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選ばれし者たち4

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 エーテの力はどんどん強くなっていく
 その探索範囲はこの世界生命体のほぼ半分をカバーするほどに広がっていた
 そして遠隔からも子供達の回復を可能にし、世界生命体の情報も徐々に掴みつつあった
「なるほどなるほど、これはこれはたいそうなもんだねぇ」
 そして世界生命体の構造を見て理解した
「そこにいるんだねぇ、この生命体を作り出したお前は! 子供達をこんな目に合わせたお前は!」
 エーテの怒りはもう頂点にまで上がっている
 りえとマリーの場所はどうやらその何者か、ヴィヨンドと呼ばれている何かが二人を捕らえているらしい
 男なのかも女なのかもわからないヴィヨンド
 エーテは二人を見つけたことでその力全てを使う勢いで視た
「アアアアア!! りえ! マリー! なんて酷いことを!」
「ど、どうしたんだエーテ! 一体何を視たんだ!」
「二人が、二人の頭部が、胴体と、切り離されて、う、うう、許さない! ユルサナイ!!!」
 そしてとうとう、エーテの力の全てが解放された
 みるみるうちにこの世界生命体の表面が分解され、その中心部があらわになる
 そこにはドクドクと脈打つ血管のようなものが無数に走り、そして見えてしまった
 首から下のなくなったりえとマリーの頭部だけが、その血管に繋がっている
 そう、この二人は、世界生命体の脳として繋がれていたのだ
 そして二人の頭部の前にいる白いローブのヴィヨンド
「気づかれるとは思っていたけど、こんなにも早いとはね」
 変性している声質
 これも男なのか女なのかを分からなくさせる要因である
 背の高さは170センチほど
 特に高いというわけでもなく、低いというわけでもない
 ローブの上からでは分かりにくいが、少し腰は縊れているように見える
「あんたが、これを、やったのかい?」
「そうだよ。脳だけが欲しかったからね。あ、脳みそだけだと取り出すのが大変だからさ、頭だけ切り取ってこうして」
「ユルサナイ!!」
 エーテの力がヴィヨンドを襲う
「おっと」
 その瞬間ローブが崩れ去り、中身があらわになった
 全身が真っ白で、髪の色や目の色、肌の色までもが真っ白な少女と言ってもいい年齢の女性が現れた
 そしてその顔は、エーテとうり二つであった
「ああそうかいそういうことかい。その話し方でうすうすそうじゃぁないかと思っていたんだよ」
「ふふふ、相変わらずだね、無力な妹」
「そっちもだねぇ、クソ姉!」
 ヴィヨンドの正体、それはエーテの双子の姉、ヴィータ
「エーテの、お姉さん、だって?」
「ああそうさね、あいつはいつも、いつだって自分勝手で、壊れていた! 自分以外を下等と見下し、小動物を実験と称して殺害しまくっていた変態だよ!」
 ヴィヨンド改めヴィータはエーテの姉、そして数年前にエーテや家族の前から突如消えた
 小さなころから他の人間と違って天才だったヴィータ
 しかし彼女はその小さなころから小動物を殺し、その中身を観察して楽しむことを趣味としていた
 狂気の研究者
 ウルのプロフェッサーとはまた違った怪物だった
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