上 下
1,013 / 1,022

最終決戦1

しおりを挟む
 黄金の剣がリディエラに降り注ぐ
 アイシスが黄金剣を振るう度、無数の黄金剣が空中に現れ、それらがリディエラに向かっていく
 リディエラはその剣を華麗に、舞うように躱す
「綺麗・・・」
 幻想的な雰囲気で舞うリディエラに思わず見とれるハクラ
「ハクラ、しっかりしなさい!」
 ハッと気づくと、いつの間にかリディエラが目の前にいた
「え?」
 何の予備動作もなく、リディエラの腕がハクラの胸を貫いており、核をしっかりと握っていた
 いくら精神生命体となった体とはいえ、核を砕かれれば死ぬ
 核は魂を形作っており、本来物理的に傷つくことはないが、リディエラの体もまたアストラルボディという精神生命体の体
 十分にハクラを殺せる
 核をギュッと握るリディエラ
「アアアアアアアアアアアアア!!!」
 ハクラは悲鳴を上げる
 直接魂を掴まれる地獄のような痛み
 パキンとひびが入る核
「ハクラ! やめてくださいリディエラ様! ハクラは、あなたの親友だったではないですか!」
 クロハが呼びかけるがリディエラは気にも留めずその手に更なる力を込めた
 ピキ、パキパキ
 核にひびがさらに走る
「この! やめろ!」
 アイシスの黄金剣がなんとかリディエラの腕を斬り落とし、ハクラの核を取り落とした
 クロハが慌ててその核を拾い上げ、息も絶え絶えのハクラに戻した
 ヒビだらけだがなんとか砕かれることは避けれた
 だがハクラはこの戦いではもう動けないだろう
 クロハはハクラを寝かせるとまさに鬼の形相となった
「いくらリディエラ様でも、私のハクラをここまで傷つけるなんて、許せない・・・」
 クロハから呪いが溢れ出る
 ボコボコと亡者の影がクロハの体からにじみ出てきて覆った
 髑髏は鎧のようにクロハを包み込むとクロハの刀、クロアゲハも変質した
「本気で行かせてもらいますよ。この、クソガキガァアアア!!」
 今までにない怒りだった
 本当に怒ったクロハはハクラの前では決して見せないおどろおどろしい姿に変わる
 恨み、憎しみ、怒り、その全てがクロハの力になって行く
 呪いの、呪いとしての究極の側面が姿を現した
 その姿になったクロハが歩くだけで周囲の土が腐る
 リディエラは思わずたじろいだ
 そう、クロハこそ精霊にとっての最大の天敵だったのだ
 自然に対する驚異、クロハはその脅威そのものである
 段々近づいてくるクロハ
「逃がさねぇぞこのクソガキ! てめぇをぶんなぐってその手足引きちぎってハクラの前で頭叩きつぶしてやるから覚悟しろやごらぁ!」
「ひっ」
 アイシスも震えるほどの恐ろしさ
 その場にいた全ての者が動けない
「アグゥウ」
 リディエラはしかし逃げる足を止め、振り向きざまにクロハの胸にハクラにあてたのと同じ抜き手を繰り出した
 だがクロハの大きな胸はそれを簡単に受け止める
 別に胸の分厚い脂肪分が止めたわけではない
 ハクラが途中でその突きをとどめたのだ
 クロハに触れた指先が呪いに感染して腐り落ちるようにずるりと溶けた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました

竹桜
ファンタジー
 自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。  転生後の生活は順調そのものだった。  だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。  その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。  これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

処理中です...