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大勇者と従者9
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着いた世界
どこにでもあるような一般的すぎる剣と魔法の世界
特に魔力が溢れているわけでもなく、勇者も平々凡々
それ故に人間と他種族の争いも多かった
特にひどいのは人間優位主義で、他種族は人間のための奴隷であるという過多よった主張が大多数を占め散る
さらに悪いことに、この世界は人間の数が圧倒的に多いため、他種族は肩身の狭い思いをしていた
それにもかかわらず、勇者は人間からしか生まれず、すでに絶滅しかけている魔族に追い打ちをかけていた
「なんて世界だ。人間至上? そんなわけがない! 全てのヒト族は神の名のもとに平等なんだ。少なくとも、俺の世界ではそうだった」
アイシスのいた世界、リディエラの世界は地球と同じく様々な神に見守られ、種族間での争いがなくなった世界だ
誰もが他者を尊重し、それぞれの種族ができることをやって仲良く暮らしている
あの世界では奴隷などという制度はまったくないのだ
「だが、種族間のことはこの世界の神に任せるしかないな・・・。あとでリディエラに連絡を入れてこの世界の監査でも入れてもらうか」
「うっうーう」
そんなことをブツブツと言っていると、アンがどこかを指さしていた
「どうしたアン? あっちに何かあるのか?」
「うう、ううう!」
「そうか、あっちにお前が預けられていた教会があるんだな?」
「うう!」
アンの案内の元その教会まで歩いていく
教会は既に廃墟となっていて、全焼しているのが明らかだった
「う、うう」
ポロポロと涙が出るアン
ここにいい思い出などない
それでも、自分以外にも死んでしまった子供を思って彼女は涙を流す
まだ子供であるはずのアンだが、それでも自分より幼い命が消えたことが悔しくてたまらなかった
彼女の神としての慈悲がそうさせているのか、もともとの性格なのかは分からない
アンはそこで手を組み祈った
そこに人が一人現れた
「何だお前らは、汚い身なりだな。ここは新しい教会が建つんだ、邪魔だから失せろ」
高圧的な態度で来る一人の男
アンはその男に見覚えがあった
この教会の神父だ
金に汚く、子供をどこかに売ったり、自分の欲望を満たしたりと、施設ではやりたい放題だった
幸いにもアンはガリガリすぎて目に留まらなかったらしい
「あんた、ここの神父か?」
「そうだが? ふん、身なりが貧相な者は言葉遣いまでなってないな。ほれ、金が欲しいんだろう? これをやるからとっとと消えろ」
懐から金の入った袋を地面に投げ捨てる
「はぁ、クズだな。行こうアン」
「クズだと? 私はこの街でも影響力のある神父だぞ! 貴様ら・・・。まて、アン? アンと言ったな? 貴様まさか焼け死んだと思っていたが、あのアンなのか?」
「う、うう!」
「何だその仮面は。そうか、火傷を隠しているんだな? 醜い顔がさらに醜悪になったわけだ。これは傑作だ。そんなガキを従者にしているなどお前も物好きだな。体目当て、ではないか。貧相だものな。何なら私が斡旋してやぶがぁ!!」
神父の顔面に拳がめり込む勢いで殴り飛ばすアイシス
神父は地面を転がり、折れた歯をまき散らしながら転がって行った
「殴る価値もないと思ったが、アンを侮辱したからな」
フンスと鼻を鳴らし、アンの手を引いてアイシスは教会を後にした
その力強さに、アンの傷は少し癒えた
どこにでもあるような一般的すぎる剣と魔法の世界
特に魔力が溢れているわけでもなく、勇者も平々凡々
それ故に人間と他種族の争いも多かった
特にひどいのは人間優位主義で、他種族は人間のための奴隷であるという過多よった主張が大多数を占め散る
さらに悪いことに、この世界は人間の数が圧倒的に多いため、他種族は肩身の狭い思いをしていた
それにもかかわらず、勇者は人間からしか生まれず、すでに絶滅しかけている魔族に追い打ちをかけていた
「なんて世界だ。人間至上? そんなわけがない! 全てのヒト族は神の名のもとに平等なんだ。少なくとも、俺の世界ではそうだった」
アイシスのいた世界、リディエラの世界は地球と同じく様々な神に見守られ、種族間での争いがなくなった世界だ
誰もが他者を尊重し、それぞれの種族ができることをやって仲良く暮らしている
あの世界では奴隷などという制度はまったくないのだ
「だが、種族間のことはこの世界の神に任せるしかないな・・・。あとでリディエラに連絡を入れてこの世界の監査でも入れてもらうか」
「うっうーう」
そんなことをブツブツと言っていると、アンがどこかを指さしていた
「どうしたアン? あっちに何かあるのか?」
「うう、ううう!」
「そうか、あっちにお前が預けられていた教会があるんだな?」
「うう!」
アンの案内の元その教会まで歩いていく
教会は既に廃墟となっていて、全焼しているのが明らかだった
「う、うう」
ポロポロと涙が出るアン
ここにいい思い出などない
それでも、自分以外にも死んでしまった子供を思って彼女は涙を流す
まだ子供であるはずのアンだが、それでも自分より幼い命が消えたことが悔しくてたまらなかった
彼女の神としての慈悲がそうさせているのか、もともとの性格なのかは分からない
アンはそこで手を組み祈った
そこに人が一人現れた
「何だお前らは、汚い身なりだな。ここは新しい教会が建つんだ、邪魔だから失せろ」
高圧的な態度で来る一人の男
アンはその男に見覚えがあった
この教会の神父だ
金に汚く、子供をどこかに売ったり、自分の欲望を満たしたりと、施設ではやりたい放題だった
幸いにもアンはガリガリすぎて目に留まらなかったらしい
「あんた、ここの神父か?」
「そうだが? ふん、身なりが貧相な者は言葉遣いまでなってないな。ほれ、金が欲しいんだろう? これをやるからとっとと消えろ」
懐から金の入った袋を地面に投げ捨てる
「はぁ、クズだな。行こうアン」
「クズだと? 私はこの街でも影響力のある神父だぞ! 貴様ら・・・。まて、アン? アンと言ったな? 貴様まさか焼け死んだと思っていたが、あのアンなのか?」
「う、うう!」
「何だその仮面は。そうか、火傷を隠しているんだな? 醜い顔がさらに醜悪になったわけだ。これは傑作だ。そんなガキを従者にしているなどお前も物好きだな。体目当て、ではないか。貧相だものな。何なら私が斡旋してやぶがぁ!!」
神父の顔面に拳がめり込む勢いで殴り飛ばすアイシス
神父は地面を転がり、折れた歯をまき散らしながら転がって行った
「殴る価値もないと思ったが、アンを侮辱したからな」
フンスと鼻を鳴らし、アンの手を引いてアイシスは教会を後にした
その力強さに、アンの傷は少し癒えた
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