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第二章 風の世界<フーリアスター>編
39.少年入院中…
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入院1日目、院長と看護師さんが俺の部屋にやってきて世話をしてくれる。
まずは服を脱がせてもらい、ついでにトイレにも行かせてもらった。
感覚がないので難しいかなと思ったが、簡易的な魔力の通り道をつくってもらい、院長や看護師さんの魔力を使って物を出した。
老後の生活みたいだった。
その途中でユナさんがきて、困惑そして赤面。
恥ずかちぃ恥ずかちぃ。
服を着せてもらって、再び寝っ転がる。
そして、治療が始まる。
と言っても簡単なことだった。
俺の体に魔力を流し込むだけであった。
見舞いに来たユナさん達の魔力を俺に流し込んで治療は終了。
これを後2日やるそうだ。
談笑していると、点滴を打ちながら来た、サルヴァを筆頭に、無風の夜叉の面々がゾロゾロと来た。
院長からギルドに通して伝えたらしい。
そして、サルヴァ以外のメンバーが俺たちに向かってジャパニーズドゲザ。
謝罪とユナをよろしく頼むと言われた。
こっちが勝手に乗り込んだから間違いなくこっちに非があると言っても、いやいや、いやいやの繰り返しだった。
最終的には、ユナの思いを踏み躙る様なことがあれば処すと言われた。
父親が沢山いるみたいだ。
昼食は、ユナさん達に食べさせてもらった。
みんなから赤ちゃん言葉で接しられた。
屈辱だ。殺してやりたかった。切実に。
後、ユナさんは性格バグってしまっていた。
それを大原は母性の暴走だと勘違いしていた。
因みに無風の夜叉の面々は微笑ましい顔をして見ていた。
お父さん、僕食べれたよ。えらい?
午後からは賢者様も来て、見舞いの品は魔力をあげるとそうはならんやろ、とツッコミつつも分け与えてもらった。
これにより片腕が動くようになった。
片腕だけなら魔力も通る。
抵抗出来るかも。
せっかく賢者様も来てもらったので、この世界の事や他の世界のこととかの知識を深めようと、賢者式授業で始まった。
それぞれの授業に担当の先生が着くこととなった。
風の担当は神谷麗華。副担当キラーズ・リントン、サルヴァ・リントン。
雷の担当はアリサ・ライトニング。
闇の担当はユナ・アルシュタ。
その他を賢者、アリシア・リンドー。
計六名の担当が俺に教えてくれる。
ここからはダイジェストでいこう。
細かいところは、次に出すので勘弁してください。
お願いしますなんでも…(なんでもするとは言って()
2日目、地理
風の世界には六つの区間に分かれているらしい。
まずは最初に訪れた街、エセリアル。
ウオラ屋がある街、ブリーズ。
神谷の巫女が中心の街、ミラール。
ギルドがある街、エウロス。
賢者様がいる、マヨヒガ。
そして、剣豪大会が行われる街、セレスティアル。
この六つの区間で分かれているらしい。
雷の世界は中立の世界。どこの世界にも加担するし、貿易も盛んな街。
六つの世界の中で一番豊かな国である。
中心部にライトニング家が所有する都市、ライトニングがある。
その周りを囲む様に、四つの主な街がある。
工業のトレノ。
研究のトルス。
科学部族の住む、ナム。
そして、発電所が集まる、ダイナモ。
がある。
闇の世界では、魔王城が国の中心であり、その他の地域は貧しい人々が多々いるらしい。
中心部の名はデスペアー。
光の世界は屑ばっかと覚えるだけで良い。
たまに光の使者の様な規律正しい子もいる。
火の世界は、鍛冶屋の街として知られる。
広大な地下都市を形成している。
地上は、温度が高く、火山地帯が多い。
四季はない。
3日目、歴史割愛。全て次の回にてまとめさせる。
リリースカードについて。
リリースカードとは、神々の対戦が行われた際、初代神谷の巫女が行ったとされる禁術。
リリースカードを使用する際、自身の何かを犠牲にしなければならない。
