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大勇者と従者2

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「アイシス! 無事だったのか」
 仲間を呼びに行っていた救世界のアーノルドたちがアイシスの帰還に気づいて駆けつけてきた
「一体何が、さっきの男の死体も転がってるから無事だとは思っていたが、その仮面の少女は出れなんだ?」
「順を追って説明する。まず俺はこの子に助けられた。この子こそ大勇者が従者、アンだ」
 アンは恥ずかしそうにもじもじとし、ゆっくりとお辞儀をする
「味方、なのか?」
「ああ、心強い味方だ」
「歓迎しようアン、救世界に一緒に来てくれないか?」
 アンは首をかしげる
「一緒に世界を救おうってことだよ」
 アイシスの言葉にアンはかなり喜んで飛び跳ね、激しくうなづいた
 その拍子に仮面がコロンと落ちてしまう
「く、うぅ」
 慌てて仮面を拾い、顔に装着するが、全員にばっちり顔を見られてしまった
「あ、ああああうう」
 おどおどと慌て、仮面の隙間からぽろぽろと涙が零れ落ちる
「だ、大丈夫だアン! この人達はそのくらいで君のことを嫌いにならないって」
「あぁ、ううう」
 喉が焼けているため空気の漏れたような声しか出ていないが、それが悲しみのものであることは全員が分かった
 だがアイシスの言う通り、酷いケロイド状の顔を見ても誰一人としてアンのことを怖がるものなどいなかった
「この傷は魂にまで深く刻まれているらしい。だから彼女が克服しないと治らないんだ」
「そうか、ならアン、俺たちと一緒にその恐怖、乗り越えないか?」
 アーノルドはアンに手を差し出す
 彼女はアイシスの顔を見た
 アイシスは力強くうなづく
 それを見て伸ばされた手を取り、アンは救世界の仲間となった

 アンが加わってから数日後のこと
 救世界に激震が走った
 世界を巡って人々を助けていた救世界の主、救世の女神メシアが戻って来たのだ
 彼女はただ君臨するだけではなく、身を粉にして人々を助け出す上位の女神
 数十年前に苦しむ人々を救いに行ったのだった
「ただいま皆さん、こんなにも世界を救うための人々が増えて私も嬉しく思います」
 キラキラと纏った光、美しいその姿、救われそうな声、その全てが彼女を一流の女神だと分からせる
 そして彼女は自分の能力を鼻にかけることもなく謙虚
 上位の神々とはかつて袂を別ったとはいえ、かつては女神達の人気投票で一位を取ったこともあるほどだった
 そんなメシアは大勇者アイシスを見つけると駆け寄る
「まぁまぁまぁまぁ! この子が噂の大勇者なのですね!」
 大きすぎると言っても過言ではない胸に突如埋められるアイシス
「うっぷ、なんですか急に」
「ふふ、ごめんなさいね、私抱き着くのが癖なのです」
 旅の途中に再会した上位の神々にはアイシスの噂を聞いていた
 そのため今日会えるのを非常に楽しみにしていたらしい
 アイシスを抱きしめたまま自室へと連れ去ってしまった
 当然従者たるアンも連れてだ
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