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第一章 風の世界<フーリアスター>仲間集め編
17.火の試練その四
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また、ここにきたのか。ってことは…。
「慣れてきたようだな」
魂の炎のようなものが揺らめいている。
こんなのなかったよね?
「我の姿が違うのは恐らくだが、我がお主の身体に馴染んできた証だと考えている。」
難儀なものだね。まぁ姿形がどうであれ、ここに連れてきたのには意味があるんだろ?
「今は無理だが、この体に馴染んだ時、我がここで鍛えてやろうと思ってな。」
ありがたい限りだけど、その話は後でいいんじゃないか?俺に伝えたい話ではあったんだろうけど、本題じゃないだろ?
「この体の主人だからか、お見通しというわけか。何我の話し相手になって欲しいのと、忠告をしておこうと思ってな。」
忠告、逆らったら怖そうだ。
「はは、何簡単なことよ。我の能力の使用頻度についてだ。」
能力。俺に使えるのかなそれ。
「やはり無意識か、まぁいい。我の能力の全容を教えよう。そこから、制限時間の話をしよう。」
と俺はあぐらをかきながら時間の概念もないような空間で話をした。
「っと、ここまでのようだな。また、気絶したら来るがいい。」
気絶したら強制的に来させるようにしてますよね?後、ちゃんと片付けてくださいね。
「ほい。終わりじゃ。」
と、ぐちゃぐちゃになっていた場所が一瞬にして、何も無くなった。
精神世界最強~。とともに、現代に戻る。
目が覚める。体は軽い。良好のようだ。
「あ、おはようございます。大原さん。」
とただ冷静に挨拶をされる。
「あ、はい、おはようございます。ユナさん。どのくらい寝てました?」と聞くと、一日中寝てましたね、と教えてくれた。
「今、皆さんをお呼びしますね。」
と席を立とうとするユナさんに少し聞きたいことがあってつい、服の裾を摘んでしまった。
「?どうしました。」
「え、いや、あの…」
自分のした行動に恥ずかしくなりながらも、聞いてみた。
「属性龍はどうなりましたか?」
と問いかける。
「結論から申し上げると、助かりました。それ込みで、皆さんをお呼びしますね。」
と部屋を出て行く。
そっか、救えたんだ。少しほっとした。
体を起こそうとするが、起こせない。
あれ?なんでだ?と一瞬パニックになるが、能力の副作用だということを思い出した。
そんな葛藤をしていたら、ドアが開いた。
「お、みんな生きてたんだ。」
と、皮肉めいたことを言ってみる。
「コイツ最低だな!」
「皮肉を言える元気があるなら、今からでもいけるのではないか?アリサよ。」
「ムカつくしそうするか。」
と俺の体を無理矢理起こして、ルミナさんの紙の絨毯に乗せられた。
「え?ちょっと、これどこ行くの?」
と聞くと、ニヤニヤしながら、手の甲を見せながら、「火の試練」と、龍のような紋様を見せながら言った。
「アリサさ、魔力増えてないか?」
洞窟までの道のりでそんなことを聞いてみる。
「ああ、それな。昨日ミーナさんに調査してもらったんだけど、あたしの魔力量に制限がかけられてるらしくて。」
制限。俺のリストバンドみたいなものか?
「このリストバンドは、アリサの中にあるものを参考にして作ったから、すぐに分かったよ。」
とミーナが説明する。
ミーナ曰く、魔力監獄という、魔力量に制限をかけることが誰にでも出来るらしい。主に使う理由についてだが、強くないと示すために使われるらしい。
「どんなところでも、強い力っていうのは怖いものさ。それが子供に宿っているんだからな。」
なるほど、生まれたばかりの時に、強力な魔力弾を放ったりしたらやばいからな。ということは、「アリサは、元々やばい魔力量の持ち主ってことか?」
と聞くと、頷く。
「解除する方法は、かけた側の条件を満たせば解除できる。ただそれが知らされることはそうそう無い。」
「パスワードみたいなものか。」
「それがわかりやすい。んで、その一つを火の試練で解除したわけだ。」
と、説明し終わると、アリサが強くなったことをアピールするために、胸を張っている。胸ないのに。
「ああ?」「ひっ!いやよかったぁ!その一つを解除できて!」と回避した。何この子、心読めるの?魔力だけじゃなくて?
と自分が言ったことに疑問を持った。
「その一つ?ってことはまだあると?」
「そうそう、聞いて驚くなよ。なんとまだ約十分の一の魔力量しか解除出来てませーん!」
は?十分の一?
