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神と白黒鬼神11

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「うむん、これはこれはなんとも面白い構造をしてるね。明らかにこの世界の動物じゃないし、それに超能力値が異常だよ。あとそうだなぁ、ねねリディエラちゃんよ、これこれここ見て」
 詩季さんに言われるがまま装置を見てみると、中に入れている虎の毛が少し光っていた
 この力、もしかして
「これって魔力、ですよね?」
「そうなのよ。この世界に魔力なんてないのに、なんで魔力を帯びてるんだろうね?」
 確かに不思議だ
 まず魔力のない世界でも魔力を抱擁している用量が高ければ魔力が満ちていな異世界でも魔法は使える
 でもこうして死んだり体から切り離されたものに魔力がいつまでもとどまっているのはおかしいんだ
 マジックアイテムみたいな留めるための加工がしてあるなら別だけど、生物に魔力をとどまらせ、死体となってもそのまま、なんて技術は僕は知らない
 サニアさんもどうやら知らないみたいで、この虎が成体兵器である事は間違いない
「で、なんだけどさ、ロットポーロって街に続く道を指してるんだよね・・・。ん? ちょい待って、フユノが変われって」
 詩季さんが桜色の髪から青い髪へと変わり、雰囲気も全く変わってしまう
 ナンバー1のフユノさんだ
「ふぅ、このロットポーロには従姉がいますの。わたくしたちの母の妹の娘、そう、従姉ですのよ。わたくしより二歳年上でとても優しくて、大好きですの」
 そっか、それは心配だ
 まずはそのロットポーロへ向かわないと
 さっきと同じように転移とテレポートによってその街へ一瞬で移動した

 ロットポーロは遊園地があってかなり巨大な観覧車が見える
 街全体に張り巡らされたジェットコースターはこの街の名物らしい
 でも今は乗ってる暇なんてない
 敵を倒してからゆっくりと乗らせてもらうとしよう
「ん、ちょっと待ってくださいな。ええ、あ、このボタンですのね? ありがとうハルナ」
 フユノさん、独り言を言っているように見えるけど、頭の中で体を共有している別人格の姉妹たちと会話をしてるんだ
 今は多分ハルナさんに装置の使い方を聞いてたところだと思う
「よし、分かりましたわ。この装置によるとあの虎を操っていた者は北の方角にいますわ。ここの北には確かメリーゴーラウンドがあったはずですの。昔お姉様とよく乗っていましたのよ」
 街全体が遊園地施設の街
 それだけに様々なところにアトラクションがある
 メリーゴーラウンドは結構人気みたい
 その場所にいると思われる虎を操っていた敵?らしき誰か
 装置はハルナさんが改良したからより正確な位置が割り出せるようになってるらしい
「もう少し、もう少しで敵の位置が分か」
 あと少しというところで突如あたりが暗くなって大きな羽ばたき音が聞こえた
「ギェエエエエエエエ!!」
 耳をつんざくような激しい声が聞こえて上を見てみると、超巨大な怪鳥が空を滞空していた
 で、でかい
「あれも多分」
「ええ、あれにもこの虎の毛と同じ反応がありますわ。街を破壊される前に倒しますわよ!」
 詩季さんは太ももに装着していた超能力銃を取り出す
 二丁拳銃のようなそれは詩季さんの能力を最大限に発揮できる武器らしい
「行きますわ! テレポート!」
 詩季さん、フユノさんの力はサポート系の力、ナツキさんは攻撃特化、アキナさんは回復、そしてハルナさんは時への干渉だ
 ちなみにハルナさんは強すぎる超能力を持ってるけど、本人が戦うのをめんどくさがりすぎて全く戦わない
 テレポートで移動したフユノさんは自分に銃を向けて撃つ
 サポート系の力を自分に最大限に使ったんだ
 その後は髪の色が変わってナツキさんに変わった
「よーしいくぞ!」
 ナツキさんは銃を構えて怪鳥を撃った
 渦巻く炎が銃口から飛び出して怪鳥の胸に直撃する
「あらら、これは効かないか。それなら!」
 次に撃ったのは氷の弾
 その弾は当たった瞬間怪鳥を凍り付かせていく
 怪鳥の翼は動かしにくくなりそのまま地に落ちた
「おっと危ない!」
 街のビルに当たりそうになった瞬間ナツキさんは超能力でとんでもなく大きな怪鳥を受け止めた
「よくあんな大きなものを」
「軽いもんだよ。で、これで終わりだ!」
 そのままグッと怪鳥を浮かせるとどんどん空の彼方へと飛んでいき、やがて見えなくなった
「どんなに強くても宇宙空間じゃ生きてられないでしょ」
 うわぁ、前に会った時よりはるかに強くなってる
「さて、こんなことしてる犯人をとっちめるよ!」
 ナツキさんは意気揚々と装置を見て犯人の元へと走った
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