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第三章 雷の世界<エクスター>

49.意外な一面

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 十六夜さんとミーナさんと一緒に、夕飯を食べようと、部屋に向かうのだが、そこに広がっていたのは、げっそりとしたみんなの姿だった。
 「な、何があったんだ…」
 「俺たちは…徹底的にボコされました…」
 龍也はそういい残し、ガクッと死んでしまった。
 「んで、そちらは一人だけなんで悠々と座ってるんです?」
 ただ一人、ユナさんだけはきちんと座っていた。
 というか、服装がなんか違う。
 何というか、明るくなった?
 「なぜか、私を着ぐるみみたいに服を着させられて、色々買ってもらってしまって、私は着てるだけだったので、そこまで体力は使わなかったのですが…」
 なるほど、こちらは自滅か…
 「自滅なわけないでしょう…」
 ググッと体を起こすリサ。
 その目には、暑いものを感じた。
 「いいですか?このスペックで、着る服を選んだ事がないと言われたら、徹底的にオシャレをさせたくなるでしょう!」
 「元気だな。」
 冷静にミーナがツッコむ。
 「それをどうやって押さえ込めというのですか⁉︎」
 圧がすごい。
 一体どれほど買ったというのだろう。

 「どれほど買ったかといえば…」
 「度々心読むのなんなんです?怖いですよ?」
 「これは、研究対象としていいかもしれない。」
 「やめてくれ…」
 「似合う服を、10着ほど。」
 予想していたよりも少ない。
 いや多いけども。
 「そして、私のお下がりを多数ですかね?」
 ああ…終わりだ。きっと部屋が埋まるほどある。
 「大原くん。後で、手伝って下さい。」
 「…はい。」

 「やっぱり…リサに…服の話は…しちゃダメね…」
 とアーシャは力無くツッコんでくれた。
 そんなこんなで、夕食が運ばれてきた。

 夕飯を食べ終えた俺たちは、ミーナの部屋にお邪魔した。
 「みんなに使用してみてもらいたいものがある。」
 とミーナはそれぞれ道具や装備品を渡す。

 アリサにはもうカチューシャ型の、思念伝達機を与えているため、今回はパスのようだ。

 ユナさんは腰回りにつけるものを渡された。
 曰く、ユナさんの能力にあったものらしい。
 「そういえば、ユナさんの能力って?」
 「あれ?言ってませんでしたか?」
 「あれ?あたしも言ってなかったけ?」
 神谷、龍也、大原はうんうんと頷く。
 「私の能力は、全武装フルアームズありとあらゆる武器を使いこなす能力です。」
 「「全く知らん」」
 間違いなく初出しだ。
 「この道具は、武器を収納する所もあれば、呼び出すものもある。」
 「呼び出す?」
 「その箱に魔力をこめてみろ。」
 ユナさんは、腰につけられたいくつかの箱に魔力をこめた。
 すると、箱の中から銃が出てきた。
 「言うなれば、武器収納箱だな。魔力を込める事で発動出来る。それぞれの箱に収納できるから、場所を覚えとけよ?」
 「はい。ありがとうございます。」
 
 次に神谷さんには、お祓い棒らしきものを渡された。
 「お祓い棒だな。神谷転生に含んでもいいように、強度は上げている。また、魔力のバックアップもできるから、使い方によるけど、中距離戦も可能になるだろう。」
 「はい。頑張らせてもらいます。ありがとうございます。」

 次に龍也には、宙を舞う盾を渡された。
 「どういう原理っすか?」
 「磁石みたいなものさ。魔力にオートで反応してくれる。二刀流なら、突っ込むしかないだろ?なら、多少の防御も必要かと思ってな。」
 「確かに、でも、攻撃する時に邪魔になるんじゃ。」
 「その通りだ。だからこそ、これをつけてもらいたい。」
 それは、大原と同じようなリストバンドだった。
 「剣に魔力を纏うとき、必ず腕から魔力を流すだろ?それに反応して、盾は邪魔にならないようになる。」
 「すげぇ、こんなの、ありがたいどころじゃないっすよ!」
 
 それぞれに、ミーナが作った道具は渡された。
 大抵は、自分達に合っている道具ではあるため、不満は無いのだが、注文する際には、早めにと言われた。

 「そういえば、アリサたちはなんであんなボロボロだったんだ?」
 大原は、先ほどのボロボロの理由を聞いた。

 なんでも、ナムにいる化学部族達に、ボコボコにされたらしい。
 「そもそもとして、化学部族ってなんなんだ?」
 「化学部族は、私が渡した道具、武器を操るもの達だ。たまに、ライトニングタワーで製造したものも、渡したりしてる。魔力は同じく少ないが、戦闘センスは抜群に強い。環境が環境だからな。」
 「環境?」
 「ああ、ナムは都市部があるけど、アリサたちが言ったのは、化学部族の修行の地に行ったんだろう。あそこは山々に囲まれてて、空気が薄いからな。修行には持ってこいの場所だな。」
 ミーナは、大原に説明した。
 それを聞いていたアリサと龍也は、力こぶを見せ、「少しは強くなったぜ!」と意気込んだ。
 「しかしながら、動きが凄かったな。化学であそこまで速くなれるんだものな。」
 「あたしより余裕で速かったなぁ。」
 アリサよりも速い。
 その事実は、頼もしくもあり、恐ろしくもある情報だった。
 中立世界で助かった。

 「因みに、龍也は別格に強くなった。あたしから見ればな。」
 「マジか、凄いな。」
 「え、自覚ないけど、そうなん?」
 「確実に強くなったよ。」
 「やばい、嬉しい。」
 アリサと龍也は、ニコニコと話している。

 それを見て、影になろうとする者が三人ほどいたが。
 「大原さん達何してるんです?」
 「い、いやーお邪魔かと…ねぇ?」
 神谷さんに気づかれてしまった。
 アリサと龍也は「?」と首を傾げながらも、俺たちはミーナの部屋を後にした。
  
 
 
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