「今なんぼ?」「2万3000」最低でも、23万はいくって事か。
「…マジヤバくね。」「マジヤバ」
「この者にとって、魔力が二万は多く感じるのに、まだ先があるんだから、最弱の汚名は返上だな。」
「辞めてくれよ、褒められるのは慣れてないんだ…。」
と綺麗な声で言われる。
「まぁ、解除出来ればですから、もしかしたら一生解除出来ないかもですし。」
とユナさんは冷静に事実という刃をアリサにたたみかける。
アリサは、チーンとしながら付いてくる。
話を終え少しすると、洞窟前の集落にたどり着いた。
そこに広がっていたのは、復興作業をする人達の姿だった。
ゴーストタウンのような集落だったのが、今では人々の活気で溢れている。
「あ、もしかして…、黄色の髪をした小さな女の子と、威圧感のある3人組と、ノッポの子、貴方達が、龍神様を救ってくれたのですね。」
と、女の人に感謝された。それを発端に、集落の人々が続々とこちらに集まってくる。
「龍神様を救ってくれてありがとう!」
「どうやって助けたんだ!」
「おい!誰かお礼の品を持ってこい!」
「お供物しかねぇ!」
「いんだよ!この人たちは俺たちとっても龍神様と同じようなもんよ!」
と、色々されそうになる。
「おい、そいつらは龍神様に用があるんだ、邪魔しちゃ悪いだろ!」と、屋根上から声がする。
人々はそれを聞くと通してくれて、声をした方向を見ると、見知った人がいた。
「あ!ウオラさん!」
「よお、色々話したいことはあるが、まずはやること終わらせてこい!その後、めちゃくちゃに手伝って貰うからな!」
と復興作業に参加決定させられた。
そんなこんなで、洞窟に入って行く。
と同時に考えたことは、アリサの解除の条件ってなんだったんだろうということだった。
「きたか、我が結界を破壊した者よ。」
喋った⁉︎なんで生き物喋れるの⁉︎ と声の方向に目を向ける。 今回は結界も何もなく、本体のまま佇む。
攻撃の意思がなくてもこの威圧感。崇められるのもわかる。
俺は、グリムに支えられなんとか目の前まで来れた。
「汝には感謝している。囚われの我を、助けてくれたのだからな。」
感謝された。それを言いたいがために、俺をここまで連れて…。
「だが、それと試練とは、なんら関係はない。」
「試練…。」
「そう、我の質問に答えてもらおう、返答しだいで龍の証を授けるか否かを判断する。」
龍の証?と疑問に思うと、グリムが手の甲を見せてくる。なるほど、行く前に見た物を手に入れるための試練か…。
「では…行く」「いらないです」
「「「は!?」」」
「え?いらないの?」と龍神が困惑してる。
「これいらないとか何言ってんのお前!」
「そうだぞ!これは普通に試練を受けられないかもしれないんだぞ!」
「大原さん、流石にこれは受けた方がいいです。」
ええ…。そこまでいうか。
「だって試練めんどくない?みんなが持ってるなら俺無くても大丈夫じゃん。」
と理由を話すと、みんな口を閉じれていなかった。
ユナさんも普通に驚いた表情をしていた。ちょと可愛いと思ってしまったのは内緒。
「めんどくさいって…めんどくさいって…」
「龍神がいじけたぞ」
「これ集落の人達に見られたら殺されるぞ!」
「やって後悔しようぜ?な?」
後悔される前提かよ。
「…わかりました、そこまで言うなら受けますよ。」
「では、始めよう。」
立ち直りはえーなおい。
「演技だな」「龍って演技できるんだ」
「もしかして精神攻撃したらもっと楽に…」
「嘘だろ…」
「我が問うのは、自分とっての熱とは何かだ。」
「熱…?」
「そうだ、人には様々な熱というものがある。継続する者、考える者、決意を抱く者、それぞれの人には等しく熱というものがある。汝にとって、熱とはなんだ。」
熱…熱意とも取れるそれは俺にとってどんなものだろう。自分の左手を見る。そして、支えられている右を見る。きっと、自分なりの答えでいい筈だ。なら言ってみよう、これで不合格でも、あまりダメージはない。
「俺にとっての熱は、繋がりだと思います。」
「ほう、繋がりとな。一見なんら関係はないと思うが、申してみよ。」
「はい、何故繋がりが熱と言えるか、それは全てに対応している言葉がそれだったからです。例えば、熱があるかどうか確かめるためには体温計で測ると思うのですが、それをするためにはまずは自分で自分の額に手をおいて判断すると思うのです。手と額の繋がりがあるのです。」
「それではなんら関係が…」
「あるんですよそれが。今こうやって俺が支えられているのも、貴方にこうやって伝えているのも、全てが熱だ。体から通して伝わる熱、自分なりの熱意を伝えられるのも、縁あってのものだと思うんです。こういう、人と人との繋がりという熱を、俺は大切にしていきたい。守っていきたいと思うのです。」
「これが俺の答えです。」
「ほう、なるほどな」
