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逸脱した女神10
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どんどん増えていく泥人形はついに建物を埋め尽くしてしまった
一体一体はかなり弱く、まだ駆け出しのヒーローでも十分対処できるのだが、倒しても倒してもきりがなく、それどころか倒した数よりも増える数の方が圧倒的に多い
「俺は、俺はなあ、弱いんだうん弱い、弱い弱い、凄く弱いんだあ。でもでもだ、俺は無限に泥を作れる。うん、泥で何でも作れるうん、なぁヒーローたち、俺って弱いよなあ?」
泥人形たちに飲まれヒーローたちはなすすべなく、建物は泥まみれになって行った
「まったく! あなた達それでもヒーローなの!? しっかりしなさい!」
トップヒーロークールハートであるえりか
彼女はフッと息を吐いた
するとあれほど蠢いていた泥人形が一瞬にして氷漬けとなり砕け散った
「んああ、俺の泥人形。おまあえ、俺の泥人形全部壊したのかあ? いやあ俺は弱いなあ、悲しいくらいに弱いなあ。悲しすぎて泣けてくるから、うん、俺はお前を殺さなきゃ先に進めないと思うんだあ」
男の雰囲気が少し変わった
男は全ての泥を自らの体に取り込んでいく
「ああ、俺は弱い、だからこうして自分の力をよく知ることに努めたんだ。なぜかって? 俺を認めなかった世界に! 復讐するためだよ!」
泥はすべてなくなった
全てが男の体内へと消えた今、男の体はぶよぶよとした水風船のようになり今にもはちきれそうだ
「なあ? 俺は弱く見えていたか?」
ブヨブヨになった男の体がパーンと弾ける
しかし泥は飛び出さず、中からすらっとした影のある男が出て来る
「なあ、弱く見えていただろう? フハ、あの姿でいれば誰もが油断するからな。小太りで剥げてすっとろい男、フハハハハ、なあ、なあ、お前ら俺を、弱いと思っただろ!」
男は顔立ちは女性のように美しいが、その性格のせいなのか魅力はなかった
だが先ほどとは打って変わって危険な力を感じる
「フハハ、なあ、俺の名前を知ってるか? フハハハハハ! 俺は大幹部、土のクレイドール! 泥人形は楽しかっただろう? 弱いのを蹂躙するのってたのしいよなあ! なあ! お前らは十分楽しんだろ? 次は俺の番だ」
あまりの力に危機を感じたえりかは自分の持てる力を最大限に発して男に絶対零度の吹雪を吹きつける
吹雪に包まれる男、あっさりと凍り付いて動かなくなった
そして砕け散る
意外なほどあっけない幕引きかと思われたが、粉々になった破片がドロドロと溶けて再び一つになる
「無駄だ。俺は泥、どんな攻撃も通さない。俺は死なない、フハハ、死なない死なない」
他のヒーローたちも一斉に攻撃したが、確かに命中したにもかかわらず男はニタニタと笑って平気な顔で立っている
「さあ俺の番だな」
男の体から泥がチョプンと流れ出ると、それが固まって無数の槍を作り出した
「まずい!」
ルニアが慌てて結界を張りそれを防ぐ
「へえ、これを防ぐってお前強いな。いいなあ、強いのは良いよなあ。蹂躙できるもんな、弱いやつを」
「そんなことのために力を使うわけないでしょ!」
「は? なんで? 強い力は弱いやつを虐げるためにあるんだろ? 違う? 少なくとも俺はそうやって虐げられてきた。だから自分の力を磨いたんだ。どこまでできるのか、何ができるのか、どんなことでもやった。どうやれば死ぬのか、どう使えば苦しむのか。苦しむ姿ってのは」
口が裂けんばかりに笑うクレイドール
「楽しい!」
今度は大質量で固めた泥を隕石のように振らせる
それによりルニアの結界は砕け散った
「そんな! 異放者の力で作った結界よ!?」
