58 / 142
第四章 火の世界<ヴォルスター>編
52.修行1
しおりを挟む
「あのーよろしいでしょうか?」
レグルスと硬い握手を交わしていると、横から話しかけられた。
見ると、背の小さいお爺さんがそこにいた。
「…いつからいました?」
「最初から、いさせていただきました。」
マジで気が付かなかった…。
「私が火の世界の長、ボルタ・セビラスです。」
「大原将希です。すみませんでした、気づかなくて。」
「ほっほ、賢者以外は気づかなかったようですから、安心して宜しいでしょう。」
他のみんなにも挨拶を交わすボルタさん。
よっこらせと椅子に座るボルタさんは、俺たちの方を向いて話し始めた。
「話は聞いています。どうぞ、レグルス様のご指示の下修行してくだされ。そして、火の世界を自由に行動してもらって構いません。どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さい。」
「はい、そうさせていただきます。」
そうして、部屋を後にする。
「そういえば、シェルミルさんに伝言を頼んでたのって、ここで修行をさせるためですか?」
「賭けではあったがな。風の世界にいた事は知っていたのでな。賢者に伝われば御の字ってところだったな。」
なんという賭け事なのか。
賭け事よりも確実に出来ることをしたいですね。
そんなこんなでエレベーター前に来た。
「修行はそれぞれで行ってもらう。期間は二週間。剣豪大会に合わせて行わせてもらう。講師は全員俺が見る。指導者としては最悪だろうが、間違いなく強くなるということもない。」
「最低ですね」
「そうかな?巫女さん。俺が指示しても、結局は自分達のやる気で変わる。やるかやらないかは常に自分で決めることだ。そこに、他者が入ったら強制も良いとこだ。やらないならやらんでいい、ただその代わりに無惨な死に方になるだけだがな。」
確かにそうだ。
強くなる術を知っていても、自分がそれを実行出来なければ意味がない。
この人に近づく…いや超えなければ、魔王を倒すなんて夢のまた夢だ。
「そこには、はっきりとした目標だな。今回の目標は、俺に一撃を入れること。これぐらいになってもらわないとな。」
中々に舐められている。
だが、本気で戦ったとしても一撃当てるなんて事は…と思ったが、俺は賢者に1発与えたことを思い出した。
「あれは、私が攻撃しなかったから当たっただけですぅ。」
「まだ何も言ってないでしょ。」
「ならこっちを見ないでくれる?」
それで察しているのは、相当気にしてる証拠だと思うんですが。
「とりあえず、これで大方は分かったか?」
「質問、講師はレグルスさんだって言ってたっすけど、どうやって俺たちを見るんですか?」
「それはだな、俺の能力で可能にできるからだ。」
そう言った瞬間、レグルスが二人になった。
「これは、分身?」
「そうだ、俺の能力は分身、魔力、身体能力を犠牲に分身できる。」
「なるほど、それで修行をして、本体にみんなで一撃を狙うってことか。」
「いや?分身に一撃だ。」
「「え?」」
ちょいと、そんな差がありますのん?
