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ドワーフの国2

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 これでもうこの国がティシエデントの脅威に怯えることはない
 そのおかげか外に逃げていた魔導士たちも歓声を上げて喜んでいた
「精霊様、本当にありがとうございました」
 魔導士たちのリーダーである女性が深々と頭を下げてくれてる
 街に戻ると王様含め多くのドワーフが僕らに膝ま付いて口々にお礼を述べた
「いえ、僕は精霊として当然のことをしたまでですから。それよりもあの黒い男がどこへ行ったのか見ていませんか?」
「それなら確かエヴォンが見ておったはずです」
「はい、アイシス様に守られながらでしたがこの目で確認しました」
 そのエヴォンさんというのはあの魔導士の女性だった
 ドワーフなので僕よりも背が低いけど、僕より年上のお姉さん
 褐色の肌に魔導士らしい黒い服と大き目の帽子
 目は赤色でドワーフの女性らしい強い光がある
「あの男は突如我々が守るあの封印殿に出現しました。何の脈絡もなく、まるで始めからそこにいたかのような自然さで、私達はあっという間に昏倒させられました。その後すぐに勇者アイシス様が駆け付けてくださったので事なきを得ましたが、アイシス様は腕を吹き飛ばされ、ひるんだところを逃げられてしまいました。方角は封印殿より西の方角です」
「ありがとうエヴォンさん」
 西か、確かここから西の方角は星詠み族の国があったはず
 あそこは世界の行く末を占う星詠み族が住んでいて、精霊との縁も深い
 星詠み族とは予言者の支族とも呼ばれていて、見た目は人間族に似てる
 特徴的なのは皆目が開いていないのと、輝くような金色の髪、そして第三の目だ
 目を閉じているけど魔力の流れなんかで周囲のことは感じれるらしい
 別に目が見えないわけじゃなくて、未来を視るために常に閉じてるんだ
 そして世界にとって危険な未来が見えた時、その第三の目が開かれるらしい
 まぁ今まで僕達で何とかなってたから開いてないけど、かつては幾度か開いて世界を巻き込む大災害なんてのもあったらしい
「あの、是非とも国を挙げてのお礼を」
「すみません、もしその男が星詠み族の国に行ったのなら急がないといけないんです」
「そうですか・・・。ではまたのお越しを心よりお待ちしております」
 王様には悪いけど、こればかりは仕方ない
 とにかく急がなきゃ。黒い男が星詠み族の国に行ったなら間違いなくあの封印を解く
 それはかつて全ての種族の強力な魔導士、魔術師、精霊や妖精によって封じられた世界悪の獣
 世界を滅ぼさんと動く異世界から来た大厄災と呼ばれた魔獣、オロフェニア
 母さんに聞いた中で最も力ある封印された獣の一匹があの国にいる
「クロハさん、ハクラちゃん、急いで星詠み族の国に行くよ」
「は、はい!」
 二人に理由を話している時間はない
 挨拶もそこそこにして、僕らはすぐに星詠み族の国へと急いだ
 時間がない、封印が解ければ世界が危ないんだ
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