と全てを聞くと、龍神は目を閉じた。
「俺は、コイツらみたいな、暖かな空間をみんなに大切にしてほしいと思う!だって、笑いあえるところってなんか熱を帯びてるし、繋がってる感じがするだろ?」
「意志は継がれるのか。」
「?」
「繋がり、確かに手と手を取り合って生きている人の子には、必要な熱だろう。手を出せ。人の子よ。」
「呼びにくいのでは?その呼び方。大原将希。そう親に名付けられました。」
「では、大原よ、手を…」
と言われたので、グータッチする様に差し出す。
すると、手の甲から、燃えるような衝撃が走る。
手の甲からみんなと同じ紋様が浮かび上がってきた。
「つまりこれは…」
「合格だ。我の力存分に使うが良い。」
「よかったな!」「まぁ、良い理由だったな」
「全部の意見をまとめられた感がすごいな」
「ですね」「やっぱりこの人は…」
「本当にそんなこと思っているのかねー」
「失礼だぞそれは!」
と喜びを讃えあっていると。
おほん、と龍神様がこちらを向けと言わんばかりの圧をかけてくる。
「龍の証について説明しておく。」
と、長くなるので用意されていた出っ張りに座る。
「その効果は、火属性の追加もしくは、火属性を持つものは威力上昇が主なところだろう。龍の証がある方の手に魔力を込めると発動出来る。威力の上昇は魔力を10使うと、威力が100になるほどだろう。」
「10倍も…!」
「龍の証の主な仕様はそんなものだろう。続いて細かい仕様だが、この話は必要であるか?ミーナよ。」
「必要ないです。私がその時になった時に説明すればいいでしょう。」
「とのことだ。龍の証については、我より、ミーナに聞く方がいいだろう。さて、この説明は早く終わったが、汝らが聞きたいのは我自身の事だろう。」
「教えて下さい。何故、龍神様達が操られてしまったのか。」
そうして、何故操られたのかの真実が語られる。
「慣れてきたようだな」
魂の炎のようなものが揺らめいている。
こんなのなかったよね?
「我の姿が違うのは恐らくだが、我がお主の身体に馴染んできた証だと考えている。」
難儀なものだね。まぁ姿形がどうであれ、ここに連れてきたのには意味があるんだろ?
「今は無理だが、この体に馴染んだ時、我がここで鍛えてやろうと思ってな。」
ありがたい限りだけど、その話は後でいいんじゃないか?俺に伝えたい話ではあったんだろうけど、本題じゃないだろ?
「この体の主人だからか、お見通しというわけか。何我の話し相手になって欲しいのと、忠告をしておこうと思ってな。」
忠告、逆らったら怖そうだ。
「はは、何簡単なことよ。我の能力の使用頻度についてだ。」
能力。俺に使えるのかなそれ。
「やはり無意識か、まぁいい。我の能力の全容を教えよう。そこから、制限時間の話をしよう。」
と俺はあぐらをかきながら時間の概念もないような空間で話をした。
「っと、ここまでのようだな。また、気絶したら来るがいい。」
気絶したら強制的に来させるようにしてますよね?後、ちゃんと片付けてくださいね。
「ほい。終わりじゃ。」
と、ぐちゃぐちゃになっていた場所が一瞬にして、何も無くなった。
精神世界最強~。とともに、現代に戻る。
目が覚める。体は軽い。良好のようだ。
「あ、おはようございます。大原さん。」
とただ冷静に挨拶をされる。
「あ、はい、おはようございます。ユナさん。どのくらい寝てました?」と聞くと、一日中寝てましたね、と教えてくれた。
「今、皆さんをお呼びしますね。」
と席を立とうとするユナさんに少し聞きたいことがあってつい、服の裾を摘んでしまった。
「?どうしました。」
「え、いや、あの…」
自分のした行動に恥ずかしくなりながらも、聞いてみた。
「属性龍はどうなりましたか?」
と問いかける。
「結論から申し上げると、助かりました。それ込みで、皆さんをお呼びしますね。」
と部屋を出て行く。
そっか、救えたんだ。少しほっとした。
体を起こそうとするが、起こせない。
あれ?なんでだ?と一瞬パニックになるが、能力の副作用だということを思い出した。
そんな葛藤をしていたら、ドアが開いた。
「お、みんな生きてたんだ。」
と、皮肉めいたことを言ってみる。
「コイツ最低だな!」
「皮肉を言える元気があるなら、今からでもいけるのではないか?アリサよ。」
「ムカつくしそうするか。」
と俺の体を無理矢理起こして、ルミナさんの紙の絨毯に乗せられた。
「え?ちょっと、これどこ行くの?」
と聞くと、ニヤニヤしながら、手の甲を見せながら、「火の試練」と、龍のような紋様を見せながら言った。
「アリサさ、魔力増えてないか?」
洞窟までの道のりでそんなことを聞いてみる。
「ああ、それな。昨日ミーナさんに調査してもらったんだけど、あたしの魔力量に制限がかけられてるらしくて。」
制限。俺のリストバンドみたいなものか?
