上 下
878 / 1,022

大勇者と悪意1

しおりを挟む
 そこはオーロラ輝く綺麗な世界だった
 ただ、オーロラが見れるだけあってかなり寒い
「だだだだだだだいじょうぶか? 二人共」
「うううむむむむ、だだだ、大丈夫、じゃ、ない」
 アイシスは一応体を温かくするための魔法を全員に施しているが、空気に多量の魔力が含まれているせいか、それが阻害してしまうためあまり効いていない
 特にコルドは体温調節が苦手らしく、どんどん動きが鈍くなってきた
「く、ちょっと待ってろコルド。黄金鎧!」
 鳥の黄金鎧に換装し、疑似太陽を召喚する
 鳥の黄金鎧の能力の一つ。全ての幻鳥の力を使えるというもの
 今は八咫烏の力である太陽を運ぶ能力、それを弱くして疑似太陽を召喚したわけだ
「お、おおお、あったかい。アイシスありがとうなのじゃ!」
 こうしてみると子供っぽくてカワイイと思うアイシス
 そのままコルドは初めて見る雪、氷などで遊び始めた
「つ、冷たい! 冷たいぞこれ!」
「そりゃ雪だからな」
「何で冷たいのだ?」
「知らねぇよ。俺にそう言った知識を求めないでくれ」
「バカ、なのだな」
「そうだよ!」
 バカと言われてもアイシスは怒らなかった
 確かに脳まで筋肉で出来ていそうな言動や行動が多いが、彼女はこれでもかなり思慮深く、動くときはちゃんと考えて動いている 
 それは彼女を育てた精霊たちの教育がよく行き届いていていた結果だ
 ただ彼女に自信を持たせることはあまりできなかった
 もともとが捨て子だったせいか、少し卑屈なのだ
 面倒見もよく、その美しさから男女問わず人気があり、勇者という称号もある
 人々から賞賛されるが、それでも自分はまだまだだと、常に鍛錬は怠らない
 それがアイシスだった
「ねーアイシス、あれ見て。なんかこっちに来てる」
 アンが指さす方向から、とんでもないスピードで何かが迫って来ていた
 それは猪のように見える
「なんだ? 魔物か?」
「むぅ、魔物にしては魔力を感じんのじゃが?」
「あ、人だよあれ」
 猪らしき何かは、動物の皮を被った人間だった
「ウグルゥアア!! 得物!」
 突然それはアイシスに大きなこん棒を振り下ろしてきた
「うおっと、アブねぇな」
 なんの力も感じない、ただのこん棒による攻撃
 通常ならばアイシスに当たったとしても傷一つつかないだろう
 だがアイシスはそれを避けなければならないと本能的に感じた
 ズガン!!
 地面に大きなクレーターができる
 小さな隕石ほどの衝撃だ
「と、とんでもない筋力じゃの」
 獣の皮を被った何者かは皮を脱ぎ去る
 そしてその姿は、かなり際どい恰好の女性だった
「避けるな得物!」
 棍棒を振り回し、アイシスたちを仕留めようと必死になっているが
「させるかっての!」
 アイシスが頭に一発上段蹴りを入れ、なんとか気絶させた
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

無双ゲームのモブ雑魚だった俺、ぶっ飛ばされ続け鋼鉄の身体を手に入れる。ぶっ飛ばされた先が異世界だったので攻撃無効の身体で無双しちゃいます。

takaoka
ファンタジー
無双ゲーム「将軍Ⅱ」のモブキャラだったユウタは毎日のように主人公にぶっ飛ばされ続けた結果、気付けば鋼の肉体を手に入れていた。 しかしここは無双ゲーム、モブキャラがいくらダメージを受けないとはいえぶっ飛ばされるだけなことに変わりはなかった。倒れなければただただ主人公にいたぶられ続けるため、さっさと退場したほうがマシなのだ。そのことに気付いてからはある程度攻撃を受けるとやられたふりをするようになった。 今日もぶっ飛ばされて終わりかぁ、そう考えながらぶっ飛ばされるといつもとは違う場所に飛ばされていた。原因はわからないが少なくともここは「将軍Ⅱ」の世界ではなかった。 異世界に飛ばされてすぐに魔物との戦闘になり不意を突かれていきなりピンチ・・・と思われたが全然ダメージを受けない!? どうやらこの身体はこの世界のそこいらの魔物の攻撃程度なら全く受けつけないほどに鍛え上げられているようだ。 色々な出会いの末、世界を巡る旅を始めることになったユウタが世界を救ってしまうお話。

僕の従魔は恐ろしく強いようです。

緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。 僕は治ることなく亡くなってしまった。 心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。 そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。 そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子 処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。 --------------------------------------------------------------------------------------- プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

空間魔法って実は凄いんです

真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...