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桃源郷5
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二階層に来るとまたしても霧が立ち込めていて視界がかなり悪かった
マコさんと手を繋いで進むと猫らしき影が時折僕らの足元を走っていくのが見える
人に慣れてるのか、足にスリスリしてくれる猫ちゃんもいるみたいで癒されるよ
「結構進みましたがまだ何も見当たりませんね。幻術らしき気配もありませんし、この階層はかなり長いのでしょうか?」
「どうだろう。でも道はまっすぐ続いてるみたいだからこのまま進んでればいずれ着くんじゃないかな?」
そう思ってずっと進んでみてるけど、約一時間かけても何もない
猫ちゃんがたまに通り過ぎるだけ
「おかしいなあ、一階層はすぐに広場に抜けたのにこの階層は道が続くだけで何も見えない。幻術って感知できないものもあるの?」
「は、はい、そうです! 感知できない幻術。薬効による幻覚なら魔力や仙力の感知ができません。そうでした、その可能性に気づかないなんて私はなんと愚かなのでしょう。申し訳ありません精霊様」
「お、怒ってないよ。じゃあつまりこれは薬で幻覚を見せられてるってことでいいんだね?」
「はい、ほぼ確定かと思われます」
それなら話が早い
「えーっと、光魔法、アンチハルシネイション」
幻覚に抵抗する魔法をかけてみた
するとさっきまでの霧が嘘のように晴れて道がはっきりと見えるようになった
「うわぁ、そういうことか」
「こんな簡単な罠にかかるなど、恥ずかしい限りです」
道はぐるりと一周していて、本当の道は草に隠れて見えなくなっていた
そのぐるりと一周というのを幻覚でまっすぐに見せれてただけだったんだよ
「ともかくこれで先にはすすめそうだね」
草をかいくぐって道の先へ行くとものの五分ほどで広場に着いた
そこには真っ白な猫が座っていて微笑んでいた
そう、微笑んでいたんだよ
なんというかちょっといたずらっ子っぽい笑みなんだけど、それがまた可愛い
触ってもいいのかな?って近づこうとするとすでにマコさんが走り出していて白猫ちゃんを掴んだ
「よーしよしよしよしカワイイですねぇええ! 何でちゅか? 笑ってるんでちゅか~。ほら精霊様も・・・! はっ・・・。すみません、お見苦しい所をお見せしました」
「う、うん、正気に戻ってくれてよかったよ」
いまだ白猫ちゃんのお腹をこしょこしょしているマコさんだけどね
「そろそろ放してくださいまし」
「しゃ、しゃべった!?」
「そりゃあ喋りましょうとも。わたくしこれでもエリート猫又ですのよ?」
そう言う白猫ちゃんはくるんとマコさんの手から飛び上がって着地
その姿を人型に変えた
いかにもなお嬢様というゴシックロリータ風の服装に、縦ロールなツインテールの目がキリッとした可愛い女の子の姿
僕と同じ十歳くらいの年齢に見える
「わたくしはアニャベラですの。今回この第二階層の試験官を務めさせていただきますわ」
「君が試験官なの? 僕らは何をすればいいのかな?」
「ええ、ニャコ様から仰せつかったのは、クイズですわ!」
「クイズ、ですか? あの、そのクイズというのはどういうものなのでしょうか?」
どうやらマコさんはクイズという言葉を知らないみたい
「えっとね、問題だよ問題」
「問題、ですか。それなら私でも答えれそうです!」
「準備はよろしくて? では参りますわよ」
アニャベラちゃんが右手を振り上げると天井がちかちかと、まるでミラーボールでも飾っているかのように輝きだした
そして流れて来る軽快な音楽
「ではルールを説明いたしますわ。わたくしのこれから出題する問題に十問答えていただきますの。そのうちの六問を正解すれば先に進めますわ。逆に五問間違えるとその時点で失格ですの。すぐに外へ排出されますわ」
「なるほど、六問正解すればいいんだね。よし、どんとこいだよ!」
「フフフ、その意気ですわよ。では早速いきますわ! 第一問!」
テレーンというクイズ出題の音の後、アニャベラちゃんがいつの間にか取り出していたフリップの問題を読み上げる
「猫の祖先は犬と同じである。丸かバツか、ですの!」
「これ知ってる! 丸だよ!」
この話は前世でテレビの動物番組で聞いたことがあるね
確かもともと同じ木の上に暮らしていた動物が、地面に降りて草原へ行ったものと木の上に残ったものに分かれて、草原へ行ったものは犬の祖先に、木の上に残ったものは猫の祖先に成ったらしい
だから犬は草原をかけて得物を捕らえれる体に、猫は木から落ちても着地できるしなやかな体に進化したって聞いたよ
「正解ですの! こんなのわたくしも知らないですわよ。さすが精霊と言ったところですわね」
まあこの知識は精霊ってところは関係ないけどね。前世の知識だし
「さすが精霊様です! 私も負けていられません! アニャベラ様、私も答えて見せます!」
