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翼人族の国再び1
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サリーシアは多数の翼人族が行き交う商業都市
運搬業で成り立っているこの国は今黒族の開発した運搬用転移装置にお株を奪われつつあった
そのためか新たな商売が始まったらしい
空での事情に詳しい風の精霊フーレンに通信魔法で情報を聞いたところによると、アドベンチャー企業のようなものが乱立しているらしい
というのも数人の翼人族がゴンドラを持ち、それに乗ったまま景色を楽しめるという事業が当たったらしくて、観光客が押し寄せているんだとか
確かに以前よりも遥かに人が多い
やっぱり空を飛べない種族ばかりで、人間族が特に多いかな
皆ワクワクと楽しそうな顔をしている
「精霊様! 私も乗ってみたいです!」
「ハクラちゃんは空飛べるじゃない」
「た、確かに飛べますけども、こういうのは何事も経験じゃないですか。それに翼を持つ種族がどのように宙を舞うのかも見てみたいです! あいえ、見たことはあるんですがかなり遠くからしか見てなかったもので」
「そっか、うーん、じゃぁ一回だけ乗ってみよっか」
「はい!」
途端に目を輝かせるハクラちゃん
そういえば狒々王の迷宮で力を使い果たしてからというもの、まだ子供の姿から元に戻れてない
言動まで子供みたいだけど、ハクラちゃんは元々そうだから違和感がないや
僕らは取り合えず目についたゴンドラに乗ってみることにした
イケメンばかりが働いているらしく、まるでアイドルみたいなお兄さんたちがキラキラと輝くスマイルで手を振ってくれてる
思わず僕もハクラちゃんも列へと並んでしまった
いやぁ眼福眼福
綺麗な人は見てるだけで心が華やぐね
結構回転率もいいみたいで、僕らの番があっという間に来た
僕らを乗せてくれるのは長髪のおっとり系お兄さんと、右側を短く刈り込んでピアスが輝く俺様系お兄さん、それからショートに優しそうな糸目のお兄さんとその人にそっくりな恐らく双子で、こっちは目が開いてるあまり表情のないお兄さんの四人
皆細マッチョで見とれてしまいそうな甘いマスク
「ほらお嬢さんたち、乗って乗って」
「姫、お手を」
「え、姫って分かるんですか?」
「え?」
「え?」
あらら、ハクラちゃんを姫って言うから反応しちゃってるよ
本当に姫だからそりゃそうなるよね
「えと、どこかの国の・・・。あいえ、その角は鬼ヶ島の姫ですよね?」
「ええ、ハクラです」
「まさかあの白き宝玉と呼ばれる姫様が来られるとは光栄です」
「そ、そんな呼ばれ方してるんですかここでは」
ハクラちゃんにはその美を称えるいろんな呼び名があって、白き宝玉もその一つだね
他には白銀の雪花とか、単純に白雪姫と呼ぶ人もいるそうだ
とにかくエスコートされて僕らはゴンドラに乗り込む
彼らはバサッとたくましい翼を広げると、ゴンドラの縄を自分の体につなげて羽ばたいた
少しの揺れのあと、ゴンドラはみるみる空に上がっていった
自分たちで飛ぶのとは違った感覚ですごく気持ちいい
風が優しく僕らの頬を撫でる
「いかがですか姫様、従者様」
「な!? 失礼ですよあなた! こちらの方は精霊王女様です!」
「そ、それは大変な失礼をいたしました! ど、どうか命ばかりは!」
「取りませんよ!? 皆さん精霊を何だと思ってるんですか!」
「すみません、取り乱してしまいました」
「僕はただ単純に楽しむために乗っただけだから気負いしないでよ」
「は、はい!」
とはいったものの、一気にイケメンたちに緊張が走ったみたいでなんだか悪いことをしたかも
でもでも周りの景色は本当に最高だった
自分で飛んでもこの景色は見えるだろうけど、魔法で姿勢なんかを制御しなくていい分心置きなく景色を味わえた