今回の場合、キラーズは片目と嗅覚を犠牲にした。
対価によって、その効果に差がある。
しかし大抵は、神がかる力を要することができる。
例外)超える能力を除く
4日目、関係。
大原、復活。なお安静。
雷の世界はどこでも一緒ではあるが、意外と地球には少しだけ贔屓している。
世界の救世主に感謝するためだそう。
俺の予想は神々の対戦が影響していると思われる。
風の世界は地球と火の世界との貿易を中心にしている。
地球とは食べ物等の物々交換。
火の世界とは、風が鉱石を、火がそれを武器にする。
スポンサーみたいな感じで構成している。
闇は今のところ雷の世界としか貿易をしていない。
魔王軍はおそらく雷の世界には攻撃は仕掛けてこない。
理由は、雷の世界が闇の世界に攻めてくるから。
光の世界は雷、そして地球のヨーロッパ諸国中心に貿易している。
内容はゴミだから割愛。
おそらく、バ〇ブ、とか買っているんだろ!と賢者様がガチギレしていた。
間違いなくゴミなのがわかる。
5日目。武力。
エノス団長も見舞いに来てくれた。
そこで、魔王軍の「惨劇の愚者」についての情報が手に入ったと報告。
そして、龍を操れたのはそのもの達の一人、ミスターOが協力したからだという。
神谷の巫女の疑いは晴れたのだ。
それと同時に、属性龍の救出を賢者に報告した。
雷の属性龍は、ギルドと光の使者の協力の元救出した。
そして、風の属性龍は、マスターブレイブとその弟子の二人で救出したと報告された。
ありえない。いくらなんだって、二人であの龍を救うことができるなんて。
後に分かることだが、雷の属性龍は龍の中でも一番強いと言われている。
このように、風の世界では属性龍と、マスターブレイブによって牽制されている。
雷ではライトニング家が。
闇の世界では魔王が。
光にはリュナミス家が。
強い武力を持っていないのは、火と地球。
6日目、休憩。これも割愛。
作者、単体で書きたいため。
7日目、軽く動きを確かめ入院生活を終える。
と思われていた…。
「ねぇ、お兄ちゃん達何してるの?」
そう言って見てきたのは入院服を着ていた女の子だった。
時は3日目の時。
雷の世界の歴史について話していた時だった。
「俺たちは少し勉強してるんだ。」と龍也が対応した。
「べんきょー?」
「そう、だからお兄ちゃん達頑張ってるお兄ちゃんと遊びに行こうか。」
とその場を後にした。
「少しボリューム落とすか。」
「程よくお願いします。」
「お兄ちゃんおっきいねー。いつかわたしも大きくなるのかなぁ。」
と院内を歩く少女と龍也。
「沢山食べれば大きくなるよ。」
とありきたりな言葉で返した。
「…うん…そうだね。」
と子供ながらにしんみりとした返事を返す。
龍也はそれに疑問視していると、「こらイリマちゃん、勝手に出ちゃいけないでしょ!」
と看護師に怒られた。
「すみません。イリマちゃんを見つけてくれてありがとうございます。」
「い、いえそんな。」
「ほらいきますよ。」
と何も言わずに病室への道へと向かって行った。
アリサの授業が終わり、龍也と麗華とアリサは鍛錬に励んでいた。
アリサは魔力になれるため。龍也は流との剣舞の新技の開発。麗華は神谷転生のアレンジおよび新技を探していた。
「そういえば、あの子魔力が変だったんだよなぁ。」
とアリサがこぼす。
「変?」
「そう、色々混ざってるというかなんか、不自然なんだよなぁ。」
「そういう病気か?」
「かもね。あたしは疎いからわからんけど、院長に聞いてみれば分かるんじゃないか?」
「…」
4日目、龍也は院長室へ足を運んでいた。
「魔力混結症?」
と言われた。
「はい、これは病気というよりかは、個性に近いです。魔力には属性があり、体内では無意識に属性はそれぞれの部屋に分けられています。この子の場合、風と火の属性が混ざってしまっています。」
とモニターで分かりやすく説明してくれる。
「これの何がまずいので?」
「体内から二つの魔力が増幅し最悪の場合…」
「耐えきれずに…」
「というわけなんです。」
…マジか、そんな最悪なものがあるだなんて。
