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大勇者と救世者6
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「一体今の仮面の女性は誰だったんだ?」
落ち着きを取り戻した街で怪我人たちを運びつつ先ほど助けてくれた女性について考える利善
「うーん、うちの救世チームにあんな子いないし、分からないなぁ」
支援のためにやってきたミシュハに聞いてみたが知らないとのこと
彼女は記憶力がよく、救世界の住人で戦える者は大抵覚えているらしい
そんな彼女でも知らない仮面の女性
突如現れて多くの人々を救い、そのまま消えた女性は子供達に飴を配っていたとの情報も入ってきている
悪しき者には容赦ないが、子供や心正しき者には救いを差し伸べる
救世者にふさわしい者だった
「とにかく、拠点は守りきれたからよかったわ。それでこの世界の大幹部のことなんだけど、反乱軍のリーダーって人から情報を聞けたわ。この街からは結構離れてるし、さらに言うと光すら吸収しちゃうような闇の重力があるみたいなの」
大幹部ダートの力だろう
闇と重力の力を持った大幹部ダートは未だその姿が掴めていない
唯一入っている情報がめんどくさがりで風呂にすら入らないため悪臭を放っていることくらいだ
尋問したウルの構成員ですら本当の名前もその姿も知らない
「とりあえず行ってみるしかないな。俺が先行する、重力がきついかもしれないから利善、それからプルル、一緒に来てくれ。レイドちゃんはこの拠点を守っててくれないか?」
「了解した」
「分かりました」
「オッケーだプル」
プルルは救世界から来た守りに特化したマッドマンという種族で、体が泥のように流動する種族らしい
彼女の力はまさしくダートの能力に対抗するにふさわしい反重力という力だ
ダートの重力下で動けるほどの力があるかは分からないが、彼女もそれなりに戦える戦士である
あとのことを反乱軍たちに任せ、アイシス、利善、プルルはダートがいるらしき闇の奥底へ向かうことにした
その場所にはウルの構成員も幹部もおらず、ダート一人だけがひっそりと暮らしているようだ
時々幹部らしき女性が食物を運んでいるのが見られるだけだ
「ふむ、場所はこの辺りか」
一寸先すら見えない闇だが、アイシスの力で光が灯る
辺りは壊れた街並みが広がっており、反映していたであろうことがうかがい知れる
その街の中心らしき場所は完全な闇に包まれており、ジリジリと重力が強くなってきている
プルルの反重力の力でも地面に押さえつけられているかのような圧力がかかり、まともに立っていられない
「く、ここまでとは」
「ううう、プルルの力じゃこれが限界だプル」
かなりの圧がかかっているが、アイシスなら容易に克服できる程度
そのためこの先は自分一人で行くことにした
念のためすぐに救援を呼べるよう利善とプルルは外で待っているよう告げ、アイシスは闇の重力の中を悠然と歩いて行く
「暗いな、何も見えないぞこれ」
自分の手先すら見えない暗闇、彼女の放った光でさえもがすぐに闇に溶け込んでいく
そんな中をアイシスは進んで、ようやくどこかの扉のようなものの所までたどり着いた
その扉を開けると、中は普通に光りがあり、歩くのにも不便がないほどだ
ただ、かなりひどい臭いがしている
「う、ぐ、なんだこの臭いは・・・」
吐き気がしそうな腐ったチーズのような、放置した納豆のような臭いに思わずむせるアイシス
だが進まないわけにはいかない
鼻と口を布で覆いつつ、彼女は一歩ずつ前進していった
落ち着きを取り戻した街で怪我人たちを運びつつ先ほど助けてくれた女性について考える利善
「うーん、うちの救世チームにあんな子いないし、分からないなぁ」
支援のためにやってきたミシュハに聞いてみたが知らないとのこと
彼女は記憶力がよく、救世界の住人で戦える者は大抵覚えているらしい
そんな彼女でも知らない仮面の女性
突如現れて多くの人々を救い、そのまま消えた女性は子供達に飴を配っていたとの情報も入ってきている
悪しき者には容赦ないが、子供や心正しき者には救いを差し伸べる
救世者にふさわしい者だった
「とにかく、拠点は守りきれたからよかったわ。それでこの世界の大幹部のことなんだけど、反乱軍のリーダーって人から情報を聞けたわ。この街からは結構離れてるし、さらに言うと光すら吸収しちゃうような闇の重力があるみたいなの」
大幹部ダートの力だろう
闇と重力の力を持った大幹部ダートは未だその姿が掴めていない
唯一入っている情報がめんどくさがりで風呂にすら入らないため悪臭を放っていることくらいだ
尋問したウルの構成員ですら本当の名前もその姿も知らない
「とりあえず行ってみるしかないな。俺が先行する、重力がきついかもしれないから利善、それからプルル、一緒に来てくれ。レイドちゃんはこの拠点を守っててくれないか?」
「了解した」
「分かりました」
「オッケーだプル」
プルルは救世界から来た守りに特化したマッドマンという種族で、体が泥のように流動する種族らしい
彼女の力はまさしくダートの能力に対抗するにふさわしい反重力という力だ
ダートの重力下で動けるほどの力があるかは分からないが、彼女もそれなりに戦える戦士である
あとのことを反乱軍たちに任せ、アイシス、利善、プルルはダートがいるらしき闇の奥底へ向かうことにした
その場所にはウルの構成員も幹部もおらず、ダート一人だけがひっそりと暮らしているようだ
時々幹部らしき女性が食物を運んでいるのが見られるだけだ
「ふむ、場所はこの辺りか」
一寸先すら見えない闇だが、アイシスの力で光が灯る
辺りは壊れた街並みが広がっており、反映していたであろうことがうかがい知れる
その街の中心らしき場所は完全な闇に包まれており、ジリジリと重力が強くなってきている
プルルの反重力の力でも地面に押さえつけられているかのような圧力がかかり、まともに立っていられない
「く、ここまでとは」
「ううう、プルルの力じゃこれが限界だプル」
かなりの圧がかかっているが、アイシスなら容易に克服できる程度
そのためこの先は自分一人で行くことにした
念のためすぐに救援を呼べるよう利善とプルルは外で待っているよう告げ、アイシスは闇の重力の中を悠然と歩いて行く
「暗いな、何も見えないぞこれ」
自分の手先すら見えない暗闇、彼女の放った光でさえもがすぐに闇に溶け込んでいく
そんな中をアイシスは進んで、ようやくどこかの扉のようなものの所までたどり着いた
その扉を開けると、中は普通に光りがあり、歩くのにも不便がないほどだ
ただ、かなりひどい臭いがしている
「う、ぐ、なんだこの臭いは・・・」
吐き気がしそうな腐ったチーズのような、放置した納豆のような臭いに思わずむせるアイシス
だが進まないわけにはいかない
鼻と口を布で覆いつつ、彼女は一歩ずつ前進していった
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