「今すぐにやってもいいが、時間がない、早く行くぞ。」
そうして、レグルスは一体になり、エレベーターに乗り込む。
「暑すぎるでしょ!!」
「じにまずーー‼︎」
俺と、神谷さんは地表に連れて来られた。
「…なんで?」
アリサは地下4階の教育の間で教師となった。
「ちゃんとこの後組み手やるから頑張れよー」
「はあ!?」
アリサは意味がわからないまま、教壇に立たされた。
「…なんで?」
龍也は、地下5階の飲食の間で、レストランでホールを担当することになった。
「ちゃんと後で組み手やるから、頑張れよー」
「うぇ!ちょっ!」
「君が新人さんかい?ほらぼさっとしてないで早く着替えてくる!」
龍也は厨房の裏へと消えていった。
「私は、分かりやすいですね。」
地下10階、武道の間へとユナは連れて行かれた。
「そうだ、お前は正直に言って、あのメンバーの中で一番弱い。ならば、徹底的に経験を積む。それがお前には手っ取り早い。」
「なるほど、では早速お願いします。」
そうして、死を悟る目を開眼する。
「大原はこれを着ろ。」
渡されたのは、Tシャツと半ズボンだった。
「あ…ありがとうございます…」
「その間に巫女よ。お前には、この地上の怪物を相手にしてもらう。」
「こ、この暑い中ですか?」
「暑さは魔力でなんとかなる。さぁ行け!」
「は、はい~‼︎」
レグルスの分身と共に、怪物に向かっていく麗華さん。
それを横目に、俺は着替え終えた。
「それで俺は何を?」
「お前さんは魔力がたんまりある。が、単純な魔力なしのパワーがない。」
「アリサとかなさそうですが?」
「あの嬢ちゃんこそやばいだろ?お前さん吹っ飛ばされるよ?」
そんなに凄いんか、後でゴリラって伝えておこう。
「そのためには、筋力増強させる。理由は単純、魔力の消費を抑えるためだ。自身の力がつけば、魔力の消費の量も自然と少なくなる。それを促進させるのがこれだ。」
レグルスが、リモコンのような物のスイッチを押すと、体が重くなった。
「た、立てな…っ!」
「上下合わせて200kgを着ながら、あの山の山頂まで登ってもらう。」
目の前にある、高い山、2000メートルほどだろうか。
ただ、山道ってだけで、険しい道のりではないが、これを着ていくとなると、とてもキツイだろう。
「魔力は使ってよし、なんでもいいから山頂に辿り着ければいい。それと、お前さんにはこれを渡しておく。」
潰れている俺に、レグルスさんは何かを渡してきた。
「こ、この瓶は?」
「魔力回復液だな。これを飲めば、魔力と疲労感が回復する。」
大原はそれを取り出すと、魔力操作でなんとか立ち上がる。
「5万で、やっと立ち上がれた…」
「とりあえずはそれだけだ、明日からは、筋トレ等を追加するからな。」
「き、聞きたくなかったあああ!」
叫び声を上げながらも、山を登っていく大原。
それぞれの修行が始まった。
レグルスと硬い握手を交わしていると、横から話しかけられた。
見ると、背の小さいお爺さんがそこにいた。
「…いつからいました?」
「最初から、いさせていただきました。」
マジで気が付かなかった…。
「私が火の世界の長、ボルタ・セビラスです。」
「大原将希です。すみませんでした、気づかなくて。」
「ほっほ、賢者以外は気づかなかったようですから、安心して宜しいでしょう。」
他のみんなにも挨拶を交わすボルタさん。
よっこらせと椅子に座るボルタさんは、俺たちの方を向いて話し始めた。
「話は聞いています。どうぞ、レグルス様のご指示の下修行してくだされ。そして、火の世界を自由に行動してもらって構いません。どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さい。」
「はい、そうさせていただきます。」
そうして、部屋を後にする。
「そういえば、シェルミルさんに伝言を頼んでたのって、ここで修行をさせるためですか?」
「賭けではあったがな。風の世界にいた事は知っていたのでな。賢者に伝われば御の字ってところだったな。」
なんという賭け事なのか。
賭け事よりも確実に出来ることをしたいですね。
そんなこんなでエレベーター前に来た。
「修行はそれぞれで行ってもらう。期間は二週間。剣豪大会に合わせて行わせてもらう。講師は全員俺が見る。指導者としては最悪だろうが、間違いなく強くなるということもない。」
「最低ですね」
「そうかな?巫女さん。俺が指示しても、結局は自分達のやる気で変わる。やるかやらないかは常に自分で決めることだ。そこに、他者が入ったら強制も良いとこだ。やらないならやらんでいい、ただその代わりに無惨な死に方になるだけだがな。」
確かにそうだ。
強くなる術を知っていても、自分がそれを実行出来なければ意味がない。
この人に近づく…いや超えなければ、魔王を倒すなんて夢のまた夢だ。
「そこには、はっきりとした目標だな。今回の目標は、俺に一撃を入れること。これぐらいになってもらわないとな。」
中々に舐められている。
だが、本気で戦ったとしても一撃当てるなんて事は…と思ったが、俺は賢者に1発与えたことを思い出した。
「あれは、私が攻撃しなかったから当たっただけですぅ。」
「まだ何も言ってないでしょ。」
「ならこっちを見ないでくれる?」
それで察しているのは、相当気にしてる証拠だと思うんですが。
「とりあえず、これで大方は分かったか?」
「質問、講師はレグルスさんだって言ってたっすけど、どうやって俺たちを見るんですか?」
「それはだな、俺の能力で可能にできるからだ。」
そう言った瞬間、レグルスが二人になった。
「これは、分身?」
「そうだ、俺の能力は分身、魔力、身体能力を犠牲に分身できる。」
「なるほど、それで修行をして、本体にみんなで一撃を狙うってことか。」
「いや?分身に一撃だ。」
「「え?」」
ちょいと、そんな差がありますのん?
