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ルニアの異放5

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 協会に来たが、ここにも人っ子一人いない
 明らかにおかしかった
 ここまでの道中も誰もおらず、車はあるが走っていないなど、人間だけが消えたかのようだった
「なに、一体何が起こったのよ」
 取りあえず何か手掛かりはないかと協会内を探索することにした
 内部には受付があり、そこには起動中のPC、書きかけの業務記録、飲みかけのコーヒーなどが置いてある
「今いなくなったみたいに忽然と姿が消えてる。やっぱり何かあったのね。でも逃げたような跡はないってことは、本当に一瞬の出来事だったってことかしら」
 さらに資料室へと向かうルニア
 場所は前に来たことがあるため覚えている
 資料室には過去の事件からつい最近のものまで納められているので、ここに何らかの手掛かりがあると考えられた
「えーっと、今のこの世界の年月は、えっと、アロ期21の月、30日ね」
 一応デジタル時計のようなものを受付から持ってきておいてよかったと思うルニア
 そしてつい最近の事件や問題などが書かれた資料をしまっている棚を見つける
 そこからいくつか資料をと出して目を通し始めた
「連続強盗犯フラッシュビーンを確保、が、二日前か。この時は皆いたみたいね。捕まえたのは新人ヒーローアース。こっちは木から降りられなくなった子供を救出。立役者は民間人の木戸令十郎さん。足を延ばす能力。全然関係なさそうね。こっちは一日前か。じゃあ昨日まではヒトはいたってことね。あれ?今日の日付もあるわね。えっと、突如開いた空間の穴の調査のため、この国のヒーローと各国の代表ヒーローが集結。ホールマンの力でこの国に空いた空間の穴の前に集まってようね。今までにない緊急事態と判定。世界各国が手を取り合う異常事態、か。これが原因みたいだけど、そんな穴が開いていたなら何かしらの痕跡があるはずね。穴の場所は、ここから西に十五キロの場所。首都シカンか。近いわね」
 そこに何かの答えがあると考え、ルニアは一瞬でその場から件の地点へと移動した
「やっぱり誰もいない」
 穴が開いたと思われる場所にはゴミや服、靴などが散乱している
 穴に飲み込まれたのか、それともここで何かがあってみんな逃げたのか
 生体反応は一つもない
 争った形跡もないため恐らく穴の中に囚われたのだろうと推測した
「あったあった。ここね」
 ルニアは穴が開いた場所に痕跡を発見した
 そこをこんこんと叩き、ヒビを入れて空間を開いてみる
 すると、ドバっと血の塊のようなものが噴き出した
「う、くっさ! 何この液体」
 血の匂いはしないため、血液ではない
 そしてその液体に混ざって人間が転がり出てきた
 ゴロがった人は一人ではなく、続々と出て来る
 その誰もが服を着ていなかった
「やっぱり原因はこの穴ね。さて、それでこの穴、なんなのかしら。異世界の扉ってわけでもなさそうだし」
 謎の穴
 それはルニアも理解できない謎空間だった
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