「この個性になってしまった人たちは、大抵耐え切れてはいません。ですが、それを乗り越えた人も中にはいます。」
モニターが変わる。
「それは二つの属性を一つにすることと、自身の魔力を使いながら二つに分けることです。」
「二つの属性を一つに?」
「はい、まずは魔力を使いながら二つに分ける。これはイメージによる治療です。風と炎の魔力を交互に出していき、脳が身体にこう分けろと指示ができることによって乗り越えること。」
「そして、二つの属性を一つにすることは新たな属性を自分の身に宿すのです。」
「新たな属性…」
「例えるなら、エノス団長の気を操る能力に似ていますね。あれはタイプは違えど、自身の気力を魔力にしていますからね。二つの能力を合わせることによって、水と風なら、氷の属性を生み出すことに成功した例があります。」
「そんなことが出来るのか…」
「しかし、どちらもあの子には難しい。」
「何故です?」
「幼いからですよ。」
「なぜ大半が耐えられないのかというと、生まれて間もない子が5つになるまでに耐えられないからです。そして、幼い子供は魔力を理解出来てはいない。乗り越えられたのは、子供ながらに頑張っていた子達だけです。」
「なら、院長はあの子が頑張っていないとでも?」
「失言でした。しかし、それが現実なのです。」
「分かりました。教えてくださりありがとうございました。」
「いえ、私たちも全力を尽くします。」
そうして、院長室を後にした。
そのことをアリサに相談すると、「大原ならいけんべ。」と軽々しく言った。
「そ、そんな軽く…」
「まさか、理由があって言ってるんだよ。まぁ少なくとも、大原が完全に復活するまで耐えてもらわないとな。」
7日目。
「よし!魔力も戻った!体もよく動くし良い休暇だったあ!」
そして、達也の方に向き直る。
「行くか。」
「ああ。」
そうして一つの病室へと向かう。
「あ、お兄ちゃん…たち?」
「君がイリマちゃん?」
「そ、そうだよ?」
「よし、院長から許可は得られてる、無風の夜叉の人も協力しろよ?」
「もちろんだ。」
「まさか、暗殺者が対象を殺すのではなく、助ける側にまわるとは。」
「文句言わないでください、ダイナさん」
「失敬。何も慣れていないものですから。」
病院近くの庭に出る。
そうして大原を中心に円形になる。
「始めるよ」
全員が頷く。
大原はイリマの胸に手を当て、そのまま魔力を取り出した。
荒れ狂う風と燃え盛る火が対立を起こしているように生成されていた。
「これがこの子の中に!」
「急ぐぞ時間がない!」
死を悟る目を発動させる。
それぞれ、魔力が絡まっているところを殺していく。
そして、風と火が分けられる瞬間があった。
「ふっ!」
それを麗華の能力、衝撃波で風の魔力を吹き飛ばす。
大原は即座にイリマに火の魔力を取り入れる。
吹っ飛ばされた魔力はアリサによって支えられ、大原はそれを取り出して、イリマに返していった。
すぐさま、院長に診てもらうと、「か、完治している…」
と安堵しながら言った。
「ありがとうお兄ちゃん達‼︎」
イリマは笑顔で感謝してくれた。
「本当に何やら何まで。」
と院長も感謝してくれた。
「当然のことをしたまでよお。」
「こういうのは俺たちの仕事じゃないんだけどな。」
「お兄ちゃん達は私にとってのヒーローと同じだね!」
と返した。
「じゃーねーお兄ちゃん達!」
と再び病室へ戻っていった。
「こういうのもたまにはいんじゃないか?」
とキラーズの肩を叩く。
そうして、院長に見送られながらその場を後にした。
「ボス、私たちも帰りましょう。きっと私たちにも、感謝される仕事もできると思いますよ。時間は…かかるでしょうがね。」
そうして、無風の夜叉の面々もその場を去っていった。
キラーズの目には涙が溢れ出ていて、それを見た者たちは、ただひたすらに涙が溢れるのを耐えながら、アジトへと戻っていった。
まずは服を脱がせてもらい、ついでにトイレにも行かせてもらった。
