精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

生田目愛奈

　愛奈
　そう名付けたのは生みの親、つまり人間だったころのリディエラ、まことの両親だった
　生まれてすぐ、まことは心臓に持病があることが分かった
　さらには様々な病に感染しやすく、すぐに死んでしまうと思われていた
　双子だったまことと愛奈
　経済的に入退院を繰り返すまことのため、愛奈を里子に出す決意をした
　当然悩み抜いた末の決断
　愛奈のことをとても愛していた
　苦渋の決断
　こうして双子の姉愛奈はまことと離れ離れになり、まことは紆余曲折ありながらも十七歳までなんとか育った
　幼少期の病で失明し、脳腫瘍によって死ぬまでの間、両親に愛され続けた
　養子に出した姉の分まで愛を受けて育った

　一方で愛奈の方は養子に出された先で、義理の両親によって愛されて育った
　病気がちではあったが、まことほどではなく、外でも遊べるほどに
　しかし十二歳のころ、自分が養子であることを知った
　それはふとした時に眠っていた力が覚醒し、心を読むという能力で知ってしまったことだが、それは愛奈に取って衝撃的な出来事であった
　以来愛してくれた育ての親と少しずつ距離が開き、心を閉ざすようになってしまった
　その結果その美しい容姿も相まって、いじめの標的になり、ますます心を閉ざす
　世界全てが敵だと思い込むようになり、彼女はその心に闇を抱えるようになる
　それは内包する力にも影響し、呪いを振りまくようになった
　やがて育ての家である生田目家はその呪いによって破滅へと進んでいった
　愛してくれた育ての親が不幸な目に合っている
　それは自分の望むところではないが、力を制御できない愛奈にとってはどうしようもないことだった
　そんな時だった
　アウルに出会ったのは
　彼は力を抑えてくれ、育ての親を救ってくれた
　そして力に飲み込まれ、死にかけていた愛奈自身も
　彼女はこの出来事でアウルに深く感謝し、彼のため働くことを決めた
　くしくもまことが亡くなり、リディエラへと転生したのと同じ日だった
　力を抑えることはできたが、彼女の力は彼女の体を蝕み、もう間もなく崩壊するはずだった
　体に合わない力
　なぜそのような力を愛奈とまことが持ったのかは分からない
　だが愛奈はカイトからもらった体でようやく力が馴染み、妹となってしまったリディエラを誘拐する手はずを整えた
「今行くわ。初めて会う妹ちゃん」