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リィリア
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少女はか弱く体力的には本当に見た目相応の小さな少女だ
しかしながら精神的には熟しており、中身は中年、いや、老齢の男性である
リィリアという名の少女はかつて宗教家だった
神を信じずただひたすらに金を集めるまさに金の亡者にふさわしい人物
だがその内心はいつも死した母のことでいっぱいだった
金さえあれば救えた、金さえあれば母は苦しむことなどなかったのだ
女手一つで育ててくれた優しく強い母、その母が病に伏せたとき男はただひたすらに自分の無力さを呪うしかなかった
その幼き日々が男を金の亡者へと駆り立てた
「神は自分の内にいる。自分こそが神で、金こそが全てを救う」
独自の考えによる宗教、しかしながら彼はその美声とカリスマによって大きな新興宗教を作り上げた
お布施という名の金集めも非常にやりやすい宗教とは実に彼に馴染んだ
しかしながら金を集める日々は突如として終わりを告げる
家族をこの宗教にとられた男による復讐と呼ぶべき突然の凶行
彼は別に誰かを騙したり、貶めたりなどは一切してはいなかった
金を集めるとは言っても、その金は運営資金、寄付などと言ったことに割り当てられ、至極全うな使い道以外に金を使うことはなかった
後々分かったことだが、彼はいつも言葉が少なかったらしい
それ故に誤解を生み、あるいわ裏切られたのかもしれない
リィリアとなった今としては知る由もないが、今の彼女は宗教家であり救世主でもある
その身に神性を宿し、ただ愚直に自分を信じてくれた神々のために尽くしている
それがリィリアという少女だった
老齢の男性から突然の転生、そして性別も年齢も全く違う別の人生を歩むこととなった彼女だが、愛溢れる家庭に生まれ、その人生は充実していたと言っていいだろう
前世で受けた母の愛、受けれなかった父の愛を一身に受け、友人達にも恵まれ、そしてリィリアはその力を高めていった
天使へと覚醒するほどに
通常人間が研鑽を積むことで仙人、神仙へと至る道があるが、何もそれだけが道ではないということである
天使、それは神に仕えていたリィリアという少女にとってなるべくしてなったと言っていい
まだ覚醒したてではあるが、神性を元々帯びていた身、馴染むのにそう時間はかからなかった
ただリィリアには思うところもある
それは突如生えたフワフワの翼をどうすればいいか、である
その翼は大きく、両翼を合わせると二メートル半はありそうだ
しかしそれでいて驚くほど軽いため、翼を広げても彼女の小さな体でも十分に支えきれる
だが収納方法が分からない
見た目上服は着なければならないし、何よりこの翼に服を合わせるとなるとやはり特注となるだろう
これからの服選びに思わずため息が漏れる
「ふむ、まぁ収納方法は追々考えるとするか」
中身はおじいさんである。そのため自然と独り言が漏れる
いくら少女になったとはいえ、老人の肉体と少女の肉体では過ごしてきた時間の長さが違う
そのためか、時折じじ臭い面を見せることがある
それが魅力だと思う男性も多いためリィリアはあえて治そうとはしないが、やはり少女らしい言動は取りたいとも思う
そのため元居た世界では一応友人たちをよく観察し、その行動や言動を見事に真似ることには成功している
しかし一人になるとやはり気が抜けるのか、言動は老人そのものとなることが多々あった
「む、アスティラさん、どうやって翼を収納したのですか?」
ふと同じく天使となった少女をみやると、いつの間にか自分の翼を綺麗に収納している
自らができないと思うことはきちんと他者に教えを越えるリィリア
当然その方法を尋ねた
「ああ、これ結構簡単よ。こうなんていうか、背中のもう少し先をイメージしてたたむ感じかな」
アスティラに言われたように脳内でイメージすると、驚くほど簡単に翼が収納できた
これで鬱陶しい服選びなどに時間を取られずに済むとリィリアは喜んだ
「ね、簡単だったでしょう」
