですか?」

 勝てるかどうかか…。

 「ユナさんはどう思います?」

 「大原さんが勝つと思います。」

 即答だった。

 なんなら少し食い気味だっただろうか。

 「この言葉はちょっと違いますね。えっと…だから…私が、大原さんに勝って欲しいんです。」

 全く、言い直さなくてもいいことを、めちゃめちゃ嬉しいじゃないですか。

 「抱きしめたい…」

 抱きしめたい欲を防ぎながら余韻に浸る。

 心と言葉が逆になっていることも知らずに…。

 「え!?」

 「そんなに応援してくれるんだから、頑張らないとですね。」

 抱き締めるのを⁉︎

 ちょっと、何を言ってるんだろうこの人は?

 で、でもまぁ。

 「そ、そうですね。だから、その、思いっきり…ね?」

 「はい!思いっきりやって来ます!」

 ほ、本当に?

 ちょっと、凄い心臓がバクバクする。

 「では…」

 本当に?するの?抱きしめてくれるの?

 嬉しい。うれしい?

 なにか怖い。でもやるなら、やりたい!

 「眠いので寝ますね。夕飯が出来たらおひへてくだはい。」

 ベッドに横になる大原。

 抱きしめられると思い目を閉じていたユナ。

 目を開けると幸せそうに眠る大原。

 その光景を見たユナは電気を消し、そっと扉を閉め、鍵を壊した。

 「弄んだ罪です。少しは反省してください。」

 部屋に戻って行くユナを見たものは、ぷんぷんと効果音が出るのではないか、ぐらい怒っていた。

 少しだけユナの見る目が変わっていき、性癖が数名歪んでしまったのは、知らない方がいいだろう。

 

 その頃、アリサと龍也は試合を行い、調整をしていた。

 「ちっ、やっぱお前と戦うといいわ。」

 「同じくだな。弱点を随時攻められるから、対策の幅がは広がるよ。」

 「全く、あの技を避けたり防いだり出来るのは…少なくともこの大会にはいないだろ。」

 「大人組が強すぎる…」

 はあ、とため息をつく二人。

 「そんでもって、明日が明日だろ?」

 「そうなんだよ。イノスとかマジでキツいんだが。」

 「大原はまぁ、成長速度はとんでもないけど、正直能力ありきで強いから、この大会には不向きなんだよな。」

 「それで負けたりしたら怖いぞ。」

 「負ける可能性はある。けど、今はとても楽しみだ。」

 「ああ、お前たちを知っている誰もが、そう思ってるよ。」

 「因みにさ、お前はどっちが勝つと思うよ?」

 モジモジとするアリサ。

 その仕草は、不意に見せる女の子の部分だった。

 「アリサじゃないか?」

 「…理由は?」

 パッと明るくなってまぁ。

 「俺はお前と組み手を交わして来た。技のレパートリー、キレ何をとっても強い。それに加えてその魔眼。正直負ける未来が見えない。」

 少しずつ、アリサはドヤ顔をしていく。

 「そうだよなあ、やっぱあたしだよな!」

 「けど、大原も負ける未来が見えない。」

 「あ?」

 ドスの効いた低い声を出しながら、龍也に向く。

 「怒るなよ。だから楽しみなんだろ?」

 「…まぁな。」

 「だけど、俺はアリサに勝ってほしい。」

 「えっ?」

 その言葉にドキッとした。

 あたしに勝って欲しいのか、そっか。

 「俺も次に勝てばお前と戦える。だから、お前に勝ってほしい。」

 応援?宣戦布告?

 まぁそうだよな。そうだよ。

 深い意味なんてないんだ。

 そもそも、あたしがなんでドキッとするんだか。

 「応援ありがと。あたしも応援してるよ。」

 アリサはニコッとしながら、「先で待ってるよ。」と言い残した。


 

 目が覚めたら真っ暗だった。

 あれ?俺の心象世界?

 あ、ベッドがある。

 懐中電灯を取り出す。

 とりあえずは電気をつけて、仮眠室を後にする。

 その予定だった。

 「あれ?鍵がかかってる?」

 少し覗き込むと、ドアノブがぶっ壊れていた。

 「え?なんで?」

 ちょっとよく分からない。

 まぁとりあえずは、報告をしないと。

 監視カメラもあるから、俺ではないことは分かって貰えるだろう。

 「とりあえずはこのままの状態にしておこうかな。」

 どうやって、この密室から出るか。

 ドアをこじ開けるしかないだろう。

 だが、今はいらない。

 目を瞑り集中して…

 ふっと仮眠室から脱出する。

 「能力無しで出来ないかな、これ。」

 とりあえずは夕飯を食べに行こうと、食堂へ向かう。

 そこには、怒っているのか驚いているのか分からない、ユナさんの姿があった。

 他のみんなは黙々と食べ進めて、「早く食えよ」と言ってくる始末。

 わなわなと震えるユナさんを横目に、食べ始める。

 

 夕飯直後、監視カメラには、しっかりとユナさんの姿が映っており、しっかりと直された。(自腹で)

 「どうして?」

 と鳴り響く声は虚しくも空を切ることになってしまった。

 「なんでこうなったんです?」

 「アンタのせいだよ!」

 ミーナに怒られていた大原もいたことをユナは知らない。



 

 

 
 

 
 

 

 







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