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アウル2

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 はじめはただ、人の悪意に触れ、人はおろかで救い難いと思った
 しかしそれ以上に、母の愛、人々の愛を知る度にそれに惹かれていった
 彼にとって人は悪意を振りまいて染め抜いて、そして悪の道に走らせて壊す
 そういうものだと考えていた
 最初は本当にその一心しかなかったのだ
 だがエフィの変わらぬ愛はアウルを変えた
 外向きは大いなる悪のカリスマとして活動していたが、その実彼は悪意を持った人間を見分けていた
 悪意はないが力ある人間を攫っていたのはそのカモフラージュのための犠牲と考えた
 犠牲という考えは彼の中の悪意が引き起こしたものだろう
 彼の中では二つの心がせめぎ合い、また融合していた
 一つは悪意こそ至高で世界全てにおいての基準たるものという考え
 もう一つは、愛
 若干愛の方が勝っているために、どんな犠牲を払ってでも世界を愛に染め上げるという今のアウルが生まれた
 悪意はそのためのプロセスだ
 悪意が世界に蔓延することで、それに対抗しようと人々は一つになる
 自分が大きな悪として立ちはだかることで、世界全てが愛で満たされると考えたのだ
 彼の最後のシナリオとは、リディエラと生田目姉妹を使って世界中を愛で満たし、それによって大きな正の力を持った者に自らが討たれること
 そうすれば世界はより良い世界となり、悪意は消え去ると本気で考えているのだった
 だからこそ、エフィは、自分だけは最後まで彼の味方でいようと考えている
 全ての者に憎まれ、最後には仲間であった者達にすら見放されて終わるだろう
 たった一人で死なせはしない
 それが母である自分の役目だと思った
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