感覚がないので難しいかなと思ったが、簡易的な魔力の通り道をつくってもらい、院長や看護師さんの魔力を使って物を出した。
老後の生活みたいだった。
その途中でユナさんがきて、困惑そして赤面。
恥ずかちぃ恥ずかちぃ。
服を着せてもらって、再び寝っ転がる。
そして、治療が始まる。
と言っても簡単なことだった。
俺の体に魔力を流し込むだけであった。
見舞いに来たユナさん達の魔力を俺に流し込んで治療は終了。
これを後2日やるそうだ。
談笑していると、点滴を打ちながら来た、サルヴァを筆頭に、無風の夜叉の面々がゾロゾロと来た。
院長からギルドに通して伝えたらしい。
そして、サルヴァ以外のメンバーが俺たちに向かってジャパニーズドゲザ。
謝罪とユナをよろしく頼むと言われた。
こっちが勝手に乗り込んだから間違いなくこっちに非があると言っても、いやいや、いやいやの繰り返しだった。
最終的には、ユナの思いを踏み躙る様なことがあれば処すと言われた。
父親が沢山いるみたいだ。
昼食は、ユナさん達に食べさせてもらった。
みんなから赤ちゃん言葉で接しられた。
屈辱だ。殺してやりたかった。切実に。
後、ユナさんは性格バグってしまっていた。
それを大原は母性の暴走だと勘違いしていた。
因みに無風の夜叉の面々は微笑ましい顔をして見ていた。
お父さん、僕食べれたよ。えらい?
午後からは賢者様も来て、見舞いの品は魔力をあげるとそうはならんやろ、とツッコミつつも分け与えてもらった。
これにより片腕が動くようになった。
片腕だけなら魔力も通る。
抵抗出来るかも。
せっかく賢者様も来てもらったので、この世界の事や他の世界のこととかの知識を深めようと、賢者式授業で始まった。
それぞれの授業に担当の先生が着くこととなった。
風の担当は神谷麗華。副担当キラーズ・リントン、サルヴァ・リントン。
雷の担当はアリサ・ライトニング。
闇の担当はユナ・アルシュタ。
その他を賢者、アリシア・リンドー。
計六名の担当が俺に教えてくれる。
ここからはダイジェストでいこう。
細かいところは、次に出すので勘弁してください。
お願いしますなんでも…(なんでもするとは言って()
2日目、地理
風の世界には六つの区間に分かれているらしい。
まずは最初に訪れた街、エセリアル。
ウオラ屋がある街、ブリーズ。
神谷の巫女が中心の街、ミラール。
ギルドがある街、エウロス。
賢者様がいる、マヨヒガ。
そして、剣豪大会が行われる街、セレスティアル。
この六つの区間で分かれているらしい。
雷の世界は中立の世界。どこの世界にも加担するし、貿易も盛んな街。
六つの世界の中で一番豊かな国である。
中心部にライトニング家が所有する都市、ライトニングがある。
その周りを囲む様に、四つの主な街がある。
工業のトレノ。
研究のトルス。
科学部族の住む、ナム。
そして、発電所が集まる、ダイナモ。
がある。
闇の世界では、魔王城が国の中心であり、その他の地域は貧しい人々が多々いるらしい。
中心部の名はデスペアー。
光の世界は屑ばっかと覚えるだけで良い。
たまに光の使者の様な規律正しい子もいる。
火の世界は、鍛冶屋の街として知られる。
広大な地下都市を形成している。
地上は、温度が高く、火山地帯が多い。
四季はない。
3日目、歴史割愛。全て次の回にてまとめさせる。
リリースカードについて。
リリースカードとは、神々の対戦が行われた際、初代神谷の巫女が行ったとされる禁術。
リリースカードを使用する際、自身の何かを犠牲にしなければならない。
今回の場合、キラーズは片目と嗅覚を犠牲にした。
対価によって、その効果に差がある。
しかし大抵は、神がかる力を要することができる。
例外)超える能力を除く
4日目、関係。
大原、復活。なお安静。
雷の世界はどこでも一緒ではあるが、意外と地球には少しだけ贔屓している。
世界の救世主に感謝するためだそう。
俺の予想は神々の対戦が影響していると思われる。
風の世界は地球と火の世界との貿易を中心にしている。
地球とは食べ物等の物々交換。
