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第五章 剣豪大会編

66. 2日目の、終わり。

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 二人の選手は舞台に上がり、近づき握手を交わす。

 「君の本気が見れるんだよねぇ。すぐにやられないようにしないとねぇ。」

 「油断はない。ただ最速でやりきるだけだ。」

 「怖いねぇ。」

 そうして、二人は後ろを向く。

 一歩、二歩と歩いて、五歩目で向かい合う。

 「試合…開始!」

 試合開始にアリサは音速を超えて突っ込…まない。

 双方は剣を構えたまま動かない。

 「動かない?」

 「様子見でしょうか?」

 「まぁ少しでも動いたら、」

 ラムズの腕がピクっと動いた瞬間、一直線に足元を狙う。

 音速の一撃。

 だが足元には木剣で防がれていた。

 「目線までは誤魔化せないよねぇ。」

 予測して置いた。

 目線の動きはあっただろうがじっとは見つめていない。
 
 それで判断したのか。

 なら、わかっていたのなら、次が来る。

 アリサも理解している。

 故に距離を置いた。

 「だめだねぇ。一手で決めないと。」

 ぴっ、と細かい斬撃がアリサの足元に当たった。

 「ラムズ選手1ポイント!」

 「「え?」」

 「「ん?」」

 観客席、及び控え室でも見えなかった。

 「え、えーと解説お願いできますか?」

 「細かいところまでは当たっているかは分からんが、おそらくアリサ選手の剣に斬撃を与えたのじゃろう。」

 「斬撃を、与えた?」

 「剣には魔力が含まれている。それは剣を使うものには常識的な事。そこに微量な魔力が付着しても気づかない。」

 「つまり、先程防いだ時に与えたという事でしょうか?」

 「左様。微量な斬撃を気づかないように発動させる。カウンターのようなものじゃろうな。このルールにも適しておるしな。」

 「「「なるほど。」」」

 観客、控え室にいる者は、ファスティアと同じ感想を漏らしただろう。

 「しかし、冷静に考えて、そのような事が瞬時に出来るのでしょうか?」

 「さあのう。ただ、ラムズ選手は

 「魔眼か。」

 アリサはあの一撃で判断をつけた。

 「へぇ。分かるんだこれを。」

 ただ、なんの魔眼かは分からない。

 魔眼であることは分かったが、目には何も色がない。

 そのまま。
 人の目のままだ。

 「この魔眼は分かりにくいと思われてるんだけど、まぁバレても、何かはバレてないよねぇ。」

 「いや、いいよ。お前の異様さが気になっただけだ。」

 リミッター解除。

 「一手で終わらせるか。それ、そっくりそのまま返すよ。」

 「君もその類か。」

 「ま、また魔力が増えて行くぞ⁉︎」

 「感覚が麻痺してきたのう。30万でも多いのには変わりはない。」

 「あ、あんな増えたのか、アリサは。」

 フーは驚いていた。

 魔力があんなにも少なかったはずのアリサがこうも変化しているとは思わなかったからだ。

 「あんなに増えるもんかな?」

 グリムも少し驚いていた。

 可能性はあったことは知っていたが、まさか自分より多いとは思わない。

 「まぁ、そういうやつなんだろ。」

 大原は適当に返すしかなかった。

 魔力の量なんて結局は、才能の一部なのではないかと考えているからだ。

 「わお。凄いねぇ。でも手はない訳じゃないよねぇ。」

 「ああ、でも、もう捉えられない。」

 そうかな。

 僕の魔眼は「観察眼。」

 瞬時に癖を読みきったり、嘘を見抜いたりなど、地味な事しか出来ないけど、うまく使えば利用する事も出来る。

 癖は抜けない。

 人は意識してなくても行ってしまうもの。

 それを利用するなんていけないのかもしれないけど。

 まぁそれでも僕は負けているのだから、そんなことは思わないけど。

 あの子は、まだ足元を狙っている。

 仕掛けるのは間違いない。

 追えないかもしれないけど、狙いの場所が分かれば、そんなに難しいことじゃない。

 「‼︎」

 「あっ」

 大原と龍也は反応した。

 アリサは雷の魔力をまとって消えた。

 消えた、というのはその場からという意味である。

 魔力の残穢はあるし、そこに存在している。

 追えるかは別として、だが。

 ラムズは瞬時に足元に注意を向く。

 見事な観察眼。

 これなら防げるだろう。

 普通のものだったら。

 「これで3発だ。」

 ライトニング・マイクロウェーブ。

 周波数を用いて攻撃する技。

 今回は斬撃での応用だ。

 アリサは、一旦真横に移動し相手の視界から外し、壁まで行き、相手の後ろまで移動し、ただ剣を背中についた。

 雷をまとった斬撃は両腕に一撃ずつ入った。

 「アリサ選手3ポイント!よって勝者、アリサ選手‼︎」

 「お、」「「おおおおお!!」」

 「な、何が起こって⁉︎」

 「速い。完全に視界から外したのう。」

 「アリサのやつ、未来視フューチャーアイを使ったな。」

 「ああ。相手は足元に注意がいっていた。その未来を見て背中から一撃を与えた。」

 「ああ、さっき君たちが何かに反応したのは魔眼のことか。」

 「全く、本気を出させない方が良かったかねぇ。」

 「そうかもな。けど、あのやり方はあたしはいいと思うよ。不意をつくのに便利そうだ。」

 「応用は効くよ。間違いなくねぇ。今度教えてあげようか?」

 「ありがたい。小手先が欲しかったところだ。」

 そう言って二人は握手を交わした。


 「これは、一瞬の幕切れとなった!圧倒的速さに翻弄されたか、ラムズ選手!」

 「大原選手よりも速く感じるキレの良さ。こればっかりは年季がいるものよのう。」

 「なるほど。これは、明日の対決がますます楽しみになってきました!では続いて第三試合を行いたいと思います。第三試合、ヤロー選手 対 イノス選手!」

 「さて、取るだけやれるか。」

 「…」

 二人は舞台に上がって行く。

 その途中でアリサとすれ違う。

 「しっかり見ろよ。」

 「しっかり見れる試合を期待してるよ。」

 言葉を交わしたのち舞台にたどり着く。

 二人は握手を交わす。

 「君は他の人とは少し違う。どう戦うか楽しみだ。」

 「そりゃどうも。足元を掬われないようにするんだな。」

 二人は後ろを向く。

 一歩、二歩、三歩、四歩、五歩目で向き直る。

 「試合開始!」

 瞬間、ヤローの周りに斬撃が展開されていた。

 その数、七。

 「ちぃ!」

 理解した。かすかに見えた剣速。

 一瞬のうちに七度、しっかりと振っていた。

 イカサマならどれほど良かっただろうか。

 ヤローは六発防ぎ、七発目をかろうじてかわす。

 「へぇ。」

 「ヤロー選手!イノス選手の先制攻撃を防ぎ切った!」

 「…そうでもないらしいのう。」

 「イノス選手1ポイント!」

 ヤローは、七発全て防いだ。

 だが、防いで、交わしきったところに、最速の斬撃を頬に掠めた。

 「はっや。」

 「集中力がものをいう試合だな。」

 「ああ、まるで手のひらの上だな。」

 「嫌いだね。あの戦い方。」

 「近づけねぇ…」

 「流石というべきだね。相当鍛錬したんだろう。だが、この大会において斬撃はシンプルに強い。近づかないで攻撃を与えられるのだから。」

 「なら…」

 ヤローは走り出す。

 一直線にただ真っ直ぐ。 

 「馬鹿正直なのも嫌いじゃないけど。」

 再び最速の斬撃を行う。

 目標はヤローの頬。

 それを走りながらヤローは防いだ。

 「何⁉︎」

 「テメェみてぇな上から目線のやつはなあ!考え方が安直で分かりやすいんだよ!」

 「バーストクエイク!」

 ヤローの一撃。バーストクエイクは上から押さえつけるように放つ技。

 イノスは右にかわす。

 剣は地面に叩き付けられた。

 技は終わらない。

 地震が小規模に起こり、イノスはバランスを崩した。

 「一撃はもらう!クレイモア!」

 地面からの斬撃。

 地中から魔力を通し斬撃とする。

 だがその前に、ととん、とヤローの背中に斬撃が触れた。

 軽い、空気砲が当たったような感覚。

 どこから?

 「円。円状の魔力範囲を展開し、その範囲内なら自身の任意の場所に出現させる事ができる。やり方は簡単。空気中に微量の魔力を霧散させる。その魔力を特定の魔力をプラスすることにより、遠くの範囲に突如として出現させる事が出来るって訳。」

 賢者は、周りにいるものに説明する。

 「つまり?」

 「つまり今のは剣に魔力を込め、円内の魔力に反応して、斬撃を生み出した。いや、一発目に放った攻撃でかわされた斬撃を分割したのかしら。どちらか分からないけど、大体そんな感じよ。」

 「けど、それは能力じゃ。」

 「貴方達にも出来るわよ。やろうと思えば。けど、大抵はバレる。そして難しい。霧散した魔力に含まれるのは、1、2程度。そこから瞬時に大きくするのに使うから難しいのよ。」

 「そんなものを使っているのか…」

 「けど、もっと凄いのは、それがマスターブレイブの下位互換ということ。」

 「え?」

 「マスターブレイブはもっと凄い能力。って事ですか?」

 「あれは、私でもかわせない攻撃がある。」

 「っくそ!」

 ヤローは拳を地面に叩き付けた。

 「今は敵同士であったが、君は強い。君が風の世界を守る仲間で良かったと思う…。次は、共にこの世界を守るために戦おう。」

 イノスから手を差し出される。

 「…そうだな。今は悔しい!悔しいが、お前が仲間で良かった。敵なら絶望してた。お前がいれば、多くの人を救える。共に戦っていこう。」

 手を取って立ち上がる。

 そして、固い握手を交わす。

 観客からは、大きな拍手が送られる。

 「…情報が得られたな。」

 アリサはそう言葉をこぼす。

 「ヤローさん…」

 龍也は木剣を握りしめる。

 「あいつは、俺が仕留めるっすよ。」

 力を込めて言葉を発す。

 その目には決意がみなぎっていた。

 「いいけどさ、君は次勝たないと当たらないからね?」

 グリムは皮肉めいた言葉をこぼす。

 「もちろんだ。任せておいてくれ。」

 「さぁ!続いて参りましょう!第四試合!
 龍也選手 対 カリタ選手!」

 戦いは、一瞬だった。
 
 「しょ、勝者…龍也選手…。勝者!龍也選手!」

 「⁉︎」

 「⁉︎」

 「うん。当然だな。」

 「…何が起こったのじゃ?」

 「理、理解がお、追いつかないぞ!?何が起こったんだ!?」

 アリサ以外の全員が絶句していた。

 戦いの概要はこうだ。

 試合開始と同時に、龍也が水の魔力を含んだ剣舞を行うと、宣言された。

 勝者、龍也選手…と。

 「これが、俺の本気っすよ…」

 「急端・徒桜きゅうたんあだざくら。中距離で水の魔力を含んだ剣舞を行う。その効果は、一瞬のうちに近づき、連撃を叩き込む。雷の魔力でもかわしきれない最速の技。切られた側は、一瞬遅れて切られたのではと錯覚に陥るほどだ。」

 アリサが解説する。

 いや、解説をされたところで、どうも、なんとも、え?

 「おかしくない?水の魔力だけじゃないでしょ、あの技。」

 確かに、水の魔力であのスピードを出せるのか? 

 「さぁ?あたしもそう思うけど、そうとしか聞いてない。ただ、組み込むことは考えているとは思うけど。」

 「…龍也優勝?」

 「…」

 全員が言葉が出ない。

 それほど衝撃だった。

 「イェーイ!勝ってきたっすよ!…あれ?」

 当の本人はこの調子だ。

 分かっても防げない、最強の一撃。

 「「はあ。」」

 よく分からないが、これが龍也という少年なのだ。

 「さ、さぁ次の試合に参りましょう!次の試合は!」

 「いるかい?この報告は。」

 グリムが三本とり、次の試合を終え、ベスト8が決まった。

 これで、大会2日目を終えた。
 

 
 

 

 

 
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