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利善とレイド7
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雨の巨人レイドは今は元通りの少女の姿に戻っている
彼女はこの力を元の世界にいたころから使っていた
かつて彼女の世界には怪獣と呼ばれる化け物がはびこっており、一度彼女はその怪獣の履く毒液によって死んだ
しかしどういうわけか彼女が死んだ直後に大雨が降り始め、彼女の体を包み込んだ
そして体が再構築され、彼女は雨の巨人レイドへと生まれ変わったのだった
ただ巨人の力以外は本当にただの少女である彼女は、当然怪獣と戦うなどと言う危険なことを怖がった
しかし戦いを重ねていくにつれ、人々を守るにつれて彼女に勇気が湧いたのだ
戦う勇気は彼女をさらに強くせしめ、レイドとして確立された
「なんという強さの巨人なのでしょう。私あのような能力初めて見ましたよ」
ゼアは嬉しそうにレイドの体を観察している
それにつられるように他の姉妹もレイドを取り囲んで触ったりつついたりした
「あの、もういいですか?」
「あらごめんなさい。興味深くてつい」
「おい、アリアンナが目を覚ましたぞ。まだ少し記憶が混乱しているみたいだが、説明したら落ち着いた」
アリアンナは利善についておずおずと歩いてくる
記憶がちゃんとしてきたのか、レイドの方を見て怯えた顔をした
「大丈夫ですよアリアンナさん。あなたは操られていただけなのですから気にしないで下さい」
「で、でも私は君を傷つけてしまった。その報いはいくらでも受ける」
「大丈夫ですって」
「でもそれでは私の気がおさまらん!」
「大丈夫なんですってば!」
「でも!」
「ほれほれそこまでにしろ。悪いなレイド、こいつ本来はかなり生真面目な性格でな。中二病な以外はまっとうな子なんだよ」
「ええ、それは見ていても分かります」
そう言われたアリアンナは顔を赤らめてうつむいた
「まあアリアンナ、ディスさんが君の家族を助け出してくれるはずだ。そうなれば君も元の世界に帰れるから、もうしばらく待ってくれ」
「あ、ああ」
数時間後、ディスからの定期連絡が入った
それによるとアリアンナの家族は囚われてはいるがひとまずは安全だと言うことが分かった
あまりにも人質の数が多いためそこまで警備もつけられておらず、数日中には助け出せそうだという話だった
「ありがとう姉さん。それじゃあ姉さんも気をつけてね」
通信を終えると横から聞いていたアリアンナの顔は輝いていた
「姉、か、いいものだよな。私もよく甘えている」
「ええ、うちの姉さんは優しいし強いし、最高の姉さんですよ」
「なんだそれならうちの姉だって最高に美人だし優しいし、膝枕がすごく柔らかいのだぞ!」
「あらそれなら私の姉さんなんて歌はうまいし料理も姉妹で一番うまいのです」
「なんのなんのそれなら姉さんは」
「おいやめろ、収拾がつかなくなるぞ」
利善が止めたことでようやく姉自慢合戦に終止符が打たれた
放っておけば数時間でもやりそうだったため英断と言えよう
「それで、種の話はどうなったんだ?」
「あ、そうでしたね」
「待て種と言ったか? それってこれのことか?」
アリアンナはズボンの右ポケットから虹色に輝く種を取り出した
「これ! まさしくこれですよ! どこでこれを?」
「そこに落ちてた。綺麗だから拾っておいたんだが、これってなんなんだ?」
「それは私達にもわからないのです。でもいずれ姉さんが情報をもたらしてくれるはずですよ」
どうやらディスはウルの本拠地で情報収集にも従事しているらしく、その際に種という単語だけは聞いていたようだ
ウルがそれを集めているということも知ったため、調査を進めてはいるのだが、種についての情報はアウルしか持っていない
どの幹部も詳細を知らず集めさせられているということだけは分かっていた
彼女はこの力を元の世界にいたころから使っていた
かつて彼女の世界には怪獣と呼ばれる化け物がはびこっており、一度彼女はその怪獣の履く毒液によって死んだ
しかしどういうわけか彼女が死んだ直後に大雨が降り始め、彼女の体を包み込んだ
そして体が再構築され、彼女は雨の巨人レイドへと生まれ変わったのだった
ただ巨人の力以外は本当にただの少女である彼女は、当然怪獣と戦うなどと言う危険なことを怖がった
しかし戦いを重ねていくにつれ、人々を守るにつれて彼女に勇気が湧いたのだ
戦う勇気は彼女をさらに強くせしめ、レイドとして確立された
「なんという強さの巨人なのでしょう。私あのような能力初めて見ましたよ」
ゼアは嬉しそうにレイドの体を観察している
それにつられるように他の姉妹もレイドを取り囲んで触ったりつついたりした
「あの、もういいですか?」
「あらごめんなさい。興味深くてつい」
「おい、アリアンナが目を覚ましたぞ。まだ少し記憶が混乱しているみたいだが、説明したら落ち着いた」
アリアンナは利善についておずおずと歩いてくる
記憶がちゃんとしてきたのか、レイドの方を見て怯えた顔をした
「大丈夫ですよアリアンナさん。あなたは操られていただけなのですから気にしないで下さい」
「で、でも私は君を傷つけてしまった。その報いはいくらでも受ける」
「大丈夫ですって」
「でもそれでは私の気がおさまらん!」
「大丈夫なんですってば!」
「でも!」
「ほれほれそこまでにしろ。悪いなレイド、こいつ本来はかなり生真面目な性格でな。中二病な以外はまっとうな子なんだよ」
「ええ、それは見ていても分かります」
そう言われたアリアンナは顔を赤らめてうつむいた
「まあアリアンナ、ディスさんが君の家族を助け出してくれるはずだ。そうなれば君も元の世界に帰れるから、もうしばらく待ってくれ」
「あ、ああ」
数時間後、ディスからの定期連絡が入った
それによるとアリアンナの家族は囚われてはいるがひとまずは安全だと言うことが分かった
あまりにも人質の数が多いためそこまで警備もつけられておらず、数日中には助け出せそうだという話だった
「ありがとう姉さん。それじゃあ姉さんも気をつけてね」
通信を終えると横から聞いていたアリアンナの顔は輝いていた
「姉、か、いいものだよな。私もよく甘えている」
「ええ、うちの姉さんは優しいし強いし、最高の姉さんですよ」
「なんだそれならうちの姉だって最高に美人だし優しいし、膝枕がすごく柔らかいのだぞ!」
「あらそれなら私の姉さんなんて歌はうまいし料理も姉妹で一番うまいのです」
「なんのなんのそれなら姉さんは」
「おいやめろ、収拾がつかなくなるぞ」
利善が止めたことでようやく姉自慢合戦に終止符が打たれた
放っておけば数時間でもやりそうだったため英断と言えよう
「それで、種の話はどうなったんだ?」
「あ、そうでしたね」
「待て種と言ったか? それってこれのことか?」
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「これ! まさしくこれですよ! どこでこれを?」
「そこに落ちてた。綺麗だから拾っておいたんだが、これってなんなんだ?」
「それは私達にもわからないのです。でもいずれ姉さんが情報をもたらしてくれるはずですよ」
どうやらディスはウルの本拠地で情報収集にも従事しているらしく、その際に種という単語だけは聞いていたようだ
ウルがそれを集めているということも知ったため、調査を進めてはいるのだが、種についての情報はアウルしか持っていない
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