402 / 1,022
翼人族の国再び9
しおりを挟む
まったく、少し登っただけでもかなりの数の鳥魔物に襲われるからゆっくりと休めやしない
少し登っては葉っぱの上で休んでゆっくり登ろうと思ったんだけど、葉っぱの上の魔物の数が尋常じゃないんだ
休もうものならこれ幸いとばかりに鳥魔物が一斉に襲い掛かって来ちゃう
ハクラちゃんも僕も気が休まらないからずっと戦ってる気がする
それでもちょっとずつ着実に大樹を登れてはいるんだよね
「精霊様、この木って葉っぱのとこにだけ魔物がいませんか?」
「た、確かに。ということは幹の部分なら休めるんじゃない?」
そのことに気づけたおかげで、僕が精霊魔法で樹木を少し操って二人分がゆうにくつろげるスペースを作り出せた
そこからは登ってはスペースを作って休んで、また登るって言うのを繰り返した
何日かかっただろうか?
ようやく頂上が見えてきたところで鳥魔物の襲撃回数がグッと増えた
今まで幹の部分までは来なかったはずの魔物たちは僕らを目ざとく見つけると一斉に襲い掛かってくる
それらを振り払いながらとにかく上へ上へと急いで、頂上が見えてから数時間でその頂上へと上り詰めることができた
もはや体力もなくて神経も完全にすり減ってしまった
頂上へ着いたとたん僕らはバタリと倒れ込んだ
眠れはしないけど、しばらく何もしたくないよ
それから体感で一時間ほどが経過して、ようやく僕らも立てるくらいまで気力も回復した
それでやっと周りの景色を見ることができたんだ
まわりには雲もなくて、恐らく雲ができる高さよりもさらに高い位置にいるんだと思う
下を覗き見ると数十メートルくらい下に雲がかかっているのが見えた
「綺麗ですね。まるで天国のようです。天国なんて行ったことありませんけど」
「まぁ伝承にある天国ってこんな感じらしいからね」
下の景色も楽しんで、僕らは頂上にあった大広場を探索し始めた
とはいっても中心に小さな家らしきものが見えるから、確実にそこがゴールなんだろうけどね
一応見て回りたいじゃない?
そして僕らは十分に満足したところで家の扉をノックした
「空いてますわ。どうぞお入りなさいな」
カナリヤのさえずりのように美しい声が聞こえたので、僕は扉を開けて中に入った
家の中は簡素で、小さめのテーブルと椅子、それからその椅子に腰かけている綺麗なお姉さんがいた
翼が生えてるから翼人族?
「まぁ、わたくしは翼人族ではありませんわ。わたくしこそが鳥神ヤコですの。元は神獣鵺でしたけどね」
「え、鵺なのですか!?」
「元ですわよ、元。まぁそのことはどうでもいいですの。あなた達は無事試練を突破しました。まぁ今までに比べたら簡単だったでしょう? わたくしから特に教えられることはございませんから」
「そうなんですか?」
「まぁ飛び方くらいですわね。わたくしは戦闘が得意ではありませんの。そうですわね、あなた方が望むのであればもう少しだけ速く空を飛ぶ方法をお教えしますけれど、わたくしが教えずともあなた方はすぐにわたくしを超えそうですし、そう考えるとやはり何も教えることはございません、ということになりますわね」
どうにもヤコ様は特にアマテラス様からの指令も受けていないらしく、アマテラス様に名を授かった十二神全員で僕らを鍛えなさいと言われただけだからやってるだけ、って感じらしい
「あ、そうですわ。二人ともこちらに座りなさいな。そして今までのあなた達の活躍でも効かせて下さらない? ほらお紅茶にお菓子もございましてよ?」
ヤコ様は椅子を用意してくれると自ら紅茶とお菓子を用意してくれた
どちらもかなりの高級品に見えるけど、実はヤコ様お手製らしい
お菓子のクッキーを一口齧ってみると、まるで天にも昇れそうなほどの美味しさが口に広がった
さらに紅茶の香りも気持ちを落ち着かせてくれるし、砂糖を入れなくてもほのかな甘みがある
ハクラちゃんもほやっとした顔で和んでる
なんかおばあちゃんみたいで可愛い
見た目は未だに十二歳くらいの子供のまま戻れてないんだけどねアハハ
そうやってくつろぎながら僕らは今までの話を長々語った
ヤコ様はご飯も作ってくれたんだけど、これがまた絶品だったんだよね
それに僕らの話を嬉しそうに聞いてくれて、その聞き上手なこと
僕らも次から次へとすっかり話し込んでしまった
気が付くとすでに数時間が経過してたくらい
ヤコ様も満足してくれたみたいでよかったよ
「久方ぶりにいい冒険譚が聞けましたわ。わたくしもこう見えて数十年前まで同じように冒険をしていたのですよ。まぁ呼び出された時のみ戦っていたのですが、わたくしはそこまで強くないので足を引っ張っていましたの。それでも主はわたくしにはわたくしの良いところがあるからと呼んでくださっていましたの。その主は今わたくしたちのリーダーでして、非常に優しい方です。いずれお会いできるかと思いますわ」
ヤコ様にもいろいろ話を聞けて楽しかったな
次は妖怪族の国にある秘迷宮、狐狸の浄園という迷宮に向かうよう言われた
どうやらクノエちゃんのいる妖狐族の里にあるみたいだ
クノエちゃんにも久しぶりに会えるね
少し登っては葉っぱの上で休んでゆっくり登ろうと思ったんだけど、葉っぱの上の魔物の数が尋常じゃないんだ
休もうものならこれ幸いとばかりに鳥魔物が一斉に襲い掛かって来ちゃう
ハクラちゃんも僕も気が休まらないからずっと戦ってる気がする
それでもちょっとずつ着実に大樹を登れてはいるんだよね
「精霊様、この木って葉っぱのとこにだけ魔物がいませんか?」
「た、確かに。ということは幹の部分なら休めるんじゃない?」
そのことに気づけたおかげで、僕が精霊魔法で樹木を少し操って二人分がゆうにくつろげるスペースを作り出せた
そこからは登ってはスペースを作って休んで、また登るって言うのを繰り返した
何日かかっただろうか?