「うむ、ご教授感謝します」
普通にありがとうだけ伝えればよいものを、リィリアは元宗教家という立場がら、どこまでもお硬いのであった
しかしながら精神的には熟しており、中身は中年、いや、老齢の男性である
リィリアという名の少女はかつて宗教家だった
神を信じずただひたすらに金を集めるまさに金の亡者にふさわしい人物
だがその内心はいつも死した母のことでいっぱいだった
金さえあれば救えた、金さえあれば母は苦しむことなどなかったのだ
女手一つで育ててくれた優しく強い母、その母が病に伏せたとき男はただひたすらに自分の無力さを呪うしかなかった
その幼き日々が男を金の亡者へと駆り立てた
「神は自分の内にいる。自分こそが神で、金こそが全てを救う」
独自の考えによる宗教、しかしながら彼はその美声とカリスマによって大きな新興宗教を作り上げた
お布施という名の金集めも非常にやりやすい宗教とは実に彼に馴染んだ
しかしながら金を集める日々は突如として終わりを告げる
家族をこの宗教にとられた男による復讐と呼ぶべき突然の凶行
彼は別に誰かを騙したり、貶めたりなどは一切してはいなかった
金を集めるとは言っても、その金は運営資金、寄付などと言ったことに割り当てられ、至極全うな使い道以外に金を使うことはなかった
後々分かったことだが、彼はいつも言葉が少なかったらしい
それ故に誤解を生み、あるいわ裏切られたのかもしれない
リィリアとなった今としては知る由もないが、今の彼女は宗教家であり救世主でもある
その身に神性を宿し、ただ愚直に自分を信じてくれた神々のために尽くしている
それがリィリアという少女だった
老齢の男性から突然の転生、そして性別も年齢も全く違う別の人生を歩むこととなった彼女だが、愛溢れる家庭に生まれ、その人生は充実していたと言っていいだろう
前世で受けた母の愛、受けれなかった父の愛を一身に受け、友人達にも恵まれ、そしてリィリアはその力を高めていった
天使へと覚醒するほどに
通常人間が研鑽を積むことで仙人、神仙へと至る道があるが、何もそれだけが道ではないということである
天使、それは神に仕えていたリィリアという少女にとってなるべくしてなったと言っていい
まだ覚醒したてではあるが、神性を元々帯びていた身、馴染むのにそう時間はかからなかった
ただリィリアには思うところもある
それは突如生えたフワフワの翼をどうすればいいか、である
その翼は大きく、両翼を合わせると二メートル半はありそうだ
しかしそれでいて驚くほど軽いため、翼を広げても彼女の小さな体でも十分に支えきれる
だが収納方法が分からない
見た目上服は着なければならないし、何よりこの翼に服を合わせるとなるとやはり特注となるだろう
これからの服選びに思わずため息が漏れる
「ふむ、まぁ収納方法は追々考えるとするか」
中身はおじいさんである。そのため自然と独り言が漏れる
いくら少女になったとはいえ、老人の肉体と少女の肉体では過ごしてきた時間の長さが違う
そのためか、時折じじ臭い面を見せることがある
それが魅力だと思う男性も多いためリィリアはあえて治そうとはしないが、やはり少女らしい言動は取りたいとも思う
そのため元居た世界では一応友人たちをよく観察し、その行動や言動を見事に真似ることには成功している
しかし一人になるとやはり気が抜けるのか、言動は老人そのものとなることが多々あった
「む、アスティラさん、どうやって翼を収納したのですか?」
ふと同じく天使となった少女をみやると、いつの間にか自分の翼を綺麗に収納している
自らができないと思うことはきちんと他者に教えを越えるリィリア
当然その方法を尋ねた
「ああ、これ結構簡単よ。こうなんていうか、背中のもう少し先をイメージしてたたむ感じかな」
アスティラに言われたように脳内でイメージすると、驚くほど簡単に翼が収納できた
これで鬱陶しい服選びなどに時間を取られずに済むとリィリアは喜んだ
「ね、簡単だったでしょう」
「うむ、ご教授感謝します」
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