「今すぐにやってもいいが、時間がない、早く行くぞ。」
そうして、レグルスは一体になり、エレベーターに乗り込む。
「暑すぎるでしょ!!」
「じにまずーー‼︎」
俺と、神谷さんは地表に連れて来られた。
「…なんで?」
アリサは地下4階の教育の間で教師となった。
「ちゃんとこの後組み手やるから頑張れよー」
「はあ!?」
アリサは意味がわからないまま、教壇に立たされた。
「…なんで?」
龍也は、地下5階の飲食の間で、レストランでホールを担当することになった。
「ちゃんと後で組み手やるから、頑張れよー」
「うぇ!ちょっ!」
「君が新人さんかい?ほらぼさっとしてないで早く着替えてくる!」
龍也は厨房の裏へと消えていった。
「私は、分かりやすいですね。」
地下10階、武道の間へとユナは連れて行かれた。
「そうだ、お前は正直に言って、あのメンバーの中で一番弱い。ならば、徹底的に経験を積む。それがお前には手っ取り早い。」
「なるほど、では早速お願いします。」
そうして、死を悟る目を開眼する。
「大原はこれを着ろ。」
渡されたのは、Tシャツと半ズボンだった。
「あ…ありがとうございます…」
「その間に巫女よ。お前には、この地上の怪物を相手にしてもらう。」
「こ、この暑い中ですか?」
「暑さは魔力でなんとかなる。さぁ行け!」
「は、はい~‼︎」
レグルスの分身と共に、怪物に向かっていく麗華さん。
それを横目に、俺は着替え終えた。
「それで俺は何を?」
「お前さんは魔力がたんまりある。が、単純な魔力なしのパワーがない。」
「アリサとかなさそうですが?」
「あの嬢ちゃんこそやばいだろ?お前さん吹っ飛ばされるよ?」
そんなに凄いんか、後でゴリラって伝えておこう。
「そのためには、筋力増強させる。理由は単純、魔力の消費を抑えるためだ。自身の力がつけば、魔力の消費の量も自然と少なくなる。それを促進させるのがこれだ。」
レグルスが、リモコンのような物のスイッチを押すと、体が重くなった。
「た、立てな…っ!」
「上下合わせて200kgを着ながら、あの山の山頂まで登ってもらう。」
目の前にある、高い山、2000メートルほどだろうか。
ただ、山道ってだけで、険しい道のりではないが、これを着ていくとなると、とてもキツイだろう。
「魔力は使ってよし、なんでもいいから山頂に辿り着ければいい。それと、お前さんにはこれを渡しておく。」
潰れている俺に、レグルスさんは何かを渡してきた。
「こ、この瓶は?」
「魔力回復液だな。これを飲めば、魔力と疲労感が回復する。」
大原はそれを取り出すと、魔力操作でなんとか立ち上がる。
「5万で、やっと立ち上がれた…」
「とりあえずはそれだけだ、明日からは、筋トレ等を追加するからな。」
「き、聞きたくなかったあああ!」
叫び声を上げながらも、山を登っていく大原。
それぞれの修行が始まった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる