セブンスワールド〜少年、世界を知る〜

七瀬界

文字の大きさ
上 下
65 / 142
第五章 剣豪大会編

59.情報

しおりを挟む
 風の世界、ギルドの前にたどり着いた俺は、ついて早々、そんなことを言われた。

 麗華さんと賢者様を置いて、俺は案内の人について行く。

 ギルドの中に入り、エレベーターに入る。

 1を2回、2を3回押すと、エレベーターは下っていく。

 たどり着くと、周りには牢獄に囚われている人が、手錠されながらこちらを見る。

 反省の色を見せるもの、反感をかうもの、静かに殺意を出すもの、その中でも厳重にしてある場所、それがこいつの場所だった。

 他とは違いガラス越しとなり、能力を封じているが、万が一に備えて、防音にしてある。

 連絡、脱走、情報漏洩等を防ぐためだ。

 なので、話す時は筆談だ。

 面倒だが、こいつは先に話す内容を書いているらしい。

 多少は楽にはなっている。

 大原はいくつかの紙とペンをもらった。

 案内の人はすぐに上へと向かった。

 監視カメラもオフだ。

 あまりに不用心。

 だが、こうもしないと情報は手に入らないのだ。

 条件は俺だけがくること。

 ならば、これは当然というべきだろう。

 その男、ストリングはガラス窓から少し離れた場所に机を前にして、座っていた。

 腕には手錠、机の上は紙とペンがずらっと並んでいた。

 まるで作家の部屋だ。

 周りには多くの紙が散乱していた。

 俺はそれを横目に紙とペンを走らせた。

 「なんのようだ。」

 それを見ると、ストリングはこう記した紙を見せた。

 「これを取り出せ。これはお前だけでなく他のやつにも見せてもいい。」

 大原には取り出せ。までしか見えなかったが、取り出して初めて全てが見えた。

 紙の厚さは30ページほどのものだろう。

 めくってみると、分かりやすく目次が書かれている。

 内容は、魔王軍の精鋭部隊「惨劇の愚者」について、そして魔王軍の勢力数まで書かれていた。

 最初に思ったのは、何故こいつがこれを渡してきたのかということだ。
 
 味方を売る行為だ。

 それを察していたのか、すぐさま紙を見せる。

 「これが、タイムズの指示だ」と。

 タイムズ。ユナさんから少しだけ聞いた者。

 今の魔王軍を作ったとされる者。

 これから察するにタイムズが全体の指揮を取っているのではないかと考えた。

 ストリングは間髪入れずに、紙を見せた。

 「そしてこれが、お前にだけ話すよう言われたことだ。」

 とその紙も取り出させる。

 数枚の紙だった。
 ただそれは、大原将希を驚愕させるのには充分だった。

 「これが信じられると?」

 大原は早々と紙に記す。

 ストリングは「間違いない」と記した。

 これは、俺だけにとどめておく理由は?

 このタイミングでやることかと。

 ただ、アリサの予感は正しかったということ。

 俺は、これを知りながらどうすればいいんだ。

 魔王軍の作戦は俺を殺すこと。

 その計画には、タイムズと賢者、アルシア・リンドーの名があった。

 これが、真実なら俺はきっと死ぬのだろう。

 それはきっと辛い。

 ストリングの方を見ると、「これが全てだ。後はお前たちの武運を祈るとしよう。」

 と書かれていた。

 「ああ、先に地獄に行ってるよ。クソッタレ」

 と記した紙をストリングに渡した。

 俺は刑務所を後にし、エレベーターに乗った。



 ギルドの外に出ると賢者様と麗華さんが待っていた。

 「何を言われたの?って言えないからあなただけ呼んだのよね。」

 自分で納得する賢者様。

 あの話を聞いた後だと、何もかもを知っているのではと警戒する。

 ただ、俺は冷静だった。

 これは賢者様も巻き込まれているという可能性が大いにあり得るからだ。

 何故かは分からないが、これだけは言える。

 俺たちはタイムズの掌の上にいるということだ。

 「そうですね、ですがこれを貰いました。明日にでも皆さんで読みましょうか。」

 「そうですね。今日のところは賢者様の家にお邪魔をさせてもらって…」

 「え?あーそういうね。うん。分かったわ。」

 俺たちは賢者様に捕まって、マヨヒガへと転移した。

 家の中は何日もいなかったのか、ぐちゃぐちゃだったが、ただ寝るだけだったので明日に片付けることにした。

 そうして俺たちはそれぞれの部屋で眠った。

 

 

 

 

 




 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

処理中です...