「このリストバンドは、アリサの中にあるものを参考にして作ったから、すぐに分かったよ。」
とミーナが説明する。
ミーナ曰く、魔力監獄という、魔力量に制限をかけることが誰にでも出来るらしい。主に使う理由についてだが、強くないと示すために使われるらしい。
「どんなところでも、強い力っていうのは怖いものさ。それが子供に宿っているんだからな。」
なるほど、生まれたばかりの時に、強力な魔力弾を放ったりしたらやばいからな。ということは、「アリサは、元々やばい魔力量の持ち主ってことか?」
と聞くと、頷く。
「解除する方法は、かけた側の条件を満たせば解除できる。ただそれが知らされることはそうそう無い。」
「パスワードみたいなものか。」
「それがわかりやすい。んで、その一つを火の試練で解除したわけだ。」
と、説明し終わると、アリサが強くなったことをアピールするために、胸を張っている。胸ないのに。
「ああ?」「ひっ!いやよかったぁ!その一つを解除できて!」と回避した。何この子、心読めるの?魔力だけじゃなくて?
と自分が言ったことに疑問を持った。
「その一つ?ってことはまだあると?」
「そうそう、聞いて驚くなよ。なんとまだ約十分の一の魔力量しか解除出来てませーん!」
は?十分の一?
「今なんぼ?」「2万3000」最低でも、23万はいくって事か。
「…マジヤバくね。」「マジヤバ」
「この者にとって、魔力が二万は多く感じるのに、まだ先があるんだから、最弱の汚名は返上だな。」
「辞めてくれよ、褒められるのは慣れてないんだ…。」
と綺麗な声で言われる。
「まぁ、解除出来ればですから、もしかしたら一生解除出来ないかもですし。」
とユナさんは冷静に事実という刃をアリサにたたみかける。
アリサは、チーンとしながら付いてくる。
話を終え少しすると、洞窟前の集落にたどり着いた。
そこに広がっていたのは、復興作業をする人達の姿だった。
ゴーストタウンのような集落だったのが、今では人々の活気で溢れている。
「あ、もしかして…、黄色の髪をした小さな女の子と、威圧感のある3人組と、ノッポの子、貴方達が、龍神様を救ってくれたのですね。」
と、女の人に感謝された。それを発端に、集落の人々が続々とこちらに集まってくる。
「龍神様を救ってくれてありがとう!」
「どうやって助けたんだ!」
「おい!誰かお礼の品を持ってこい!」
「お供物しかねぇ!」
「いんだよ!この人たちは俺たちとっても龍神様と同じようなもんよ!」
と、色々されそうになる。
「おい、そいつらは龍神様に用があるんだ、邪魔しちゃ悪いだろ!」と、屋根上から声がする。
人々はそれを聞くと通してくれて、声をした方向を見ると、見知った人がいた。
「あ!ウオラさん!」
「よお、色々話したいことはあるが、まずはやること終わらせてこい!その後、めちゃくちゃに手伝って貰うからな!」
と復興作業に参加決定させられた。
そんなこんなで、洞窟に入って行く。
と同時に考えたことは、アリサの解除の条件ってなんだったんだろうということだった。
「きたか、我が結界を破壊した者よ。」
喋った⁉︎なんで生き物喋れるの⁉︎ と声の方向に目を向ける。 今回は結界も何もなく、本体のまま佇む。
攻撃の意思がなくてもこの威圧感。崇められるのもわかる。
俺は、グリムに支えられなんとか目の前まで来れた。
「汝には感謝している。囚われの我を、助けてくれたのだからな。」
感謝された。それを言いたいがために、俺をここまで連れて…。
「だが、それと試練とは、なんら関係はない。」
「試練…。」
「そう、我の質問に答えてもらおう、返答しだいで龍の証を授けるか否かを判断する。」
龍の証?と疑問に思うと、グリムが手の甲を見せてくる。なるほど、行く前に見た物を手に入れるための試練か…。
「では…行く」「いらないです」
「「「は!?」」」
「え?いらないの?」と龍神が困惑してる。
「これいらないとか何言ってんのお前!」
「そうだぞ!これは普通に試練を受けられないかもしれないんだぞ!」
「大原さん、流石にこれは受けた方がいいです。」