火の世界とは、風が鉱石を、火がそれを武器にする。
スポンサーみたいな感じで構成している。
闇は今のところ雷の世界としか貿易をしていない。
魔王軍はおそらく雷の世界には攻撃は仕掛けてこない。
理由は、雷の世界が闇の世界に攻めてくるから。
光の世界は雷、そして地球のヨーロッパ諸国中心に貿易している。
内容はゴミだから割愛。
おそらく、バ〇ブ、とか買っているんだろ!と賢者様がガチギレしていた。
間違いなくゴミなのがわかる。
5日目。武力。
エノス団長も見舞いに来てくれた。
そこで、魔王軍の「惨劇の愚者」についての情報が手に入ったと報告。
そして、龍を操れたのはそのもの達の一人、ミスターOが協力したからだという。
神谷の巫女の疑いは晴れたのだ。
それと同時に、属性龍の救出を賢者に報告した。
雷の属性龍は、ギルドと光の使者の協力の元救出した。
そして、風の属性龍は、マスターブレイブとその弟子の二人で救出したと報告された。
ありえない。いくらなんだって、二人であの龍を救うことができるなんて。
後に分かることだが、雷の属性龍は龍の中でも一番強いと言われている。
このように、風の世界では属性龍と、マスターブレイブによって牽制されている。
雷ではライトニング家が。
闇の世界では魔王が。
光にはリュナミス家が。
強い武力を持っていないのは、火と地球。
6日目、休憩。これも割愛。
作者、単体で書きたいため。
7日目、軽く動きを確かめ入院生活を終える。
と思われていた…。
「ねぇ、お兄ちゃん達何してるの?」
そう言って見てきたのは入院服を着ていた女の子だった。
時は3日目の時。
雷の世界の歴史について話していた時だった。
「俺たちは少し勉強してるんだ。」と龍也が対応した。
「べんきょー?」
「そう、だからお兄ちゃん達頑張ってるお兄ちゃんと遊びに行こうか。」
とその場を後にした。
「少しボリューム落とすか。」
「程よくお願いします。」
「お兄ちゃんおっきいねー。いつかわたしも大きくなるのかなぁ。」
と院内を歩く少女と龍也。
「沢山食べれば大きくなるよ。」
とありきたりな言葉で返した。
「…うん…そうだね。」
と子供ながらにしんみりとした返事を返す。
龍也はそれに疑問視していると、「こらイリマちゃん、勝手に出ちゃいけないでしょ!」
と看護師に怒られた。
「すみません。イリマちゃんを見つけてくれてありがとうございます。」
「い、いえそんな。」
「ほらいきますよ。」
と何も言わずに病室への道へと向かって行った。
アリサの授業が終わり、龍也と麗華とアリサは鍛錬に励んでいた。
アリサは魔力になれるため。龍也は流との剣舞の新技の開発。麗華は神谷転生のアレンジおよび新技を探していた。
「そういえば、あの子魔力が変だったんだよなぁ。」
とアリサがこぼす。
「変?」
「そう、色々混ざってるというかなんか、不自然なんだよなぁ。」
「そういう病気か?」
「かもね。あたしは疎いからわからんけど、院長に聞いてみれば分かるんじゃないか?」
「…」
4日目、龍也は院長室へ足を運んでいた。
「魔力混結症?」
と言われた。
「はい、これは病気というよりかは、個性に近いです。魔力には属性があり、体内では無意識に属性はそれぞれの部屋に分けられています。この子の場合、風と火の属性が混ざってしまっています。」
とモニターで分かりやすく説明してくれる。
「これの何がまずいので?」
「体内から二つの魔力が増幅し最悪の場合…」
「耐えきれずに…」
「というわけなんです。」
…マジか、そんな最悪なものがあるだなんて。
「この個性になってしまった人たちは、大抵耐え切れてはいません。ですが、それを乗り越えた人も中にはいます。」
モニターが変わる。
「それは二つの属性を一つにすることと、自身の魔力を使いながら二つに分けることです。」
「二つの属性を一つに?」
「はい、まずは魔力を使いながら二つに分ける。これはイメージによる治療です。風と炎の魔力を交互に出していき、脳が身体にこう分けろと指示ができることによって乗り越えること。」
