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大勇者と救世者7
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ひどい悪臭で目に染みる上、吐き気がしそうだ
それでもアイシスは我慢して進む
「く、臭い・・・。早くいかないと」
階段が見え、その先から臭いが漂ってきている
「臭いが強くなる方向にいるようだな」
どんどん臭いが強くなる
階段を上ると大きな扉が見えた
その扉には隙間が少し開いており、そこから強烈な悪臭が溢れてきているようだ
「くそ、なんでここまで臭いんだ。ダートって言ったか? どんだけ風呂ギライなんだよ」
扉を開けてみるとさらに酷い臭いが一基になだれ込んできた
「ぐおおおお、おえええ、し、死ぬ」
臭いだけで死にそうになるほどの悪臭だが、アイシスは鼻をつまんでなんとか中へ入った
その中にはかなり大きなベッドがあり、さらには周りに食べ物のゴミや食べかすなどが散乱していた
「おいダート! いるのか!? 戦いに来たぞ!」
返事の代わりに寝息のような音が聞こえてくる
スースーというおとなしい寝息であるため、アイシスは少し意表を突かれた
そしてベッドに近づき驚く
そこに寝ていたのは小さな少女だったからだ
その少女は汚れがひどく、髪もボサボサで顔もよく分からないが、確かに少女だ
パジャマも汚れ、ベッドのシーツも布団も黒ずんでいる
その横には尿瓶やら簡易トイレも散乱していた
「道理で臭うわけだ・・・。全く風呂にも入ってないだろうし排泄物まで散乱してるんだからな」
ここの世話係だという幹部の女性も、この臭いに耐え切れずに食べ物だけ置いていくのだろう
そしてよく見ると、ダートの足と手には枷がはめられていた
「この少女もしかして」
ダートに近づきゆすってみる
「ん、んんん・・・。なんですか?」
むくりと起きあがるとまた臭いが散布される
「うっぷ、君、大幹部のダートかい?」
「んん~、そう呼ばれてるけど、僕はタニアっていうれっきとした名前があるんだよ」
「それはごめんタニア、ところで君はここで何をしてるんだい?」
「んんんんと、なんか力を使ってほしいって言われて、そしたら食べ物を運んできてくれるって言われてるから、それでね、ここにずっといるんだ。力さえ出してればずっと寝てていいよって」
どうやらタニアは悪事に手を貸していることを分かっていないようで、キョトンとしている
「あのなタニア、その力で今苦しんでいる人たちがいるんだ。だからその、力を使うのをやめて欲しいんだ」
「え? そ、そうなの? 僕知らなかった・・・。ごめんね、すぐやめるよ」
タニアはどうやら力を納めたようで、窓からいきなり光が差した
「これで止まったよ。でもそっか、僕、誰かの役に立ってるって言われてたから・・・」
この子自身はかなり素直でいい子のようで、アイシスに謝る
そんな彼女の様子を物陰から見ている者がいた
そいつは何やら手に持ったボタンを押す
「う、グッ! 痛い! 痛い痛い痛い痛い!! 痛いよぉ!!」
突然胸を押さえて苦しみ始めるタニア
「どうしたんだタニア!」
「苦しい、胸が、痛い、アアアア!!」
心臓の鼓動が早くなっている
アイシスはすぐに力を使い、その原因を探った
すると胸辺りに小さな異物が見えた
「これか!」
力でその異物を丁寧に取り除くと、タニアは落ち着きを取り戻した
「あ、ぐふ、ぜぇぜぇ、ありがとうお姉ちゃん」
「く、力を止めたことでこの子を殺そうとしたのか・・・。ゲスども!」
ひとまずアイシスはタニアの身を浄化して綺麗にし、枷を外して抱きかかえた
彼女はずっとここに寝ていたせいで筋肉が衰え、歩けないようだ
タニアを抱きかかえたまま、アイシスは外で待つ仲間の元へと合流した
それでもアイシスは我慢して進む
「く、臭い・・・。早くいかないと」
階段が見え、その先から臭いが漂ってきている
「臭いが強くなる方向にいるようだな」
どんどん臭いが強くなる
階段を上ると大きな扉が見えた
その扉には隙間が少し開いており、そこから強烈な悪臭が溢れてきているようだ
「くそ、なんでここまで臭いんだ。ダートって言ったか? どんだけ風呂ギライなんだよ」
扉を開けてみるとさらに酷い臭いが一基になだれ込んできた
「ぐおおおお、おえええ、し、死ぬ」
臭いだけで死にそうになるほどの悪臭だが、アイシスは鼻をつまんでなんとか中へ入った
その中にはかなり大きなベッドがあり、さらには周りに食べ物のゴミや食べかすなどが散乱していた
「おいダート! いるのか!? 戦いに来たぞ!」
返事の代わりに寝息のような音が聞こえてくる
スースーというおとなしい寝息であるため、アイシスは少し意表を突かれた
そしてベッドに近づき驚く
そこに寝ていたのは小さな少女だったからだ
その少女は汚れがひどく、髪もボサボサで顔もよく分からないが、確かに少女だ
パジャマも汚れ、ベッドのシーツも布団も黒ずんでいる
その横には尿瓶やら簡易トイレも散乱していた
「道理で臭うわけだ・・・。全く風呂にも入ってないだろうし排泄物まで散乱してるんだからな」
ここの世話係だという幹部の女性も、この臭いに耐え切れずに食べ物だけ置いていくのだろう
そしてよく見ると、ダートの足と手には枷がはめられていた
「この少女もしかして」
ダートに近づきゆすってみる
「ん、んんん・・・。なんですか?」
むくりと起きあがるとまた臭いが散布される
「うっぷ、君、大幹部のダートかい?」
「んん~、そう呼ばれてるけど、僕はタニアっていうれっきとした名前があるんだよ」
「それはごめんタニア、ところで君はここで何をしてるんだい?」
「んんんんと、なんか力を使ってほしいって言われて、そしたら食べ物を運んできてくれるって言われてるから、それでね、ここにずっといるんだ。力さえ出してればずっと寝てていいよって」
どうやらタニアは悪事に手を貸していることを分かっていないようで、キョトンとしている
「あのなタニア、その力で今苦しんでいる人たちがいるんだ。だからその、力を使うのをやめて欲しいんだ」
「え? そ、そうなの? 僕知らなかった・・・。ごめんね、すぐやめるよ」
タニアはどうやら力を納めたようで、窓からいきなり光が差した
「これで止まったよ。でもそっか、僕、誰かの役に立ってるって言われてたから・・・」
この子自身はかなり素直でいい子のようで、アイシスに謝る
そんな彼女の様子を物陰から見ている者がいた
そいつは何やら手に持ったボタンを押す
「う、グッ! 痛い! 痛い痛い痛い痛い!! 痛いよぉ!!」
突然胸を押さえて苦しみ始めるタニア
「どうしたんだタニア!」
「苦しい、胸が、痛い、アアアア!!」
心臓の鼓動が早くなっている
アイシスはすぐに力を使い、その原因を探った
すると胸辺りに小さな異物が見えた
「これか!」
力でその異物を丁寧に取り除くと、タニアは落ち着きを取り戻した
「あ、ぐふ、ぜぇぜぇ、ありがとうお姉ちゃん」
「く、力を止めたことでこの子を殺そうとしたのか・・・。ゲスども!」
ひとまずアイシスはタニアの身を浄化して綺麗にし、枷を外して抱きかかえた
彼女はずっとここに寝ていたせいで筋肉が衰え、歩けないようだ
タニアを抱きかかえたまま、アイシスは外で待つ仲間の元へと合流した
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