ええ…。そこまでいうか。
「だって試練めんどくない?みんなが持ってるなら俺無くても大丈夫じゃん。」
と理由を話すと、みんな口を閉じれていなかった。
ユナさんも普通に驚いた表情をしていた。ちょと可愛いと思ってしまったのは内緒。
「めんどくさいって…めんどくさいって…」
「龍神がいじけたぞ」
「これ集落の人達に見られたら殺されるぞ!」
「やって後悔しようぜ?な?」
後悔される前提かよ。
「…わかりました、そこまで言うなら受けますよ。」
「では、始めよう。」
立ち直りはえーなおい。
「演技だな」「龍って演技できるんだ」
「もしかして精神攻撃したらもっと楽に…」
「嘘だろ…」
「我が問うのは、自分とっての熱とは何かだ。」
「熱…?」
「そうだ、人には様々な熱というものがある。継続する者、考える者、決意を抱く者、それぞれの人には等しく熱というものがある。汝にとって、熱とはなんだ。」
熱…熱意とも取れるそれは俺にとってどんなものだろう。自分の左手を見る。そして、支えられている右を見る。きっと、自分なりの答えでいい筈だ。なら言ってみよう、これで不合格でも、あまりダメージはない。
「俺にとっての熱は、繋がりだと思います。」
「ほう、繋がりとな。一見なんら関係はないと思うが、申してみよ。」
「はい、何故繋がりが熱と言えるか、それは全てに対応している言葉がそれだったからです。例えば、熱があるかどうか確かめるためには体温計で測ると思うのですが、それをするためにはまずは自分で自分の額に手をおいて判断すると思うのです。手と額の繋がりがあるのです。」
「それではなんら関係が…」
「あるんですよそれが。今こうやって俺が支えられているのも、貴方にこうやって伝えているのも、全てが熱だ。体から通して伝わる熱、自分なりの熱意を伝えられるのも、縁あってのものだと思うんです。こういう、人と人との繋がりという熱を、俺は大切にしていきたい。守っていきたいと思うのです。」
「これが俺の答えです。」
「ほう、なるほどな」
と全てを聞くと、龍神は目を閉じた。
「俺は、コイツらみたいな、暖かな空間をみんなに大切にしてほしいと思う!だって、笑いあえるところってなんか熱を帯びてるし、繋がってる感じがするだろ?」
「意志は継がれるのか。」
「?」
「繋がり、確かに手と手を取り合って生きている人の子には、必要な熱だろう。手を出せ。人の子よ。」
「呼びにくいのでは?その呼び方。大原将希。そう親に名付けられました。」
「では、大原よ、手を…」
と言われたので、グータッチする様に差し出す。
すると、手の甲から、燃えるような衝撃が走る。
手の甲からみんなと同じ紋様が浮かび上がってきた。
「つまりこれは…」
「合格だ。我の力存分に使うが良い。」
「よかったな!」「まぁ、良い理由だったな」
「全部の意見をまとめられた感がすごいな」
「ですね」「やっぱりこの人は…」
「本当にそんなこと思っているのかねー」
「失礼だぞそれは!」
と喜びを讃えあっていると。
おほん、と龍神様がこちらを向けと言わんばかりの圧をかけてくる。
「龍の証について説明しておく。」
と、長くなるので用意されていた出っ張りに座る。
「その効果は、火属性の追加もしくは、火属性を持つものは威力上昇が主なところだろう。龍の証がある方の手に魔力を込めると発動出来る。威力の上昇は魔力を10使うと、威力が100になるほどだろう。」
「10倍も…!」
「龍の証の主な仕様はそんなものだろう。続いて細かい仕様だが、この話は必要であるか?ミーナよ。」
「必要ないです。私がその時になった時に説明すればいいでしょう。」
「とのことだ。龍の証については、我より、ミーナに聞く方がいいだろう。さて、この説明は早く終わったが、汝らが聞きたいのは我自身の事だろう。」
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そうして、何故操られたのかの真実が語られる。
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