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大勇者と従者15

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 どこからともなく、気配もなく現れてはメスで斬りつけるドナト
 法則も不規則で、後ろだと思いきやいきなり目の前に現れたり、直後真横に現れたりと、かなり厄介だった
 少しずつ傷が増えていくアイシス
 一つ一つの傷は小さく出血も少ないが、数が増せばいずれ出血により動けなくなるだろう
「姑息だな!」
 アイシスは黄金鎧を換装しなおす
 攻撃に特化した竜の鎧
 竜の鱗により、メス程度の攻撃なら傷一つつかないだろう
「ふむ、鎧を変えたか。おおかたメスによる攻撃なら防げると考えたんだろうが浅はかな。私の魔眼の力を忘れたのか?」
「忘れてないさ。概念もどうこう言ってたな。それがメスにも付与されてるってことだろ? なら簡単、俺の鎧も伊達じゃねぇ」
 竜の黄金鎧は強力な分魔力消費が激しい
 そのため短期決戦の時使用される秘密兵器のようなものだった
 大幹部のドナトにはそれだけの強さがあるということだ
「竜撃槍解放」
 バチバチと紫炎をまき散らす槍を構えたアイシス
 それに向かってドナトは刺突を繰り出したが、炎に阻まれて突き出した右腕を焼いてしまった
「ぐあっ」
 余裕ぶっていたドナトもさすがに右腕を焼かれ怒り心頭のようだ
「く、このクソガキが!」
 落ち着いた雰囲気から一変、額に血管を浮かせながら怒り、滅茶苦茶に魔眼を使い始めた
 目から出血しようともその魔眼を止めず、辺りは異次元に曲がりくねった
 しかしアイシスにそのような攻撃が当たろうはずもなく、燃え盛る槍によって体を貫かれた
「最後に聞く。この世界の魔物たちをどこへ連れ去った」
「ぐふっ、ああ、あいつらなら今頃、いい実験材料になっているだろうさ。もう死んでるよ。材料だけ別の実験体に移植されるんだ。残念だったな」
「ウルの本拠地、そこに連れていかれたんだな?」
「フ、フハハ、おめでたいやつだ。ウルってのはいろんな世界に拠点を持ってるんだよ。本拠地とは限らん。残念だが俺もどこに連れていかれた鎌では知らん。精々、探し回るんだな。もう手遅れ、だろうが」
 そこまで言ってドナトはこと切れた
「ちっ、くそ、攫われた魔物たち、助けられなかったのか? 胸糞悪ぃ!」
 地面をダンと叩く
 周囲を見渡す
 未だこの地はヒトや魔物を狂わせる何かが漂っている
 ドナトの力ではなかったようだ
 それもそのはずで、この地はウルが生まれるよりも遥か昔から忌み地とされていた
 世界には想像もつかないような危険な場所が数多存在する
 この場所もその一つなのだろう
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