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桃源郷10

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 八階層目に来ると今度は灼熱の砂漠が広がっていて、マコさんがばててきたのでまた僕の魔法で保護してあげた
「クールサークル!」
「ありがとうございます精霊様、ご迷惑ばかりおかけして申し訳ないです」
「いいんだよそんなことは。僕だってマコさんに助けられてるしね」
「そう言っていただけて幸せです」
 マコさんはこの迷宮で二人っきりになってから結構べったりとついて来るんだけど、もしかしてそっちの気があるのかな?
 まぁこの世界は恋愛に関しておおらかだからいいんじゃないかな? 僕も好かれて悪い気はしないんだけど、恋愛感情はまだわからないかな
  しばらく砂漠を進んでいると蜃気楼のように揺らいでいる小さなピラミッドが見つかった
 大きさは高さ二メートルくらいで、人一人が入ればいっぱいになるくらい
 そこからエジプシャンな衣装を着た猫耳少女が出てくるとこっちをジッと見た
 何この子可愛いんだけど!
「あら、こんなところまで来たの? じゃあ試練開始かしら。あたしはニャニャベル、この階層を守護するスフィンクス族よ」
「スフィンクス族?」
「ああ、そういえばこの世界にはいない種族なのかしら? まあ魔力の高い猫獣人だと思えばいいわ。ってそんなことはどうでもいいの。これからあたしの出す試練を乗り越えてもらうわ。準備はいいかしら?」
「あ、はい」
「大丈夫です」
「これから三つのカギを集めてここに戻ってきてもらうわ。そしたらこのピラミッドにある鍵穴で鍵を開けてもらう。そしたら本試練が始まるから、クリアしたら次の階層への階段が現れるわ。まぁ頑張りなさい」
 言われた通りに鍵を探しに行くことにしたけど、方向がまずわかんない
「あの、鍵ってどこにあるんですか?」
「あ、ごめん、えっと、ここから西にあるオアシスに一個、北東の村に一個、南にある遺跡に一個あるはずよ。ここ、ダンジョンじゃなくてあたしの世界に直接つながってんのよ。ニャコ様の力でね」
「ニャコ様って本当にすごいんですね」
「そりゃそうよ、猫にまつわる種族のトップだもの」

 とりあえず場所は大体わかったのでまずは西のオアシスに行ってみることにした
 砂漠を歩いて歩いて、一時間ほど歩いたところで広いオアシスが見えてきた
 オアシスの水はすごくきれいで、喉の乾いたマコさんは早速すくって飲んでいる
「生き返る心地です。でも鍵らしきものは見当たりませんね」
「うん、水と木しかないね」
 この湖は深さもあるみたいだね
 なんかこういう広くて深い水辺って怖くない? 何が潜んでるのか分からないって感じでさ
 で、鍵を探して湖の方を見ていると何かの影がこちらに近づいてきているのが見えた
「うわわ、なんか来てる! なんか来てるよ!」
「お、大きいですね」
 その影がザバンと湖から顔を出した
 なんだかぬぺっとした顔の蛇? どことなく愛嬌があって可愛いかも
 その蛇は小首をかしげてこっちを見、舌をチロチロと出し入れしている
 蛇の首にはよく見ると紐がぶら下がっていて、その先に鍵がかかっていた
「マコさんあれ!」
「鍵ですね」
「取っていいのかな?」
「いいのではないですか? この子おとなしいですよ」
「確かに」
 空を飛んで蛇に近づくと、その蛇は僕に顔を近づけてきた
「取っていいの?」
 どうやらおとなしくそのカギを渡してくれるみたいだ
「ありがとう」
 この子はここの神獣みたいなものなのかな? なんだか神聖な感じがするし
 鍵を受け取って頭を撫でてあげると蛇ちゃんはゆっくりと湖の中へ帰っていった
 これで一個目、次は北東の村に向かうことにしたよ
「次は村でしたね。ということは人がいるのでしょうか?」
「そうだろうね。ここは別世界らしいから当然その村では僕らが異世界人ってことになるね」
「なるほど、初めての異世界人との交流ですね!」
 村に着いたら村人たちが一斉に集まって来た
「おお、あなた方がニャニャベル様の試練を受けられている異世界の方々ですね。話は聞いております」
 そう言って村の中に入れてくれたのは村長のおじいさん
 ここでは村の問題を解決すれば鍵をもらえるみたいだ
 村長さんの話によると村近くに巣を作ったデスワームという魔物が村人を襲っているので退治してほしいとのこと
 デスワームは僕のいる世界にもいる魔物だね
 ここと同じく砂漠に生息しているワーム系の魔物だ
 早速その巣に向かうと、デスワームが一斉に襲い掛かって来た
 でもデスワームくらいなんてことはない
 人を襲う危険な魔物を駆除するのも僕の役目、氷の下位魔法で凍らして殲滅した
「よしっと、村に戻ろっか」
「はい!」
 村に戻って村長から鍵をもらうと最後のカギを求めて南へ向かった
 そこの遺跡には石のゴーレムがいて、その胸に鍵が付いていたからマコさんが蹴って破壊
 最後の鍵も難なくゲット!
 ニャニャベルさんの所へ戻って鍵をピラミッドに差し込むと、そのピラミッドが動き出した
「うわわ、なになになに!?」
「おー、動いたね。あたしは手が出せないから頑張ってね」
 ピラミッドがせりあがってきて、かなり大きなピラミッドになった
 今見えていたのは上のキャップストーンだけだったのか
「ほら来るわよ、ちゃんと構えなさいよ」
「え、来るって、来るようなものなの?」
 ピラミッドを見ていると何とピラミッドが変形した! それも変形ロボットのようにだ
「ゴーレムの一種よ。相当硬いから気を付けてね」
 大きいし強そうだ
 僕とマコさんは戦闘態勢に入るとゴーレムに攻撃を開始した
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