防ぎきれなかったいくつかを天使たちが叩き落し、防いで逃げ遅れた人々を守った
大幹部というだけあり、その力は絶大なようだ
一体一体はかなり弱く、まだ駆け出しのヒーローでも十分対処できるのだが、倒しても倒してもきりがなく、それどころか倒した数よりも増える数の方が圧倒的に多い
「俺は、俺はなあ、弱いんだうん弱い、弱い弱い、凄く弱いんだあ。でもでもだ、俺は無限に泥を作れる。うん、泥で何でも作れるうん、なぁヒーローたち、俺って弱いよなあ?」
泥人形たちに飲まれヒーローたちはなすすべなく、建物は泥まみれになって行った
「まったく! あなた達それでもヒーローなの!? しっかりしなさい!」
トップヒーロークールハートであるえりか
彼女はフッと息を吐いた
するとあれほど蠢いていた泥人形が一瞬にして氷漬けとなり砕け散った
「んああ、俺の泥人形。おまあえ、俺の泥人形全部壊したのかあ? いやあ俺は弱いなあ、悲しいくらいに弱いなあ。悲しすぎて泣けてくるから、うん、俺はお前を殺さなきゃ先に進めないと思うんだあ」
男の雰囲気が少し変わった
男は全ての泥を自らの体に取り込んでいく
「ああ、俺は弱い、だからこうして自分の力をよく知ることに努めたんだ。なぜかって? 俺を認めなかった世界に! 復讐するためだよ!」
泥はすべてなくなった
全てが男の体内へと消えた今、男の体はぶよぶよとした水風船のようになり今にもはちきれそうだ
「なあ? 俺は弱く見えていたか?」
ブヨブヨになった男の体がパーンと弾ける
しかし泥は飛び出さず、中からすらっとした影のある男が出て来る
「なあ、弱く見えていただろう? フハ、あの姿でいれば誰もが油断するからな。小太りで剥げてすっとろい男、フハハハハ、なあ、なあ、お前ら俺を、弱いと思っただろ!」
男は顔立ちは女性のように美しいが、その性格のせいなのか魅力はなかった
だが先ほどとは打って変わって危険な力を感じる
「フハハ、なあ、俺の名前を知ってるか? フハハハハハ! 俺は大幹部、土のクレイドール! 泥人形は楽しかっただろう? 弱いのを蹂躙するのってたのしいよなあ! なあ! お前らは十分楽しんだろ? 次は俺の番だ」
あまりの力に危機を感じたえりかは自分の持てる力を最大限に発して男に絶対零度の吹雪を吹きつける
吹雪に包まれる男、あっさりと凍り付いて動かなくなった
そして砕け散る
意外なほどあっけない幕引きかと思われたが、粉々になった破片がドロドロと溶けて再び一つになる
「無駄だ。俺は泥、どんな攻撃も通さない。俺は死なない、フハハ、死なない死なない」
他のヒーローたちも一斉に攻撃したが、確かに命中したにもかかわらず男はニタニタと笑って平気な顔で立っている
「さあ俺の番だな」
男の体から泥がチョプンと流れ出ると、それが固まって無数の槍を作り出した
「まずい!」
ルニアが慌てて結界を張りそれを防ぐ
「へえ、これを防ぐってお前強いな。いいなあ、強いのは良いよなあ。蹂躙できるもんな、弱いやつを」
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「は? なんで? 強い力は弱いやつを虐げるためにあるんだろ? 違う? 少なくとも俺はそうやって虐げられてきた。だから自分の力を磨いたんだ。どこまでできるのか、何ができるのか、どんなことでもやった。どうやれば死ぬのか、どう使えば苦しむのか。苦しむ姿ってのは」
口が裂けんばかりに笑うクレイドール
「楽しい!」
今度は大質量で固めた泥を隕石のように振らせる
それによりルニアの結界は砕け散った
「そんな! 異放者の力で作った結界よ!?」
防ぎきれなかったいくつかを天使たちが叩き落し、防いで逃げ遅れた人々を守った
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