ようやく頂上が見えてきたところで鳥魔物の襲撃回数がグッと増えた
今まで幹の部分までは来なかったはずの魔物たちは僕らを目ざとく見つけると一斉に襲い掛かってくる
それらを振り払いながらとにかく上へ上へと急いで、頂上が見えてから数時間でその頂上へと上り詰めることができた
もはや体力もなくて神経も完全にすり減ってしまった
頂上へ着いたとたん僕らはバタリと倒れ込んだ
眠れはしないけど、しばらく何もしたくないよ
それから体感で一時間ほどが経過して、ようやく僕らも立てるくらいまで気力も回復した
それでやっと周りの景色を見ることができたんだ
まわりには雲もなくて、恐らく雲ができる高さよりもさらに高い位置にいるんだと思う
下を覗き見ると数十メートルくらい下に雲がかかっているのが見えた
「綺麗ですね。まるで天国のようです。天国なんて行ったことありませんけど」
「まぁ伝承にある天国ってこんな感じらしいからね」
下の景色も楽しんで、僕らは頂上にあった大広場を探索し始めた
とはいっても中心に小さな家らしきものが見えるから、確実にそこがゴールなんだろうけどね
一応見て回りたいじゃない?
そして僕らは十分に満足したところで家の扉をノックした
「空いてますわ。どうぞお入りなさいな」
カナリヤのさえずりのように美しい声が聞こえたので、僕は扉を開けて中に入った
家の中は簡素で、小さめのテーブルと椅子、それからその椅子に腰かけている綺麗なお姉さんがいた
翼が生えてるから翼人族?
「まぁ、わたくしは翼人族ではありませんわ。わたくしこそが鳥神ヤコですの。元は神獣鵺でしたけどね」
「え、鵺なのですか!?」
「元ですわよ、元。まぁそのことはどうでもいいですの。あなた達は無事試練を突破しました。まぁ今までに比べたら簡単だったでしょう? わたくしから特に教えられることはございませんから」
「そうなんですか?」
「まぁ飛び方くらいですわね。わたくしは戦闘が得意ではありませんの。そうですわね、あなた方が望むのであればもう少しだけ速く空を飛ぶ方法をお教えしますけれど、わたくしが教えずともあなた方はすぐにわたくしを超えそうですし、そう考えるとやはり何も教えることはございません、ということになりますわね」
どうにもヤコ様は特にアマテラス様からの指令も受けていないらしく、アマテラス様に名を授かった十二神全員で僕らを鍛えなさいと言われただけだからやってるだけ、って感じらしい
「あ、そうですわ。二人ともこちらに座りなさいな。そして今までのあなた達の活躍でも効かせて下さらない? ほらお紅茶にお菓子もございましてよ?」
ヤコ様は椅子を用意してくれると自ら紅茶とお菓子を用意してくれた
どちらもかなりの高級品に見えるけど、実はヤコ様お手製らしい
お菓子のクッキーを一口齧ってみると、まるで天にも昇れそうなほどの美味しさが口に広がった
さらに紅茶の香りも気持ちを落ち着かせてくれるし、砂糖を入れなくてもほのかな甘みがある
ハクラちゃんもほやっとした顔で和んでる
なんかおばあちゃんみたいで可愛い
見た目は未だに十二歳くらいの子供のまま戻れてないんだけどねアハハ
そうやってくつろぎながら僕らは今までの話を長々語った
ヤコ様はご飯も作ってくれたんだけど、これがまた絶品だったんだよね
それに僕らの話を嬉しそうに聞いてくれて、その聞き上手なこと
僕らも次から次へとすっかり話し込んでしまった
気が付くとすでに数時間が経過してたくらい
ヤコ様も満足してくれたみたいでよかったよ
「久方ぶりにいい冒険譚が聞けましたわ。わたくしもこう見えて数十年前まで同じように冒険をしていたのですよ。まぁ呼び出された時のみ戦っていたのですが、わたくしはそこまで強くないので足を引っ張っていましたの。それでも主はわたくしにはわたくしの良いところがあるからと呼んでくださっていましたの。その主は今わたくしたちのリーダーでして、非常に優しい方です。いずれお会いできるかと思いますわ」
ヤコ様にもいろいろ話を聞けて楽しかったな
次は妖怪族の国にある秘迷宮、狐狸の浄園という迷宮に向かうよう言われた
どうやらクノエちゃんのいる妖狐族の里にあるみたいだ
クノエちゃんにも久しぶりに会えるね
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる