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利善とレイドの異世界旅16
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この街を襲った敵は人を消す能力を持っているらしい
なんでも手を翳しただけで誰も彼もが消えて行ったそうだ
しかし前に障害物や他に人などがいればその後ろの者は消えなかったらしい
だからこそ百人ほどの人間が生き残っているのだが
街を襲った幹部らしき白いローブの何者かは部下達に人間を捕まえさせ、自らの手で消していたそうだ
恐怖におののきながら消されていく人間達の顔が頭から離れないリャックとポラリスだった
「よし、空間での結界は張り終わったからレイドは警戒を頼む」
「ええ、任せて」
レイドは雨を降らせて周囲の探知を始めた
その範囲およそ半径二キロ
彼女は雨の降る範囲ならまるで目で見ているかのように感じることができる
その雨を遮って何かが近づく気配があった
「何か来ます! かなり速いです!」
レイドに言われて利善はさらに空間を展開する
「これで防げそうかレイド?」
「分かりません、でもこのままだと利善さんの空間にぶつかります!」
近づく何かは高速で接近してくるためもう間もなく空間に思いっきりぶつかるだろう
案の定ガーンという空間に何かがぶつかる音がしてブゲェという声がした
「ぶつかりましたね」
「ああぶつかったな。壊れなかったのは良いが、ちょっと見て来る」
利善は立ち上がると急いで空間に何かがぶつかった場所まで走った
変な声が聞こえたのは数メートル先の強固な空間結界の一部
闇が深くて見えないが、利善には空間把握能力があるため何とか歩けた
空間を認識して視てみると何かが転がって泡を吹いていることが分かった
その何かを抱え上げてレイドの元へ戻る
「誰かが倒れてた。大きさからして子供か?」
クルルが自ら発している炎にかざして見てみると今のクルルと同じくらいの少年だった
その少年にレイドが癒しの雨をかける
するとすぐにパチリと目を覚ました
少年の目はまつげが長く可愛らしい
「んん、えと、あれ? 誰?」
「誰はこっちのセリフだ。なぜあの暗闇の中あんなスピードで走ってたんだ」
「ん、俺さ、生き残りを探してたんだ」
「生き残り?」
「ん、お兄さんたち生き残りだろ? 助けに来たから行こうよ」
少年はよく見ると背中に蝙蝠のような翼があり、頭には小さな角、そしてお尻にトカゲのような尻尾が生えていた
彼はすっくと立ちあがると尻尾を振りながらレイドや利善と手をつなぐ
「ほら、そっちのお姉さんとその子・・・。え、寝てるの?」
この場はあの幹部がいたせいで戦場だった
そのため子供が寝ている状況などあり得なかった
「え、そう言えばあいつらは? いないんだけど」
「あああいつらなら大勇者が倒した」
「え!?」
利善はここで起こったことを事細かに話して聞かせた
「よかった、よかったよ・・・。これでみんなも浮かばれるよ」
涙をポロポロと流し喜ぶ少年
「俺、ニーエルナ。竜人だよ。こう見えて百七十歳の成人さ!」
ニーエルナは利善にガバッと突然抱き着いた
「兄さん俺の好きな感じの匂いがするね。スンスン」
利善の鼻孔をくすぐる甘い香り、そして腕に触れる柔らかな感触
「なあ兄さん強い感じがするな。俺とつがいにならないか?」
「は?つがっ、はい?」
突然のことで混乱する利善
そして唐突に理解する。ニーエルナは少年ではなく少女だった
正確に言うと少女というより成人した竜人
そしてこの世界でも指折りの強さを誇る者
この世界での竜人は成長が遅いらしく、見た目からは十五歳くらいに見えた
「駄目だ駄目だ。俺にはやることがあるし第一君は子供だろう」
「子供じゃないって言ってるだろ。俺はもう成人してんの!」
押し問答が始まったがお互い一歩も引かないため埒が明かず、ひとまずこの話は置いておかれることになった
「取りあえず俺は報告に戻るから、ここで待っててくれ」
