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序章 この世界を知る
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憂鬱な時を過ごしながら話を聞き、手を動かす。そんなことを繰り返すうちにチャイムがなる。
ホームルームを終え、帰る者、部活に行く者、遊びに行く者、さまざまな思惑が行動に現れる。俺、大原将希は部活には入ってはいるが、今日は休み。友達と帰ろうとするが、「ごめん、ちょっと職員室に用があってさ、先に帰っといて」と断られる。
そんなこんなで、俺は一人帰路を歩いていた。いつも通りの景色、いつも通りの賑わいこんな生活が続くと思っていた。
どすん、と大きな音が聞こえた。まるでまるで物が落ちたかのように。その音の方向に振り向いた時には遅かった。
硬く、大きな物に吹っ飛ばされた。そうこれは、一昔前の…。そうして俺は、転がりに転がって、意識を失っていった。
「……うっ…」と意識を取り戻す。周りを見ると、真っ暗な空間が目の前にあった。
地獄かと思ったが、手も足も身体の感覚もある。ならば、ここはどこなのか。
拉致監禁でもされているのだろうか。
そんなことを考えていると、急に光が差し込んできた。
「ふぅ、なんとか成功したわね。」
「こんなとんでも作戦は2度とごめんよ…。そもそも!こんな作戦!確率的にも論理的にも、何もかもが…!」
「まあまあ、成功したんだからいいじゃない。ねぇ?あなたもそう思うでしょう?」
…そこで話を振られても困る。なので、一番疑問に思っていたことを聞いてみる。
「あの、ここはどこなんでしょうか?」
そう聞くと二人はよくぞとばかりにこう返した。
「ここはあなたがいた世界とは違う世界。そして、あなたが来たこの世界は6つのうちの一つ…ようこそ、風の世界ヘ」
「風の…世界…。フーリアスター…?」
訳がわからない。異世界に転生したのか?
「そうよね…いきなりこういうこと言われても分からないわよね。ミーナ、説明っよっろしくぅ。」
ともう一人の方が俺に歩みよってくる。
「ご紹介に預かりました、ミーナ・シェルミル、と申します。あちらの無責任野郎はアルシア・リンドーと言い、一応この世界の賢者をやってます。」
一応とは何よー!と文句を言っているが気にも止めず、淡々と説明を続ける。
「この世界はあなた達の、地球とは違う世界と認識して構いません。この世界の話は後でも出来るので本題へ行きましょう。まずはこれを見てください。」そう言われ、ホログラムの方を見てみると、「…俺?」がベッドで寝ていた。
「説明致します。」とホログラムの映像が変わる。
「この世界のあなた、大原将希は魂だけの存在です。いわゆる、幽体離脱というものです。」幽体離脱…けれどやはり手に力も入るし、何も変わっていない。いや、変化を感じないだけなのだろうか。疑問に思っていると、ホログラムが変わり、説明を続ける。
「イメージは幽体離脱なだけであって、本物の肉体はこちらにもあると言うことです。」ということは、あの俺は…。「中身が何もないってこと?」そう問いただすと、ミーナという少女は、頷いてみせた。
「何故そのようなことが可能なのかというのは企業秘密というのが言われておりますので、そう言った質問はしないよう、お願いします。」と念を押された。
「でも、能力についてはいんじゃない?」と後ろから言ってみせた。確かに、と言った瞬間、バッグから丸い小さなものを取り出し、上にあるボタンを押すと、キーボードのようなものが浮き出てきた。高速、いや瞬足というべきか、それほどまでに、打ち続けている。
打ち続けて数分後、「よし、じゃあめんどいからよろしく」とアルシアに見せると…。パチンッと指で鳴らすと、文字がぎっしり書いてある紙が手元にきた。
(一体どうやって…?)と思っていると、「それは能力者ということを教える論文みたいなものです。」
能力つまり特化能力の上とこの紙に記載されている。「それを読めばなんとか理解できるでしょう。では私も眠いので、どんどんいきますね。」とホログラムに目を向ける。
「てか思ったけど、全部賢者様に任せればいいじゃない」と投げやりになった。そこからは、早かった。まとめていたものをさらにまとめ、一つの紙に収まるようにしてみせたのだ。「はい、じゃあ私は…寝る‼︎」
「う、うん。ごめんねー。明日まで静かにしてるわねー!」とミーナは足早にここを去っていった。
「さてと…私が説明してもいいけど、お腹空いてない?」と言われて、「まぁ、はい」と答える。「よし買い物をしながらこの世界を見ていきなさい。きっと驚くわ。」と手を差し出してくる。その手を掴み立ち上がると、「ではしゅっぱーつ」いいその場から消えた。