「そして、二つの属性を一つにすることは新たな属性を自分の身に宿すのです。」
「新たな属性…」
「例えるなら、エノス団長の気を操る能力に似ていますね。あれはタイプは違えど、自身の気力を魔力にしていますからね。二つの能力を合わせることによって、水と風なら、氷の属性を生み出すことに成功した例があります。」
「そんなことが出来るのか…」
「しかし、どちらもあの子には難しい。」
「何故です?」
「幼いからですよ。」
「なぜ大半が耐えられないのかというと、生まれて間もない子が5つになるまでに耐えられないからです。そして、幼い子供は魔力を理解出来てはいない。乗り越えられたのは、子供ながらに頑張っていた子達だけです。」
「なら、院長はあの子が頑張っていないとでも?」
「失言でした。しかし、それが現実なのです。」
「分かりました。教えてくださりありがとうございました。」
「いえ、私たちも全力を尽くします。」
そうして、院長室を後にした。
そのことをアリサに相談すると、「大原ならいけんべ。」と軽々しく言った。
「そ、そんな軽く…」
「まさか、理由があって言ってるんだよ。まぁ少なくとも、大原が完全に復活するまで耐えてもらわないとな。」
7日目。
「よし!魔力も戻った!体もよく動くし良い休暇だったあ!」
そして、達也の方に向き直る。
「行くか。」
「ああ。」
そうして一つの病室へと向かう。
「あ、お兄ちゃん…たち?」
「君がイリマちゃん?」
「そ、そうだよ?」
「よし、院長から許可は得られてる、無風の夜叉の人も協力しろよ?」
「もちろんだ。」
「まさか、暗殺者が対象を殺すのではなく、助ける側にまわるとは。」
「文句言わないでください、ダイナさん」
「失敬。何も慣れていないものですから。」
病院近くの庭に出る。
そうして大原を中心に円形になる。
「始めるよ」
全員が頷く。
大原はイリマの胸に手を当て、そのまま魔力を取り出した。
荒れ狂う風と燃え盛る火が対立を起こしているように生成されていた。
「これがこの子の中に!」
「急ぐぞ時間がない!」
死を悟る目を発動させる。
それぞれ、魔力が絡まっているところを殺していく。
そして、風と火が分けられる瞬間があった。
「ふっ!」
それを麗華の能力、衝撃波で風の魔力を吹き飛ばす。
大原は即座にイリマに火の魔力を取り入れる。
吹っ飛ばされた魔力はアリサによって支えられ、大原はそれを取り出して、イリマに返していった。
すぐさま、院長に診てもらうと、「か、完治している…」
と安堵しながら言った。
「ありがとうお兄ちゃん達‼︎」
イリマは笑顔で感謝してくれた。
「本当に何やら何まで。」
と院長も感謝してくれた。
「当然のことをしたまでよお。」
「こういうのは俺たちの仕事じゃないんだけどな。」
「お兄ちゃん達は私にとってのヒーローと同じだね!」
と返した。
「じゃーねーお兄ちゃん達!」
と再び病室へ戻っていった。
「こういうのもたまにはいんじゃないか?」
とキラーズの肩を叩く。
そうして、院長に見送られながらその場を後にした。
「ボス、私たちも帰りましょう。きっと私たちにも、感謝される仕事もできると思いますよ。時間は…かかるでしょうがね。」
そうして、無風の夜叉の面々もその場を去っていった。
キラーズの目には涙が溢れ出ていて、それを見た者たちは、ただひたすらに涙が溢れるのを耐えながら、アジトへと戻っていった。
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孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
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独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
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