ハクラちゃんも目をらんらんと輝かせて輝く景色を楽しんでるみたいだ
しっかりと堪能(イケメンたちの顔も十分に堪能させてもらいました)出来たから満足
戻ってから僕らはイケメンたちにお礼を言って食べ物屋を探すことにした
屋台はもちろんのこと、前に来た時と違って観光客向けにかなりの数の料理屋が建ってた
色々見てみたけど、どうやら虫料理屋もあるみたいだね
虫料理屋はここ最近移住が増えてきた鳥人族が経営してるみたい
人に姿が近い翼人族と違って、鳥人族は鳥に近い姿をしている
獣人とケモノ人との違いみたいなものだね
獣人も人間に近い姿で、ケモノ人はけものに近い姿
それぞれ交流もあるし夫婦もいるから翼人族の国にも鳥人族はいるし、鳥人族の国にも翼人族はいる
さっきからもちらほら見えてるしね
それにしても虫料理はまだ僕にはハードルが高いかも
いやそりゃ美味しいとは聞いていたけど、やっぱりその、見た目がね
ハクラちゃんも苦笑いしてるし
で、僕らは翼人族が出している郷土料理の店に入ってみた
そこは空の野菜と呼ばれる標高の高い場所で採れた野菜をふんだんに使ったポトフのようなスープが有名な店みたい
ポトフみたいだけど野菜だけでお肉は一切入ってない
僕らも頼んでみて、数分後スープが運ばれてきた
大雑把にざく切りにされた多くの野菜が食欲をそそる
中に入ってるのは真っ赤なカブ、ニンジンに似てるビトという天空野菜、それから小松菜に似たホルベアという天空野菜に空じゃがというジャガイモ、その他数種類の野菜が入っててボリューミー
食べきれるか心配だったけど、あっさりとした味に濃厚な野菜の味が絶妙で、あっという間に食べ終わった
デザートにはかぼちゃのプディングが出て、カボチャの甘みのみで作られたこのプディングも最高の味だったよ
ご飯を食べ終えた僕らは宿を取って、その日は休むことにした
明日は山を登ってサリーシアの王城へ行って、迷宮に入る許可をもらわないとだからね
ここの迷宮では死ぬことはないけど、気を引き締めて行こう
運搬業で成り立っているこの国は今黒族の開発した運搬用転移装置にお株を奪われつつあった
そのためか新たな商売が始まったらしい
空での事情に詳しい風の精霊フーレンに通信魔法で情報を聞いたところによると、アドベンチャー企業のようなものが乱立しているらしい
というのも数人の翼人族がゴンドラを持ち、それに乗ったまま景色を楽しめるという事業が当たったらしくて、観光客が押し寄せているんだとか
確かに以前よりも遥かに人が多い
やっぱり空を飛べない種族ばかりで、人間族が特に多いかな
皆ワクワクと楽しそうな顔をしている
「精霊様! 私も乗ってみたいです!」
「ハクラちゃんは空飛べるじゃない」
「た、確かに飛べますけども、こういうのは何事も経験じゃないですか。それに翼を持つ種族がどのように宙を舞うのかも見てみたいです! あいえ、見たことはあるんですがかなり遠くからしか見てなかったもので」
「そっか、うーん、じゃぁ一回だけ乗ってみよっか」
「はい!」
途端に目を輝かせるハクラちゃん
そういえば狒々王の迷宮で力を使い果たしてからというもの、まだ子供の姿から元に戻れてない
言動まで子供みたいだけど、ハクラちゃんは元々そうだから違和感がないや
僕らは取り合えず目についたゴンドラに乗ってみることにした
イケメンばかりが働いているらしく、まるでアイドルみたいなお兄さんたちがキラキラと輝くスマイルで手を振ってくれてる
思わず僕もハクラちゃんも列へと並んでしまった
いやぁ眼福眼福
綺麗な人は見てるだけで心が華やぐね
結構回転率もいいみたいで、僕らの番があっという間に来た
僕らを乗せてくれるのは長髪のおっとり系お兄さんと、右側を短く刈り込んでピアスが輝く俺様系お兄さん、それからショートに優しそうな糸目のお兄さんとその人にそっくりな恐らく双子で、こっちは目が開いてるあまり表情のないお兄さんの四人