ホームルームを終え、帰る者、部活に行く者、遊びに行く者、さまざまな思惑が行動に現れる。俺、大原将希は部活には入ってはいるが、今日は休み。友達と帰ろうとするが、「ごめん、ちょっと職員室に用があってさ、先に帰っといて」と断られる。
そんなこんなで、俺は一人帰路を歩いていた。いつも通りの景色、いつも通りの賑わいこんな生活が続くと思っていた。
どすん、と大きな音が聞こえた。まるでまるで物が落ちたかのように。その音の方向に振り向いた時には遅かった。
硬く、大きな物に吹っ飛ばされた。そうこれは、一昔前の…。そうして俺は、転がりに転がって、意識を失っていった。
「……うっ…」と意識を取り戻す。周りを見ると、真っ暗な空間が目の前にあった。
地獄かと思ったが、手も足も身体の感覚もある。ならば、ここはどこなのか。
拉致監禁でもされているのだろうか。
そんなことを考えていると、急に光が差し込んできた。
「ふぅ、なんとか成功したわね。」
「こんなとんでも作戦は2度とごめんよ…。そもそも!こんな作戦!確率的にも論理的にも、何もかもが…!」
「まあまあ、成功したんだからいいじゃない。ねぇ?あなたもそう思うでしょう?」
…そこで話を振られても困る。なので、一番疑問に思っていたことを聞いてみる。
「あの、ここはどこなんでしょうか?」
そう聞くと二人はよくぞとばかりにこう返した。
「ここはあなたがいた世界とは違う世界。そして、あなたが来たこの世界は6つのうちの一つ…ようこそ、風の世界ヘ」
「風の…世界…。フーリアスター…?」
訳がわからない。異世界に転生したのか?
「そうよね…いきなりこういうこと言われても分からないわよね。ミーナ、説明っよっろしくぅ。」
ともう一人の方が俺に歩みよってくる。
「ご紹介に預かりました、ミーナ・シェルミル、と申します。あちらの無責任野郎はアルシア・リンドーと言い、一応この世界の賢者をやってます。」
一応とは何よー!と文句を言っているが気にも止めず、淡々と説明を続ける。
「この世界はあなた達の、地球とは違う世界と認識して構いません。この世界の話は後でも出来るので本題へ行きましょう。まずはこれを見てください。」そう言われ、ホログラムの方を見てみると、「…俺?」がベッドで寝ていた。
「説明致します。」とホログラムの映像が変わる。
「この世界のあなた、大原将希は魂だけの存在です。いわゆる、幽体離脱というものです。」幽体離脱…けれどやはり手に力も入るし、何も変わっていない。いや、変化を感じないだけなのだろうか。疑問に思っていると、ホログラムが変わり、説明を続ける。
「イメージは幽体離脱なだけであって、本物の肉体はこちらにもあると言うことです。」ということは、あの俺は…。「中身が何もないってこと?」そう問いただすと、ミーナという少女は、頷いてみせた。
「何故そのようなことが可能なのかというのは企業秘密というのが言われておりますので、そう言った質問はしないよう、お願いします。」と念を押された。
「でも、能力についてはいんじゃない?」と後ろから言ってみせた。確かに、と言った瞬間、バッグから丸い小さなものを取り出し、上にあるボタンを押すと、キーボードのようなものが浮き出てきた。高速、いや瞬足というべきか、それほどまでに、打ち続けている。
打ち続けて数分後、「よし、じゃあめんどいからよろしく」とアルシアに見せると…。パチンッと指で鳴らすと、文字がぎっしり書いてある紙が手元にきた。
(一体どうやって…?)と思っていると、「それは能力者ということを教える論文みたいなものです。」
能力つまり特化能力の上とこの紙に記載されている。「それを読めばなんとか理解できるでしょう。では私も眠いので、どんどんいきますね。」とホログラムに目を向ける。
「てか思ったけど、全部賢者様に任せればいいじゃない」と投げやりになった。そこからは、早かった。まとめていたものをさらにまとめ、一つの紙に収まるようにしてみせたのだ。「はい、じゃあ私は…寝る‼︎」
「う、うん。ごめんねー。明日まで静かにしてるわねー!」とミーナは足早にここを去っていった。
「さてと…私が説明してもいいけど、お腹空いてない?」と言われて、「まぁ、はい」と答える。「よし買い物をしながらこの世界を見ていきなさい。きっと驚くわ。」と手を差し出してくる。その手を掴み立ち上がると、「ではしゅっぱーつ」いいその場から消えた。
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