「ああ分かった」
二人共ハァハァと息荒く話を終わり、ニーエルナは翼を開いて戻って行った
なんでも手を翳しただけで誰も彼もが消えて行ったそうだ
しかし前に障害物や他に人などがいればその後ろの者は消えなかったらしい
だからこそ百人ほどの人間が生き残っているのだが
街を襲った幹部らしき白いローブの何者かは部下達に人間を捕まえさせ、自らの手で消していたそうだ
恐怖におののきながら消されていく人間達の顔が頭から離れないリャックとポラリスだった
「よし、空間での結界は張り終わったからレイドは警戒を頼む」
「ええ、任せて」
レイドは雨を降らせて周囲の探知を始めた
その範囲およそ半径二キロ
彼女は雨の降る範囲ならまるで目で見ているかのように感じることができる
その雨を遮って何かが近づく気配があった
「何か来ます! かなり速いです!」
レイドに言われて利善はさらに空間を展開する
「これで防げそうかレイド?」
「分かりません、でもこのままだと利善さんの空間にぶつかります!」
近づく何かは高速で接近してくるためもう間もなく空間に思いっきりぶつかるだろう
案の定ガーンという空間に何かがぶつかる音がしてブゲェという声がした
「ぶつかりましたね」
「ああぶつかったな。壊れなかったのは良いが、ちょっと見て来る」
利善は立ち上がると急いで空間に何かがぶつかった場所まで走った
変な声が聞こえたのは数メートル先の強固な空間結界の一部
闇が深くて見えないが、利善には空間把握能力があるため何とか歩けた
空間を認識して視てみると何かが転がって泡を吹いていることが分かった
その何かを抱え上げてレイドの元へ戻る
「誰かが倒れてた。大きさからして子供か?」
クルルが自ら発している炎にかざして見てみると今のクルルと同じくらいの少年だった
その少年にレイドが癒しの雨をかける
するとすぐにパチリと目を覚ました
少年の目はまつげが長く可愛らしい
「んん、えと、あれ? 誰?」
「誰はこっちのセリフだ。なぜあの暗闇の中あんなスピードで走ってたんだ」
「ん、俺さ、生き残りを探してたんだ」
「生き残り?」
「ん、お兄さんたち生き残りだろ? 助けに来たから行こうよ」
少年はよく見ると背中に蝙蝠のような翼があり、頭には小さな角、そしてお尻にトカゲのような尻尾が生えていた
彼はすっくと立ちあがると尻尾を振りながらレイドや利善と手をつなぐ
「ほら、そっちのお姉さんとその子・・・。え、寝てるの?」
この場はあの幹部がいたせいで戦場だった
そのため子供が寝ている状況などあり得なかった
「え、そう言えばあいつらは? いないんだけど」
「あああいつらなら大勇者が倒した」
「え!?」
利善はここで起こったことを事細かに話して聞かせた
「よかった、よかったよ・・・。これでみんなも浮かばれるよ」
涙をポロポロと流し喜ぶ少年
「俺、ニーエルナ。竜人だよ。こう見えて百七十歳の成人さ!」
ニーエルナは利善にガバッと突然抱き着いた
「兄さん俺の好きな感じの匂いがするね。スンスン」
利善の鼻孔をくすぐる甘い香り、そして腕に触れる柔らかな感触
「なあ兄さん強い感じがするな。俺とつがいにならないか?」
「は?つがっ、はい?」
突然のことで混乱する利善
そして唐突に理解する。ニーエルナは少年ではなく少女だった
正確に言うと少女というより成人した竜人
そしてこの世界でも指折りの強さを誇る者
この世界での竜人は成長が遅いらしく、見た目からは十五歳くらいに見えた
「駄目だ駄目だ。俺にはやることがあるし第一君は子供だろう」
「子供じゃないって言ってるだろ。俺はもう成人してんの!」
押し問答が始まったがお互い一歩も引かないため埒が明かず、ひとまずこの話は置いておかれることになった
「取りあえず俺は報告に戻るから、ここで待っててくれ」
「ああ分かった」
二人共ハァハァと息荒く話を終わり、ニーエルナは翼を開いて戻って行った
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