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異女神4

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 ルニアを抱えた天使たちは無事先ほどまでいた世界に戻れた
 やはり子供達はこの場に置き去りにされていたようで、ラナとソラがこちらに走ってくる
「ママ!」
「お姉ちゃん!」
 二人は心を守るため意識を失ったルニアに駆け寄る
 優しく面倒見のいいルニア
 子供達は彼女とは血は繋がっていないが、本当の家族として慕っていた
 そんな彼女が苦しんでいる
 自分達にも何かできることができないかと考えるが、幼い二人では手を握って回復を待つ以外に何も思いつかなかった
 二人が必死にルニアのために何かしようとしていることが分かった天使たちは、子供二人に任せることにした
 ひとまずはルニアが目を覚ますまでこの世界にとどまることにした天使たち
 ラタリウスが買い出し、リィリアが周辺の警戒、アスティラが子供達の面倒を見ることになった
 もともと孤児院を自ら建てていたアスティラにとって子供達の面倒を見ることなど日常と変わらない
「ルニア様、大丈夫かしら?」
「心配なのはわかるが、今はウルの警戒をしなければ。アスティラ、ひとまず私はあたりを見て来る」
「ええ、気を付けてねリィリアちゃん」
 天使たちそれぞれがそれぞれの役目をはたしている頃、ルニアの中で一つの光が弱弱しく輝く
 その光はゆっくりと脈打ち、ルニアの中で必死で生きているかのようだ
 天使たちも、ルニアでさえもその光に気づかない
 光は弱弱しく瞬きながらルニアの中でその時を待つ

 数日後ルニアは目を覚ました
 メルカを殺してしまったことに自暴自棄になるかとも思われたが、そこは女神、しっかりと受け止めて前を向いた
「ウルを討つ。苦しめられている全ての人々を救うの。それが、きっとメルカの弔いになる」
 新たにウルの打倒を決意すると立ちあがる
 天使たちは膝ま付き、子供達はルニアに抱き着いた
「ソラ、ラナ、ここからはかなり危険な旅になる。あなた達二人を落ち着いて天使にしたいけど、ウルのことが片付かないとできないかもしれないわ」
「大丈夫だよママ!」
「うんうん、心配しなくても自分達で天使になって見せる!」
 たくましい子供達に励まされる思いだ
 ルニアは優しく二人を抱きしめ返してウルの本拠地を探すため、ウルの気配を探った
 相変わらず本拠地自体は分からないが、ウルの気配が強い世界をしらみつぶしに探すことにしたのだ
 そんなルニアに反応するかのようにルニアの中の光はゆっくりと輝いた
 誰も気づかない
 その光はいずれルニアの助けとなる光だった
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