「うんうん、頑張って頂戴な。じゃあ次の問題行きますわよ!」
何か本当のクイズ番組に出てるみたいで楽しいな
マコさんと手を繋いで進むと猫らしき影が時折僕らの足元を走っていくのが見える
人に慣れてるのか、足にスリスリしてくれる猫ちゃんもいるみたいで癒されるよ
「結構進みましたがまだ何も見当たりませんね。幻術らしき気配もありませんし、この階層はかなり長いのでしょうか?」
「どうだろう。でも道はまっすぐ続いてるみたいだからこのまま進んでればいずれ着くんじゃないかな?」
そう思ってずっと進んでみてるけど、約一時間かけても何もない
猫ちゃんがたまに通り過ぎるだけ
「おかしいなあ、一階層はすぐに広場に抜けたのにこの階層は道が続くだけで何も見えない。幻術って感知できないものもあるの?」
「は、はい、そうです! 感知できない幻術。薬効による幻覚なら魔力や仙力の感知ができません。そうでした、その可能性に気づかないなんて私はなんと愚かなのでしょう。申し訳ありません精霊様」
「お、怒ってないよ。じゃあつまりこれは薬で幻覚を見せられてるってことでいいんだね?」
「はい、ほぼ確定かと思われます」
それなら話が早い
「えーっと、光魔法、アンチハルシネイション」
幻覚に抵抗する魔法をかけてみた
するとさっきまでの霧が嘘のように晴れて道がはっきりと見えるようになった
「うわぁ、そういうことか」
「こんな簡単な罠にかかるなど、恥ずかしい限りです」
道はぐるりと一周していて、本当の道は草に隠れて見えなくなっていた
そのぐるりと一周というのを幻覚でまっすぐに見せれてただけだったんだよ
「ともかくこれで先にはすすめそうだね」
草をかいくぐって道の先へ行くとものの五分ほどで広場に着いた
そこには真っ白な猫が座っていて微笑んでいた
そう、微笑んでいたんだよ
なんというかちょっといたずらっ子っぽい笑みなんだけど、それがまた可愛い
触ってもいいのかな?って近づこうとするとすでにマコさんが走り出していて白猫ちゃんを掴んだ
「よーしよしよしよしカワイイですねぇええ! 何でちゅか? 笑ってるんでちゅか~。ほら精霊様も・・・! はっ・・・。すみません、お見苦しい所をお見せしました」
「う、うん、正気に戻ってくれてよかったよ」
いまだ白猫ちゃんのお腹をこしょこしょしているマコさんだけどね
「そろそろ放してくださいまし」
「しゃ、しゃべった!?」
「そりゃあ喋りましょうとも。わたくしこれでもエリート猫又ですのよ?」
そう言う白猫ちゃんはくるんとマコさんの手から飛び上がって着地
その姿を人型に変えた
いかにもなお嬢様というゴシックロリータ風の服装に、縦ロールなツインテールの目がキリッとした可愛い女の子の姿
僕と同じ十歳くらいの年齢に見える
「わたくしはアニャベラですの。今回この第二階層の試験官を務めさせていただきますわ」
「君が試験官なの? 僕らは何をすればいいのかな?」
「ええ、ニャコ様から仰せつかったのは、クイズですわ!」
「クイズ、ですか? あの、そのクイズというのはどういうものなのでしょうか?」
どうやらマコさんはクイズという言葉を知らないみたい
「えっとね、問題だよ問題」
「問題、ですか。それなら私でも答えれそうです!」
「準備はよろしくて? では参りますわよ」
アニャベラちゃんが右手を振り上げると天井がちかちかと、まるでミラーボールでも飾っているかのように輝きだした
そして流れて来る軽快な音楽
「ではルールを説明いたしますわ。わたくしのこれから出題する問題に十問答えていただきますの。そのうちの六問を正解すれば先に進めますわ。逆に五問間違えるとその時点で失格ですの。すぐに外へ排出されますわ」
「なるほど、六問正解すればいいんだね。よし、どんとこいだよ!」
「フフフ、その意気ですわよ。では早速いきますわ! 第一問!」
テレーンというクイズ出題の音の後、アニャベラちゃんがいつの間にか取り出していたフリップの問題を読み上げる
「猫の祖先は犬と同じである。丸かバツか、ですの!」
「これ知ってる! 丸だよ!」
この話は前世でテレビの動物番組で聞いたことがあるね
確かもともと同じ木の上に暮らしていた動物が、地面に降りて草原へ行ったものと木の上に残ったものに分かれて、草原へ行ったものは犬の祖先に、木の上に残ったものは猫の祖先に成ったらしい
だから犬は草原をかけて得物を捕らえれる体に、猫は木から落ちても着地できるしなやかな体に進化したって聞いたよ
「正解ですの! こんなのわたくしも知らないですわよ。さすが精霊と言ったところですわね」
まあこの知識は精霊ってところは関係ないけどね。前世の知識だし
「さすが精霊様です! 私も負けていられません! アニャベラ様、私も答えて見せます!」
「うんうん、頑張って頂戴な。じゃあ次の問題行きますわよ!」
何か本当のクイズ番組に出てるみたいで楽しいな
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