皆細マッチョで見とれてしまいそうな甘いマスク
「ほらお嬢さんたち、乗って乗って」
「姫、お手を」
「え、姫って分かるんですか?」
「え?」
「え?」
あらら、ハクラちゃんを姫って言うから反応しちゃってるよ
本当に姫だからそりゃそうなるよね
「えと、どこかの国の・・・。あいえ、その角は鬼ヶ島の姫ですよね?」
「ええ、ハクラです」
「まさかあの白き宝玉と呼ばれる姫様が来られるとは光栄です」
「そ、そんな呼ばれ方してるんですかここでは」
ハクラちゃんにはその美を称えるいろんな呼び名があって、白き宝玉もその一つだね
他には白銀の雪花とか、単純に白雪姫と呼ぶ人もいるそうだ
とにかくエスコートされて僕らはゴンドラに乗り込む
彼らはバサッとたくましい翼を広げると、ゴンドラの縄を自分の体につなげて羽ばたいた
少しの揺れのあと、ゴンドラはみるみる空に上がっていった
自分たちで飛ぶのとは違った感覚ですごく気持ちいい
風が優しく僕らの頬を撫でる
「いかがですか姫様、従者様」
「な!? 失礼ですよあなた! こちらの方は精霊王女様です!」
「そ、それは大変な失礼をいたしました! ど、どうか命ばかりは!」
「取りませんよ!? 皆さん精霊を何だと思ってるんですか!」
「すみません、取り乱してしまいました」
「僕はただ単純に楽しむために乗っただけだから気負いしないでよ」
「は、はい!」
とはいったものの、一気にイケメンたちに緊張が走ったみたいでなんだか悪いことをしたかも
でもでも周りの景色は本当に最高だった
自分で飛んでもこの景色は見えるだろうけど、魔法で姿勢なんかを制御しなくていい分心置きなく景色を味わえた
ハクラちゃんも目をらんらんと輝かせて輝く景色を楽しんでるみたいだ
しっかりと堪能(イケメンたちの顔も十分に堪能させてもらいました)出来たから満足
戻ってから僕らはイケメンたちにお礼を言って食べ物屋を探すことにした
屋台はもちろんのこと、前に来た時と違って観光客向けにかなりの数の料理屋が建ってた
色々見てみたけど、どうやら虫料理屋もあるみたいだね
虫料理屋はここ最近移住が増えてきた鳥人族が経営してるみたい
人に姿が近い翼人族と違って、鳥人族は鳥に近い姿をしている
獣人とケモノ人との違いみたいなものだね
獣人も人間に近い姿で、ケモノ人はけものに近い姿
それぞれ交流もあるし夫婦もいるから翼人族の国にも鳥人族はいるし、鳥人族の国にも翼人族はいる
さっきからもちらほら見えてるしね
それにしても虫料理はまだ僕にはハードルが高いかも
いやそりゃ美味しいとは聞いていたけど、やっぱりその、見た目がね
ハクラちゃんも苦笑いしてるし
で、僕らは翼人族が出している郷土料理の店に入ってみた
そこは空の野菜と呼ばれる標高の高い場所で採れた野菜をふんだんに使ったポトフのようなスープが有名な店みたい
ポトフみたいだけど野菜だけでお肉は一切入ってない
僕らも頼んでみて、数分後スープが運ばれてきた
大雑把にざく切りにされた多くの野菜が食欲をそそる
中に入ってるのは真っ赤なカブ、ニンジンに似てるビトという天空野菜、それから小松菜に似たホルベアという天空野菜に空じゃがというジャガイモ、その他数種類の野菜が入っててボリューミー
食べきれるか心配だったけど、あっさりとした味に濃厚な野菜の味が絶妙で、あっという間に食べ終わった
デザートにはかぼちゃのプディングが出て、カボチャの甘みのみで作られたこのプディングも最高の味だったよ
ご飯を食べ終えた僕らは宿を取って、その日は休むことにした
明日は山を登ってサリーシアの王城へ行って、迷宮に入る許可をもらわないとだからね
ここの迷宮では死ぬことはないけど、気を引き締めて行こう
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