上 下
835 / 1,022

大勇者と従者19

しおりを挟む
 その目に魅せられるチリス
「これは面白い、精神異常系の力か。だが俺には効かない」
 チリスは間合いをゆっくりと詰める
 アイシスは狂気の目が効かないことに驚きを隠せないようで、チリスの攻撃を避けることができなかった
「く、ぐあ」
 つかまり両腕を折られる
「ぐああああ!」
「まったく弱い、弱いは悪だ」
 そのまま折った腕をつかんだまま腕を千切った
「ギャアアアア! 腕が! 腕がああ!」
「アイシスを離せ!」
 そこにアンが飛び込み、チリスはアイシスを落とす
 アイシスは痛みで地面を転げ回った
「ふん、お前も弱いな」
 アンは怒りで我を忘れたかのようにチリスにとびかかろうとしたが、どういうわけか飛び上がれない
 違和感がある足元を見ると、足の膝から下が無かった
「お探しのものはこれか?」
 ぼとりとチリスの手から落ちたのはアンの両足だった
「あまりにも無防備だったんでついつい千切ってしまった」
「アアアアアアア!! 痛い、痛いいいい!」
 その場でうずくまったアンの頭を、チリスは踏みつぶした
「げぷっ」
 グチャリと潰れ、アンは動かなくなった
「ア、アン、ああ、助け、助けて」
 顔中涙と鼻水でグズグズになり、失禁して逃げようとするアイシス
「無様、やはり弱さは悪である」
 なくなった両腕で必死に立ち上がり、足だけで逃げようとするが、チリスはその足を叩き折った
「があああ!!」
「さて、もうお前のあがきも見たくない。死ね」
 アイシスの首を千切り取り、こうしてアイシスも絶命した

「ねぇアイシス、この人なんで動かなくなったの?」
「俺の目の力を浴びたんだ。もうこいつが目覚めることはない。今は覚めない夢の中で俺たちを殺したつもりになっているんだろうよ」
 目を見た時点で勝敗は決していた
 チリスはもう二度と目覚めない
 誰が解除しようと試みても、彼女はそのまま衰弱して死ぬだろう
 自分に都合のいい幸せな悪夢を見ながら
 アイシスとアンはなくなってしまった魔女たちを弔っていった
 最初にオフィリアを抱きかかえたのだが、なんとオフィリアはまだ息があった
 首を折られた為に動けなくなってはいるが、気道は確保されていたようだった
 どうやら首を折られる直前に何らかの魔法を自分に仕込んでいたらしい
「これなら俺の力で治せる!」
 アイシスは狐の黄金鎧に換装しなおすと、その力でオフィリアの傷を治癒した
 骨を繋ぎなおし、切れてしまった神経を元通りに戻す
「かふっ、ぐふっ」
 息を吹き返したオフィリア
 彼女はパッと目を覚ますと、アイシスとアンの顔を交互に見て泣き出してしまった
 周囲にはオフィリアの仲間と、姉の死体
 オフィリアは愕然とうなだれる
「オフィリア、すまない」
「謝らないで、下さい。姉も友人たちも、戦って死んだのです」
 涙がツーっと頬を伝う
 オフィリアはこれから親戚のいる別の国に向かうそうだ
 そしてこの国が滅んだことを報告するらしい
「俺たちがもっと早く・・・。間に合っていれば。いや、たらればで話しても埒が明かないな」
 アイシスは悔しさの中、オフィリアと別れ、再び別世界へと向かった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...