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守り人6

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 五女タタムム
 彼女は一言で言うとお馬鹿だった
 いつもほげーっとどこかを見つめ口を開けている
 よく笑うから姉妹たちからは可愛がられているが、役には立たないと思われていた
 そのため全員に守られる形を取られることが多い
 ただ彼女の生体武器はとんでもない力を持っていた
 未剣TTMM
 斬られた者の未来を変える
 その未来はタタムムの思うがままだ
 姉妹の中でも最も強い力を持っているが、彼女は一切その生体武器を使ったことがない
 彼女では扱いきれないだろうと姉妹に使うことを禁じられているからだ
「ほへぇ、ここはどこかなぁ? よくわからないじぇ。主様を探す、それだけは覚えてるじぇ」
 ふんふんと楽し気にかなり音程の外れた鼻歌を歌いつつ、タタムムはどこかの世界、どこかの道を歩く
 どこに行くのかも何をすればいいのかもわからない
 時折立ち止まっては花をぼーっと眺めたり、蝶が飛んでいるのをニコニコと見つめる
 おっとりと優しく、ほのぼのした性格
 姉妹含めたくさんの人々に愛されはしたが、時折そのおっとりさと馬鹿さ加減が人をイラつかせる
 だがタタムムはいくら怒られようが攻撃されようが、のほほんとして全くこたえていなかった
「んあれ~? おじさんたち誰~? 探してる主様~? うーん、おじさんじゃなかったはずだから違うじぇ」
「おい、いい得物がいるじゃねえか。このバカさ、それにおとなしい。それなのに将来有望そうな可愛さ、こいつは良い金になる」
 男たちはどうやら野盗のようで、タタムムを攫い、奴隷として売り払おうという算段を立てているようだった
 それが彼らにとっての大きな間違いであるとも気づかずに
「ふーん、おじさんたち悪い人たちなんだ。だったら、遠慮はいらねぇなぁ」
 口調と雰囲気が一変するタタムム
 先ほどとは打って変わって鋭い目つきと、まるで歴戦の殺し屋のような殺気
「ひ、ひぃ!」
 ほんの少しの殺気が放たれただけで野盗たちの戦意は喪失した
 誰も勝てない、それほどまでに圧倒的な力差があると、本能的に理解したのだ
 戦意の亡くなった男たちを見てまたあの間の抜けた顔に戻るタタムム
「もう用はないよね? じゃ、行くじぇ」
 へたり込んでいる男たちの真横を悠々と歩き去るタタムム
 何故馬鹿でおとなしく、平和主義な彼女が一人でも大丈夫だと姉妹たちに判断されているのか?
 それは生体武器を使うまでもなく彼女は強く、そしてこと戦いとなると性格が一変するからだ
 多重人格とも言っていい
 その性格になった彼女は冷酷だ
 戦いを挑んでくる相手ならば子供だろうと容赦なくその未来を消す
 姉妹たちが彼女に生体武器を使わせない本当の理由がそこにあった
 強すぎるゆえに相手の未来そのものを奪ってしまうからだ
 現在またのほほんと歩くタタムム
 その実彼女は姉妹最強でもあった
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