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人質たち

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 とある世界、ウル本拠地の幽閉施設にて
 数多のヒトがここには収容されている
 能力者を無理やり従わせるためその家族や恋人、親しい人などをこの施設に閉じ込めていた
 その中でも見込みのある者は改造、洗脳などを受けてウルの手足にされる
 そんな人質たちの中に一人の少年がいた
 彼の名前は雨宮晴
 雨宮雨子、レイドの弟だった
 彼には姉も知らない力があった
 姉であるレイドの力は雨を操り巨大化したり、圧縮してビームのように打ち出す力
 しかし晴の力は全く別物だった
 太陽、それが彼の力
 どんなに気落ちしても太陽のように笑顔を絶やさない彼はその力を知ってからずっと隠してきた
 それはあまりにも危険すぎる力だからだ
 幼いころ彼はこの力に気づいて誰もいない山奥で使ってみたのだが、辺りは焦土と化した
 あまりの熱量だったため地元では隕石の落下として処理されたが、その日以来晴は力を隠すようにしていたのだ
 その力は能力を測ることのできるウルにでさえなぜか気づかれていない
 恐らく晴の隠し通したい気持ちが能力にも反映したのだろう
 本当に必要としたとき以外には発動せず、力があることすら悟らせない
 もしウルにその力がばれていたならば、洗脳されて大幹部待遇で使われていたことだろう
 晴はこの施設で普通の少年としてすごしていた
 時折乱暴なウルの下っ端に殴られたりしたが、彼は我慢強く姉の助けを待った
 必ず助けに来てくれると信じていたからだ

 ところ変わり晴のいる部屋の丁度反対側に一人の初老の女性がいた
 彼女の名は花枝
 レイドと行動を共にしている利善の母だった
 花枝は神社の娘で、いつも利善に神への感謝と正義を教えている心優しい人物だ
 気丈な彼女は子供が痛めつけられるのをいつも止めていたため傷だらけである
 しかしそれは彼女の能力によって数秒で感知していた
 超再生と癒し
 神に仕える者として授かった力だ
 自らはこの力で傷ついてもすぐに治り、さらには傷ついたものを癒すこともできた
 そして持ち前の精神力で洗脳を払い飛ばす
 彼女のような能力は意外と多いため、反乱さえ起こさなければとそのまま放置されていた
 だがウルは知らない
 彼女は密かに牙や爪を研ぐ獣でもあったことを
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